2002・10 涸沢 紅葉の山旅
北アルプス・涸沢へ紅葉を見に出かけて来ました。
10月11日 天候 はれ
きのう・きょうといいお天気が続いている。
天気図を見ても高気圧が日本列島の真ん中にでんと居座っている。
あと3日がんばってほしいものである。
これはいま立川へ向かう途中で書いている。
もうすぐ日付が変わろうとしている。
12時間後には穂高の紅葉の中に立っているはずである。
日付が変って、いま立川の駅である。
8月・9月といままでは時期をずらしていたのでそれほどの混雑ではなかったが、きっと今夜の急行アルプスは自由席であれば席についたらもう動くこともできないほどの混み具合のことだろう。
やはり相当な混み具合のようである。
立川駅では自由席の1・2号車への乗車が困難ですので他の車両で待つようにとのアナウンスがされている。
やはり指定を取ってよかったと、ほっとする、と同時に1週間前でよく指定が取れたと思い返している。
12:19発急行アルプスに乗る。
ここのところの寝不足もあってビール1本ですぐに眠くなった。
10月12日 天候 はれ
松本に着くとやはりすごい人であった。
だが、松本の街はまだ眠りの中である。
松本・新島々間の臨時列車も乗り切れないほどの混みようである。
登山客はどうしても荷物が大きいために立つ人もそれほど入ることができないのである。
新島々に着くとここでも「充分なバスが用意せれているので走らないように」などのアナウンスがされている。
この列車で着いた人たちだけでいったいバス何台が出ていくのだろうか、などと思っているうちに、漸く東の空が明るくなり始める。
途中おひとりだけ島々で下車されていった。
徳本峠への道を登られるのであろう。
ここは以前の日記にももしかしたら書いたかもしれないが、釜トンネルができる以前、上高地の素晴らしさを紹介したウェストン等が通った道である。
釜トンネルを過ぎるといよいよである。
大正池の向こうに穂高の峰々がそして焼岳が噴煙を上げている姿がはっきりと見られる。
上高地へ着くといつもであればバスターミナルの待合室前あたりで降ろされるのであるが、今回はバスターミナルに入ってすぐのところで降ろされることになった。
こんなことは初めてである。
バスターミナルはすでに満車状態であった。
7:10バスターミナル発
すごい人である。
いったい今日はどれくらいの人が入るのであろうか。
前後共ずーっと列をなしている。
8:00明神通過
9:00徳沢通過
途中の明神岳の見える梓川の河畔で朝食。
9:50横尾着
休んでいる間もひっきりなしに人が入ってくる。
上高地ほどの人の多さである。
10:20横尾発
11:40本谷橋着
本谷橋で一休みしている間も休みなく人が上がってくる。
これから下山という人たちはこの切れ間のない人に眼をやりあぜんとしている。
私自身このような経験はいまだにない。
遙か上空からこの様子を眺めればアリの行列よろしく見えることだろう。
このような状況で涸沢の小屋はいったい眠ることがというより横になることができるのであろうか。
本谷橋付近がちょうど紅葉の盛りのようであるがこの辺りにはナナカマドが少なく黄色一色という感じである。
11:50本谷橋発
ここへ来てちょっとしんどいものがある。
普段の運動不足のせいである。
休憩も多くなってきた。
でも、まあ涸沢までであるしのんびり行ってもそれほど遅くなることもないであろう。
14:30涸沢着
さて、涸沢の紅葉であるが、やはり先日降った雪のせいであろう、残念ながらナナカマドはすでに真っ赤な実を残すのみで葉はほとんど落としてしまっているが、わずかばかりが残っている。
ダケカンバの黄色は多少色あせてしまっているが残っている。
その代わり吊尾根には雪が残っており、その分埋め合わせをしてくれたようだ。
ところで今夜の泊まりであるが、テント場も負けず劣らずというくらいに花を咲かせたようなカラフルな賑わいである。
テントを張る場所を確保するのもたいへんである。
ようやくテントを張って一息である。
涸沢ヒュッテでうわさのおでんと生ビールで今日一日の疲れを癒す。
日が差しているうちは暖かであった涸沢も穂高の稜線に日が陰ってしまうと急速に気温が下がっていく。
汗ばむほどの気温であったのが17:30のいまでは5℃くらいまでになっている。
軽く夕食を済ませ寝袋に潜り込むがさらに気温が下がっているようである。
温度計みると間違っていなければ氷点下を示している。
これでは寒いはずである。
だが、しばしうとうとする。
そして、9:00過ぎにちょっと外に出てみる。
天の川も横たわる満天の星空で、息を呑む美しさである。
そして深夜。
まだ多少起きている人はいるがテント場は静まり返っており、ほとんど物音はしない。
気温もさっきよりは少し上がったようである。
寒さがそれほどでもなく感じられる。
再び外へ出てみる。
相変わらずの満天の星空である。
これなら間違いなく明日も晴天であろう。
10月13日 天候 はれ
今朝は4:30起床
朝食は前日のお昼にと持ってきたおにぎりを詰め込んだ。
洗面などをしているうちにだいぶ東の空も明るくなってきている。
と思っているうちに穂高の峰々がめざめ、モルゲンロートに輝き始めた。
だが、このショーも数分で終わりである。
日が高くなると急速にオレンジ色に染まっていた峰々も急速に色あせていってしまう。
今回9月に登った槍ヶ岳を眺めるべく北穂へ登ることにしていた。
というのは、9月に登ったときにはお天気が悪く、槍・穂高の稜線を眺めることができなかったからである。
7:00涸沢発
先日降った雪が北斜面に残り赤・黄・緑・白・青とコントラストが見事である。
北穂への登りここでもまた渋滞である。
鎖場などなれていない方が多いようでここで溜まってしまうようだ。
失礼して先に行かせてもらうことにする。
このペースに付き合うと1時間近く余計に掛かってしまいそうである。
雪が北側の吹き溜まりなどに少し残っている。
9:15北穂高岳頂上着
ここでもまたすごい人である。
30〜40人いるのではないだろうか。
きょうは360°の展望である。
富士山は薄もやの中に浮かんでいる。
八ヶ岳・南アもやはりうっすらと掛かったもやの中である。
首をめぐらせると、雪をつけた滝谷が圧倒的なすごさで迫ってくる。
そして、槍ヶ岳。
やはりいつも見てもいい山である。
9月に槍ヶ岳に登ったときには悪天候のために槍・穂高の稜線は雲の中であったが今日は見事に全景を現している。
暖かく気持ちのいい山頂で槍ヶ岳をのんびり眺めているうちにあっという間に時間が過ぎて1時間以上もここにいてしまった。
10:30北穂高岳頂上発
この景色を目に焼き付けて後ろ髪を引かれる思いを残し北穂の山頂を後にした。
下りも同じコースを採って、まっすぐに涸沢へと下った。
12:00涸沢着
北穂から下りてくるとだいぶ人が少なくなっている。
すでに下山したのであろう。
わたしもテントを撤収し、下山の準備を始める。
13:00涸沢発
やはり今日上がってくる人は昨日に比べてかなり少ない。
昨日の本谷橋での下山者の困ったような顔が思い出される。
きょうは横尾までの下りなので、のんびりと景色を眺め写真を撮りながらである。
昨日の上りで見落としてしまっていたような光景も下りであるので返ってよく気がつく。
屏風の下辺りまでくるとナナカマドの葉が紅葉しているのもまだまだ残っている。
この辺りから下がちょうど紅葉の盛りである。
本谷橋まで戻って来たが、昨日の喧騒がうそのように静かである。
もうひとがんばりで横尾である。
横尾へ着くと結構人がいる。
テント場もかなり混んでいる。
テントを張ってビールで一息する。
夕食はカップラーメンなどかさばるものなどから片付ける。
なるべく帰りのパッキングがしやすいように重たいものをさっさと片付けた。
深夜0時過ぎに外へ出て、小屋前の広場の真ん中へひとりで立ってみる。
都会であれば深夜にひとり外にいるのは恐ろしいものであるが、ここでは返って落ち着くものである。
横尾でも満天の星空である。
この満天の星空を独り占めとはなんと贅沢なことであろう。
実際に廻っているのがわかるはずはないのであるが、廻っているような錯覚さえ起こってくるほどである。
10月14日 天候 はれ
今朝は5時過ぎに起床
朝食もそこそこに撤収をはじめた。
ここのところの帰りの時間を聞くと恐ろしいほどを要しているのである。
そのため、わたしも11時ごろのバスで上高地を脱出しようと思っている。
林の中のテント場を後にして横尾山荘前に来ると前穂に朝日が当たり始め、オレンジ色に輝いている。
目を下に戻すとそこは紅葉の盛りである。
6:15横尾発
とにかくバスターミナルへと急ぐが途中の紅葉の美しさに目を奪われしばし歩みを止める。
光が増すにしたがってオレンジ色から山肌の白へと頂が色を変えていく。
7:05徳沢通過
かなりな数のテントが張ってある。
今日帰る人が上高地へと早く着くべく昨日ここまで下りて来たのであろうか。
それを横目に通り過ぎる。
足の重さも感じられず休憩を取るほどでもない。
再び梓川河畔にでる。
反対側の山肌は上から下まで紅葉が真っ盛りである。
しばし立ち止まるが、先を急ぐ。
7:45明神通過
こんな早い時間にもかかわらず観光客の姿が見られ始める。
このペースでいけば2時間ほどで上高地へ着けそうだ。
8:20河童橋着
やはりすごい人である。
上高地の紅葉は今週が見ごろかもしれないので、ここの紅葉しか知らない観光客の人たちにとってはさぞ満足のいったことだろう。
村営ホテルで汗を流し、さっぱりとしてバスターミナルに戻る。
10:40発のバスで上高地を後にする。
今度こそ今年の穂高の見納めのはずである。
とにかく3日間お天気にも恵まれ今年1番の山行であった。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。m(_ _)m
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