JRA AWARD 2001
●2001年度のJRA各賞が1月8日に発表されました。 注目されたのは年度代表馬が誰になるかということ。各々2つのG1レースに優勝していた3yo馬の3頭・・・クロフネ、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ・・・は甲乙つけがたいし、G1香港Cと天皇賞に優勝したアグネスデジタル、ドゥバイでファンタスティックライトを敗り、香港でG1香港ヴァーズに優勝したステイゴールドも有力な候補者であるはずだった。 投票する記者達も悩むだろうから、決まっても僅差だろうなと思っていたのだが・・・そうはならなかった。 先ず、3yo牡馬部門ではジャングルポケットが全283票中225票を獲得し楽勝で最優秀3yo牡馬賞を獲得した。 海外で最も評価の高い(ICで2001年度ダートのマイル部門では3yo馬ランキングトップ)クロフネは11票しか取れなかった。 菊花賞・有馬記念を制したマンハッタンカフェは43票。 これは何を意味するかというと、日本では何と言ってもクラシック競走が重視されると言うことだ。 内国産限定(一部解放)だろうが、レースのレベルが低かろうがクラシックに優勝すれば評価される。 それと、ダート馬は芝馬よりも劣るという固定観念があること。 まぁ、ジャングルポケットは国際G1のJCに優勝しているし、クロフネ・マンハッタンカフェとの対決で勝ったことがあるので、受賞しても異論はない。 が、この得票差は納得できないところだ。 尚、投票資格者は中央競馬の記者クラブに通算3年以上加入している者(会友含む)。東京競馬新聞協会、関東競馬新聞協会または関西中央競馬新聞協会に加盟している競馬専門紙各社が自社を代表して投票させる(1社5人)で今年は283人だった。 ファンに一番困惑を招くのは、JRA賞が何を対象に選ばれるかと言うことだろうと思う。 JRA賞は日本調教馬のみを対象としているのか?JRAの競走番組で活躍した馬が対象なのか? 例えば、米国のエクリプス賞は北米のレースで活躍した馬だけが対象となるし、カルチェ賞は欧米全域で活躍した馬が対象となっている。 日本においても国際レースが増えている現在、この辺りをはっきりと規定する必要があるだろう。 私の意見を言わせてもらえば、JRA賞はJRAの競馬番組に出走した馬全てに資格が与えられるべきだと思う。 よって、年間を通じ海外遠征を行ったエルコンドルパサーなどには資格は与えられない。が当然である。 JCと有馬記念をぶっこ抜いた外国調教馬がもし出現したら、有力な資格馬となって欲しい。 なのに、それらに目を背け、日本調教馬のみを選ぶようであれば、それはただの島国根性だと笑われるだけである。 |
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年度代表馬 最優秀3yo牡馬 |
ジャングルポケット | 馬主:齋藤四方司氏 調教師:渡辺栄師 騎手:角田晃一騎手 生産者:ノーザンファーム |
牡・3yo・鹿毛 父:トニービン 母:ダンスチャーマー 母父:Nureyev |
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2001年度戦績:6戦3勝 2001年度獲得賞金:5億4767万6000円 2001年度主な勝ち鞍:東京優駿、ジャパンC、共同通信杯 |
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ダントツで選ばれた割には、年間3勝しかしていない。皐月賞ではアグネスタキオンに歯が立たなかったし、夏場には同級生のエアエミネムに一捻りされた。ダービー馬の勲章が色褪せた頃、ペリエ騎手の巧騎乗によりJCに優勝。内国産3yo馬初、同年中のダービー馬初制覇というインパクトは強かったらしく、得票を稼いだ模様。 その名に恥じぬよう2002年度の飛躍に期待す。 |
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【渡辺師のコメント】もっと際どい接戦になると思っていた。こんな大差で受賞できて嬉しい。私としてはダービーを取れたことが何よりです。この社会に入った人間として、ダービーが最大の目標でしたから。 一番馬のことを知っている調教師が"接戦"だと思っていたのだから、やはりこの選定方法は間違っているような気がする。 |
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最優秀2yo牡馬 | アドマイヤドン | 馬主:近藤利一氏 調教師:松田博資師 騎手:藤田伸二騎手 生産者:ノーザンファーム |
牡・2yo・鹿毛 父:ティンバーカントリー 母:ベガ 母父:トニービン |
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2001年度戦績:3戦3勝 2001年度獲得賞金:8341万4000円 2001年度主な勝ち鞍:朝日杯FS |
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JRAには2yo牡馬のG1レースが1つしかないので、このレースの勝ち馬が受賞するのは当然。 巷では、G1朝日杯FSよりもラジオたんば2歳Sの方が価値が高いと言われているが、G1レースではない。 この辺りの各付けはJRAが今後考慮すべき問題ではある。 産駒デビュー後パッとしなかったティンバーカントリー待望のG1馬。 母は今や名繁殖牝馬のベガ。朝日杯FSの勝ちタイム1分33秒8は凄い素質を感じさせる。 怪我無く順調に行って欲しいものである。 |
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最優秀2yo牝馬 | タムロチェリー | 馬主:谷口屯氏 調教師:西園正都師 騎手:O.ペリエ騎手 生産者:諏訪牧場 |
牝・2yo・栗毛 父:セクレト 母:ミスグローリー 母父:サクラユタカオー |
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2001年度戦績:6戦3勝 2001年度獲得賞金:1億41万3000円 2001年度主な勝ち鞍:阪神ジュベナイルF、小倉2歳S |
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全283票中260票を獲得。2yo牝馬唯一のG1レースに優勝しているのだから選ばれても問題はないが、競走成績には問題がある。6戦中3勝しているが残りの3戦の負け方がひどすぎる。 阪神JFまで無敗できたキタサンヒボタンにたったの9票しか入らなかったのは疑問だ。 しかし、これが競馬だからね!^^; |
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最優秀3yo牝馬 | テイエムオーシャン | 馬主:竹園正継氏 調教師:西浦勝一師 騎手:本田優騎手 生産者:川越敏樹氏 |
牡・3yo・鹿毛 父:ダンシングブレーヴ 母:リヴァーガール 母父:リヴリア |
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2001年度戦績:6戦3勝 2001年度獲得賞金:2億8844万4000円 2001年度主な勝ち鞍:桜花賞、秋華賞、オークス3着 |
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なんと、283票中281票を獲得してしまった。残りの2票はオークス馬レディパステルではなくて無冠のローズバド! もっと真剣に投票しろよ! 2000mまでなら牝馬連中に敵はいない。明らかに距離オーバーだった有馬記念は度外視しよう。 2002年はマイル部門を沸かせてもらえそうである。 |
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最優秀4yo以上牝馬 | トゥザヴィクトリー | 馬主:金子真人氏 調教師:池江泰郎師 騎手:武豊騎手 生産者:ノーザンファーム |
牝・5yo・鹿毛 父:サンデーサイレンス 母:フェアリードール 母父:Nureyev |
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2001年度戦績:5戦1勝 2001年度獲得賞金:3億1219万7900円 2001年度主な勝ち鞍:エリザベス女王杯、ドゥバイWC2着、有馬記念3着 |
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有力な古馬牝馬が他にいなかった事もあるが、全得票中281票を得た。 G1ドゥバイWCの2着は立派だったし、念願のG1勝利となったエリザベス女王杯では素直に祝福できた。 一生懸命に走る姿は印象深い。 |
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最優秀4yo以上牡馬 | アグネスデジタル | 馬主:渡辺孝男氏 調教師:白井寿昭師 騎手:四位騎手 生産者:Catesby W.Clay&PeterJ.Callahan |
牡・4yo・栗毛 父:Crafty Prospector 母:Chancey Squaw 母父:Chief's Crown |
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2001年度戦績:7戦4勝3戦1勝 2001年度獲得賞金:3億9778万9000円 2001年度主な勝ち鞍:香港C、天皇賞・秋、マイルチャンピオンシップ南部杯 |
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芝・ダート・国内・海外関係なく大爆発! エミレーツワールドシリーズ最終戦のG1香港Cに優勝したほか、天皇賞・秋ではTMオペラオーを撃破した。 統一G1南部杯においてもウイングアローやノボトゥルーを一蹴しており国内中距離では無敵状態。 できるならクロフネと対決するのを見たかった。 しかし、得票数200は少ない。また、国際G1の宝塚記念優勝馬のメイショウドトウが3票。G1香港マイルの優勝馬エイシンプレストンが1票というのはおかしい。 |
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最優秀短距離馬 | トロットスター | 馬主:高野稔氏 調教師:中野栄治師 騎手:蝦名正義騎手 生産者:荻伏三好ファーム |
牡・5yo・鹿毛 父:ダミスター 母:カルメンシータ 母父:ワイズカウンセラー |
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2001年度戦績:5戦3勝 2001年度獲得賞金:2億3805万6000円 2001年度主な勝ち鞍:高松宮記念、スプリンターズS |
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春と秋のスプリントG1を連勝し文句なく受賞。<271票獲得> が、このジャンル何とかならないですかね〜〜! スプリンターとマイラーを一括りにするのは無理がありますよ。 血統的にはマイルG1を制しても問題ないトロットスターだが、全くもって良いところがない。 一方、国際マイルG1に優勝したエイシンプレストンなどはスプリントレースには出走しないであろう。 安田記念優勝馬のブラックホークには票は入らなかったらしい。 |
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最優秀ダートホース | クロフネ | 馬主:金子真人氏 調教師:松田国英師 騎手:武豊騎手 生産者:NicholasM.Lots |
牡・3yo・芦毛 父:フレンチデピュティ 母:ブルーアヴェニュー 母父:Classic Go Go |
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2001年度戦績:6戦4勝 2001年度獲得賞金:3億4347万5000円 2001年度主な勝ち鞍:NHKマイルC、JCダート、武蔵野S、毎日杯 |
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満票かと思ったが、282票にとどまった。 残り1票を獲得したのは第1回G1JBCクラシックを制したレギュラーメンバー。 JCダートのパフォーマンスは凄かった! 東京ダート2100mを2分5秒9で走破するというウルトラレコードも樹立。 世界中にそのニュースは知れ渡ったが、2001年末屈腱炎を発症し引退。 また、JRA史上初の芝・ダート両G1を制した馬にもなった。 |
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最優秀障害馬 | ゴーカイ | 馬主:吉橋計氏 調教師:郷原洋行師 騎手:横山義行騎手 生産者:タイヘイ牧場 |
牡・8yo・黒鹿毛 父:ジャッジアンジェルーチ 母:ユウミロク 母父:カツラノハイセイコ |
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2001年度戦績:5戦1勝 2001年度獲得賞金:1億3456万6000円 2001年度主な勝ち鞍:中山GJ、中山大障害2着 |
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昨年に続いて連続受賞。2001年度は1勝しかしていないが、2着が3回もあり、その安定度は抜群。 惜しむらくは暮れの中山大障害!人気薄ユウフヨウホウにしてやられた。 |
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特別賞 | ステイゴールド | 馬主:社台レースホース 調教師:池江泰郎師 騎手:武豊騎手 生産者:白老ファーム |
牡・7yo・黒鹿毛 父:サンデーサイレンス 母:ゴールデンサッシュ 母父:ディクタス |
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2001年度戦績:7戦3勝 2001年度獲得賞金:3億8095万7100円 2001年度主な勝ち鞍:G2ドゥバイシーマクラシック、G1香港ヴァーズ |
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この特別賞というのは日本人が得意な分野である。 残念年度代表馬的賞は本来は与えるべきではない。これは年度代表馬の価値をおとしめるばかりでなく、選定方法についても疑問を生む。 とにかくこの馬は日本の競馬向きではなかったとしか言いようがない。 海外の重い芝(世界標準)に適応できた珍しい日本産馬である。 2001年度エミレーツ世界王者のファンタスティックライトは昨年2敗している。 3yo馬のガリレオとは大きな斤量差があったが、ステイゴールドには同斤量で負けている。 イコールコンディションで唯一ファンタに勝った馬、世界で最も有名な日本馬として名をとどろかせた。 |