95%勝利を掌中に入れたと思われたファンタスティックライトをハナ差交わしたのは日本からの穴馬ステイゴールドであった。
『・・・ファンタスティックライトが出てきた!遅れてステイゴールドも追い上げてくる!ステイゴールドが来た!!ファンタスティックライト!ステイゴールド!ファンタスティックライト!ステイゴールド!・・・どっちが勝ったんだ〜〜〜〜〜!!!!(絶叫)』
ラジオ短波アナウンサーは興奮を抑えきれない。
聞いている我々には何が何だかわかりはしない・・・。
5分後・・・写真判定でステイゴールドが優勝したと判明したが、もう少し落ち着いて放送してね!(笑)
さて、日が明けて25日の『世界の競馬(NHK衛星)』を見たのだが、なんとも言えない『ハナ差』であった。
これならアナウンサーが興奮するのも致し方ないと思ったOTEFであった。
『フランキー・デットーリの後ろにいたので難しかったが、ゴールしたときは勝ったと思った!日本の競馬に歴史を刻んだ!』
と鞍上の武騎手はコメントした。
直線に入ってから、1度下がり気味になりながら追い込んだナイスな騎乗は賞賛に値する。
ステイゴールドがドゥバイの芝に適応したことは驚きであったが、この相手に勝ったことはもっと驚きであった。
開催者のモハメド殿下のコメント・・・・
『日本の馬が遠くまで遠征してきて、しかも勝った。非常にハッピーだ。私はそれを望んでいたんだ。』
チーム・ゴドルフィンのマネージャー:サイモン・クリスフォード氏のコメント・・・
『ファンタスティックライトは素晴らしいレースをした。私は未だに彼が負けたということが信じられない!
調子は良かったが、走り込みが足りなかったのかもしれない』

ステイゴールドは日本で1番強い馬ではない!
日本でG2レースをやっとこさ勝つ程度の馬がシーマクラシックを制したことは大きな影響を与えるだろう。
今年の日本のセリ市に海外からのバイヤーがたくさん来るだろうことは容易に想像できるし、日本からの遠征ももっと増えるに違いない。

メインのワールドCではトゥザヴィクトリーが気持ちよく逃げて、直線の半ばまで先頭を守っていたがキャプテンスティーヴの追い込みに遭い交わされた。
しかし、もう1度先頭に出ようという意欲を見せ2着に粘った。
当初から”普段着”の競馬をすると言っていた池江師の面目躍如である。
日本でG1レースに勝ったことのない彼女が世界最高賞金のG1レースで2着!
ステイゴールドの勝利以上に驚いた関係者も多いと思うがこれが現実だ。
芝・ダート問わずスピードのある馬は海外のダートレースに出るべきだし、通用するのだ!
デューティーフリーに出走したが惨敗してしまったイーグルカフェなどはダートに出るべきだった。
明らかに日本の芝の馬場は軽い。ドゥバイのダートも軽い。

●Dubai World Cup●

3度目の星条旗がナドアルシーバ競馬場に舞った。
5万人以上の国際色豊かな観客の前でキャプテンスティーヴは11頭のライバル達をうち負かしました。
アメリカのティズナウよ!見ていたか!今年のBCクラシック(ベルモント競馬場)で再戦だぜ!!
管理するB.バファート師にとって2頭目のワールドC制覇となった。---1998年にシルヴァーチャームで制している。
また、鞍上のJ.ベイリー騎手は3度目の制覇---1996年(シガー)、1997年(シングスピール)

レースを引っ張ったのは、日本の牝馬トゥザヴィクトリーであった。
人気のベストオブザベスツやアプティテュードをマークしていたキャプテンスティーヴであったが、直線でライバル達が伸びを欠いているのを見て、少々慌ててしまったようだ。
先頭を進んでいたトゥザヴィクトリーの脚色が衰えてなかったからである。
外に持ち出してから、必死に追い出し、最後の1Fで先頭にたち3馬身離して優勝しました。
トゥザヴィクトリーは抜かれてから挫けそうになったが、走る意欲を維持し続け2着に粘った。
これは日本競馬・世界競馬にとって画期的なこととなった。
これまで、同レースに出走した牝馬で最高成績であったのはボルジア(独)の8着。
シーマクラシックに勝ったステイゴールドと同じくサンデーサイレンス産駒であり、益々注目されることであろう。

勝ち馬キャプテンスティーヴは7万ドルで購入された安馬であった。
マクドナルドのチェーン店を所有しているマイク・ベグラム氏によって購入されました。
『7万ドルという金額は安そうに見えるけど、7万ドルあればハンバーガーがイヤと言うほど買えるよ!(笑)
本当に我々はラッキーだったよ!』
とは、氏の喜びのコメントである。

●Dubai Sheema Classic●

日本がまた1つ国際競馬の舞台で偉大な1歩を踏み出しました。
ステイゴールドがドゥバイ・シーマ・クラシックで優勝し、同厩舎のトゥザヴィクトリーがメインイベントのワールドカップで2着に入ったからである。
両馬とも日本のチャンピオンサイアーであるサンデーサイレンスの産駒である。
ステイゴールドは最後の最後に昨年度のエミレーツチャンピオンであるファンタスティックライトをハナ差交わして勝利を得ました。
鞍上の武騎手(彼は日本では天才と呼ばれている)は続くワールドカップでもトゥザヴィクトリーを2着に導いたが、これは今後のフランスでの騎乗活動にとって素晴らしいスタートとなりました。
『これが武マジックだ!』とパトリック・バルブ氏は言った。
バルブ氏はブラットストックのエージェントで武騎手のマネージャーとして動いている人物である。
『武騎手はステイゴールドがイケる時を待っていた。そして、チャンスを逃さず、最後にステイゴールドを勝たせてしまった。』

他の騎手達にはそこまでの読みはできなかったようである。
この結果は武騎手にとって最高のデモンストレーションになったに違いない。
フランスや英国における彼のキャリアにまた1つ新たな実績が加わった。・・・・ホワイトマズルの時を除いて・・・・

この勝利は日本調教馬にとっても初のドゥバイにおける勝利となりました。
同馬を管理する池江師が言うには・・・凱旋門賞やBCも視野に入っているということだが、さしあたって次の目標は日本での6月のレースであるらしい。(OTEF注:宝塚記念のことだと思う)

さて、敗れたファンタスティックライトであるが、チーム・ゴドルフィンの監督サイモン・クリスフォード氏によると
レース前の10日頃まではイマイチだったらしい。
『彼は非常に真面目に走ってくれたよ、まぁ、負ける時ってのはこういうものだよ。
昨年はハードなレーススケジュールをこなしたので心配していたが、レースに対する意欲も失っていないようである。』
ファンタスティックライトの次走はコロネーションC。
前半戦の目標はG1キングジョージであるらしい。
●シーマ・クラシック
1着:ステイゴールド
2着:ファンタスティックライト
3着:シルヴァノ

●Dubai Duty Free●

7yoで遠征好きのケンカ屋といえば・・・ジムアンドトニックのことである。
彼は、フェアリーキングプローンとサンラインとの壮絶な叩き合いを制してデューティーフリーに優勝しました。
直線で内にサンライン外にフェアリーキングプローンという2頭に挟まれた形ながらド根性でハナ差抜け出したのだが、見ている人達にスリリングな感動を与えてくれました。

ジムアンドトニックを管理するフランソワ・ドーメン師にとって驚きだったこと・・・その1は。
フェアリーキングプローンと頭を合わせたときに戦おうとしたことであった。
『ジムは以前、フェアリーに負けているのだが、今日は勝った!私はこれを待っていたんだ。』
もう1つの驚きは・・・優勝してしまったことであった。
ジムアンドトニックはドゥバイへの輸送時にトラブルがあり上手くいかなかったからである。
『本当に最小限の準備しかできなかった。でも馬自体は元気だったから、いい結果になったのでしょう。
この結果をふまえると、新しい調教法を発見したことになるのかもしれないね。
彼は真のプロらしい走りをしてくれました。』

ジムアンドトニックは確かに時計が出るような速い馬場がベストであるのだろう。
師は1999年のサセックスSで惨敗した英国で、いつの日か大きなレースを勝ちたいと思っている。
『グッドウッドで走らせたことは間違いだったようですね、彼には坂のあるコースは合わなかった。
彼に最適なレースを探します。』

同馬の次走は香港。そしてシンガポール。
相変わらずの遠征好きである。

香港のスター、フェアリーキングプローンは息詰まる末脚を炸裂しました。
100ヤードにわたっての叩き合いを演出し、レースを素晴らしいものにしました。
日本の安田記念を制したフェアリーキングプローンの調教師:イヴァン・アレン師はこの結果に満足しているようである。
また、ニュージーランドの誇り、サンライン。
彼女の陣営は740万ポンドでの売却話を断ったという噂もある。
昨年の香港マイルでは頭差で逃げ切った彼女であったが、今回は3着に敗れた。
道中、常にスリックリーに寄りかかられたことが原因の1つであろうと思う。
●デューティーフリー
1着:ジムアンドトニック
2着:フェアリーキングプローン
3着:サンライン

●UAE Derby●

エクスプレスツアー:8-1、ストリートクライ:12-1。
これは英国のブックメーカーがUAEダービーの後に出した両馬のケンタッキーダービーでのオッズである。
もはや、モハメド殿下のターゲットは欧州から北米へと変化してきている。欧州を見捨てたわけではないが、ほとんどの大レースは制覇してしまっているし・・・。情熱が薄れてきてても不思議は無いであろう。
『いつの日か我々はケンタッキーダービーの勝利を掌中に入れたい!勝つまで努力は惜しまない!
まだ、1回も勝ったことがないのだから・・・。』
UAEダービー以前、エクスプレスツアーのオッズは20-1。期待されていたのはストリートクライの方であった。
昨年の同レースの優勝馬であるチャイナヴィジットはケンタッキーダービーで惨敗してしまった。
今年はどうであろうか?

『エクスプレスツアーはこのレースでスピードのあるところを見せてくれた。問題なのは距離だと思う。
ケンタッキーダービーではもう1F伸びるわけだが、この距離延長はストリートクライには喜ばしいことだ。
2頭とも直接ケンタッキーに向かわせます。』
と、レーシングマネージャーのサイモン・クリスフォード氏はコメントしました。

アメリカの前哨戦を使わず、中1ヶ月以上も空けてG1ケンタッキーダービーに臨む?!
競馬を知っている人なら80%以上が言うであろう・・・無理だと。

アラジの時を忘れたのか!と、言ってやりたい。
●UAEダービー●
1着:エクスプレスツアー
2着:ストリートクライ

※尚、関係ないがストリートクライはOTEFのゴドルフィン7スターズの持ち馬であった。

●Godolphin Mile●

日本からはフェブラリーSの勝ち馬でO.ペリエ騎手で参戦したノボトゥルー。
1番人気はチャイナヴィジット。
前日にO.ペリエ騎手がノボトゥルーのことを多少吹いたために(笑)、2番人気になってしまったのは笑えた。

さて、レースであるが、スタート後先頭に立ったフェスティバルオブライトがそのまま先頭でゴールするという面白くない結果。
人気のチャイナヴィジットは良く追い込んだが、前が止まらぬこのレース展開では4着止まりだった。
尚、ノボトゥルーは全然良いところ無く8着に沈みました。

勝ち馬、フェスティバルオブライトは昨年、アメリカで競走生活を送っていたが、勝ち鞍は無し。
ドゥバイに帰ってきてから、先月のレースで10馬身もの大差を付けて優勝していました。
今後の予定は、アメリカでのレースに備えるということだ。