挑戦してみよう
 さて、この楊枝彫刻はぱっと見た目には、非常に難しそうですが、たぶん少しの練習で、だれでもできるものだと思います。恐らく、鉛筆をナイフで削ることさえできれば可能でしょう。
 さらに、意外に思うかもしれませんが、楊枝彫刻は根気が無くてせっかちな人向きです。それでは、なぜ楊枝彫刻が根気が無くてせっかちな人向きかというと、ひとつの作品の制作時間が極端に短いということがあります。ニワトリくらいなら、5分もあれば着色までできますし。かかるものでも30分はかかりません。しかも材料費がとても安いですから、失敗すれば作り直すだけでいいのです。
 むろん、必用な素質はあります。それはなんと言っても集中力です。もちろん有る程度手先が器用でなければならないというのは言うまでもありません。対象物が小さいですからほんの0.1mm、刃を入れる場所がずれただけでも、形が全く違ってしまいます。極端には全然別のものになってしまうことさえあります。
 ひとつの作品を仕上げる間の何分間か、思い切り神経を集中して、完成後に一気に集中を切るという部分に、これの快感(満足感?)のひとつがあります。物を製作するというのはだいたい同じ様なパターンですが、集中して我慢するという部分が比較的短時間だというのが特徴でしょう。




 まず用意するものは、
  つま楊枝(これがなければはじまらない)
  彫刻刀(切出刀があれば十分。)
  カラーサインペン(作品の着色用。たぶん顔料のタイプが将来色あせがなくてよいでしょうが、とりあえず、これまで私は気にしていませんでした。)

 以上です。細い線の着色には、意外とボールペンが役立ちます。
 あと、楊枝を保持するためのホルダがあったほうが、細工は楽です。DIY店(ホームセンター)にドリルの刃や小さい部品を保持する道具(ピンバイス)が売っています。

基本技術
 以上がそろったら、さっそく彫ってみましょう。まずは簡単なペンギンから。

ペンギンの作り方
とまあ、これは簡単だったでしょう。このペンギンの制作には、楊枝彫刻を作るうえでの基本的な技術が含まれています。
 いちおう笹野一刀彫りを技術的なお手本としていますので、うすく削りあげて部品とする技術が重要となってきます。この技法のおかげで直径2mmしかないはずの楊枝からより大きな作品を作ることができます。
 というわけで、もっと大きく見えて、ハデで、実は作りやすいニワトリの製作法を公開。

ニワトリの作り方
 割と簡単だったんじゃないでしょうか?これも慣れれば、削り始めて彩色まで5分とかからずにできます。
 それでは、次は鳥ではなくて猫の作り方を公開。
猫の作り方
 この猫の作り方はネコ科の動物はもちろん、犬などのその他の食肉類の哺乳動物、ネズミや猿などの多くのほ乳類の基本になるものです。
 楊枝彫刻は普通の木彫と違って、部材が細いので、部分的に折り曲げて表現することが可能です。
セキレイの作り方
 さすがにこれになると、お手軽にというわけにはいきませんが、この折り曲げ技法のおかげで作品の種類に幅が出てきました。
 多くのスズメ目の鳥やチドリ目の鳥の製作には折り曲げ技法は欠かせません。

注意点
 ところで、楊枝を削り始めるとき、どの向きで楊枝をつかってもよいというものではありません。木材を刃物で削るとき、木目と刃の動かす方向で順目と逆目があるわけですが、逆目だと意図した以上に刃が食い込んでしまうので、なるべく順目になるように考えなければなりません。楊枝の木目が必ずまっすぐに入っているとは限らず、いくらかは斜めのことが多いものです。


 さらに難しい作品に挑戦するときには、楊枝の素材の選択から注意する必要があります。つまり、できるだけ、木目がまっすぐに入っているような物が適当です。ときどき木目が極端に斜めに入っている楊枝が混じっていますが、これは彫っている最中に折れてしまいます。さらにあまり軟らかすぎず硬いすぎずというところを選びます。色が真っ白いのは軟らかすぎて、削っている最中に小さい部品が欠けてしまいますし、色の濃いヤツは、繊維が太すぎて細かい表現が出来ません。
 ところで、作品ができたら、画像ファイルを送って頂けませんか?頂いた作品は挑戦者の展示室に展示します。
 もしご希望が有れば直接指導もします。

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