Story

ソニックはいつもの気ままな冒険の途中に偶然、その島を発見した。
気持ちのいい緑の草原が広がる小さな島だった。
「よし、しばらく休んでいこう。」
ソニックの愛機トルネードは、排気煙で白い弧を描きながら島影に滑り込んだ──そして、それを追いかけるかのように怪しい光る物体が島の反対側に消えていった。

幻の島"ウエストサイドアイランド"の伝説。
遠い昔、その島の人々は不思議な石を使って文明を発展させ、思うがままの繁栄を手にしていた。
だがその繁栄も、石の誤った使い方を試みた人々によって、一夜にして全てが無に帰し、不思議な石は神々によって島のどこかに封印されてしまったのである。

島に着陸してから数日立ったある日、ソニックは自分の後ろを誰かがついてくるのに気がついた。
振り向くと、それは小さなキツネだった。キツネはソニックに気付かれると慌ててヤシの木の影に隠れた。だが、ソニックが走り出すとキツネは一生懸命後を追ってくる。
「まあ、勝手にさせておこう。」別段気にもせず、ソニックはそう決めた。

"マイルス・パウアー"は小さなキツネ。
マイルスにはシッポが2本ある。だから、島の動物たちは彼を"テイルス"と呼んでいる。
2本のシッポのせいでイジメられることもよくあった。でも、この島へやってきたソニックを見てからマイルスは変わった。決心したのだ。
「ボクも、かっこよくなりたい!」と。
それからだ、マイルスが一日中ソニックの後を追いかけ回すようになったのは。

ある昼下がり。マイルスは浜辺で美しい飛行機を見つけた。機械や乗物が大好きなマイルスは、駆け出すようにそばに近づいていった。
スマートなボディとシャープなラインを描く翼。その機体に見とれながら、反対側まで歩いてきたマイルスはドキリとしたように足の動きを止めた。
反対側の翼の下でソニックが昼寝をしていたのだ。
そして、マイルスがそっと向きを変え、再び機体の向こう側へ戻ったとき…。

森の方で閃光がきらめいた。
それに続く大爆発と立ち登る火柱。降り注ぐ小石と木の破片。
吹き飛ばされそうになり、飛行機の下に転がり込んだマイルスは状況がのみこめず目をしばたたせた。その目のなかに、赤く燃える森と何かを探すように地面を掘り起こすロボットたちが映り込んだ。

止むことなく続く爆発と島を覆っていく炎。それを呆然と見つめていたマイルスは、誰かの気配を感じて横を向いた。そこには、燃え上がる森をにらみつけるソニックがいた。

「エッグマンめ…!」そのつぶやきと同時にソニックは砂を蹴りあげ、森に向かっていった。
何かが始まったんだ。とんでもないスゴイことが。
そんな予感にとらわれながら、マイルスは無意識のうちにソニックの後ろ姿を追って走り出していた…。

「ダ───ッハッハッハッハッ!!」 森の中では、聞き馴れた下品な高笑いがこだましていた。ヤツだ。ドクター・エッグマンだ。

「ついに発見したぞ。カオスエメラルドが眠る島・幻のウエストサイド!あー、ソニックを追っかけてきてよかったわい。これでワシの究極兵器・デスエッグも完成するはずぢゃ。待っているのだぞソニック!今度こそ、今度こそ、おまえをやっつけてカオスエメラルドをそろえてみせる!そして、このドクター・エッグマンが世界の征服者となるのだぁ!!ダ───ッハッハッハ!!」

さあ、役者はそろった。
冒険と感動の幕が、
いま再び切って落とされるのだ!