2003・5 穂高紀行
北アルプス・穂高へは、今年の初登山となりました。
昨年のJRのダイヤ改正により週末以外の夜行列車が廃止となってしまったために平日に上高地に入るためには前夜発の夜行バスか早朝の列車を利用しなければならない。
だいぶ不便になった。
朝から入山がかなり限定されるものとなってしまった。
今回も八王子8:33発のスーパーあずさ3号に乗る。
やはりビジネススーツの方が多い。
甲府を過ぎると車窓には稜線上に雪を湛えた南アルプスがその長大な峰々を横たえ、そしてひときわ目立つ山容の甲斐駒が目に飛び込んでくる。
しばらくすると反対の車窓には八ヶ岳がやはり稜線付近に雪を残した姿を横たえている。
定刻通り10:37に松本駅に到着
東京では汗ばむほどの陽気であったのにホームへと降り立ったときには肌寒く感じられるくらいであった。
松電への連絡通路から北アルプス南部の稜線
上高地は雲ひとつない快晴である。
雪をいただいた穂高の峰々が青空をバックによく映えている。
きょうは比較的に空いている。
これが3日になれば山を見に来たのか、人を見に来たのかということになってしまうのだろう。
1:30バスターミナル発
2:20明神通過
3:05徳沢着
横尾でテン泊と考えていたが、徳沢へ着いてみると芝が芽吹き出し、人も少なく広々としているのでこちらでテントを張ることにした。
前穂を眺めながらビールで一息。
都会の喧騒を離れまさに別世界である。
ちょっと早いが4:00過ぎに夕食。
本日のメニュー・五目焼きそばとはいうもののなんのことはない、持ってきたかた焼きそばの上にレトルトの中華丼の具をかければ出来上がりである。
食事をすると日々の疲れと久しぶりに重い荷物を背負っての歩きで眠くなり5:00に寝袋の中へ。
一度7:00ごろに目覚めたがもう一寝入り。
9:00に目覚め空が気になったので外へ出てみると、そこには満点の星空が広がっていた。
物音と言えば、ごうごうと流れる川の音とこの日記を書くために走らせているペンの音だけである。
ただいま10:20
テント内の気温、一応10.9℃を差してはいるがもっと低いような気がする。
この表示通りであったとしても、これでも都会ではかなり寒く感じる気温であろう。
6:45 徳沢発
徳沢・横尾の間には随分と雪が残っている。
7:45 横尾着
荷が重いのもあるが、足元にも気をつけなければならないこともあって、雪のない季節であれば50分足らずのコースも1時間たっぷり掛かってしまった。
ここまではほぼ平らなコース、いよいよここからが登り。
8:10 横尾発
横尾から穂高へと向かうにはすぐに橋を渡るのであるが、槍ヶ岳を源に梓川がその清流を横たえている。
途中本谷橋は完全に雪の下に埋もれてしまっている。
雪渓が大きな口をあけている箇所が2ヶ所ほどある。
屏風の頭あたりまではそれでもなんとか来たのであるが、そこからがまた長い。
そして、涸沢ヒュッテの小屋が見えてからが一苦労である。
来る人・来る人みながそう思っているようで、蜃気楼のごとく(いや逃げ水のごとくか)ちっとも近づかないのである。
13:25 涸沢着
日頃の運動不足というよりも20kg以上の荷物を背負ってくるためにはトレーニングをしなければと改めて思い直した。
昨年の登山でいやというほどに思い知らされているのに懲りないヤツである。
しかし、きょうも天候に恵まれ申し分のない一日である。
3時を過ぎるころより少し雲が出てきた。
日が西に傾き山陰に隠れてしまうと半そででも丁度いいくらいの陽気だったのがいきなり寒くなってくる。
2300mでは当然のことなのであろうが。
きょうはまだ5/2、暦通りであればまだ休みではないのであるが、山へ来ようという人は私も含めて天気が良さそうであれば休暇を取ってでも来るのであろう。
2日にして涸沢のテント場はかなりの混みようである。
明日になったらテントを張る場所があるのだろうか。
毎回ここ涸沢に来るとひとり、ひたりとスケッチブックを広げている人がいる。
いつもうらやましく思っていた。
今回、わたしもスケッチブックとパステルを持ってきた。
絵を書くなんて何十年ぶりだろうか。
学生時代にデッサンを遊びで書いて以来になるのだろう。
まあ、自己満足を脱するにも程遠い世界ではあるが。
8:30外へ出てみると冷え込んできたお陰か、夕方出ていた雲もすっかりとなくなり今夜も満天の星空である。
写真を撮るには涸沢小屋の灯りが消える9:00過ぎを待たねば、明るすぎてだめであろう。
きっと小屋の中はまだ賑やかであろうが、このテント場はほとんど灯りも消え静かに眠りについたようである。
6:15 涸沢出発
9:20 北穂頂上着
こちらの登りも奥穂への登りに劣らず、見上げるような登りが続いていた。
途中富士がよく見えていたのであるが、頂上へ着くころには暖かいためか雲が上がって見えなくなってしまった。
それ以外は360°の展望である。
加賀の白山はその名のごとく雪を頂き真っ白である。
槍ヶ岳は相変わらずその鋭鋒を天に突き刺している。
今回来る直前に「穂高よ永遠に」という番組が放送されたのであるが、そのときに見た小屋の後ろになる雪の壁はその通りに5〜6mはあろうかという雪の壁であった。
いつまで見ていても飽きないのであるが、そうしていると下りられなくなってしまうので意を決して下山。
10:30北穂を後にする。
11:45 涸沢着
13:30 涸沢を後にする。
いやあ、上がってくる上がってくる。
涸沢から下りはじめて屏風あたりまで人の波が途切れることなく続いている。
その後も少しではあるが登ってくる。
この様子では涸沢はテント場も小屋もすし詰め状態であろう。
横尾でテントを張ろうかとも思ったが、ここもいっぱいである。
それを横目に通過。
横尾・徳沢の間でも続々と団体の登山客が登ってくる。
この時間帯であれば当然横尾泊まりのはずである。
小屋はどのようなことにあいなっているのか。
そして徳沢。
5/1に入ったときには12〜3張であったテントがきょうは3倍ほどあるようだ。
下山してきた人は10張り程度で、後はきっと明日涸沢や蝶ヶ岳へ登る人たちだろうと思われる。
7:30 徳沢発
8:00 明神通過
8:40 上高地・河童橋着
連休の中日にもかかわらず比較的に観光客の人も少ないようである。
バスターミナルの軒下では今年もツバメが子育ての真っ最中で賑やかである。
そして、いつものように対岸にあるアルペンホテルで山の汗を流し、ようやく今回の山行も終わりに近づいてきた。
予定より早いバスに乗り上高地を後にした。
しばしのお別れである。
今年はまたいつこの地を踏むことになるのであろうか。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。m(_ _)m