ちゃんちゃん焼き 第1回

この間(2007年5月)の四国ツーリングでは、結局料理は作らなかった。
むしろ、ソロツーリングにおいては
料理する手間と時間を惜しむ自分を発見したぐらいである。

独身時代に自炊をしていた事もあって、
純粋に腹を満たすための調理には趣味性を感じないし、
そういった時の調理は事務的にさっさと済ませてしまう性分である。
餌としての食事にはあまり執着していない、というのもあるのだろう。
しかし何人かで野外料理をしたりする場合は別である。
おいしい料理は場を楽しくする。

バーベキュー一辺倒ではつまらないので、
キャンプで作る料理のレパートリーを増やしていきたいとは常々思っているのだが、
僕の場合はそれは「美味しいメニュー」では、あまりない。

・普段、ろくに食べられなくて欲求不満になっている物
・自分で作ったほうが満足度の高そうな物
・料理としては知っているけど食べた事がない物

…、という感じで、要するに「楽しそうな物」であり、
だから繊細な味付けはあまり追及しないのだ。
男の料理!なんて気取るつもりはなくて、
ただ単に、僕の味覚のハードルの低さゆえに
一定の水準以上の物なら何でも美味しく頂けてしまうので
味よりも、楽しさを取ろうではないかという事なのである。

そんなわけで今回のチャレンジは「ちゃんちゃん焼き」である。
野外料理に関する文章のいくつかに散見されたので、
以前からちょっと興味があったのだ。
豪快、というほどでもないが程よく大雑把な料理で、
その辺もキャンプでの料理にはなかなかいい感じである。



ネット上のレシピたちを見ると、どうもちゃんちゃん焼きには キャベツとピーマンとニンジンがよく使われているようだ。 しかし味を想像するに、鮭とピーマンの取り合わせには納得できないし、 ニンジンはどうせ味に影響する程たくさんは入れられないだろうという事で省く事にして、 今回はキャベツと細ネギとエリンギを入れる事にした。 ツーリングキャンプを想定しているので、皮を剥く必要もなく、 種子等の生ゴミが出ないこれらは都合がいい。 ただ彩りには乏しい感じがする。 魚を紅鮭以外にするならどうにかした方がよさそうだ。

生鮭に塩コショウを振る。塩を使うなら甘塩鮭でもいいのかと一瞬考えたが、 きっと「塩ジャケ入り野菜炒め」になってしまうだろう。

初めての今回は、発祥の地に習って白味噌を使う事にした。 しかし我が家に白味噌を使う習慣はなく、買っても使い切る事は不可能だ。 キャンツーだと味噌のパックは使いづらい事もあって、 インスタント味噌汁の生味噌チューブを使う事にした。 出汁も入っていると思うけれど、しょっぱくなければむしろ好都合かと。

味噌をいくつか絞り出し、酒と砂糖を加えて加熱しておく、らしい。 なぜ加熱が必要なのかは謎。本当はにんにくも必須らしいが、 提供される側も入れない方が後々きっと都合がよかろうと勝手に解釈し、 入れない事にする。

鮭を、皮の方から始めて、両面から火を通す。 どのちゃんちゃん焼きのレシピにも必ず、鮭の皮の方からと書いてあるが なぜなんだろうか。焼けた皮からの風味は、後からでも出るだろうに。 反抗する理由もないので皮から焼いた。

野菜を投入し、鮭の下に潜り込ませて、しばらく炒めた後に鮭の上から味噌だれをかけ、 しかる後に蓋をして、蒸し焼きのようにする。 キャンツーではアルミ箔で蓋代わりとするといいらしい。

しばらく火を通して開けてみる。野菜に火が通っていたら、全体に軽くバターをまぶす。 そして、鮭をほぐして全体に混ぜ合わせればできあがり。

盛り付けてしまうと、ただの炒め物っぽくて非常につまらない。 基本的には焼いた鉄板のままで食べる物なのだ。 ちなみに、このごった混ぜ焼きをほの暗い場所で食べる事を考えると、 鮭の皮は鮭をほぐす前に取り去った方がいいように思う。 焼き鮭のようにカリッとなるなら皮も美味いが、味噌だれのためにそうはならないからだ。 骨もできるだけ抜いておいた方がよさそうだが、 こちらはちょっと面倒なので、注意してもらう事にしよう。


さて、食べてみる。
「美味しいっ!」って事はないけど、味が濃くてうまい。
飯のおかずにも、酒の肴にもなりそうだから
野外料理には向いている。
キャベツのせいでそれだけでもパクパク食べられるので、
量は多めに作った方がよさそうだ。
白味噌にこだわらずに、合わせ味噌にするともっと食べやすくなりそうである。
ただそうするとどんどん味噌ラーメンの味に近付くので注意が必要かと思われる。
肉っ気としては他に、帆立やイカはまったく問題なく入れていいだろう。
鶏ちゃん焼きを売りにする店もあるから鶏肉もいけるかもしれないが、
海鮮物と同じ味で混ぜてしまうなら、豚バラの方がいいかもしれない。
他に合うんじゃないかと思った野菜は
もやし・セロリ・アスパラガス・ベビーコーン・しめじ・えのきだけ
という感じだろうか(キャンツー前提)。
また、味噌ラーメンのトッピングになっていそうな具材は基本的に大丈夫だろう。
以上、第1回終わり。