2001夏山日記
今年の夏は北アルプス・大天井岳〜常念岳〜蝶ヶ岳〜上高地とめぐってまいりました。
8月29日
23:50発急行アルプスにていよいよ山へ出発
北アルプス方面へ行く場合、わたしはほとんどこの列車を利用している。
なぜなら、時間も然ることながら急行でありながら特急車両を利用しているためあの硬い椅子ではなく
リクライニングシートで楽だからである。
さて、週末であればかなり込むこの列車も水曜日ということもあってすいている。
登山客などいないだろうというわたしの意に反して思ったよりいたのには驚いた。
8月30日 天候 くもり
4:52 穂高駅着
夜明けまでもう少しという、ほんのりとしらみはじめた穂高駅に降り立ったのはわたしを含めて5〜6人である。
ひとりで中房温泉までタクシーに乗るのはちょっと金額がかかるので一緒に行く人を探すと、
和歌山からこられたと言う方と運良くご一緒させていただけたので助かった。
穂高駅より中房温泉へ向かう途中で空が明け始め、着くころにはすっかり明るくなっている。
空は一面雲に覆われているのでちょっと心配。しかし、運転手さんの「きのうも朝のうちは曇っていたけど晴れたよ」
のひとことで安心。
中房温泉について軽く朝食を済ませる。登山者カードに記入・提出
6:00 中房温泉出発
ここの登りは急なことで有名であり、小屋のすぐウラからいきなり急な登りとなる。
樹林帯の中をほぼ稜線近くまで登るので、ほとんど景色を楽しむことが出来ないのが残念。
この間、第一、第二、第三、富士見とベンチが適度な間隔を置いて休憩場所がある。
第一ベンチのすぐ下で給水をしていく。
ここが最後の水場で、あとは小屋で分けてもらわなければならない。
稜線近くになるまでお花も少ないのでただひたすら登るだけである。
わたしと相前後して出発した人たちと後になり、先になりしながらの登山。
休憩場所では、しばしお互いの今回のコースやきょうの予定などで話がはずむ。
3時間半ほどで合戦小屋に到着。ここの小屋は休憩のみで宿泊はできない。
晴れていれば、小屋の少し手前の樹林帯の隙間から槍の穂先が見えるのだが、きょうは
残念ながら雲の中である。
合戦小屋を過ぎるとようやく樹林帯を抜け視界が広がる。
燕山荘まで、あともう一息だ!
ようやくお花の種類も増えてきたが、この季節ではもうそろそろ終わりである。
燕山荘の直ぐ下では、トリカブトの群落が見られた。
11:20 燕山荘到着
槍・穂高、そして裏銀座方面の山々が姿を現してくれた。
そしてもうひとつ、とても可愛らしいお出迎えに。
燕山荘前の石垣の間にイワヒバリが子育てをしており、覗くと二羽のヒナが親鳥が
運ぶエサを待って、こちらに可愛らしい顔を向けている。
ここに荷物を置いて、燕岳方面へコマクサを撮りに、もう8月も終わりという時期
では、お花もやはり終わりに近い。
コマクサは小石を敷き詰めたようなガレ場にへばりつくように咲いている。
こんなに条件が悪いのに、よくこんなに素敵な花を咲かせられるものとあらためて自然
の強さを感じずにはいられない。
画像をクリックしてみてね!
12:45 燕山荘出発
本日の目的地・大天井岳へ向かう。
雲の色がやや濃さを増して来たようだ。急ごう!
右手前方に槍・穂高の稜線を見ながら、そして以前に来たときにはそれほど気にも
留めなかったお花にも目を向けながら。
いよいよ雲行きが怪しくなってくる。
大天井岳への最後の登りに入るころより、ついにぽつぽつと雨が降りはじめた。
しかし、それほどひどくなる前に小屋に到着。
テントではあったのだが、雨のなかでの作業を考えだらしなくも小屋に素泊まりとすることに。
夏山シーズンも終了間近のためかすいているので助かった。
ハイシーズンなら場所によっては、布団1枚にふたりなんていうことも有り得るのに、
5人ほどが寝られる場所にきょうはひとりである。
一足先にわたしは夕食を。
夕食は持参の牛丼とスープギョウザ、デザートにオレンジ以上である。
他のみなさんも夕食の時間。
今夜お泊まりの他のみなさんはお疲れなのか、夕食が終わると直ぐにお休みになられた。
わたしはというと、ウィスキーを飲みながら消灯の9時までのんびりと静かな時間を過ごす。
もう一方下りてこられて、しばし山の話などをする。
都会では考えられないような時間である。
8月31日 天候 くもり
深夜雨の音で目が覚める。
きょうは雨の中を歩かなければならないのかと憂鬱な気分になる。
雨の音を聞きながらうとうとしているうちに、雨音が小さくなっていくようだ。
それから少し寝たのだろうか。
夜明けが近づきあたりが明るくなるころには、雨は止んでいた。
曇り空ではあったが槍・穂高の稜線が、そしてきのう歩いてきた燕方面が雲海の向こうに見える。
しかし、あっという間に槍・穂高の稜線は雲の中に消えていってしまった。
さあ、きょうは蝶ヶ岳までの長い道のりだ。
山が望めないのでそのかわりお花でも。
いままで特にお花をと思ったことがなかったので気づかずにいたが、こうしてみる
と結構見られるものである。
9:15 常念小屋到着
常念岳への登りを前に一息。
昨日小屋でご一緒したご夫妻とここで一緒になり、カップラーメンを頂いてしまう。
9:40 常念小屋出発
11:10 常念岳頂上到着
常念岳頂上では、頂いたカップラーメンで昼食をとる。
その後30分ほど暖かな日差しを受けて昼寝をしてしまった。
12:30 出発
常念岳の下りが終わると再び樹林帯のなかのUP・DOWNが続く。
ピークが3つのはずなのにいくつ越えてもまた次という感じが続き、はたしてたどり着けるのかと、少々疲れもでてくる。
ただ、雷鳥の親子がこの疲れをしばし癒してくれる。
蝶ヶ岳の頂上は標識もなく気を付けていないとちょっと見過ごしてしまいそうなところである。
一応、三角点と岩にペンキで頂上と書いてはあるのだが。
小屋までもう一息。
16:10 蝶ヶ岳ヒュッテ到着
9月1日 天候 晴れ
4時過ぎに目が覚め、窓から外を覗くとなんと晴れているではないか。
カメラ・三脚を取って外へ出てみると、東の空は日の出を待つばかりで黄金色に輝いている。
目を少し上に向けると冬の星座「オリオン」が薄明のなかに浮かんでいる。
西に目を移すとず〜っと待っていた景色、槍・穂高の稜線が夜明けを待つ薄暗がりのなかに横たわっている。
南に目をやれば、乗鞍・御嶽山が雲海のなかに浮かんでいる。
さらに、富士も小さくではあるが、その姿を雲海のなかに浮かべている。
折角であるので、朝食はこれらの峰峰が見られる外のベンチですることにした。
何時間見ていても飽きない景色ではあるがきりがないので、7:50に重い腰をようやく上げることとした。
ここからは、ただ下るだけである。
小屋の前をでると直ぐに樹林帯の中に入ってしまい、この壮大な景色ともお別れである。
途中蝶ヶ岳へ登る登山客5〜6組とすれ違っただけ。
3時間半の下りで徳沢に着いた。
(ついでながら「徳沢園」は小説「氷壁」の舞台となった小屋である。)
山登りはほぼここで終了、あとは梓川沿いの観光コースを上高地までのほとんど平らな道を辿るだけである。
晴れていた空が上高地に近づくに従って次第に雲に覆われはじめてしまった。
そして、河童橋に着いたときには、奥穂付近も雲が覆ってしまい全体を見渡すことは出来なかった。
こうしてわたしの今回の山行は終わりである。
やはり、もう一度星空か、満月の夜にでも蝶ヶ岳まで登って槍・穂高の夜の姿を写真に収めたいものである。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。m(_ _)m
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