●気づけば2004年も残りわずか・・・。国際競馬の舞台も今週末の香港C開催で幕を閉じます。
今年は群雄割拠の年でした。逆に言えばスーパースターが不在だったとも言えるのだが、これはこれで良いことだと思う。
さてさて、12月12日に香港シャティン競馬場で行われる4つのG1レース。
今年は日本馬が5頭参戦します。しかも、すべて日本のG1馬達です。
香港開催の初期の頃は、『香港まで行って負けたんじゃ格好悪いし、どうせなら程々の馬でいくべか。』と思ってなかったかもしれないが、その様に見えた。
それが、今じゃ、スポーツマンらしくなったもんだと感心しきり。
G1香港マイルに挑戦するのは昨年の日本のチャンピオンスプリンターのデュランダルとテレグノシス。前者はおそらく1番人気になることでしょう。
G1香港スプリントに挑戦するのはサニングデールとカルストンライトオー、両馬共に春・秋のスプリントG1に優勝しており、日本を代表する馬達である。
そして、G1香港Cに挑戦するのは3yo牝馬のダンスインザムード。
できれば、ゼンノロブロイに出走して欲しかったが、ローテーション的に厳しいのだと思う。
JC==>香港開催のローテーションで好成績を上げた馬が今まで居ないことも考慮されたのだと思う。
残念ながらG1香港ヴァーズには日本からの挑戦者は居ないようだが、これは直ぐ後に有馬記念が控えていることが大きく影響しているのだろう。
●国際開催に先駆けて行われた、ワールドジョッキー選手権だが・・・何と日本の武騎手が同点ながら優勝を飾ったらしい!
毎年、毎年、武騎手は騎乗運が無く、ろくな馬に乗せて貰えなかったが・・・遂に優勝とは!おめでとう〜〜!
特に第1レース(芝1650m)では終始後方でレースを進め、直線に入ってもまだ9番手。
そこから、アメージングな追い込みを決めて、鮮やかに差しきった。しかも馬群を割って来たのには驚いた。
しかし、多少斜行しているのが気にはなった(笑)。
2レース目(芝1650m)は、今度は終始4番手で進めて直線に入ったが、押せど叩けど馬は走らず・・・10着に敗れた。
最後の3レース目(芝1800m)はまたもや終始後方を進み、直線で怒濤の追い込み!3着に突っ込んだ。
4着馬との差は5cmも無かったろうと思われる。凄かった〜〜。
2004 Cathay Pacific International Jockeys' Championship 2004/12/8 ハッピーヴァレー競馬場 3レースの総合得点により競われた First Leg
Second Leg
Third Leg
Jockey
Card No.
Placing
Score
Card No.
Placing
Score
Card No.
Placing
Score
Total Score
C Soumillon
1
3
4
6
6
0
5
1
12
16
Y Take
2
1
12
3
10
0
7
3
4
16
W M Lai
11
12
0
12
1
12
1
6
0
12
K Fallon
7
2
6
1
5
2
11
8
0
8
D Whyte
5
5
2
4
3
4
2
5
2
8
A Suborics
8
6
0
5
7
0
4
2
6
6
J Spencer
10
8
0
9
2
6
6
9
0
6
M Demuro
9
9
0
8
4
3
10
10
0
3
S Dye
12
4
3
11
11
0
12
12
0
3
D Oliver
4
11
0
10
12
0
8
4
3
3
M Kinane
6
7
0
2
8
0
9
7
0
0
S Elliott
3
10
0
7
9
0
3
11
0
0
●さて、今年のレースで1番注目されるのはG1香港スプリントであることは違いない!
ここには、香港の超特急サイレントウィットネスが出てくる。昨年の同レースを楽勝したこの馬は、これまで負け知らずの12連勝を飾っており、香港には敵が居ない。
調教師の考えで、国外で競馬をさせる予定はないことなので、外敵を如何にしてぶっ潰すかが見物となる。
このレースには、上でも書いたが、日本の2頭のチャンピオンスプリンター、フランスG1アベイユドロンシャン賞勝ち馬の快足馬ヴァー、G2キングズスタンドS優勝馬のザタトリング、オーストラリア昨年のチャンピオンスプリンターのエール等が参戦。
芝1000mの世界1決定戦と言っても良いメンバーとなっている。
中でも、カルストンライトオーのアイビスサマーダッシュの驚異のレコード勝ち(53秒9)は、当地でも話題になっており、サイレントウィットネスを倒すのはこの馬か!
と言われているらしい。
また、サニングデールは、春の高松宮記念でデュランダルに勝っていることがかなり評価されていると言うことだ。
日本の両馬共にウォーニングの産駒なので、シャティンの馬場でも大丈夫だろうとは思うが、過大評価は禁物だと私は思う。
良いレースを期待しよう!
The Cathay Pacific Hong Kong Sprint 馬番 馬名 調教国 枠番 1 SILENT WITNESS HK 6 2 VAR GB 13 3 カルストンライトオー JPN 2 4 OSTERHASE IRE 11 5 PIVOTAL POINT GB 1 6 サニングデール JPN 4 7 THE TATLING GB 9 8 CAPE OF GOOD HOPE HK 7 9 ROYAL MILLENNIUM GB 8 10 YELL AUS 3 11 ABLE PRINCE HK 12 12 BATTLE WON USA 5 13 MULTIDANDY HK 14 14
NATURAL BLITZ
MAC
10
1番人気必至のサイレントウィットネスが絶好の枠を引いた。14頭立ての6番。全ての馬を見渡せる反面、全ての馬から標的にされるが、そんなことは当たり前田のクラッカー。
カルストンライトオーは2番枠でとなりにエールが居る。その隣がサニングデール。
出遅れさえしなければ、非常にスリリングなレースになるだろう。楽しみである。
オッと、スプリンターズS3着だったケープオブグッドホープも好勝負してほしいな〜。
●G1香港マイル
G1マイルチャンピオンシップで力の違いを見せつけて優勝したデュランダル。
その時一緒に走ったラクチーが、デュランダルを避けるために香港マイルから香港Cに矛先を変えたという噂もある。
あの末脚は聖剣の切れ味。邪悪なモノは全て切って捨てるだろう。元々パワー型なこの馬にとってシャティンの馬場もこなせるはず。
後は不利のない様に回ってくるだけだろう。脚を余す事だけは避けて欲しいものである。
サンデーサイレンス産駒唯一と言って良い快速マイラーの力を見せて欲しいモノである。
対抗はA.オブライエン師が送り込んできたアントニウスピウス。
この馬は、力はある、しかしあまりにも難しい馬である。仏2000ギニーでは勝利目前に斜行して内ラチに激突してしまったり、前走のBCマイルでも左に寄れて2着に敗れた。
真っ直ぐ走れば優勝を争う1頭となるだろう。
前走でデュランダルの3着に敗れたテレグノシス。春シーズンは安田記念で2着にはいるなど調子は良かったが少し落ち目ではある。
後ろから行く馬なので、上手く外に出せるかどうかが好勝負の鍵となるだろう。
UAEから遠征してくるファイヤーブレークも怖い。この馬はG2ゴドルフィンマイルを2回勝っていて、前走のG2チャレンジSに快勝している。
この馬は、昨年も同レースに挑戦し4着だったのだが、2度目となる今回はアドバンテージが見込めるはず。
変わったところではオーストラリアからの遠征馬グランドズールー。この馬は今年の4月に2400mのG1ザBMWに優勝しており、勝ちタイム2分25秒78は立派。
その後香港に移籍して、11月28日が休養明け緒戦であった。一叩きして上昇しているのは違いなく、怖い1頭である。
ドイツからの遠征馬マルチェロとイーグルライズは前者が独2000ギニー馬、後者は前走で前者にクビ差付けて優勝しているというライバル関係にある。
が、他国に遠征してのG1レースでは惨敗しており、力的には少し落ちる。まあ、馬場が合わなかったこともありえるので軽視はできないが・・・。
地元勢では、国際マイルトライアル勝ち馬のザデュークと2着だったメリディアンスターが怖い。
両者共に1600mを1分34秒台で走破する力があり、スピード競馬にも対応できる。
The Cathay Pacific Hong Kong Mile 馬番 馬名 調教国 枠番 1 デュランダル JPN 10 2 ORIENTAL MAGIC HK 4 3 テレグノシス JPN 1 4 FIREBREAK UAE 3 5 GRAND ZULU HK 9 6 EAGLE RISE GER 11 7 MARTILLO GER 7 8 VALENTINO FR 2 9 FIGURES HK 13 10 THE DUKE HK 12 11 MERIDIAN STAR HK 8 12 PERFECT PARTNER HK 5 13 SCINTILLATION HK 6 14 ANTONIUS PIUS IRE 14
デュランダルは外目の10番枠を引いた、問題ないだろう。この方が簡単に外に出せるからね。
問題はテレグノシス・・・よりによって1番枠を引いてしまった。鞍上予定の典ちゃんの腕の見せ所だな。
癖馬アントニウスピウスは大外の14番。頼むからデュランダルに迷惑かけないでね!(笑)
●G1香港ヴァーズは、日本馬が出ないこともありあまり注目されていないが、メンバーは豪華そのものである。
国際G1勝ち馬が、全部で8頭も出走する。
昨年の勝ち馬ヴァレアンシャンテは4yoとなった今季は4戦0勝だが、侮れない存在。E.ルルーシュ師が勝算無しに来るわけがない。
鞍上のO.ペリエ騎手も絶好調だし、一発に期待できる。
G1JCで良いところ無く敗れたウォールサンだが、ここは何とか勝ちたいところ。G1コロネーションCに2回優勝し、G1バーデン大賞にも優勝している。
が、どちらかというと空き巣狙いなG1にしか優勝していないのでJCでの成績は、そのまんま実力かもしれない。昨年もこのレース3着だったし・・・。
春のG1ドゥバイシーマクラシックに優勝してしまった(笑)ポーリッシュサマーはどうか?
G1凱旋門賞を狙ったトライアルG1フォア賞ではトンコロだったし、BCターフを見据えたG1ターフクラシック招待Sも8馬身も離された5着だった。
ここでは敷居が高いだろうと思う。流れ次第で掲示板はあるが・・・。
G1カナディアン国際S優勝馬でJCに参戦して6着に敗れたフェニックスリーチは、どうもJCを叩きレースに使ったらしい。失礼なやつだぜ(笑)。
アルハースの仔なら2000mの方が向いているだろうし、注目してみよう。
今年のG1カナディアン国際Sの2着馬ジモナスは時計勝負には弱そう。
昨年のG1英セントレジャー勝ち馬のブライアンボルーは明らかに距離不足。2yo時にG1レーシングトロフィーに優勝しているが、その後の使い方を見ていると、完璧なステイヤーだろう。
今年から古馬牝馬に解放されたG1ヴェルメーユ賞に優勝しているスイートストリームは凱旋門賞には向かわずG1ジョッキークラブ賞に参戦したが6馬身以上離された3着。
力不足だろうと思う。
まあ、このレースは例年、超スローな展開になり勝ちなので、前残りも十分考えられる。
この様な時、浮上してくるのは、タヌキ親父M.キネーン鞍上のルーズヴェルトだったりするんだろうな〜。
The Cathay Pacific Hong Kong Vase 馬番 馬名 調教国 枠番 1 WARRSAN GB 3 2 SIMONAS GER 12 3 POLISH SUMMER FR 13 4 SENEX GER 8 5 BRIAN BORU IRE 4 6 SIGHTS ON GOLD UAE 7 7 SUPER KID HK 9 8 PHOENIX REACH GB 5 9 IMPERIAL DANCER GB 2 10 ROOSEVELT HK 10 11 BEETHOVEN HK 1 12 VALLEE ENCHANTEE FR 11 13 SWEET STREAM FR 6 ※青文字は国際G1勝ち馬
内外に有力馬が明暗を分けた形。おそらくスローペースは必至。前残り注意!
●さて、メインイベントのG1香港C。
ここは有力各馬の近況などをまじえて考察しておこうと思う。
ラティス(仏・3yo・牝):G1仏オークス勝ち馬。G1ヴェルメーユ賞がスイートストリームの8着。G1凱旋門賞がバゴの7着と今秋はイマイチ。
古馬・牡馬混合レースではキツイかも。
『状態はとても良い。凱旋門賞はアンラッキーだった。(優勝馬バゴにスペースに入られて仕掛けが遅れた)7着に敗れたけど殆どレースをしてないし、日曜日は良い勝負ができると思うよ。』と騎乗予定のC.スミヨン騎手もコメントしている。
『輸送も上手く行った。馬体重も変わりはないし、状態も良さそうだ。日曜日は彼女の走りをしてくれるだろう。厳しいレースになることは分かっているが、とても楽しみにしている。なんと言っても彼女はフランスオークス馬だからね。』
と管理するJ.ベガーヌ師もリラックスした様子。
アレクサンダーゴールドラン(愛・3yo・牝):G1オペラ賞勝ち馬。G1愛1000ギニー2着。このクラスには快速牝馬アトラクションが居たため2着はやむなし。
空き巣狙い的なG1オペラ賞で初G1勝利。
『思った通り、上手く行っている。良い走りをしているしオペラ賞の時から良くなっている』と管理するJ.ボルジャー師は自信をのぞかせている。
タッチオブランド(仏・4yo・牡):G2ドラール賞勝ち馬。同じフランスから遠征しているラティス、ヴァレアンシャンテと一緒に調整中。
『馬の状態はとても良い。コースも馬に合っている。距離も馬場も完璧だと思う。』
とH.パンタル師。
A.ファーブル師のワルカミア(仏・4yo・牝):G1勝ちはないが、G1オペラ賞では3着。とは言え、この成績では厳しいだろう。
JCでは全く良いところ無く10着に敗れてしまったパワーズコート(愛・4yo・牡):A.オブライエン師はまたもや現場には来ないらしい。
やる気あるの?と言いたい。固い馬場、スピード決着は臨むところと言いながら、JCでの大惨敗は戴けない。
シャティンのコースは内外ではかなり有利不利があるので枠番次第で逆転はあるかもしれないが上昇が見込めるとも思えないな〜。。
『この馬はスピードがあるので、10Fの距離がベストだろうと思う。』と同師はコメントしている。
昨年のJCでタップダンスシチーの18着に惨敗し、香港Cヴァーズでも11着に惨敗したフィールズオブオマー(豪・7yo・セン):今年はJCには参戦せず、香港Cに的を絞ってきた。
これは、良いことである。JC=>香港Cの連戦で好成績を収めた馬は今のところ居ない。厳しいローテーションだからだろうと思う。
前走は10月23日のG1コックスプレート、この時はザヴァビールの2着だった。一叩きした後の遠征だし、勝機は大いにあると思う。
日本から遠征するダンスインザムード(日・3yo・牝)桜花賞をぶっちぎりで優勝し、アメリカ遠征したG1アメリカンオークスでは勝ち馬以上に評価された2着。
秋華賞では原因不明の大惨敗を喫したが、その後古馬混合のG1天皇賞・秋、マイルチャンピオンシップでは2着に入っている。
緊張状態が長引くとぶちきれる性格だけに、大惨敗の可能性は大いにある。鞍上がルメール騎手からペリエ騎手に換わるのも気がかり。
『1頭でいると、時々、物見をして、調教に集中しないことがある。しかし、良いフォームで走っているし明日の朝速い追い切りをする予定です。
尚、ペリエ騎手はレース当日まで乗ることはありません。』と上水氏はコメント。
マイルチャンピオンシップで14着に惨敗したラクチー(英・5yo・牡):実績的にはこの馬が優勝候補だ。8〜10FのG1レースに優勝しているし、昨年は同レースでファルブラヴの2着にはいるなど、遠征による不利な点は少ない。
好意的に観れば、前走の日本でのレースは休養明けの叩きレースとも見えるし、大本番で優勝する可能性はある。
が、出遅れ癖があるので非常に心配。枠番次第ということかな。
ドイツから参戦するソルジャーホロー(独・4yo・牡):重賞4連勝中の同馬の父はインザウィングス。代表産駒にはシングスピールがいる。
強くなったらとことん強くなる血統であり、前走のG1ローマ賞では2着のインペリアルダンサーに1馬身半の差を付けて快勝している。
馬が大変身を遂げ怪物になっている可能性もある。優勝候補の筆頭。
前走G1ヴィットリオディカプア賞(1600m)に優勝し、ここに来るUAE代表のエインシェントワールド(UAE・4yo・セン):2000mの本番前にマイルのG1に使っているところが非常にニクイ!
さすが、サイード・ビン・スルール師。鞍上もL.デットーリで第2のファルブラヴを狙う。
5000年以上の歴史を持つ中国で、エインシェントに花開くかどうか!
地元香港からは、トライアルの勝ち馬エイントヒアー(香・5yo・セン)が有力。
芝2000mを2分1秒で走れる能力がある。
この時2着だったボーマンズクロッシング(香・5yo・セン)にはタヌキ親父M.キネーンが騎乗予定。
昨年もG1香港マイルで2着に突っ込んでいるし、何が起こっても不思議はない。
The Cathay Pacific Hong Kong Cup 馬番 馬名 調教国 枠番 1 RAKTI GB 7 2 POWERSCOURT IRE 1 3 ANCIENT WORLD UAE 13 4 TOUCH OF LAND FR 4 5 FIELDS OF OMAGH AUS 3 6 SOLDIER HOLLOW GER 5 7 BOWMAN'S CROSSING HK 2 8 BULLISH LUCK HK 10 9 AIN'T HERE HK 9 10 ELEGANT FASHION HK 11 11 WALKAMIA FR 14 12 LATICE FR 6 13 ALEXANDER GOLDRUN IRE 12 14 ダンスインザムード JPN 8
あらら・・・この時点で大外を引いたワルカミア、エインシェントワールドは大きなディスアドバンテージを負ったと言っても良いだろう。
シャティンの2000mはスタートして直ぐに第1コーナーがあるため、外から内に入るには、かなり急ぐ必要がある。
この時、掛かってしまう事も考えられるし、そのまま外に居たのでは勝機はない。難しくなったな・・・。
反対にパワーズコートは願ってもない1番枠を引いた。多少出遅れても、内で回れるので心配はないだろう。
ラクチーはまずまずの7番枠。その隣の8番枠にダンスインザムードが入った。
今年のレース、追い込み馬、差し馬が多いので、ペースを作るのは日本のダンスインザムードかもしれない。
上手く逃げて、着に入れれば大金星ってところかな。
2004/12/10 UP