●12月14日に香港シャティン競馬場で行われた国際開催は昨年に引き続き地元香港勢の勝利に沸いたようです。
4レース行われた国際G1レースのうち地元香港勢が2勝をあげ、特にG1香港マイルでは1-2フィニッシュ。
それに引き替え、我が日本勢は大将格だったエイシンプレストンがG1香港Cで7着に惨敗するという憂き目にあいました。
またG1香港マイルでは1番人気だったローエングリンが本来の走りである逃げができずに3着に敗れるという大失態。
名手K.デザーモにあるまじきミスだと思います。本来の主戦騎手であった後藤君に乗らせるべきであったと私は思います。
オーナーの吉田照哉氏にとっては大本番のG1香港Cに出走するファルブラヴの事で頭がいっぱいだったのかもしれないが、我々ただの競馬ファンからすればローエングリンこそ、絶対に勝ってもらいたかった馬なのだからね。
しかしだ、大きな問題点は最も強い馬が日本から遠征しなかったということに尽きる。
天皇賞・秋やJCの上位馬は遠征すら考えつかなかったらしい。タップダンスシチーなどは、G1香港ヴァーズに挑戦すべきであったと思うし、シンボリクリスSはG1香港Cに行くべきであった。
特にレベルの高かったG1香港Cでは、自分の力がどの程度であるのかを無条件に確認できたレースだった。
シンボリクリスSは強い。が、結局、日本国内で強いだけであって、上の強い世代或いは同世代の強力馬が引退したのでその位置にいるだけである。と言われても仕方ない。(いわゆるお山の大将)
来年度から種牡馬入りする同馬にとっては負けてしまうと金銭的価値が落ちるかもしれないが、生産者から見れば、種牡馬選定レースとして見ることもできたはずだ。
血統は一昔前の構成、3yo時にはタニノギムレットに歯が立たなかったと言うことを忘れてはならない。
あらゆる状況を踏まえて選定する努力をすべきだと思う。これはダイレクトに生産者の生活に響いてくる。
これは闇雲に海外遠征をしろということではない。わざわざ欧州まで行く必要のない、目と鼻の先の香港で行われているから言っているわけである。
こんなにもリーズナブルに(日本にとって)国際開催に参加できる立場にありながら、無視してしまう根性が気にくわないだけである。
何度も言うようだが、有馬記念は馬券以外には全く意味のないレースである。
そんなレースに出走するために香港遠征をキャンセル(或いは考えもしない)と言うことでは困る。
まあ、日本と言うのは相変わらず島国根性丸出しであるなと強く感じた今回の開催でした。
●今開催の調教国別成績を見てみると
香港:優勝馬2頭、2着馬1頭、3着馬2頭など全21頭が出走して2237万香港ドルを獲得してトップ。
続いて英国馬が10頭出走して香港Cの1-2フィニッシュをするなど1623万香港ドルを獲得。
フランス馬は8頭が参戦してG1香港ヴァーズに1-2フィニッシュするなどして1245万香港ドル。
南アフリカから1頭だけ参戦したナショナルカレンシーがG1香港スプリントで2着に入り220万香港ドル。
日本から5頭が参戦して230万香港ドル。UAEから1頭参戦で45万香港ドル。
オーストラリア(4頭)、米国(2頭)、デンマーク(1頭)、ドイツ(1頭)、イタリア(1頭)、シンガポール(1頭)からの遠征馬は残念ながら賞金を稼ぐことはできなかった。
何故に日本からは5頭しか参戦していないのか!由々しき問題であるな。
国際競馬に置けるJRAの権限と責任は毎年のように大きくなっている。特にアジアではリーダーとして役割を期待されている。
国内競馬の開放政策は勿論、日本馬の遠征についても積極的に行われるように手を打たねばなるまい。
競馬は今や自国のことだけを考えていてはダメなのだ。
思い切って有馬記念をG2のハンデ戦にしてしまって、優勝賞金も6000万円とかにしてしまえばどうだろうか。
賞金に魅力ある香港に行くようになるのではないかな。
●前置きが長くなってしまったが、今開催のアンダーカードの結果を報告したいと思う。
※G1香港スプリント※
香港ナンバー1から世界のスプリンターに飛び出したサイレントウィットネス。
圧倒的な1番人気(単勝1.3倍)に押された同馬は、南アフリカ最強スプリンターのナショナルカレンシー(単勝7倍)に1馬身の差を付けて完勝しました。
そして、同じく香港馬のケープオブグッドホープ(単勝65倍)とファイヤーボルト(単勝28倍)が3着、4着を占めて香港馬の力を証明しました。
勝ったサイレントウィットネスはこれでデビュー以来の8連勝。
『凄いプレッシャーを感じていたが、今は落ち着いています。この馬は明らかに世界1のスプリンターだと思う。
その可能性を十分感じさせてくれました。来年はチャンピオンスプリントシリーズに挑戦し、それに勝つことで、以前に私がコータックに乗って記録した香港記録の10連勝を破りたいと思います。』
と管理するA.クルーズ師は言う。
師は海外遠征については明言しなかった。
レースは抜群のスタートを切ったサイレントウィットネスが、逃げに転じずに3番手に控える競馬。
押し出されるように先頭に立ったナショナルカレンシーが勇敢に逃げる。
全馬からフルマークされながら、来るなら来い!の横綱競馬。男らしい馬だ。
残り500mでサイレントウィットネスが2番手に上がる。ナショナルカレンシーが必死に逃げる。
が、徐々にだが差が縮まっていく。残り100mで両馬が並んだ。
ここからは脚色の差で、ゴールまでに1馬身の差を付けられてナショナルカレンシーは2着に敗れた。
3着には良く追い込んだ人気薄ケープオブグッドホープが入り、4着には先行して粘り込んだファイヤーボルトが入った。
1000mの良馬場の勝ちタイムは56秒50だった。
直線の1000mらしく、各馬がセパレートコースを走る様はまるで陸上の100mのレースの様だった。
『ナショナルカレンシーがペースを作ってくれた。それを見ながら楽にレースを進めることができたよ。
半分を過ぎた辺りで仕掛けていったが、思い通りのレースができました。
サイレントウィットネスには全てが備わっています。それにとても素直な馬なのです。』
と勝利ジョッキーのF.コーツィー騎手は言う。
2着のナショナルカレンシー鞍上のW.マーウィング騎手は言う。
『馬は精一杯走ってくれた。本当に良く走った。自分より強い馬が1頭居ただけだった。言い訳はしません。』
優勝したサイレントウィットネスは本当に頭の良い馬だと思う。
普段逃げる競馬をしている馬なら、パニックになる所だったかもしれないのに落ち着いていた。
気がかりなのは、馬混みに入れた場合にどうなるのか?と言うことと、少しズブイ様な感じがしたことだ。
(スプリンター勝ち馬なのにズブイと言うのはおかしいのだが)
コーナーのあるコースでの走りも見てみたい気がする。(例えば高松宮記念)
このレースを見る限りでは、全くの完勝で1頭だけ馬が違っているように見えた。
サクラバクシンオーのスプリンターズSみたいな感じと言えば分かって貰えると思う。
平穏に幕を閉じた香港スプリントでした。
|
●レースコメント:HKジョッキークラブのHPから引用
1着サイレントウィットネス
F.コーツィー騎手:『ナショナルカレンシーがペースを作ってくれた。それを見ながら楽にレースを進めることができたよ。
半分を過ぎた辺りで仕掛けていったが、思い通りのレースができました。』
A.クルーズ師:『凄いプレッシャーを感じていたが、今は落ち着いています。この馬は明らかに世界1のスプリンターだと思う。
その可能性を十分感じさせてくれました。来年はチャンピオンスプリントシリーズに挑戦し、それに勝つことで香港記録の10連勝を破りたいと思います。』
2着ナショナルカレンシー
W.マーウィング騎手:『馬は精一杯走ってくれた。本当に良く走った。自分より強い馬が1頭居ただけだった。言い訳はしません。』
3着ケープオブグッドホープ
M.キネーン騎手:『よく頑張ったと思う。金曜日に跨った時、良い感じの馬だと思ったよ。これなら賞金が貰える着順には入れると思っていました。』
4着ファイヤーボルト
I.アラン師:『良く走ったが、勝ち馬が強すぎたね。』
5着アクラメーション
L.デットーリ騎手:『5Fのレースはこの馬には短すぎたようだ。が、良く走ってくれたし良くこの順位に残ってくれました。将来に期待できるでしょう。』
6着ザトレイダー
K.ファロン騎手:『良く走っていたが、この馬にとっては馬場が速すぎたようだ。』
7着ザタトリング
R.ムーア騎手:『良い経験ができたと思う。が今日はいつものザタトリングでは無かった。』
8着チアフルフォーチュン
C.ウィリアムス騎手:『今日はツイてなかった。鞍が外れてしまったので何もできなかった。』
9着イントゥーザナイト
D.ビードマン騎手:『流れが速すぎた。スピードに付いていけなかった。』
10着オールスリルストゥー
G.モッセ騎手:『馬は衰えてきているし、疲れていた。』
11着グランドデライト
S.ダイ騎手:『脚を伸ばそうと努力していたが、ここのところ4回連続で同じような競馬をしている。』
12着ダンタナ
D.オリヴァー騎手:『あんまり良くなかったし、馬場も少し固かったようだ。』
13着ボンバービル
S.アーノルド騎手:『ちょっと元気が良すぎた。前半は思っていたよりも前に付けれたが、うまくゴールできなかった。
それに馬場が少し固すぎたかもしれない。』
14着デポルティヴォ
R.ヒューズ騎手:『スタートは良かったが、走る気を失ってしまって錆びたような音がしていたよ。』
2003/12/17 UP