2004.12 〜 2005.1 アンナプルナ・ダウラギリの山旅

初の海外トレッキングへと行ってきました。


  12月29日 天候 雪
   東京では今年初めての雪が降った。
   朝から降っている雪は成田についた3時過ぎになってもまだ降り続いている。
   定刻通りにフライトできるのだろうか。

    搭乗手続きを終え出発ロービーで搭乗を待っていると、同じ機にこの旅行直前インド洋沿岸を襲ったツナミの被災地への救援活動のためだろう。
   東京消防庁のレスキュー隊の方々も乗っていかれた。
   ほんとうに頭の下がる思いである。
   どうか無事で活動してくださいと祈らずにはいられない。

   成田17:15発 タイ航空677便
   ほぼ定刻通りに無事離陸。

   ただいま 日本時間   22:15
   そして  バンコク時間 20:15

   バンコク到着まで2:20ほどである。
   窓の外に目を向けると月を見ることはできないが、月明かりに照らされて雲海がどこまでも続く幻想的な世界が広がっている。
   さらに、目を上に向けると機内の明かりではっきりとはしないが、いくつか星が瞬いている。

   到着まで後1時間ほどというところで機内のモニターの表示が、搭乗機がインドシナ半島に差し掛かったことを示している。

   23:00 バンコク到着

   大阪からの便の到着を待ってホテルへと向かう。
   ここで、今回のツアーメンバー全員が揃う。
   我々の便もかなり遅れたが大阪からの便も遅れ、ホテルに着いたのは24:30を過ぎていた。
   


   12月30日  天候 はれ
   5:30起床
   薄明のバンコク市内をホテルの窓から見下ろす。
   なんとなくモヤが掛かっているような感じである。
   朝食を済ませ空港へと向かう。
   さすが仏教国、空港へ向かう途中の高速の左右にはあちらこちらに黄金に輝く寺院が建っている。
   バンコクは直接被災した訳ではないためか、いたって普通の姿がそこにはあった。

   10:30発 タイ航空 319便にて、いよいよネパール入りである。

   12:45 カトマンズ空港着 (カトマンズ 標高約1400m)
   ネパールは以前治安上の不安があったためか、空港をでると銃を構える兵士達のお出迎えであった。
   だが、ホテルへ向かう車から見ると到って市民は平和そのもの、銃を持つ兵士達とのなんともアンバランスな、平和ボケしたわたしには不思議な光景である。
   ただ、肩から下げている分にはその前を通ってもどうということもないのだが、やはり水平に構えられた銃口の前を通り過ぎるのは気持ちのいいものではない。

   13:45 ホテル着

   夕食までの2〜3時間を利用して市内観光へ。
   市内は商店がならぶ通りへ入ると人がひしめき合っていたり、観光客とみるとお土産物売りがしばらく着いてくる。
   その人たちをなんとかやり過ごしながら、世界遺産ともなっている旧王宮やヒンデュー教の寺院などを見学。
   世界遺産へ入るにはツーリストは入場料が必要である。
   もちろん市民はフリーパス。
   生活の場のど真ん中にこのような場所があるのだから。
   お土産などを見ながら戻ることに。

   夕食は、ホテル内にイタリアレストランなどもあるのだがここまで来てイタリアンでもないし、折角だからとホテルの近くにあるネパール料理のお店へ。
   モモという餃子みたいなものや煮込み料理と、美味しい料理がたくさん出てきた。
   ホテルに戻り明日からのトレッキングのためのパッキングをしなければならない。
   それほどの荷物にはならないだろうと思っていたのだが、あれこれと随分な量になってしまった。


   12月31日  天候 はれ
   6:30 起床

   カトマンズは盆地のため霧が出やすいし、そして車が多いためにスモッグもまたすごいのである。
   そのためまず朝起きての心配はフライトできるかどうかということになる。
   できなければ、予定が全部狂ってしまうのだから。
   だが、本日は大丈夫そうである。
   朝食後空港へ。

   9:00 空港着
   国内線のターミナルは駐車場から舗装もしていない水溜りのあるようなところ通った先にある。
   空港のターミナルというよりは地方の市場というような感じの建物である。

   9:50 カトマンズ発

   10:20 ポカラ着   (ポカラ 標高約900m)
   30分程のフライトであったがヒマラヤの峰々がほぼ同じ高さに望まれる遊覧飛行のようなものであった。
   ポカラ空港はこじんまりとした空港で、この季節にもかかわらずお花に彩られている。
   そして、左手奥にはマチャプチャレが聳えている。

   ポカラという言葉には「大きな池、湖」という意味もあるようです。

   空港には今回お世話になるポーターたちが私たちの荷物を運んでくれるために来て待っていてくれた。
   ただ、空港内は利用者以外は入れないとのことで空港の外で。
   空港から歩いて5分程のところにこのツアーのベースとなる場所がある。
   ここで、今回お世話になるガイド・キッチンスタッフ・ポーターすべての人たちとの顔合わせ、我々はツアーガイドも含めて9人であるがその倍以上の人数である。
   なんとも贅沢なツアーである。    昼までにはまだ時間があるのでポカラの町へ散歩へとみんなで出かけることに。
   映像などではよく見かけたりする風景ではあるが、本当に牛が道路をのんびりと歩いていたり、道路脇に寝そべっていたりする。
   市内からヒマラヤの山々を眺めるのに素晴らしい場所・ペワ湖畔へ。
   途中にはホテルやレストランなどツアー客のための施設が立ち並び、この季節にはクリスマスから新年に向けての飾り付けがなされているのであるが、今年は人がとても少ないようである。
   戻ってくるとピクニックのようにシートが広げられて、食事の用意が整っていた。
   食事が終わるといよいよツアー用の荷物をすべてバスの上に載せて出発、したがいきなりのハプニング、載せた荷物がひとつ落ちてしまった。
   気を取り直して今度こそ出発。

   13:25 ポカラ発
   市内を抜けるまでは主要道路には兵士が銃を構えていたり、兵士による検問などがあって止められたりする。

   14:35 登山口 ルムレ着
     いよいよここからがこのツアーの本当の出発である。
   本日は初日でもあり、それほどのアップダウンもなくビスターリ(ゆっくり)と歩いて、1時間程で本日の宿泊地チャンドラコットへ到着

   15:35 チャンドラコット
   生憎の曇り空ではあるが、マチャプチャレ(残念ながら現地の表記をPCでは書けませんので・6993m:山名の由来は山容が魚の尾のように見えるところから)は全容を現しているが、アンナプルナサウス(7219m)は雲にそのピークを隠されてしまっている。
   ただ、2004年最後の夕日を望むことはできた。

   18:00から夕食
   これからの5泊6日の山中はツアーと同行していくキッチンスタッフが3食とも作ってくれることになっている。
   どのような料理がでてくるのか不安と期待が。
   本日のメニューの一部で気に入ったのは、ジャガイモ・カリフラワー・ニンジン・タマネギを煮込んだもので、どれも我々の口に合う味付けがなされており、とても美味しくこれからも楽しみである。

   夕食が済んでしまえば後は寝るだけ。(^_^)
   ロッジは二人部屋でベッドの寝袋に潜り込んで寝ることに。

   ここ、チャンドラコットにだけ電気が引かれていないので、夜はロウソクの灯りが唯一の明かりである。
   しかし、谷を挟んだ対岸は上から下までいろいろな色の電灯で、星空を地上に移したかのようである。
   


   2005年1月1日  天候 くもり
   6:30 起床

   スタッフがモーニングティーを部屋まで運んできてくれる。
   半分眠っていた頭も熱いお茶で目覚める。
   部屋の窓から外を覗いてみると、残念ながら曇りのようである。
   外へ出てこの雲では朝日に染まるヒマラヤは望めないなと思っていると、アンナプルナサウスに光が当たり始めみるみる茜色に染まっていったが、それもほんの一瞬でまた鉛色の雲に沈んだ姿となってしまった。

   本日は元旦、日本にいればお節だお雑煮だろうなあ〜などと思っていると、なんと朝食にお雑煮がでてきたではないか、これには一同感激。
   まさか、ネパールの山の中で食べられるなんて思ってもいませんでした。

   《この後5日間の間にはおしるこやおでんなどもでてきたりして、毎回今度はどんな食事だろうと期待して待つことに》

   8:00 チャンドラコット発
   本日の行程 徒歩約6時間の予定

   ここから望むことはできないが、一旦谷の間を流れる川(モディ・コーラ)まで下ることに。
   我々にしてみればこの道は登山道なのであるが、現地の人にしてみると生活道路である。
   そのせいばかりでもないだろうが、ゴミ箱に捨てるという習慣がないのかと思ってしまうくらいとにかくゴミがすごい。
   ちょっと村まで持っていってすてればいいものをと思うのだが、あちこちに落ちている。
   見かねた今回のツアーリーダーが拾い始めた。<結局、最終日まで毎日続く (^_^;) >
   でも、どんなものが捨てられているのだろうかとちょっと興味がわいて、わたしも少しお手伝い。
   インスタントラーメン・ガム・タバコ、この3つがほとんど。
   お陰でネパール語のお勉強も。

   ビジュリ 1)稲光、稲妻、電光  2)電力、電気
   ちなみにこれはタバコの銘柄。

   ほんとうに数戸単位の家々がこの道の途中に建っている。
   そんな家々の軒下のようなところを通っている道を通り抜けて歩を先に進める。
   かなりな下りであったがなんとか川辺までたどり着き、吊り橋を渡って対岸へと向かう。
   ここで小休止。
   吊り橋の手前で見かけた少女は橋を渡ってくるとすぐの家へと姿を消した。
   彼女は大きなカゴに燃料にするのだろう薪を山ほどに背負っていた。

   10:50 シャウレバザール着
   ここで昼食

   12:00 シャウレバザール発
   ここからはひたすら登りである。
   シャウレバザールから本日の宿泊地・ガンドルンまでは石畳の舗装された道が続いている。
   また、谷を挟んで両側には見事な段々畑が下から上まで続いている。
   ゴミ拾いをしたり、振り返って今来た道を見下ろしたりしているうちにようやく目的地・ガンドルンに到着
   

   15:20 ガンドルン着
   本日宿泊するロッジ

   本来ならここからがマチャプチャレ・アンナプルナサウスを望む上で、このルートでは最も近いので晴れていれば見上げる程のところであるが、重く垂れ込めた雲はなかなか晴れそうにない。
   日が暮れるころになってようやく少し晴れたが、山の背景は相変わらず鉛色の空である。
   そして、夕闇の底へと消えていった。


      1月2日  天候 くもりのち晴れ
   7:00 起床

   東の空は晴れているので朝焼けに染まる峰々を期待していたのであるが、やはり雲が多かったためかアンナプルナサウスも一瞬その色を変えただけで終わってしまった。

   8:30 ガンドルン発
   本日の行程 徒歩約4時間の予定

   だいぶ雲も薄くはなってきているようだが、まだ青空を見せる気配はまったくない。
   これは今日もまただめなのかと半分諦めかけて登り始めていると西の空から青空が見え始め、その範囲がみるみると広がりついに待ちに待った濃紺の空をバックにした白く輝くヒマラヤの峰々が浮かび上がった。

   日本ではシャクナゲは2〜3mの高さでも大きい方であるが、ここは密林と思う程で10mはありそうな高さである。
   花の季節は3〜5月とのことだがあんなに高くてはよく見ることができないばかりか、首が疲れることだと思う。

   1月の日本の2000m以上の山ではたぶんほとんどが雪に覆われてしまっているだろうと思われるのに、ここではサクラソウやジンチョウゲなどの花が咲き競っている。

   11:50 バンシーカルカ着 (2450m)
   ここで昼食
   13:00 バンシーカルカ発

   13:50 タダパニ着 (2725m)
   快晴の青空の下、風もなくとても暖かなそして穏やかな日である。
   テラスからはアンナプルナサウスがとても身近に望むことができるし、最高の時間が過ぎていく。
   そして日の入り、アンナプルナサウスは見事に染まった素敵な姿をわたしたちにプレゼントしてくれた。

   18:00 夕食
   本日のメニュー おでん、炊き込みご飯、親子煮、トマト味のパスタなどであった。

   夕方から少し雲がでていたのだが夜半にはその雲もなくなり、こちらへきて始めての満天の星空を望むことができた。


   1月3日  天候 晴れ
   7時起床

   朝から快晴であったお陰でようやく日の出を見ることができた。
   これが、わたしの初日の出であった。

   食料などの荷物が減ったためにポーターとして一緒に来ていた女の子3人がここから帰ることになった。
   ちょっと可哀相であるが仕方のないことなのだろう。

   8:30 タダパニ発
   ここからもまだシャクナゲの密林の道が続く。
   南斜面ではやはり暖かいためか赤い花がついているものもあったりする。
   滝のある沢沿いの道をデオラリへと向かう。
   途中滝のあるところで猿の群れに出会ったが、日本猿に似たような感じであった。

   12:10 デオラリ着
   ここで昼食
   13:25 デオラリ発

   この頃からいままで晴れていたのがウソのように急に雲が増え始めてきた。
   本日の宿泊地・ゴラパニを見下ろす丘まで来ると真下にはジョムソンへと続く深い谷が望まれる。
   そして正面にはダウラギリT峰(8167m)が、さらに右へと顔を向けていくとすぐそれとわかるツクチェピーク(6920m)と続いている。

   15:20 ゴラパニ着 (2853m)
   ここはアンナプルナ・ダウラギリの好展望の丘プーン・ヒルがあるためロッジや土産物店が軒を連ねている。
   夕食まで時間があるので散歩がてらそれらを見に出かけたのであるが、その中にプールバーがあったのには流石にびっくりさせられた。


   1月4日  天候 快晴
   5:00 起床
   昨夜寝る頃には曇っていたため天候が気になり恐る恐る部屋のカーテンを開け外を覗いて見ると満天の星空が広がっていた。

   5:30 ホテル発
   真っ暗闇の中ヘッドランプをつけてプーン・ヒルへと向かう。
   ちょうど1時間で到着。

   6:30 プーン・ヒル着
   ダウラギリの峰々からアンナプルナにかけての白い峰々は、その大きさにはやはり圧倒させられる。
   そうしているうちにそれぞれの峰に朝日があたりはじめて見事に染まり始めた。
   ただ、ダウラギリT峰に掛かった雲だけがどうしても離れていってはくれなかった。
   1時間のショウを充分に堪能したのであるが、時間を全く感じさせない素晴らしいものであった。
   名残惜しいのではあるがいつまで見ていてもきりがないし、時間もないので後ろ髪を惹かれる思いでプーン・ヒルを後にした。
   たぶん一日見続けていても飽きることはないだろう。

   ダウラギリ:これはヒンディー語で「白い山」を意味しているようです。
   ちなみにヨーロッパにもこれと同じ意味をもつみなさんもよくご存知の山がありますが、おわかりになるでしょうか。
   答えは最後に(^ _ ^)
   

   7:30 プーン・ヒル発
   8:00 ホテル着

   ここを下ってしまえばもうダウラギリ方面は見ることができなくなるため、最後にもう一度目に焼き付けておこうと開けたところまで足を運び、そして別れを告げた。

   9:20 ゴラパニ発
   ここからはひたすら下るだけである。
   どこかのロッジででも飼っているのであろう犬が、我々の先になり後になり見送ってくれるためのように1時間近くも急な坂道を一緒に下ってきてくれた。
   そして途中荷上げのための馬と出合ったのであるが、この馬には素敵な飾りつけがなされていた。

   12:15 バンタンティ着
   ここで昼食
   食事をするためによったロッジにとてもかわいい子犬がいて、日本に連れて帰りたいくらいだねと一同。

   13:15 バンタンティ発
   ここからはさらに急な石の階段が続く。
   雪を頂いた山と菜の花畑を一度に楽しみ、ここらあたりでアンナプルナともお別れである。

   15:35 ティルケドゥンガ着
   山での最後の宿泊地である。
   夕食の後お別れパーティーをスタッフのみなさんが開いてくださり、歌にダンスにと、そして我々も一緒に踊って楽しいひとときを送り最後の夜は更けていった。


   1月5日  天候 晴れ
   6:30 起床
   7:30 出発
   ここからバスの待つナヤプルまで渓谷沿いに約3時間の下りである。
   今までは点在していた家々もだいぶ増え、途切れないくらいとなる。

   9:50 ビレタンティ
   10:35 ナヤプル着
   いよいよここで山とお別れである。
   山中5泊6日長いようであっという間に過ぎていった日々であった。

   10:45 バスにてポカラへと向かう。
   12:05 ポカラ着

   14:55 ポカラからカトマンズへ
   戻る飛行機の窓から今回見てきた峰々を見ることができた。
   今度こそお別れである。

   15:30 カトマンズ着
   ネパール最後の夜
   ホテルの窓からは黄昏ていく空に山のシルエット、そして街にはすでに漆黒の空間が訪れている。


   1月6日  天候 晴れ
   ネパールに別れを告げる前に最後にヒマラヤの遊覧飛行を楽しもうと空港へ。
   今朝は霧のためにフライト時間がだいぶ遅れた。
   わたしたちには帰りのフライト時間があるので、あまり遅れるようならば諦めねばならないところであったがなんとか間に合った。
   エベレスト・マカルーなどヒマラヤを代表する峰々を堪能し、1時間のフライトを楽しんで終えた。
   空港へ戻るとそのまま国内線から国際線のターミナルへと移動。

   エベレスト:現地名サガルマータ
   サガルマータには「天空+頂・頭」という意味がくっついてできたようです。

   13:50 カトマンズ発
   18:15 バンコク着
   ここはトランジットのためによるだけのため、成田行きのフライト時間まで約5時間半を空港内で過す。
   空港内で今までの疲れを少しでも癒そうとマッサージをしてもらう。
   出発ロビーへと向かうと、ここでもフランスの救援隊だろうか帰国の便を待っていた。


   1月7日  天候 晴れ
   日本の空も晴れているようだ。
   房総半島が見えてきて、廻り込むようにして成田空港へ定刻通りに着陸。

   これでこの旅行も終わりである。
   ご一緒させて頂いた方々との楽しい時間、しっかりと目に焼き付けてきたヒマラヤの峰々、とても素晴らしい時間であった。

   白い山の意味を持つヨーロッパの山:モンブラン です。


   随分と長くなってしまいました。
   これでペンを置くことに致します。

  最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。m(_ _)m


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