近頃の演奏会 2007夏
問)いつもながら御客様の年齢には幅がありますね。
上)良いことではないでしょうか、私自身、人生の半ばですから。
問)最近は「朗読」というか「講談」というか、語り物を交えていますね。
その辺りの事をお聞きしたいのですが。
上)自分では「読み語り」と言っていますが、完全な「朗読」というわけでもありません。
原文のままですと時間的に収まらないので、編集やアレンジを加えています。
自分で作ったものもありますよ。その日の行事や、御当地の話しなどですね。
もともとは大学の講座がきっかけです。スライドを見せながら説明するのですが、
いつの間にか「活弁調」になってきまして、なかなか評判が良かったのです。
「ギリシャ神話と彫刻」「フィレンツェ名工伝」「女性彫刻銘々伝」など作りました。
その流れがライブにも移行したわけです。もう一つは私が釈場に通った頃の演者が、
高齢のため他界してしまったことですね。その世界への、郷愁もあるでしょう。
言葉の勉強にもなるので、しばらく続けてみようかと思います。
問)途中で三味線や歌を入れたり、かなり演芸調なものもありますが。
上)もともと習って始めた物ではありませんので、自分なりの物になればと思います。
それ自体を確立させるほど大げさなものではない、ライブのオプションという事で充分です。
「朗読」というものは面白いもので、読み手によって全然違う作品になるんですねぇ・・
問)最近の演奏会では、前半がオリジナル曲の数々、後半が読み語りになる事が多いようですので、
口演された演目を紹介したいと思います。
「悟浄出世」「悟浄歎異」「鵞鳥の悲鳴」「洗濯ばあさん」「アテネのタイモン」「猿とみづち」
「石と釘」「鉢かづき」「木色咲耶姫」「寒山拾得」「織女と牽牛」「大晦日合わぬ算用」「木乃伊」
「ピュグマリオン」「吉祥天女」「プラクリチ」「紀州公売り出し」「熊野」「静の舞」「五重塔」
「酒井の蝦兒捕り」「青頭巾」「夕立鰻」ずいぶんありますね。
上)いつのまにやら・・という所でしょう。お恥ずかしい限りです。
問)ライブでは、これに加えて、オリジナルの歌も演奏するわけですが、最近の状況はどうでしょう。
上)頻繁に来られる方は、耳新しい物を求める傾向があります。
それと同時にお馴染みの曲も歌って欲しいという人が必ずいらっしゃいます。
特に初めて聴きに来る人にとっては「炊事節」も「煮込みワルツ」も新曲なんですね。
同じ曲でもその日によって、弾き方も歌い方も変わっているんですが・・
噺家が良く言いますね「ネタは増やしていく時期と、減らしていく時期がある」と、
減らすといのは絞るという意味で、これに磨きをかけていくわけですね。
それで磨き上げたものが、十八番(おはこ)という事なんでしょう。
問)新作を求めるお客さんの気持ちには、しばらくCDが出ていないという事があるのではないでしょうか。
上)未収録で60曲以上はあるでしょうね。まぁ世の中に必要な歌でもないから(笑)
「外食無情」とか「珈琲節」なんて面白いんですがね・・
こればかりは自分の力だけでは出来ませんので、或る程度は流れに任せています。
問)お笑いの世界の人々との交友が増えそうですが・・
上)三味線を持っていると「芸人」に見えるんでしょうね(笑)
もともと好きな世界ですから、交流が出来ることは有り難い事です。
美術の分野では全く別の付き合いがあるわけですが、それはそれで濃〜い連中がウヨウヨいるわけです(笑)
問)美術と音楽の活動を両立させるのは大変な事だと思いますが・・
上)やはり自分は「何々一筋」には成り得ないのかな、と思うようになりました。
絞ってしまった方が楽なんですがね、どのみちあんまり売れてないし(笑)
「本妻」と「愛人」のように、板挟み状態で生きていくしかないのかな、どちらも甘やかしてくれないけれど(笑)
そういえば我が国の芸能も「能」と「狂言」をセットにして上演しますね。
両方の世界が必要なのでしょう。自分の中の「彫刻」と「音曲」もそういう物ではないでしょうか。
2007年 8月