●G1JCダート・・・とんでもないレースでした。クロフネ、強すぎ〜〜〜〜!
何だかんだと考えていたのがバカのようです。1〜7着馬は全部日本馬。アメリカ最強馬の1頭リドパレスは8着。
やはり、日本のダートで行う限りは、日本馬が有利だ!・・・というか、日本馬のレベルが数段アップした事もあるのだろう。
持ったまんまでリドパレスを軽く抜いていくと、後は無人の野を行くが如く差を広げたクロフネ。
2着のウイングアローがJRAダート2100mのレコードを更新する走りを見せたのだが、クロフネはそれよりも1.1秒も速い2分5秒9で走破してしまった。
単純に計算すれば2000mのダートで2分を切ってしまう速さだ!(◎-◎)
もはや、国内に敵はいない。ドゥバイでもBCにでも挑戦する資格は十分である。
JRAのG1レースにおいて芝・ダート両レースに優勝した馬はクロフネだけである。
さてこのクロフネの勝ちっぷりは、既に世界中に知れ渡っている。
英レーシングポストはトップ記事で報道しているし、米ブラッドホースも大きく扱っている。
アメリカ産馬という事もあるのだろうが、クロフネの父フレンチデピュティは既に北海道の社台ファームで繋養中。
吉田勝巳氏の先見の明である。
●各騎手(調教師)レース後コメント (週刊競馬ブックから引用)
- 武騎手(クロフネ)・・・芝でも走る馬だが、前走でダートを走らせてみて本当に上手いと思ったのでここへ使いましょうと提案したんです。ペースとしては前走同様、少し速いかなと思ったけれど、デキがすごく良かったのでこれで止まったら仕方ないと思って動いた。今日は乗っていてレコードだと感じたし、本当に気持ちが良かった。来年は海外の強い馬との対戦になるでしょうが楽しみです。
- 南井調教師(ウイングアロー)・・・ペースが落ち着いてしまったのは誤算だけど、直線は良く伸びていますよ。昨年のタイムを詰めていますし、自分の力は出し切っています。相手が強かったとしか言いようがない。
- 幸騎手(ミラクルオペラ)・・・一旦、2番手に上がったんだけど最後はウイングアローに交わされてしまった。クロフネを掴まえに行っている分かな。今日は1番枠でしたが思い通りのレースができたと思います。砂を被っても怯まなかったし、本当に一戦毎に力を付けている印象です。来年が楽しみですね。
- ペリエ騎手(ノボトゥルー)・・・スタートが良かったし、道中は良い位置に付けられた。4角を回って勝ち馬の外にスムーズに出せたし良いレースはできたと思う。一旦は交わせると思ったが、最後の200mは少し長い感じだった。でも勝った馬は強かったので仕方ないだろう。
- 蛯名騎手(プリエミネンス)・・・昨年より速い時計で走っています。前半のペースが遅いのかと思いましたが、この時計ですからそうでもなかったようですね。折り合いを付けて追走していたんですが、もたつき気味になってしまいました。でも、こういうかたちになりながらも良く走っていると思います。女の子だから凄いよね。
- 吉田騎手(リージェントブラフ)・・・スタートが良かったので、いつもより楽に行けたけど、1コーナーで勝ち馬に振られてしまった。あの不利で最後方まで下がったから痛いよ。それにペースも予想以上に遅くなったからね。直線はいい脚で伸びているけど、流れが不向きでした。
- 後藤騎手(ワールドクリーク)・・・今日はスタートが良かったし、途中でペースが落ち着いていたので徐々に位置を上げる事ができた。4角までにある程度のところにいたのでバテずに頑張ってくれた。連闘で気持ちが乗っていたのが良かった。
- J.ベイリー騎手(リドパレス)・・・ペースが少し速かったようだ。心配されたダートの違いは馬の走りにはあまり関係なかった。1コーナーでの不利も関係ない。とにかく勝った馬が強かったと言う事だ。13馬身くらい離されているんだから、何も言い訳にはならないよ。
- G.スティーヴンス騎手(ジェネラスロッシ)・・・この馬の力を信じて最初からハナを切る勢いでいったが、最後は力が残っていなかった。勝った馬は強すぎて最後はとてもついていけなかった。
- 田中勝騎手(ハギノハイグレイド)・・・ハイレベルの戦いでした。馬の雰囲気は良かったんですけどね。今日はダメでしたが、この馬もまだ力をつけてくると思います。
- M.スミス騎手(ディグフォーイット)・・・スタートが素晴らしかったので前に行った。その後もスムーズに走っていたけれど9番にパワフルな走りで抜かれた。4コーナーで外からぶつけられて内ラチにあたったが、その頃にはもう脚がなかった。日本のダートコースは、馬にとって走りやすい優しい良い馬場だと思う。
- 川原騎手(ミツアキサイレンス)・・・距離が長いし、直線も本当に長い。この馬場に慣れていないというか、芝並の時計で反応できなかった。完全に力不足ですね。レース前から楽しんで乗るつもりでしたから、結果はともあれ満足しています。良い勉強になりました。
- 勝浦騎手(オンワードセイント)・・・今日はいつもに比べると少し気負っているかなという感じはした。ただ、相手は強かったので、それと一緒に戦ったのが良い経験になれば。
- 松永騎手(レギュラーメンバー)・・・今日もハナに行くつもりでしたし、1角まではペースが遅かったのに馬が反応してくれなかった。最初から最後まで、いつもの走りができなかった。どうしたんだろう・・・。
- A.シュタルケ騎手(アエスクラップ)・・・大勢の観衆の中で大変素晴らしいレースだった。スタートして良いポジションをとる事ができなかったのが、この結果になった一番大きな理由だと思う。
- T.テュリエ騎手(キングオブタラ)・・・位置取りよく、良い感じでレースを進められたが、最後の直線でいざ追い出すと推進力が全くつかなかった。調教では乗っていてもレースでは初めてだった事が影響したのかもしれない。
※ブラッドホースのHPから抜粋
米国産サラブレッドのクロフネは日本では”怪物(スーパーホース)”と呼ばれているが、その理由は11月24日に東京競馬場で行われたG1JCダートを見れば明らかである。
クロフネは2着馬に7馬身もの差を付けてこのレースに優勝した。
レース序盤は中段に付けていたクロフネは、第3コーナー辺りで前に進出。そのままアメリカ軍団のリドパレスを軽く抜き去っていった。
直線に向いたクロフネはそのまま差を広げレースレコードで優勝。
優勝タイムはダート2100mで2分5秒9。以前のレコードホルダーだったウイングアローがよく頑張って2着に入着しました。
3着:ミラクルオペラ、4着:ノボトゥルー、5着:プリエミネンス、6着:リージェントブラフ、7着:ワールドクリーク。
1〜7着馬は全て日本調教馬。リドパレスは8着に敗れ、着差は11馬身と3/4。
クロフネは前走のG3武蔵野Sを9馬身差で圧勝し、この時も1600mのコースレコードを更新しました。
そのため、G1JCダートでは圧倒的な1番人気になりました。
しかし、不安な点もあり・・・それは2100mという距離を克服できるか?というものであったのだが、レース結果によって全てを払拭してしまいました。
クロフネはファシグティプトン2yo調教馬セールで、吉田勝巳氏に43万ドルで落札されました。
元々はキーンランド9月イヤリングセールで7万ドルで購入されていたのであるが、ニール・バレナン厩舎によって調教されたのである。
クロフネの現在は金子真人氏と吉田勝巳氏との共同所有となっています。
また、2yo時のクロフネの能力に並々ならぬモノを感じ取った吉田勝巳氏はクロフネの父フレンチデピュティをケンタッキーから購入し、北海道の社台ファームで繋養しています。
リドパレスの鞍上J.ベイリー騎手は8着という結果に対しては言い訳をしなかった。
道中5番手という良い位置に付けながら、クロフネが進出した時に付いていけなかった。
『クロフネに楽に置いて行かれたよ。僕の馬を抜いた時も何の労力も使っていなかった。リドパレスはクロフネに対しては白旗を揚げた状態だった。』
調教師R.フランケル師は10月の熱発による調教不足を理由にあげた。
『思ったようには馬体が絞れていなかった。とてもタフなレースだったし、勝ち馬はとても強い馬だった。是非、クロフネをアメリカに連れて行って欲しい。どんなレースをするか見てみたいものです。』
クロフネの遠征計画・・・・ドゥバイWC、BCクラシック制覇であることは明らかである。
2001/11/25
※レーシングポスト紙追記(11/25)
ジェネラルロッシの鞍上G.スティーヴンス騎手のコメント
『レース序盤はとても上手くレースを運ぶ事が出来たが、勝ち馬が強すぎたよ!』
アメリカ産馬のクロフネはG1BCジュヴェナイルフィリーズで3着に入ったベラベルッチの全兄。
クロフネの秋シーズンは、G1天皇賞(東京・芝2000m)に出走する事から開始されるはずであった。
しかし、外国産馬の出走制限・・・2頭まで・・・に阻まれて出走を諦めざるを得なくなった。
クロフネの優先順位が3番目であったからである。
そこで、ターゲットをG3武蔵野S(東京・ダート1600m)に定めたわけであるが、彼は初ダートのこのレースで大成功を収めた。(9馬身差・コースレコードで圧勝)
クロフネの次なるターゲットはJCダートに定められたのであった。
管理する松田師のコメント:
『2走連続のレコード勝ちとなりました。我々は来年のドゥバイWCに向けて慎重に準備していくつもりです。』
鞍上の武騎手のコメント:
『今日の馬の状態は最高だった。スムーズにレースが出来たし、自信はありました。
ドゥバイWCに出走できれば良いと思う。僕は今まで通り良い仕事を続けていくだけです。そうすればドゥバイでクロフネに乗る事もできるでしょう。』
さて、欧州馬にとっては非常に辛い結果となった。
アエスクラップ(独)の鞍上、シュタルケ騎手:『最終コーナーを回った時には、何の余力も残っていなかった。』
キングオブタラ(仏)の鞍上、テュリエ騎手:『スタート後は良い位置に付けられたのだが・・・』
Japan Cup Dirt (Grade 1) | |||||||
2001/11/24 東京競馬場 ダート2100m 3yo以上 馬場:良 16頭立て | |||||||
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着順 | 着差 | 馬名 | 馬番 | 調教師 | 馬齢 | 騎手 | 人気 |
1 |
2分5秒9 | Kurofune (USA) |
(9) |
K Matsuda |
3 |
Y Take |
7/10F |
2 |
7 |
Wing Arrow |
(8) |
K Minai |
6 |
N Yokoyama |
5/1 |
3 |
1/2 |
Miracle Opera |
(1) |
M Ryoke |
4 |
H Miyuki |
137/10 |
4 |
3/4 |
Nobo True (USA) |
(3) |
Hideyuki Mori |
5 |
O Peslier |
25/1 |
5 |
1 |
Preeminence |
(4) |
K Ito |
4 |
M Ebina |
91/1 |
6 |
1 |
Regent Bluff |
(11) |
Y Okubo |
5 |
Y Yoshida |
75/1 |
7 |
1 1/2 |
World Cleek |
(2) |
H Arai |
6 |
H Goto |
350/1 |
8 |
1 3/4 |
Lido Palace (CHI) |
(14) |
R J Frankel |
4 |
J D Bailey |
5/2 |
9 |
3/4 |
Generous Rosi (GB) |
(10) |
Niall M O´Callaghan |
6 |
G Stevens |
50/1 |
10 |
3/4 |
Hagino High Grade |
(16) |
K Matsuda |
5 |
Katsuhara Tanaka |
87/1 |
11 |
nk |
Dig For It (USA) |
(7) |
B Headley |
6 |
M E Smith |
127/1 |
12 |
3 |
Mitsuaki Silence |
(5) |
T Awatsu |
4 |
S Kawahara |
300/1 |
13 |
4 |
Onward Saint |
(6) |
N Abe |
5 |
M Katsuura |
300/1 |
14 |
9 |
Regular Member |
(15) |
S Yamamoto |
4 |
Mikio Matsunaga |
27/1 |
15 |
6 |
Aeskulap (GER) |
(12) |
H Blume |
4 |
A Starke |
200/1 |
16 |
10 |
King Of Tara (IRE) |
(13) |
F Doumen |
3 |
T Thulliez |
100/1 |
クロフネ 3yo 芦毛 父:フレンチデピュティ 母:ブルーアヴェニュー(クラシックゴーゴー) 通算成績:10戦6勝 G1JCダート、G1NHKマイルC、G3武蔵野S(レコード勝ち4回) オーナー:金子真人 生産者:Nicholas M Lotz 調教師:松田 国師 |
●レース後共同会見(JRAの日本語HPには掲載されていないが海外向けの英語ページには掲載されています。また、各騎手の談話なども掲載されている。)
質問:レコードの勝利でしたが、来年は海外遠征などはお考えですか?
金子オーナー:今年の春からその様に考えています。3月に所有するトゥザヴィクトリーがドゥバイWCに出走するのでドゥバイにいたのですが、その時日本からクロフネが毎日杯に優勝したという電話をもらいました。
この電話を受けた時、海外遠征をさせてみようと思いました。幸いな事に期待に応えてくれまして、武蔵野SとJCダートに優勝してくれました。
クロフネに怪我が無く健康なら遠征してみたいと思います。
質問:現在、有馬記念の人気投票でクロフネは第2位ですが?
金子オーナー:彼の目標はドゥバイWCです。調教師と話し合ってからそれの準備と最適なトライアルレースを決めようと思います。
ドゥバイで最高の状態に持っていけるようにです。
質問:クロフネの勝利をどの辺りで確信しましたか?
松田調教師:幾つかのチェックポイントがあって、先ずスタート。次に第1コーナーまでの位置取り、3番目は向こう正面で一息入れられるかどうか。この3点がクリアできた時点で勝利を確信しました。
質問:レース前には2100mは持たないのでは?と言われていましたね。ところが、結果は上がり3Fが35秒8というものでした。
スタミナの心配は無くなりましたが、ドゥバイWCに向けてトライアルレースはどれを予定していますか?
松田調教師:クロフネは2戦連続でレコード勝ちを収めました。だから、オーバーワークにならないように注意しなくてなりません。
怪我を予防する上でも重要です。オーナーからはドゥバイWCに出走するに当たってどのレースがベストなのかを考えてくれと早い頃から言われています。
と、同時に熱烈なファンの要望にも応えなくてはならないので、よく考える必要があります。
質問:クロフネの特徴とレベルアップの為にすべき事は?
松田調教師:春は落ち着きがあり、素直でリラックスした馬でした。まるで古馬のようでした。
シーズンが進むに連れて、闘争心が漲り、肉体的によりパワフルになって馬体重は520〜530Kgに増えました。
そのパワーを維持していければ良いと思います。今まで、怪我をすることなく来れました、調教のやりすぎをせず、怪我に繋がるどんな細かい事にも気をつけていこうと言ってきました。
質問:今日のクロフネの様子はどうでした?
武騎手:パドックでは少し入れ込んでいたようです。コースに出た時はとてもパワフルだったので、落とされないように注意しました。
最高の状態でしたし、スタートも1コーナーまでの位置取りも上手く行き、スムースにレースできました。
前走の結果から、優勝する自信はありました。ゴーサインを出すだけで良かったんです。
質問:あなたは海外でも優れた馬に乗っていますが、クロフネを評価するとどのくらいですか?
武騎手:このレースに限れば、クロフネが1番だと思います。しかも、この馬には成長の余地がまだあります。
とても楽しみです。
質問:ドゥバイWCの為に必要な事は?勝算は?
武騎手:彼にも勝つチャンスはあると思います。僕は自分の仕事をしていくだけですが、そうすればドゥバイでクロフネに騎乗できるでしょう。
質問:3yo時と4yo時ではどちらがベストだと思いますか?
金子オーナー:春先には精神的な弱さが心配でしたが秋までにはかなり大人になってくれました。まだまだ成長の余地があります。
質問:ドバイ遠征については?
松田調教師:元々、アメリカで調教されて持ち込まれていますので、移動に関しては心配していません。
が、遠征先での事、例えば、コンディションの維持とかが心配です。
2001/11/26