●ウォーエンブレムが3冠に王手をかけました。
5月18日にピムリコ競馬場で行われた第127回プリークネスSに出走した同馬は、12頭のライバル達をものともせず、またもや鮮やかに逃げ切りました。
スタートから先行した同馬は、中盤で先頭に立つとゴールまで一直線。直線で良く追い込んできたマジックワイズナーが3/4馬身差の2着。
ケンタッキーダービーで2着となり巻き返しを狙っていたプラウドシチズンは3着でした。
この勝利によってウォーエンブレムには、1978年のアファームド以来の3冠馬となる資格が与えられました。
管理するB.バファート師にとっては3度目の挑戦になります。(シルヴァーチャーム:1997年、リアルクワイエット:1998年)
次走は6月8日のG1ベルモントS(12F)だ!

金曜日の夜から降っていた雨は土曜日の午前中まで残りました。
土曜日朝のコース状態はぬかるんだ状態でしたが、前日の夜にカバーが掛けられていたことと、風が強かったことが幸いしてプリークネスSが始まる頃には良馬場に回復していました。
レーススタート後先頭に立ったのはメネイシングデニス。ウォーエンブレムもこれを追う。ブックレットが加わってグループを形成しました。
最初の2Fの通過タイムは22秒87。ハイペースである。
第1コーナーに入る時にはこのグループにメダグリアドーロも加わっていた。
最初の4Fの通過タイムは46秒10。まずまず落ち着いてきている。

『我々はウォーエンブレムをリラックスさせようとしていました。彼はまだまだ行きたがっていました。今日のレースで多くを学んでくれたと思います。』
とB.バファート師はレース後語る。

向こう正面に入る。メネイシングデニスが下がり気味。ウォーエンブレムは楽に追走している。外側にはプラウドシチズンが出てきた。
ブックレットはまだ頑張っており、メダグリアドーロが内側を眈々と進んでいる。
その後ろにUSSティーノソ。
6Fの通過タイムは1分10秒60。まだアタマ差でメネイシングデニスが先頭を守っている。
第3コーナーを過ぎると、ウォーエンブレムとプラウドシチズンに仕掛けが入る。
マイル通過は1分35秒22。ウォーエンブレムが1馬身半のリードを奪った。
直線の前半ではプラウドシチズンがウォーエンブレムの半馬身の所まで追い上げてきたが、ウォーエンブレムの鞍上エスピノーザ騎手はムチを見せるだけに留まっていた。
鞍上がムチを数回打つとウォーエンブレムはまたもやプラウドシチズンをシャットアウトしてしまった。
遙か後ろから飛ぶようにやってきたマジックワイズナーがプラウドシチズンを捕らえ、勝ち馬に迫ったが届かなかった。
地元メリーランド生まれのマジックワイズナーはセン馬で、同馬を管理ししかもオーナーブリーダーであるナンシー・アルバーツ女師の持ち馬である。
ハーランズホリデーはプラウドシチズンから1馬身半差の4着。
マイルの通過タイムは1分36秒22。レースの勝ちタイムは1分56秒36だった。(9.5F)
因みにプリークネスSのレコードタイムは1996年のルイカトラーズの1分53秒4である。

ケンタッキーダービーでは単勝21倍のただの穴馬であったウォーエンブレムは1番人気でこのレースに出走していた。
『今日の結果で、ダービーの勝利が幸運だけだったという見解を吹き飛ばしたと思う。この馬の強さは本物です!
今我々がしなくてはならないことは、ウォーエンブレムに怪我をさせないこと、ストレスを感じさせないでおくこととジョッキーのヴィクターに怪我をさせないことです。
ヴィクターはこの馬をよく分かっているし、楽しんでいるようですね。ベルモントではプレッシャーが掛かるでしょう。より強力なライバル達が待ちかまえていますからね。』
B.バファート師はこの様に結びました。
『頼むから3冠を取ってくれ給え!』とオーナーのサルマン王子も喜びをあらわにしたと言うことです。

バファート師にとってはこれが4度目のプリークネスS制覇となりました。
昨年のポイントギヴンでプリークネスS、ベルモントSを連勝しているので。クラシック3冠レースを4連勝したことになります。
鞍上のV.エスピノーザ騎手は3回目の挑戦で初優勝。昨年はAPヴァレンタインで出走し2着でした。

6月8日のベルモントSに優勝できれば第12代目の3冠馬となるウォーエンブレムであるが、果たして勝てるかどうか?
問題はスタミナと追い込み馬だけだと思う。
12Fの距離は全ての馬が初経験なので、どの馬が有利とかは分からないが、今回のように後ろで脚を溜めた馬が直線で爆発すると取りこぼす怖れもある。
UAEからの刺客エッセンスオブドゥバイに要注意。また、今回2着に入ったマジックワイズナーにも要警戒だ。
日本馬のサンデーブレークは走法的にウォーエンブレムとバッティングするので不利であろう。
6月8日が楽しみである!
第127回プリークネスS(G1)
2002/5/18 ピムリコ競馬場 ダート9.5F 3yo 馬場:速 13頭立て
 
 
着順 馬名(騎手) 斤量 枠番 SP 1/4 1/2 3/4 Str Fin 人気
1 War Emblem (Espinoza, V.) 126 8 5 2-1 2-1 2-1/2 1-1 1/2 1-3/4 2.80*
2 Magic Weisner (Migliore, R.) 126 2 10 11-2 10-1 1/2 7-1 1/2 4-1 1/2 2-3/4 45.70
3 Proud Citizen (Smith, M.E.) 126 12 8 6-1/2 5-1 1/2 3-1/2 2-4 1/2 3-1 1/2 7.40
4 Harlan's Holiday (Prado, E.S.) 126 6 9 10-Head 9-Head 6-1 1/2 3-1/2 4-Neck 5.20
5 Easyfromthegitgo (Meche, D.J.) 126 7 4 7-1/2 7-1 1/2 9-1/2 5-5 5-7 23.40
6 U S S Tinosa (Desormeaux, K.J.) 126 1 3 5-Head 6-2 4-Head 6-1 1/2 6-6 1/2 10.20
7 Crimson Hero (McCarron, C.J.) 126 4 13 13 13 13 10-3 7-1/2 14.80
8 Medaglia d'Oro (Bailey, J.D.) 126 5 7 3-Head 3-Head 5-1 7-3 8-3/4 3.00
9 Straight Gin (Albarado, R.) 126 3 12 12-7 11-Head 11-3 12-1/2 9-3 28.00
10 Menacing Dennis (Pino, M.G.) 126 11 1 1-Head 1-Head 1-Head 9-1/2 10-6 3/4 51.20
11 Table Limit (Stevens, G.L.) 126 9 6 8-1 8-Head 10-Head 11-4 11-Head 23.10
12 Booklet (Day, P.) 126 10 2 4-1 4-Head 8-Head 8-1 1/2 12-1/2 9.90
13 Equality (Dominguez, R.A.) 126 13 11 9-1 12-6 12-2 13 13 27.50
通過タイム:  22.87, 46.10, 1:10.60, 1:36.22, 1:56.36
 
<ウォーエンブレム> 牡・3yo 黒鹿毛 1999年2月20日生まれ
生産者: Charles Nuckols Jr. & Sons in KY
血統: 父:Our Emblem -母: Sweetest Lady , by Lord At War (ARG)
通算成績:9戦6勝 主な勝ち鞍:G1ケンタッキーダービー、G1プリークネスS、G2イリノイダービー

2002/5/21