「剣の時代」より伝わる話に、剣を携えて王家を守り続けた英雄がいたが、最後まで王家を守ることができずに息絶えてしまった。そして、その無念の思いが込められた剣がどこかに眠り続けているという…。
しかし伝説は「王国」内の誰もが知っている話にも関わらず、信性の低い話であった。
いったいどこにあるのか、どんな形なのかという確信もなく、ただ言い伝えのみを頼りに冒険を続けた彼らは、数々の苦難と危険を乗り越え、ついに伝説の剣を手に入れることに成功する。そして意気揚々と宿に戻り、目的の達成と無事を喜び、伝説の剣を手に話を弾ませていた。
冒険者が伝説の剣を見つけた…暗黒魔導士カノンはこの極秘の情報を耳にし、心の内にくるべき時がきたことを悟ると、直ちに「王国」の一部の兵に向かって命令を下した。
「理由を問わず、どんな手段を用いてでも剣を奪取せよ」と…。
命を受けた兵たちがおのおのの持ち場につく中で、黒騎士団長ラインハルト・バルガーは、この不条理かつ横暴なカノンの命令に疑問と反感の念を抱きつつ準備を進めていた。
しかし伝説の剣発見の情報を聞いた赤騎士団長セレナ・コルセアは、無言のまま真紅の鎧をまとい、一人で冒険者たちの宿へと駆け出していった…。
この先、彼らを待ち受ける運命の行く先を知る者は、誰もいない…。
ただ夜は刻々と更け、闇が静かに「王国」を包んでゆく…。