Legendry Loser Zippy Chippy

●"伝説の敗者"ジッピーチッピー(セン馬・11yo)がまた1つ新たな伝説を積み上げました。
1月31日(木曜日)にペンナショナル競馬場(ペンシルバニア州)で行われた未勝利戦(ダート・6F)に出走した同馬は7頭立ての最下位に入線。
自己の持つデビューから91連敗の記録を92に伸ばしました。
同レースの6着馬ディグザットジャズから20馬身半の差、優勝馬のジャッジミーレディーズからは33馬身あまり離されてしまいました。
さすがは"伝説"と呼ばれるだけのことはある。(笑)
尚、優勝タイムは1分13秒43(良馬場)。
この未勝利戦は4yo以上が出走条件なので、我々日本人から見ると、無茶苦茶弱い馬同士のレースの様に見える。
だいたい、4yoにもなって未勝利の馬のレースはJRAには用意されていないし、普通ならレースを諦めているはずである。
しかし、アメリカにはこのようなレースが無数にありアメリカ競馬の懐の深さを知ることができる。
余談だが、このレースのジッピーチッピーの単勝オッズは15倍しかつかなかった。
勝ち馬は5yo馬で他の出走馬も4〜5yoであり、11yo馬の果敢な挑戦者への応援の意味もあったのかもしれない。
おそろしや、アメリカのホースプレイヤー達!
次走も楽しませてくれることを期待しよう。^^;
Maiden Special Weight - For Thoroughbred Four Year Old and Upward Six Furlongs On The Dirt
2002/1/31 ペンナショナル競馬場 優勝賞金$12,968 ダート6F 馬場:良 7頭立て 
馬番 馬名(騎手) 斤量 枠番 SP 1/4 1/2 直線 ゴール オッズ
6 Judge Me Ladies (Salvaggio, M.V.) 122 6 7 5-2 1/2 5-2 3-2 1-1/2 8.90
2 Senor Magico (Cora, D.) 122 2 3 2-1 1/2 2-2 2-3 2-1 .90*
7 Star Class (Tipa, J.) 122 7 2 7 6-8 4-Head 3-1 8.90
1 Ron's Lad (McCormick, M.L.) 122 1 4 1-Head 1-Head 1-Head 4-8 1/4 13.50
5 Swirlaway (Clifton, T.) 122 5 1 4-2 1/2 3-1 5-4 5-1 1/2 3.30
3 Dig That Jazz (Munar, L.H.) 122 3 5 3-Head 4-Head 6-12 6-20 1/2 7.30
4 Zippy Chippy (Hernandez, D.C.) 122 4 6 6-Head 7 7 7 14.20
通過タイム:     22.82, 46.85, 59.84, 1:13.43
●伝説になるまで・・・
ジッピーチッピーはデビュー後18連敗した4yo時に2,500ドルで売りに出されました。
元オーナーのチャーリー・フライシンガー氏から新オーナーのマイケル・バーバリタ氏の下に移ってから再度デビューしたが、緒戦を4着に敗戦する。
その後、もう1戦したがまたもや4着。しかも、着差は30馬身あまりつけられた。
そして最後にモンセルレート厩舎に転厩する事になる。
"負馬(failure magazine)"というHPの情報によれば、この転厩の時の交換条件は"1988年型のフォードトラック"だったということである。
転厩後の2戦目に未勝利のクレーミングレースに出走し3着に入った。
2レース後には3着に入ったが、未勝利のクレーミングレースを一般戦を交互に使われながら、さらに4戦出走し不良馬場のレースでは2着にさえ頑張って見せた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数年間、勝利の喜びを見ることもなく競走生活を続けていた彼は、1998年9月再びスタートラインに着いた。
結果は最下位。着差は38馬身差。
この大敗によって、ジッピーチッピーはフィンガーレイク競馬場でのレースには出走を許されないこととなった。
管理するモンセルレート師は同馬の出走できる競馬場を探すことに苦労する。
結果的に出走を許可されたのはノーザンプトンフェアー、ペンナショナル両競馬場のみ。
しかも、"未勝利の特別斤量レース"のみに出走可能。(もし、億が一勝ってしまったらどうなるのだろう?)
この特別斤量レースというのはちょっと分かりかねるのだが、"他馬への影響を考慮して"とあるので、おそらく、あまりにも弱いジッピーチッピーが出走すると、他馬の斤量が重くなってしまう事を避けるために同斤量で出走させるものではないだろうか。
そして、1999年9月のレースでは3着に入着(ノーザンプトンフェアー)している。
この時のレースコメントでは
『気力みなぎる。2コーナー、安定している。最終コーナーまでは我慢するも最後はバテた。』
となっている。
前走では、1頭の馬に先着しているが、先着を許したスティールサーフィンという馬はレース中競走中止になった馬だった。

こんなに弱いジッピーチッピーであるが、実は2回レースに勝ったことがある!
そのレースはエキシビジョンマッチとして組まれたもので相手はサラブレッドではなかった。
3月にパディーズレディーという10yoのスタンダードブレッドを負かした後、8月には50ヤード!!のレースに出走して優勝している。

彼の通算成績は92戦して勝ち鞍は0。2着7回。3着12回。獲得賞金額は29,467ドル。
しかし、上には上がいるもので、英国のクイザルクロセットという馬はデビューから103連敗中だという。