長く暗いトンネルの出口は見つからない。いつまで歩いてもどこを探しても決してそのトンネルから抜け出せないような漠然とした冷たい不安と拘束感を抱きながら、この二十三年間それでも前を向いて歩いてきたつもりだった。
気が付くと既に闇は全身を包んでいたために、もしかすると前と信じて紡いできたこの道のりも、本当に前だったのかそれすらも疑わしくなる。
けれどもくまなく塞がった中で一条でも差し込む光を求めてもがきながらあらゆる箇所に手を掛けてみた。
そのほとんどがボロボロと音を立てて崩れて行き何度もの失望から生まれる溜息を吐く。もしかするとこのトンネルに出口はおろか、光という概念そのものが存在しないのではなかろうかととの邪推すら思考をかすめつつも、この自分にくっついた手足は何かを固く強く宿したかのように手探りをやめようとしない。
きっと自分はこのトンネルに気が付く時が早すぎたのだ。
たいていの二十代が気が付かなくても良いはずの暗闇にいるという事実をふとしたはずみで知ってしまった。
まだ殆どの同じ年頃の彼らが目を閉じ、心地よい夢を見ているはずの最中に、運悪くなのだろうか、ちょっとした外からの衝撃で目を覚ましてしまったのだ。
早くから苦労云々をいう意味などよりも、早くから知らなくても良かったこの闇を知ってしまった。
眠ることが許されるのなら、もう一度眠りにつきたい。
だが暗がりは恐怖と緊張をもたらし、まどろみさえも連れてくることはない。