第21回 フェブラリーS
●2004年度最初のJRAG1レースであるフェブラリーSが今週末の22日に東京競馬場で行われます。
昨年は東京競馬場の工事に伴い、中山の1800mで行われましたが、今年は2年ぶりに東京の1600mで行われます。
毎年このレースはG1ドゥバイWCへの試金石&調整レースの意味合いが濃くなっております。
昨年のダート王アドマイヤドン、ユートピア、あのトゥザヴィクトリーの弟サイレントディールらがこの後ドゥバイに遠征する予定です。
まあ、日本のダートでいくら強かろうが、彼の地では話にならないだろうとは思う。
ドゥバイの馬場がアメリカ式のダートである限り、日本から遠征すべき馬はあくまでも芝馬でなくてはならないだろう。
天皇賞・秋、JCターフの勝ち馬なら好勝負できるかもしれない。
この話はおいといて、フェブラリーSについて検討してみる。
まず、このレースがG1レースになったのは1997年の第14回。
初代王者は"噛みつき王"ことシンコウウインディ。前走の平安Sから連勝した。
翌年は老雄グルメフロンティアが直線で他馬を圧倒し4馬身差で優勝。鞍上の岡部騎手は2連覇を飾った。
なぜに、フロンティアが?G1レースとして意味あるのか?などと悪口を叩かれたが、前走の中山金杯に勝っており調子は良かったし、血統的にもダート適正があった。
1999年のレースでは地方馬のメイセイオペラが快勝。1番人気はキョウエイマーチだった。
芝で強い=>ダートでも強いという図式は見事に崩れた年だった。
芝のG1馬が見事に敗れ去り、この年以降、芝とダートは全く違うカテゴリーとして考えられるようになった。
2000、2001年とダート実績のある馬が上位を独占。
ところが、ただ一頭だけトゥザヴィクトリーが芝馬の意地を見せた。
そして2002年、稀代の名馬アグネスデジタルが登場する事になる。
マイルチャンピオンS、天皇賞・秋、香港Cなど芝のG1レースだけでなく地方のG1レースを荒らしまくり、遂に中央のG1フェブラリーSをも制覇。
期待を背にドゥバイに遠征、しかしコンディションが合わず力を発揮することができなかった。
最も世界に近づいた馬だったと思う。
そして、昨年ダート界にゴールドアリュールというスターが登場し、アドマイヤドンと2強を成す。
が、喉鳴りで早期引退。その後はアドマイヤドンが席巻しライバル不在となっている。
今までの傾向から見ると、ダートの重賞で実績のない馬は(中央、地方問わず)まず掲示板に残れない。
因って、今年の出走予定馬で初ダートの馬は消しだ。(出てこないと思うが)
有力馬のアドマイヤドン、ユートピア、サイレントディール、ノボトゥルーらはダートの重賞に優勝経験があり、まず上位争いをすると見てよいだろう。
特にアドマイヤドンは将に国内には敵は居ないと思っても良い。
気がかりなのは、G1JCダートの負け方が良くなかったので精神的にどうかなというところか。
ユートピアは2、3yo時前半は怖ろしく強い馬だったが、秋以降の長いレースでは成績を上げれなかった。
父がフォーティナイナー、母父がノーザンテーストなので早熟で終わる馬では無いはず。
おそらく、先行して(逃げに近い)そのまま押し切ってしまうレースを信条としているだけに、2000m以上のレースだと末を無くしてしまうのかもしれない。
と思っていたら、今季緒戦の京都金杯(芝1600m)で1分33秒3で3着に入った。
東京のダート1600mではユニコーンSにも勝っていて、コースは合うと思う。
好勝負できるだろう。この馬はこの後ドゥバイに遠征する。勿論鞍上はアンカツだ!
私個人としては、アドマイヤよりこの馬の方がドゥバイには合うだろうと思っている。
尚、アンカツ騎手は、昨年からず〜と『この馬は芝向きだ!』と言い続けている事も書いておこう。
サイレントディール、この馬は姉がトゥザヴィクトリーであることでかなり回りから持ち上げられている様な気がする。
3yo時にシンザン記念に優勝し、ダービーでもネオユニヴァースの4着に入っているのでかなりの力は持っている。
そして、秋はクラシックに向かわず、ダートの武蔵野Sに挑戦した。そして4馬身差の快勝。
この時点で、競馬ファンは"第2のクロフネ"を期待したはずだ。
が、クロフネは芝のG1NHKマイルに優勝していた程の大物であり、2000mの毎日杯では3yo馬とは思えないスーパーな時計で勝っていた。
ハッキリ言って能力が違いすぎたわね。
サイレントディールの戦績を見ると、この馬は芝のマイラーではないかと思う。と言ってG1級でもない。
今回のレースでは好走はするかもしれないが、せいぜい掲示板に載れるかどうかだろうと思う。
そして、古豪ノボトゥルー。2001年の優勝馬である同馬はブロードブラッシュの産駒。
代表産駒のブロードアピールも高齢まで第1線で活躍した馬だ。前走の根岸Sで3着に入り調子は良い。
東京の1600mなら上位入線は十分考えられる。
その他の注目馬としては、2002年の2着馬のトーシンブリザードがいる。
父デュラブ、母父ブレイヴェストローマンは日本ではダートの鬼血統。
2002年の暮れから1年半の休養を乗り越え復活してきた。かつての大井のチャンピオンの意地を見たいところである。
2004/2/18 UP
●アドマイヤドン、強かった〜!
鞍上のアンカツは次走のG1ドゥバイWCを想定してレースを進めたように感じた。
苦しいレースを体験させるという意味があったんだろう。
直線で1頭だけ抜け出すと、気を緩めるという難しさがあるとは言え、このメンバーなら先行して抜け出しても楽勝だったと思う。
サイレントディールが鞍上ペリエの巧騎乗で2着に突っ込んできたが、敵ではなかった。
JCDでの敗戦は、心配される物では無かったようだ。安心した。
ティンバーカントリー産駒としては、初のJRAG1勝利を飾ったことになる。
これで、ドゥバイで好成績を上げれば、開催するドゥバイ=モハメド殿下にとっては万々歳であろう。
社台からティンバーカントリーをリースして貰った価値があるというモノだ。
残念だったのは2番人気だったユートピア。雨が降らなかったことが災いしたか?
マイルなら勝負できると思ったのだけどな。
この敗戦で、ドゥバイ遠征を取り止めるかもしれない。しかしだ、ドゥバイの馬場には合いそうな感じがする。
陣営の英断に期待する。
(上で、アンカツが芝向きだとか言っていたのは、実はアドマイヤドンの事でした。勘違いしてしまい、すいませんでした。)
2004/2/23 UP