「キタキタイバラキ なみのね旅情」

毎年恒例の研究室旅行に出掛けました。
今回は北茨城方面へ、波の音枕の湯ったり旅行、さてその内幕は・・

上野駅から特急電車に乗り、約一時間で水戸へ到着・・
車窓から見える偕楽園では、丁度梅が満開でした。晴天
しかも週末という事もあり、随分と人出がありましたね。
徳川斉昭が造園したそうですが、幕末期に色々あった人。
兼六園、後楽園と合わせて、日本の三名園と云われます。
昼食は「梅み月」という店でした。小鉢が三種、蕎麦に
天麩羅に混ぜ御飯・・これにおぼろ豆腐がお鉢に一杯!
トーファーを自認する私も、食べ残してしまい残念無念。

二階のテーブル席は独特です
水戸から磯原に向かいます。初めに童謡詩人野口雨情の
生家を訪ねました。十五歳まで住んでいたという家屋は
明治期に建てられたままの姿、今も親族の方が暮らして
います。その隣に資料館があり写真や掛軸、色紙などが
展示されております。家系図があったのですが、驚いた
のは、楠正成の末裔だったという事ですね。雨情の詩に
よる「七つの子」「赤い靴」「青い目の人形」の作曲で
知られる本居長世は、目黒不動に記念碑があります。

雨情資料館門前
そこから五浦海岸に行き、岡倉天心記念室を訪れました。
東京芸大の創設者・・と言ってしまえばそうなのですが、
彼は二十六歳で学長になっているのですね。三十五歳で
退職をした後、日本美術院を東京の谷中に立ち上げます。
後に絵画部がこの海岸へ移転してくることなるのですが、
その中に大観、寒山、春草などの凄腕がいたというわけ。
展示室には天心の自筆による論文や手紙などがあります。
復元された書斎や、釣り船なども展示されておりました。

展示室には釣り船も
五浦の日本美術院は、跡地が残っているのですが、波が
被ると思われるほど海に面しています。釣り船を造って
糸を垂らしては、六角堂で瞑想に耽っていたそうですが、
なんとなく山水画に出てくる、仙人にも思えてきますね。
明治時代の秀才は、普通に漢文の読み書きが出来るので、
それが英語力に結びついている、という説もあるくらい。
四十七歳でボストン美術館の部長になり、五十歳で他界
するのですが、時代が生んだ傑物には違いないでしょう。

五浦の海を望む
さて、磯原の宿に戻り、温泉に浸からせて頂きましたが、
去年の手術の痕を見ると、随分と復調したものだと感慨。
夕食は御当地自慢のあんこう鍋(膳の中に入っている)
この魚の美味しさは、ゼラチン質の身からくる食感です。
白身の部分はまるで帆立貝のような味わいがありますね。
コラーゲンがたっぷりですから、肌にも良いというわけ。
深い海の底で、人間とは無関係に暮らしているところを、
何だか気の毒な気もしますが、とにかく御馳走様でした。

温泉宿は海岸沿い
翌朝は宿の近くにある、天妃山の神社をお詣りしました。
元々は薬師如来が祀られていたそうですが、元禄時代に
天妃神を祀って、磯原大津の海の守り神としたそうです。
天妃神は中国では媽祖(まそ)と呼ばれる航海や漁業の
守護神で横浜中華街にも廟があります。天保二年に前出
した徳川斉昭公が、日本武尊の妃、弟橘媛を祀りました。
尊の乗る船が嵐で遭難しかけた折りに、自ら海中に身を
投じて、海の神の怒りを静めたという伝説がありますね。

小山全体が神社に
それから一行は高萩、日立を抜け大洗へと向かいました。
目指すはアクアワールド、大洗水族館です。鮫だけでも
四十種類いるという・・日曜なので親子連れで賑わって
おりました。企画展示として「解体新魚」を開催中です。
標本から生体まで、魚類コレクション大集合!だそうで、
骨格やウロコ、エラ、歯などが、分類されておりました。
評判のイルカのショーは、時間が合わずに観られません。
その代わりペンギンの御散歩隊というのが観られました。

マンボウNo.5と共に
水族館を後にして、大洗磯前神社へ詣ります。海上の岩
の上にも鳥居が立っています。境内は岬の丘の上なので、
かなり急な石段を上っていきます。社殿は海の方を向き、
本殿の造りは独特のものがあります。主祭神は大己貴命、
配祀神として少彦名命が、祀られております。ここでは
この二神を、大黒様と恵比須様として祀られているので、
奉納した置物が塀の上にずらりと並べられていましたね。
漁業の神、医療の神として、信仰されているそうです。

丘の上の境内にて
さて、旅の締めくくりはお土産と昼食を兼ねて、那珂湊
おさかな市場へ。海産物の量販店がずらっと軒を並べて
います。問屋価格なので安い。遠方から買いに来る人も
多く、売り声が飛び交う場内は、活気で溢れております。
試食も出来て、貝や魚を眺めているだけでも楽しめます。
アンコウをさばいていたのですが、吊し切りにはせずに、
寝かせて切っていました。口から開いて、肝を取り出し、
皮ごと叩いてブツ切りに・・まさに「解体新魚」です。

活気に満ちた市場
鰯と秋刀魚の丸干しを買いましたが量の割には安かった。
昼食は市場の二階で営業の食堂で、握り寿司をたらふく。
それから水戸へと向かい、昨日と反対の電車へ乗ります。
水戸は水(ミナ)戸(ト)でミナトとか。海川の恵みが
集まる土地柄という事でしょうか。確かに今回の旅では
波の音を聞き、潮の香りを含む、そんな物語に出合えた
ような気がします。「磯の鵜の鳥ゃ 日暮れにゃ帰る」
雨情の歌を口ずさみ、そろそろ家路につきましょう・・

水戸駅のプラットホーム