口蹄疫英国を襲う!!


●英国で見つかった牛や豚などの家畜伝染病である口蹄疫(こうていえき)は2月28日午前までに22の農場で感染が発見されている。
エセックス州の食肉処理場で2月21日に口蹄疫に感染した豚が見つかって以来、感染は日々増加している。
しかも、感染範囲がイングランドの北部・中部・西部、ウェールズというように広範囲に散らばっている。
英国政府は鳥類を除く家畜の国内輸送を禁止し、感染した農場から半径10マイル以内への立ち入りを制限した。
大元の感染源に対してははっきりしていない。

この口蹄疫は人体には無害であるが、非常に伝染力が強く、人間や他の動物、自動車に付いた土などを介してもウイルスが広がる恐れがある。
この為、英国政府は田園地帯に行かないように国民に呼びかけ、感染地域の学校は休校に。
動物園や自然公園も休館。競馬開催は1週間の中止が決まり、ラグビーの国際試合も取りやめになった。
BHB理事ポール・グリーブス氏の発表は下のとおり。(一部)
『我々は政府と獣医の意見を聞き入れ、口蹄疫の伝染の危険性を最小限に抑えるため、開催の中止に同意しました。
競馬場に関わる全ての物と人に対し、レースの開催日にかかわらず厳しく管理していくことにしました。
また、調教師や一般の競馬ファンの為に分かりやすく説明する予定です。
なお、全てが確認され、調査結果が出て対策をとり、レースが再開されるのは来週の水曜日になるでしょう』


1967年にも口蹄疫騒ぎがありこの時は6週間の中止期間をとりました。
口蹄疫【こうていえき】
 蹄が偶数に割れている牛・豚・羊・鹿などがかかる伝染病。
 高熱やよだれが出て口の中や蹄に水疱ができる。発病した動物の唾液や汚物などから感染が広がる。
 人に感染することはないし、肉を食べたり乳を飲んでも健康に影響はでない。
 病気に掛かると、乳の出が悪くなったり肉の質が落ちるというように生産性が著しく落ちるのだ。
 また、伝染力が非常に強く治療に時間が掛かるため、家畜は伝染が確認され次第殺されることになる。
 我が日本では2000年の春に九州などで発生が確認された。

2月28日   

●3月1日の段階でチェルトナム開催の可能性は限りなく無理の様であった。
レースコースの周囲5マイル(約8Km)に渡って口蹄疫(Foot and Mouth disease)が発症する恐れがあり、立ち入り禁止区域に指定されたからである。
農相が言うには、競馬場に隣接するウールストーンの農場の家畜に伝染する可能性を調査中であるらしい。
5マイルの立入禁止区域はその農場を中心に設けられているという。
その為チェルトナム開催は赤信号状態である。この日は他の国際的な行事が予定されていたが中止になった。
口蹄疫にかかった家畜の数は増え続けているのだ!

アイルランドの調教師達は報道陣に対し、チェルトナム開催には参加しないこと、また恐らくエイントリー開催にも参加しないだろうとコメントしました。
例えばチェルトナムゴールドカップ(障害レース)で人気になっているファーストゴールド(フランス調教馬)陣営は
『予定は白紙状態だ!』と言わざるを得なかった。
このアイルランド調教師会の発言は大きな苛立ちとフラストレーションをBHB(英国競馬公社)やジョッキークラブ・・・彼らは残り少ない時間の中で競馬開催のための緊急対策案を創案していた。
この緊急対策案は3月3日に発表されたが、その内容は下の通り。
口蹄疫の伝染を避けるべく実行されるべき事は:
@競馬場に出入りする全ての車のタイヤを消毒する。
A競馬場に来る歩行者の皆さんには消毒槽を通ってもらい消毒する。
Bトラック等は到着した時にタイヤをしっかりと洗い、完全に消毒後出発させる。これは競馬場からのトラックによってウイルスが伝染する機会をなくすことが目的だ。
C調教師は馬を構内から出すときには馬の脚を掃除して消毒すること。
D競走馬を運ぶ車を他の動物の運搬には使わない。

今週の水曜日の再開を目指すための努力は続く。

3月5日   

●怖れていたことがついに起きた。
英・愛での競馬開催中止で騒々しい欧州競馬事情だが・・・。
フランスにおいても口蹄疫のウイルスが発見された!
フランスは他国からの家畜の移入を全面禁止を決定。これを受けたフランス・ギャロは3月6日から開催される予定であったメゾンラフィット開催の中止を発表しました。
再開の見通しは立っていない。
今回の口蹄疫の問題は一意に家畜移入だけの問題ではなく、人の出入りによっても伝染してしまうことが大きい。
例えば、英国に滞在していた人を媒体にして日本でも口蹄疫が発症することも考えられるのだ!
今現在は欧州だけの問題となっているが、国際的な競馬フェスティバルであるドゥバイ開催や香港開催、北米のクラシックなどにも影響がでそうである。
現に、3月24日に行われるドゥバイWCは出走馬の数が足りず、困惑している。

3月7日   

●BHB(英国競馬公社)の発表によると、当初言われていた隔離政策期間が14日間から28日間に延長されたことを受けて、3月14日までは開催はしないとのことである。
これにより、チェルトナム開催は中止となり、代替え開催は4月に行われるらしいが、正式には決まっていない。
また、アイルランドでは無期限の競馬中止となっていて、クラシック競走への影響が懸念されている。
英国の競馬産業は大打撃を受けていて、見通しは今のところ暗い。
平地競走への影響も大きいと思われるが、どうなるのであろうか?

3月13日  

●問題のチェルトナム開催であるが、4月17日に再開されることが決定しました。
これは、パンチェスタウン開催とのバッティングを防ぐ意味もあります。
しかし、この代替え開催期間中はニューマーケットで伝統のクレイバン開催が行われる予定であり、クラシックレースのトライアル戦などと同時開催となる。
日本のように1開催が4週間以上もあれば良いのだが、英国ではせいぜい3〜4日間という開催期間なのでバッティングしてしまうと主催者(スポンサー)側の利害関係などを生むのかもしれない。<-ヘ->
チェルトナム競馬場場長のエドワード・ジルスピー氏のコメント。

『我がチェルトナムだけが唯一口蹄疫の危機に脅かされています。その為多くのお客様にはご迷惑をおかけしています。
我々が取った方法は口蹄疫に打ち勝つためには仕方がなかったのです。
しかし、今や我々は安全に競馬開催を管理し施行できること・・・これは競馬が続く限り可能である事。
そして、競馬場自体は口蹄疫の感染地域の外にある事を確信しています。
一生懸命にやっていくつもりです。
馬や再開のための準備もありますから4月17日の代替えを決定したわけです。』


チェルトナム開催のチケットは有効でありそのまま使用できる事。
全てのチケット購入者にその諭旨を手紙にてお知らせする事。
払い戻しにも応じる事なども発表されました。

しかし・・・今や世界中に広がろうとしている口蹄疫がそんなに簡単に収まるのであろうか???
非常に疑問ではあるが明るいニュースではある。

3月15日 

●遂に最悪の状態になった!
4月17〜19日に代替え開催されるはずであったチェルトナム開催は開催不可能になったようです。
競馬場から5マイル付近のウールストンで口蹄疫の発症が発見されたことで、開催は無理ということになりました。
残念ながら来年の開催を待ちましょう。

4月2日