ドバイミレニアム急死

2001年4月29日の夜、ドゥバイミレニアム(享年5yo)が死んだ。
同馬は8日前、突然グラスシックネス(Grass Sickness)という非常に珍しい病気に掛かり、3度手術をしたがその甲斐もなく安楽死処分となった。
様態が悪化した29日にはオーナーのモハメド殿下が急遽ドゥバイから英国入りしましたが、安楽死の指示を出す事しかできませんでした。
同馬の主戦騎手であったL.デットーリ騎手のコメント
『彼は最高の競走馬だった!誰もが彼のような馬を生産したいと思い、調教したいと思い、騎乗したいと思うような馬だった。
ドゥバイWCやロイヤルアスコットでのパフォーマンスは忘れられる事はないでしょう。
本当に畏るべきパフォーマンスでした。
彼は偉大な馬でした。私にとって最初で最後の存在になるでしょう。
また彼の死は競馬界にとって大きな損失であり、彼はダーレー・スタッドの象徴でありモハメド殿下や私にとって非常に大きな存在でした。』

調教師のサイード・ビン・スルール師は
『私は今朝、ドゥバイミレニアムの訃報を聞きました。彼が病気であることは知っていました。
しかし、きっと良くなってくれるだろうと思っていました。
だから、死んだ事が信じられません。
私はチーム・ゴドルフィンでダイラミなどの素晴らしい馬達を管理していますが、ドゥバイミレニアムがベスト中のベストであることに何の疑いもありません。
彼は美しく、何でも簡単にこなしてくれました。調教でもレースでも完璧にこなしてくれました。素晴らしい日々を我々に過ごさせてくれました。
ドゥバイWCを勝った時は我々の至福の瞬間でした。
彼のような馬を見つけるには非常に長い時間が掛かることでしょう。また、見つかるかどうかなんて我々には分かりません!このような不幸な事はえてして良い馬に限って起こるような気がします。
しかし、我々はこの馬の事は決して忘れる事はないでしょう。まさに忘れがたい馬でした!』

とコメントしました。
手術を施したのはヒューエ・ニールとダン・ホーキンス医師で、厩舎は8日前にミレニアムが倒れてから24時間態勢で監視されていました。
同馬は今春、100頭の種付け予定の内82頭の牝馬と交配済みでしたが非常に残念なことに1世代限りの産駒しか残すことができなくなりました。
種付け料は破格の10万ポンド(約1700万円)でした。
この急死によって支払われる保険金は3000万ポンド(約51億円)を越えると言われており、アリダーの疑惑の死によって支払われた額を越えそうな見込みです。
また繋養していたダーレー・スタッドのアドバイザーであるジョン・ファーガソン氏は次のように語りました。。
『土曜日はミレニアムの状態は安定していました。が、日曜日の午後、突然様態が悪化しました。
そして獣医は再び手術の必要があると言いました。
しかし腸管は非常にやっかいな状態になっていて、手術ではどうしようもできない事が直ぐに分かりました。
彼の状態は既に回復の見込みはなく安楽死の処分を取りました。
オーナーのモハメド殿下は常日頃から馬を苦しませてはいけないと申しており、直ちにそうしたわけです。』


20世紀最期の大物!凱旋門賞を2連覇した名馬リボーと並び称されたドゥバイミレニアムは死んでしまった。
名馬の想い出はいつまでも人々の脳裏に残るであろう。
しかし・・・だ!
大きな謎も残る!・・・・何故、彼がグラスシックネスなどという非常に珍しい病気に掛かったのか?
グラスシックネスとは一般的に馬が食べた牧草に付着した毒素や細菌によって起こる病気であるが・・・。

ジ・アニマル・ヘルス・トラストの見解によれば、この病気に掛かったケースの内99%は放牧中の馬によるものであるが、ドゥバイミレニアムは放牧場の近くにさえ行っていなかった。
また、この病気はこのスタッドでは発症したことがなかった。
病理学者のキャサリーン・ホワイトウエル女史は
『誰にも真相は分からないでしょう。通常、この病気は牧草地にいる時に掛かるのだけれど、必ずしも牧草そのものが原因かどうかには限定されません。
厩舎にいた馬が発症した例もありますし、古い文献によれば炭坑で働かされていた馬の間で発症した例もあります。』

とコメントしました。

私個人の見方であるが・・・今回のドゥバイミレニアムの死については非常に懐疑的である。
反ゴドルフィン(モハメド殿下が嫌いな人達)による毒殺の可能性もあるのではないかと思っています。
現役時には『世界最強』だの『今世紀最強』だの随分騒ぎ立てた事による”やっかみ”または”ひねくれた批判心”が引き起こしてしまったのではないか?
生意気なモハメド殿下を黙らせてしまおう!などという不逞の輩の仕業かもしれない。
マスコミも一応に押し黙っており、ダンシングブレーヴが死んだ時に比べれば静かなものです。
英国にはドゥバイ勢にはもううんざりだ!という空気がある事も真実なのである。

2001/5/2