笹野一刀彫
 私の故郷の山形の民芸品に笹野一刀彫という木彫があります。これの技術的特徴は素材をうすく削りあげて、そのカールした薄い部分を巧みに生かしていろいろな動物を表現するという点にあります。削り上げによってその作品は素材の丸太よりも太いものになります。
 私が小学生の頃、蔵王温泉に家族と旅行に行ったときにおみやげ屋で買った笹野一刀彫の鷹「オタカポッポ」が私が楊枝彫刻を始めるきっかけとなりました。

笹野一刀彫のキジ?とオタカポッポ
楊枝彫刻を始める
 なかなか美しく、自分でも作れそうだったので、私はさっそく鉛筆にそのオタカポッポを彫ってみました。するとなんとなくそれらしいものができます。そこで今度はもっと細いものに挑戦してみたくなって、つま楊枝を手にして彫ってみたわけです。
 私は難なく楊枝にオタカポッポを彫り上げました。
 で、楊枝にオタカポッポを彫れてから十数年は気が向くと楊枝にオタカポッポを彫っては遊んでいました。
 ところが、どうしたわけか、急に楊枝に猫を彫ってみたくなって、彫ってみました。フィギュアなどの製作が趣味の友人(つまりオタク)に見せるとほめてくれたので調子に乗ったわたしはその後せっせといろいろな動物に挑戦してみたわけです。これのために動物図鑑なども購入してみました。
好事魔多し
 まあ、てなわけで順調に制作に励んで、わたしは世の中を手先で渡っていこうかなどとも考えていたのですが、突然の脳梗塞で左手が麻痺してしまったのでした。
 幸いにも左半身の運動機能障害以外に障害は残らず、無事に退院し、社会復帰したわけですが、世の中を手先でわたるという甘い考えは見事に打ち砕かれてしまったわけです。
 しかし、徐々に左手の機能も回復し、ある程度の作業はできるようになり、指先の力がほとんど無いのを補うために楊枝の固定のための治具を制作し、制作活動を再開したわけです。

治具に楊枝を固定したところ

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