
2000年10月1日・・・ロンシャン競馬場・・・新しい歴史が刻まれました。
なんて素晴らしい優駿なのでしょう! シンダール・・・この名は21世紀に語り継がれるのだ!!
西暦2000年の凱旋門賞は2頭の巨人の激突となりました。
赤コーナー、モンジュー!
古馬チャンピオン。昨年の凱旋門賞馬。今シーズンは敵なし!
彼の唯一のライバルはシンダール・・・本年度英・愛ダービー馬。アイルランドの希望!
彼らのレースの運び方からは凄いレースになることが予想された!・・・昨年のエルコンドルパサーとの決戦の様に・・・。
我々は彼らのレース振りを知っている。
シンダールは先行型で直線に入るまでには勝負を決めてしまうタイプである。
一方、モンジューはと言うと後ろからの競馬で、最後の直線でライバル共を抜き去るタイプだ!
しかし・・・・悲しいことに予想されたレースは展開されなかったのである。
シンダールだけが本来のレースをしたからである。
モンジューは全くと言って良いほどリラックスしていなかった。
スタート直後に少し滑ったようで、外を回りながらのレース。鞍上のM.キネーン騎手がモンジューにゴーサインを出したのだが・・・
その時既に、ガソリンメーターは空っぽだった。
数々の栄光に包まれたモンジューは悲しい結末で競走生活に終止符をうった。
新しい王者シンダールには拍手喝采が浴びせられた。
たった3分の秋のパリの日差しの中で彼は名声を勝ち取ったのだ!
ダークホースであったエジプトバンド(4歳・牝馬)は、予想を翻す好走で2着に入った。
アガ・カーン殿下は『この馬は特別です!』と言い、その後、偉大なるシャガーに比類する馬だと評価しました。
『私が見た中では最高の馬かも知れません!』と微笑みながら付け加えました。
シンダールは明らかに最良の英ダービー馬である。と時々言われる・・・ラムタラ以来の・・・
が、今までは鼓動を打つようなレースではなかった!
英国ダービーでのレース振りは職人の様だったし、愛ダービーは大楽勝だった。
しかし、パリの空気の中でこのグランドロッジの息子はいくつかのものを見せてくれた。
前哨戦であるニエル賞の勝利は電撃的であったし、凱旋門賞は実に見事であった。
彼の偉業・・・今シーズンの3つのG1勝利・・・は非常に大きな価値があり、普段の年なら、シーズンを代表する名馬として長らく語り継がれるであろう。
しかしだ!2000年の夏は普段ではなかったのだ!!
アイルランドには2頭のスーパースターがいた。ジャイアンツコーズウェイとシンダールである。
我々は本物のチャンピオンを賞賛したいと思っている。明らかに日曜日のモンジューは本物ではなかった。
しかし・・・それがレースである。
シンダールは勝った!!
オーナーのアガ・カーン殿下はシンダールの来年の現役続行についても考慮しているようである。
2001年の彼のレースを見るために十字を切るべきではあるであろう。・・・オーナーの気が変わらぬように・・・
来年のキングジョージSが当面の目標であり、凱旋門賞2連覇も視野に入るであろう。
それは不可能な夢ではないが、困難な道である。
まさに、ジョン・ハモンド師とM.テーバー氏(モンジューの調教師と馬主)に当てはまるからである。
彼らは2回目の凱旋門賞の勝利を祝うためパリに来た。しかし、モンジューは敗れ去ったのである。
例えモンジューが本調子であったとしても、シンダールに勝てたかどうかは分からない。
その様な討論は賭け屋や飲み屋やプレスルームなどでされるであろう・・・。
我々がただ1つ言えることは・・・その日、シンダールはレースをしたがモンジューはしなかった。ということだけである。
真のチャンピオンへの試練であった!