・・・ダービーとオークスの全着順・・・

●100万ポンドの賞金は無駄ではなかった。
第222回ダービーの優勝馬ガリレオは素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
『彼なら水の上だって走るよ!』と管理するA.オブライエン師は言う。
師は彼の前任者のヴィンセント・オブライエン師が19年前に自身6度目のそして最後のダービー馬を輩出して以来、初めてのダービー制覇を成し遂げました。
勝ち馬ガリレオは単勝3.75倍の1番人気で、2000ギニー馬のゴーランを3馬身半突き離しての完璧な勝利。
勝ちタイムは史上2番目に速いものでした。
A.オブライエン師はこの勝利がマグレでない事を証明するために、この後G1エクリプスSに進み、そしてG1クイーンエリザベス2世SでマイルG1に挑戦することを表明。
最終目標はG1BCクラシックであることも発表しました。

『私は今日まではこんな事は言うつもりはなかったけれど、ガリレオ自身が実力を余すことなく発揮してくれたので言っても良いだろうと思い発表しました。
スピードこそが彼の武器なのです。とにかく速いし、馬自身も楽しんでいるようです。
彼は並はずれた馬でスーパースターだよ。ホントに特別な馬さ!他の馬が弱いのではなくガリレオが強すぎるのです。
ダービーを勝てたのはスタッフの努力の結果だと思っているけど、本当に飛び抜けた馬だよ。まったく驚かされたよ!
最初に見た時には、どんな6Fの未勝利戦に出てもキャンターで勝ってしまう様な動きをしていました。
調教は彼のスピードを損なわない様に行われました。』
同師は前日にイマジンでオークスを獲り、この日はダービーも制覇。エプソムを完全制覇したことになる。

レースでは鞍上のM.キネーン騎手はペースメーカーのミスターコンバスティブルとパーフェクトサンデーからちょっ離れた外側に位置取りを決めた。
彼はいつでもアタックできる状態にいました。しかし、ガリレオの能力を信用しきっていた彼は残り3F半から動き出し、驚くべきパフォーマンスでレースに決着を付けてしまった。

『ガリレオは全く凄い馬だよ。彼は私が乗った中でも1番のダービー馬じゃないかな。ダービーの距離では3yo馬に敵はいないと思うよ。
ガリレオは偉大な馬になると思うよ。この後、どこで走るかは知らないけれど、何処であろうと駆け付けるよ。
それにしても素晴らしい週末でした。
2回もダービーを勝てるなんてね。(1993年コマンダーインチーフ)ウイナーズサークルって本当に気持ちが良いんだよ。
実は枠番が決定した時に何となく良い予感がしたんだよ。オークスで乗るイマジンと同じくガリレオも10番だったからね。10番って結構ラッキーな枠番で、ダービー馬が他にも出てる枠なんだよ。
そしたら、10番で臨んだオークスもダービーも勝てた。
でもレースの流れがあまりにも遅いので驚いたよ。もう少し速くなると思ってたからね。
でも、ポジション的には何でもできる所にいたし気にならなかったよ。
ガリレオは先行する事もできるし追い込みもできるからね。実に楽しめたレースでした。
僕はずっと冷静でいられたし、スローモーションのようにレースは流れていました。
ガリレオ自身もレースを楽しんでいた様だしね。1度前に出せば他の馬達はついて来れない事は分かっていました。
彼らに羽でも生えていれば別ですが・・・。
私達は昨年の9月以来、細心の計画でガリレオをステップアップさせてきました。
彼はそれに応えてくれました。成長を止めることなくここまで来てくれました。
昨年私はジャイアンツコーズウェイとモンジューに乗っていました。彼らの様な素晴らしい馬達は後10年は出ないだろうと皆さん思っていたことでしょうがここに出現しました。』
というのがM.キネーン騎手の喜びのコメント。

ゴーランの鞍上パット・デイ騎手はタテナムコーナーで既に同馬の背を押していた。・・・結果的に2着を確保するためのバトルになるのだが。
ゴーランがクビ差で3着のトゥブーグを抑えていた頃、ガリレオは最も印象的なパフォーマンスの1つに数えて良い勝ち方でダービーを制覇していた。

共同馬主のJ.マグナイア氏は未だかつてこんなにも自信たっぷりのA.オブライエン師の様子は見た事がなかったと言った。
『ガリレオの調教は慎重にやったよ。我々は最初の2走は遊ばせながらやらしてみました。そして調教を始めると彼は調教相手を15〜18馬身も離してしまうんだ。信じられなかったよ。
それも簡単にだよ!私はこんなにスピードのある馬を見た事がありませんでした。
打ち負かした後もトップスピードを維持していられるし、あんな事ができるのは彼だけだね。
本当に信じがたい光景だったよ。』
と同氏は付け加えた。
A.オブライエン師は" 強い決意”として、ガリレオには2度と1マイル半のレースには出走させない事をコメントしました。
しかし、師の夢としてG1愛ダービーに出走する可能性もあるということらしい。

ガリレオの公式レーティングは”126”と発表されましたがこれは昨年のシンダール(125)を上回るものでした。

さて、ガリレオの勝利によって父サドラーズウェルズは初のダービー馬を送り出した事になった。
今までオークス馬3頭。ダービー2着馬5頭を出していたがやっと鬼門のダービーを制覇しました。
サドラーズウェルズはG1レース勝ち馬46頭目を輩出。これは世界レコードだ。
それまでのレコードはサートリストラムの45頭であったが、オークスをイマジンで獲り、ダービーをガリレオで獲ったために抜き去ってしまった。
今季で通算10年連続となるチャンピオンサイヤーも射程圏に入れた様である。
第222回ダービー馬ガリレオとM.キネーン騎手
●オークスはA.オブライエン師が管理するイマジンが後方待機から大外を強襲して快勝した。
愛1000ギニーと英オークスという変則2冠牝馬に輝いたわけだが、これは1966年のヴァロリス以来の快挙となった。
エリザベス女王が所有するフライトオブファンシーは惜しくも2着。
3着に先行して粘ったレリッシュザソートが残った。
1〜3着は全てサドラーズウェルズ産駒。
欧州の12Fに無類の強さを発揮するこの父系は、1日後に念願のダービーを制覇する事になった。
イマジンの次走はG1愛オークスが予定されている。