JRA AWARD 2002
●2002年度のJRA各賞が1月7日に発表されました。 結果、年度代表馬にはG1天皇賞・秋と有馬記念に優勝したシンボリクリスエス(現4yo・牡)が選ばれました。 満票281票に対して277票を獲得し問題なく選ばれたように思われるが・・・。 はたしてそうであろうか? 2002年度の日本ダービー馬タニノギムレットが1票、無敵の女王ファインモーションが3票しか獲得できなかったことは驚きだ。 3yo牡馬部門においては当に圧倒で、タニノギムレットが1票、シンボリクリスエスが280票を獲得している。 う〜〜ん、日本人の悪い癖のすぐに忘れてしまう面が出たのかな。確かにシンボリクリスエスは天皇賞・秋に優勝し、JCでも3着に入り、暮れの有馬記念でも楽勝した。 だが、日本ダービーではタニノギムレットに完敗しているのだ! 尚、投票資格者は中央競馬の記者クラブに通算3年以上加入している者(会友含む)。 東京競馬新聞協会、関東競馬新聞協会または関西中央競馬新聞協会に加盟している競馬専門紙各社が自社を代表して投票させる(1社5人)で今年は281人だった。 たった3年のキャリアで何が判断できるのかは非常に疑わしい。 終わりよければ全て良し見たいな投票なら素人にもできるし、もう少し投票資格者のハードルを高くしても良いのではと思う。 因みに私なら、年度代表馬はシンボリクリスエスとタニノギムレットとファインモーションとファルブラヴ、エイシンプレストンで非常に迷うところである。 また、毎年書いているが、ファンに一番困惑を招くのは、JRA賞が何を対象に選ばれるかと言うことだろうと思う。 JRA賞は日本調教馬のみを対象としているのか?JRAの競走番組で活躍した馬が対象なのか? 例えば、米国のエクリプス賞は北米のレースで活躍した馬だけが対象となるし(今年はちょっと様子が違うらしい)、カルチェ賞は欧米全域で活躍した馬が対象となっている。 日本においても国際レースが増えている現在、この辺りをはっきりと規定する必要があるだろう。 日本で1回も走ってなかったエルコンドルパサーが年度代表馬に選ばれたり、日本では勝てなかったが海外では優勝しているエイシンプレストンやアグネスデジタルなどの名馬の立場があやふやだ。 今やレースの格は別としても、あんまり価値のない天皇賞・春や有馬記念に優勝したところで、『最も強い馬』とは言えまい。 年度代表馬=年度最強馬とはなり得ないことがたまにあっても良いと思うが、ただの人気投票での年度代表馬が続くようでは辛いものがある。 まあ、文句ばかりもなんだから、シンボリクリスエスの今季の走りに期待することにする。 JCと有馬記念をぶっこ抜いた外国調教馬がもし出現したら、有力な資格馬となって欲しい。 なのに、それらに目を背け、日本調教馬のみを選ぶようであれば、それはただの島国根性だと笑われるだけである。 |
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年度代表馬 最優秀3yo牡馬 |
シンボリクリスエス | 馬主:和田孝弘氏 調教師:藤澤和雄師 騎手:O.ペリエ騎手 生産者:T.ワダ |
牡・3yo・黒鹿毛 父:Kris S 母:Tee Kay 母父:Gold Meridian |
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2002年度戦績:10戦5勝 2002年度獲得賞金:2億4400万円 2002年度主な勝ち鞍:天皇賞・秋、有馬記念、JC3着、青葉賞 |
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日本ダービーに優勝していたら・・・タニノギムレットが引退していなかったら・・・と考えると何だか納得がいかない。 最強世代だったTMオペラオー世代が全て居なくなっての優勝だけに、ラッキーな世代と言えなくもない。 今季は海外遠征を視野に入れているらしく頑張ってもらいたいが、1世代下はなかなか強いので、真価が問われる年となるだろう。 |
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【藤澤師のコメント】3歳秋にして過酷なローテーションだったが、よく頑張ってくれた。名誉な賞を頂いて非常に嬉しく思っています。 【和田オーナーのコメント】JCは残念ながら負けてしまいましたが、有馬記念を優勝できて本当に嬉しかった。 年度代表馬はシンボリルドルフ以来17年ぶりの名誉であり、大変光栄に思います。 ありがとうございました。馬も私もしばらく充電して、今年のローテーションを決めますが、ヨーロッパ遠征を視野に入れて考えていきたい。 *ドゥバイには行かないんだね〜。あまりにも始動が遅すぎると馬の成長は無いと思うが・・・。 |
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最優秀2yo牡馬 | エイシンチャンプ | 馬主:平井豊光氏 調教師:瀬戸口勉師 騎手:福永祐一騎手 生産者:Columbiana Farm |
牡・2yo・鹿毛 父:ミシエロ 母:エイシンミシガン 母父:Manila |
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2002年度戦績:9戦3勝 2002年度獲得賞金:4200万円 2002年度主な勝ち鞍:朝日杯FS |
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朝日杯FSの勝ちタイムは1分33秒5という驚きのレコードだった。 2yoチャンピオンにしては既に9戦も消化しているという希有な存在。 父系はコンキスタドールシエロを経由し、ミスタープロスペクターにさかのぼる。 さすがは叩き上げ血統のなせる技である。 先行してそのまま力でねじ伏せるというアメリカンな走りは、時として出し抜けを食らう事も多い。 2着が4回もあることはその現れであろう。 差しての競馬ができないので、クラシックと言うよりはマイラーとして活躍した方が良さそうだ。 |
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最優秀2yo牝馬 | ピースオブワールド | 馬主:飯田正氏 調教師:坂口正大師 騎手:福永祐一騎手 生産者:千代田牧場 |
牝・2yo・鹿毛 父:サンデーサイレンス 母:ビバムール 母父:Caerleon |
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2002年度戦績:4戦4勝 2002年度獲得賞金:5400万円 2002年度主な勝ち鞍:阪神ジュベナイルF、ファンタジーS |
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強すぎる! まったく、持ったままでの楽勝で阪神JFを制してしまった。 同世代牝馬でライバルと言えそうなのは、未対戦のアドマイヤグルーヴくらいだろう。 母父がカーリアンだけに、仕上がりは早そうだし距離の融通も付きそう。 マイルまでなら折り合い無視でも楽に勝ってしまいそうなので、桜花賞はこの馬で決まりだろう。 いやはやサンデーサイレンスって凄い種牡馬ですね〜。 |
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最優秀3yo牝馬 | ファインモーション | 馬主:伏木田達男氏 調教師:伊藤雄二師 騎手:武豊騎手 生産者:Barronstown Stud & Orpendale |
牡・3yo・鹿毛 父:Danehill 母:Cocotte 母父:Troy |
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2002年度戦績:6戦5勝 2002年度獲得賞金:1億3050万円 2002年度主な勝ち鞍:秋華賞、エリザベス女王杯 |
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同世代牝馬は言うに及ばず、全世代の牝馬の中で最も強かったのがこの馬だ。 同性でのレースでは馬なりで勝つことができた。 母系はやや時代遅れの血統であるが、兄にピルサドスキーがいる良血。 無敗で有馬記念制覇を狙ったが、折り合いを欠いてしまい5着に敗れてしまった。 2000m以上のレースに勝っているため中長距離馬ととらわれがちだが、父系から見るに、マイルにも対応できると思う。 天然に速い馬なので、安田記念とかに出したら面白いかもしれない。 2003年の前半戦の目標はG1宝塚記念らしいが、その前に安田記念に進んで欲しい。 |
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最優秀4yo以上牝馬 | ダイヤモンドビコー | 馬主:大迫忍氏 調教師:藤澤和雄師 騎手:O.ペリエ騎手 生産者:社台ファーム |
牝・4yo・鹿毛 父:サンデーサイレンス 母:ステラマドリッド 母父:Alydar |
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2002年度戦績:8戦3勝 2002年度獲得賞金:1億900万円 2002年度主な勝ち鞍:阪神牝馬S、中山牝馬S、府中牝馬S |
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2002年度の成績、8戦3勝2着3回。G1レースはエリザベス女王杯だけに出走し2着だった。 1世代下にファインモーションというとてつもなく強い牝馬がいたためにわりを食った感じありあり。 高馬だっただけに、是非ともG1に勝たせてあげたいが勝てるとしたらマイルのレースだろうな〜。 |
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最優秀4yo以上牡馬 | マンハッタンカフェ | 馬主:西川清氏 調教師:小島太師 騎手:蝦名正義騎手 生産者:社台ファーム |
牡・4yo・青鹿毛 父:サンデーサイレンス 母:サトルチェンジ 母父:Law Society |
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2002年度戦績:3戦1勝 2002年度獲得賞金:6600万円 2002年度主な勝ち鞍:天皇賞・春 |
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う〜む。納得イカン選定だ。 他の馬がだらしないと言うこともあったが、日本で2戦しかしていない馬が選ばれてしまうとは・・・。 アピール度からいくと、エイシンプレストンが一番だったと思うけどな。 アグネスデジタルもその点では負けてないしね。 クラシック競走の格とでも言うのか、古くさいというか・・・。困ったものである。 今や、春の天皇賞に賞金額以外の価値は無いでしょ。 開催時期を秋に回して国際レースにでもなれば違ってくるけどね。 凱旋門賞挑戦もなんか準備不足だった感が強い。 ジャングルポケット、クロフネ共々非常に期待できる世代だっただけに彼らの早い引退は寂しいものがある。 |
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最優秀短距離馬 | アドマイヤコジーン | 馬主:近藤利一氏 調教師:橋田満師 騎手:後藤浩樹騎手 生産者:大樹ファーム |
牡・6yo・芦毛 父:Cozzene 母:アドマイヤマカディ 母父:ノーザンテースト |
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2002年度戦績:7戦3勝 2002年度獲得賞金:1億2800万円 2002年度主な勝ち鞍:安田記念、高松宮記念2着、スプリンターズS2着、香港マイル4着 |
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年間を通じて活躍し、最優秀短距離馬として文句のないところだ。 元最優秀2yo馬の不遇の時代を切り抜け素晴らしい6yo時を過ごせたのは関係者の努力のたまものだと思う。 元来コジーン産駒は晩成ではないが、母父ノーザンテーストの影響が出たのだろう。 安田記念での鞍上後藤騎手の涙・・・感動しました。 香港の引退レースは横綱競馬で僅差の4着。良い仔を出すことを祈ってます。 |
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最優秀ダートホース | ゴールドアリュール | 馬主:社台レースホース 調教師:池江泰郎師 騎手:武豊騎手 生産者:追分ファーム |
牡・3yo・栗毛 父:サンデーサイレンス 母:ニキーヤ 母父:Nureyev |
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2002年度戦績:10戦5勝 2002年度獲得賞金:1億1350万円 2002年度主な勝ち鞍:ジャパンダートダービー、ダービーグランプリ、東京大賞典 |
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中央でのダート重賞勝ちこそ無かったが、地方のG1レースに勝ちまくった。 同世代のアドマイヤドンにはJCダートで敗れたが、暮れの東京大賞典に優勝しシーズンを締めくくった。 フェブラリーS優勝馬のアグネスデジタル、JCダートの優勝馬イーグルカフェなどこの馬よりも強いと思われる馬は多いのだが、1月から12月まで年間を通じ活躍したことが評価されたのだろう。 2003年は中央のG1をステップに海外挑戦を狙うらしい。真価が問われますぞ! 父サンデーサイレンス、母父ヌレイエフという配合はトゥザヴィクトリーと同じ。 管理するのも同じく池江師である。 |
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最優秀障害馬 | ギルデットエージ | 馬主:ノースヒルマネジメント 調教師:松元茂樹師 騎手:ロシェル・ロケット騎手 生産者:福満牧場 |
牡・5yo・栗毛 父:ティンバーカントリー 母:モントタヤーラ 母父:ノーザンテースト |
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2002年度戦績:11戦2勝 2002年度獲得賞金:4900万円 2002年度主な勝ち鞍:中山大障害 |
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う〜。 競馬ってやっぱ騎手次第なのか!?と思ったギルデッドエージ。 今村騎手で臨んだ前半の3戦は大差の着外という惨敗。金折騎手に乗り換わるも、今度は落馬。 秋になって再び今村騎手で臨んだG3東京AJで4着に! 『前々にと指示されたがスタートから出遅れて後方からの競馬に。 ・・・結果的に展開が向いて最後は追い上げたからね。 正直この4着にはビックリしています。』 という微笑ましいコメント。 そして次走から乗り換わったのが、短期免許で来日していたロケット騎手。 乗り替わり後秋陽JS3着=>イルミネーションJS優勝(ロケット騎手の初勝利)=> =>中山大障害に大差で優勝というシンデレラぶりを大発揮! ロケット騎手はJRA史上初の女性G1ジョッキーとなった。 短期免許が切れて、乗り替わっても優勝できるかどうかはわかりましぇん!(笑) |
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最優秀父内国産馬 | トウカイポイント | 馬主:内村正則氏 調教師:後藤由之師 騎手:蝦名正義騎手 生産者:竹内良一 |
セン・6yo・栗毛 父:トウカイテイオー 母:マッチポイント 母父:リアルシャダイ |
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2002年度戦績:10戦2勝 2002年度獲得賞金:9200万円 2002年度主な勝ち鞍:マイルチャンピオンS、香港マイル3着 |
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何故に今までマイル路線を歩ませなかったのだろう?と思わせるほど鮮やかなレースだったマイルSC。 暮れの香港マイルでも見応えのある3着に入った。 1800mの中山記念をレコード勝ちするなど中距離の時計勝負には強い。 父トウカイテイオー待望のG1勝ち馬として、血を繋ぐことはできないが7yoとなった2003年度も活躍して欲しいものである。 |