南 由希子        Dec. 2000 


               

私のMAURI PARADISE日記 <その1>

12.27.00
 今年の8月、「また帰ってきます」とMAURI PARADISEを後にして早や4ヶ月。約束通り、本当に帰ってきた。
 キリバスまでトランジット3回、機内食5回の長旅に加え、AIR NAURUの機体トラブルで到着が1日遅れるというおまけつきだったけれど、無事に着いて一安心。ボンリキ空港のゲートをくぐったら、YASさんの笑顔と握手に迎えられて、本当に来たんだという実感がわいてきた。
 AMBOからMAURI PARADISEU号に乗り込んで約1時間半、ブアリキ村が見えてきた。3人が手を振っている。
麻衣子さんとシーナとロシーナだ、「MAURI〜!」
隣りの家の子どもが「YUKIKO〜」と手を振ってくれた。
みんな何も変わっていない、ブアリキ村も何も変わっていない。
唯一変わったのは、大きなハート型の土の下(花壇)に中ちゃんが眠っていること・・・・・。
 
 その日の夕方YASさんが、海の中にぽっかりと浮かぶ砂浜へ連れて行ってくれた。ねころんでいると、体中が砂で真っ白になり、頭の中もそれとともに真っ白になっていく。見渡す限り、海、海、海・・・私達しかいない空間で私達だけの時間が流れていく・・・・・・。

12.30.00
 キリバスに来たらまた必ずやろうと思っていたこと−−やしの木登り。
それもとなりのおばあちゃんちにある一番高いやつに登ろうと決めていた。
 根元から見上げると、けっこうな高さだ。なるべく下は見ないようにして、一歩一歩確実に登っていく。どうして子どもたちはあんなにするすると登れるんだろう? 
風がふいて、やしの木がゆれるたびに一息つく。最後のSTEPはとても登りづらい。ここで落ちたら・・・考えない、考えない。
 葉をつかんで体を上へひっぱり上げると、そこには360度の大パノラマ。前にはどこまでも青く澄んだキリバスの海が、後ろには村の家々と遠くまでやしの木が続いている。
風がふくたびに体を預けている葉が大きくゆれ、「わー」「あー」と声をあげてしまう。
ふと下を見るとYASさんもこわごわ登ってきた。上に着いたら、興奮して子どものようにはしゃいでいる。

 この風景を二人だけで独占するのはとてもぜいたくだ。子どもたちがここで気持ち良さそうに歌うのがわかる。足の下を白い鳥が飛んでいく。このままこのやしの葉をけったら、空を飛べそうな気がする。今、私達が一番空に近い。心地よい風、まぶしく照らす太陽、やしの葉のこすれる音−−ふと自分を忘れてしまう−−そんな幸せな午後のひととき。

12.31.00〜1.1.01
 今日は2000年最後の日、そして今世紀最後の日。YASさんの提案で、即席合唱隊が結成され、新年に村の家々を歌ってまわることになる。前日にみんなで悩んで決めた6曲の中で、私の一番のお気に入りは「切手のないおくりもの」だ。
 夕食のころには、あっちこっちのマリヤバ(集会所)から大きな歌声や音楽が聞こえてきた。
 そして新年・・・・・・YASさん、麻衣子さん、平元御夫妻と海でむかえる。空には落っこちてきそうなほどの星々、すぐそばにはMAURI PARADISEU号が浮かんでいる。

「あけましておめでとう」この時をここで迎えることができて本当にうれしい。
 さあ、さっそくMAURI PARADISE合唱隊出発!! となりのおばあちゃんちからはじまって、次々に披露していく。キリバスの風にのって私達の歌声が響く。とても気持ちがいい。言葉の意味がわからなくてもきっと気持ちが伝わっているはず。
 とてもあたたかい拍手がかえってきて、私達の心もあたたかくなる。すばらしい一
年の始まり−−マウリ テリリキ アボー!

1.2.01
 21世紀初DIVEをここキリバスで、大好きな人達とできることに感謝! そして今回の旅行最後のDIVE。どんな海を見せてくれるのか、楽しみにして外洋に出た。

1本目・・・
あっという間にウメイロモドキの大群にかこまれた。海を青と黄に染めてしまうかのように、右も左も縦も横も魚、魚、魚・・・。少し離れたところにいる麻衣子さんが見えない。魚達にとっては人間なんかサンゴと同じ、顔のすぐそばを平気で泳ぎさっていく。
 そしてその向こうからやってきたバラクーダの大群。ゆったりと体のしま模様を光らせながら泳いでくる姿は本当に美しく、圧倒されてしまう。

2本目・・・
私が選んだpoint。島の一番高いやしを目印に、落ちたところは見渡す限りのサンゴ、サンゴ。大きなシャコ貝が口を開けていたり、サメがゆったりと私の真正面に向かって泳いできたり、すごく壮大な景色が広がっていた。
 そしてつかず離れず、黒い魚が数百、いやもっと、行列になって続いている。黒い魚達のおびのむこうに白い砂の道が見え、白と黒とのコントラストが美しい。
 あー、このままいっちゃってもいいかなー。

1.3.01
 静かだったブアリキ村にまた子どもたちの歓声が響く。大きな村のマリヤバに行っていた子どもたちが、少しずつ戻ってきたようだ。
 昨日、大きな村まで自転車で行った時、偶然タゥビリとロターリオとトムに会って、大感激だった。相変わらず、ロターリオが泣き虫だったのには笑った。
 今日はタバイや他の子達の姿が見える。今回はタベタに会えなかったけれど、タベタのお母さんや家族のみんなに会って、写真を渡したらよろこんでくれた。それにしてもノーメリはちっとも変わらないなあ。でも口数は増えて、いろいろおしゃべりしてくれるようになったっけ。
 でも、もう出発の時間。YASさんが「MAURI  PARADISEU号、BUARIKI村発現代文明行、出発しまーす」とアナウンスしている。いろんなことがあって、あっという間の9日間だった。手を振るロシーナとシーナの姿がだんだんと小さくなる。この景色をしっかり目にやきつけておきたい。

YASさん−−素敵な歌をありがとう。♪転んだらー起きればいいさ、そしてまーた転ぼうよー♪(by切手のないおくりもの)ですよね。

麻衣子さん−−よっぱらって一緒に踊ったピンクレディー、今度また再結成しましょう。

中ちゃん−−お酒おいしかったですか? 私はまた二日酔いになりましたよ。また飲みましょうね。

ロシーナ−−結婚おめでとう。優しいだんな様とお幸せに。

シーナ−−いつも大きな声で笑うシーナ、今度は一緒に踊ろうね。

トガゲイン−−お店忙しいのに来てくれてありがとう。美人の奥様を自慢したい気持ち、わかるよ。

平本御夫妻−−ういういしいお二人の前では、キリバスの太陽もかすんでしまうくらいアツアツでした。お幸せに。

MAURI PARADISEは私にとって本当のPARADISEです。
みんなコラバ! しばらくはサボー!

MAURI PARADISE 日記は<その2>に続く。
     ---- 次回は2001年夏の予定。 ----

Mauri Paradise注 :
夏の予定はその年の年末年始に延びました。
ところが・・・・・・・・・
「頼むからこのご時世に飛行機に乗らないでくれ!」
と親御さんのたっての願いに、泣く泣く次なる夏に延期です。
しかし、本人はテロリストなんてまったく気にしていません。



  私から、あなたへこの歌を届けよぉ
     青い空に輝くヤシに、とけ込むあなたへ
  生きてるあなたへ、この歌を届けよぉ
     転んだらまた起きればいいさ、そしてまた転ぼうよ
  知り合えたあなたに、この歌を届けよぉ
     この空の下にみんないるよ、この海も続いてる
  去り行くあなたへ、この歌を届けよぉ
     子ども達は知っているよ、あなたの心を、透き通るよおな