このページをご覧になった方のほとんどが、SPYZを持っているか知ってるだろうと思う。 詳しくはここここを 見てもらうとして、とにかく僕も発売直後に手に入れた。だがあんまり使っていない。 スペックには充分満足しているのだが、いくつかの不具合が致命的過ぎていつも持ち歩く気にならないのだ。 その不具合とは
・非作動時の電池の消耗が早すぎる(データの保存も電池に頼っているので致命的)。
・多少のショックでデータが飛ぶ
この2点である。液晶が付いていないから撮って回し見して楽しむわけでもなく、 カメラとして使ってナンボなわけで、家に帰って撮れていなかったでは話にならないのだ。 何度か嫌な思いをしてそれからずーっと放っておいたのだが、 ふと見た2ちゃんねるのSPYZスレッドで改造の話を聞きつけ、どうせ使わないよりはやってみるかと 改造にチャレンジしてみた次第である。

今回の改造計画は4点。
・主電源スイッチの増設
・スピーカーの除去(盗撮するわけではないので消音はどうでもいいのだが、少しでも消費電力を抑えたい)
・LEDの除去(発光はどうでもいいが同上)
・他のサイトの情報にあった、電池ケースへの配線がハンダづけされていないならハンダ付け
まずはここここを 見て改造のイメージを立てる。スイッチはどういうのにしよう。 誤動作も嫌だし普通にスライド式のスイッチがいいだろう。 三脚の穴は今後webカメラとして使うかもしれないから手をつけたくない。 スイッチの位置は、本当はカメラに対して横にスライドするようにつけたい。 ポケットに突っ込んだ時に引っ掛かってスイッチが動いてしまう事を避けるためなのだが、 となるとスイッチの入る場所が問題だ。 フロント面ならスペースがありそうだけど、アルミ外装に穴を開けるのも大変だ…。

次に必要な部品や道具を購入した。まずスイッチ。 東急ハンズの電子部品売り場に売っている物のうち、一番小さい物を選ぶ。 同じ大きさの物で3本足と6本足があったのだがなぜ違っているのか理由がわからない。 基板で使う時に何らかの違いがあるのだろう。シンプルなほうがいいだろう、と3本足を購入、60円也。 ビニール皮膜の電線は容量等の種類があるようだったが、1.5V程度ならなんでもいいだろうと一番安い物を購入、180円。 後は工具だ。ハンダごては種類がいろいろあってかなり悩んだ。 こて先が細くなっている事はとりあえず必須だろう。 出力に関して、精密電子部品には熱の悪影響がないように15Wの物を使うようだったが、 今回は電子部品といってもスイッチや電池ケース等、 あんまり神経質にならなくてもいい部分にしかハンダ付けしない予定なので、 30Wの入門セットみたいな物を買った。ヘボいピンセットやらドライバー、ハンダとハンダペーストが付いて1080円。 アルミ外装を削るヤスリ、200円。 外装パネルを外す精密プラスドライバー、各種サイズのセットで買うと1000円ぐらいするのだが、 使うのは1つのサイズだけなのでもったいないと思って1本だけ買う事にする。 0号か00号か迷ったが勘で00号にした(正解だった)。500円。 瞬間接着剤とニッパーは仕事場にあるので買うのをやめた。もっともニッパーに関しては、 僕の持っている通常の物ではスピーカーやダイオードの足と基板の間に刃先が入るかどうか不安だったのだが、 細身のニッパーは2000円近くもしたのであきらめた次第である。 しめて2000円の買い物となった。思ったよりも安い。

必要と思われる物をそろえて、いよいよ改造だ。 まず前面パネルを開ける。精密ドライバーは00号でドンピシャだった。 次にダイオードの除去。やはりニッパーが太すぎてうまく足だけを切除できず、ダイオードのガラスが粉々に砕ける。 が、砕けた後は足もきれいに切断できた。続いてスピーカーの除去。 まずは2ちゃんねるの情報どおり、スピーカーのふたを開けて金属板を取り出してみる。 それだけでは通電性が残り省エネにならないので、スピーカーユニットの除去をもくろむ。 だがやはり足にニッパーが届かない。何度か曲げて劣化させて足を折ろうかと思ったが、 基板上の他の配線にダメージがあってはまずいと思い、ニッパーを差し込む事を何度か試す。 だが届かないのでかんしゃくを起こして結局無理矢理折り曲げて切断した。他の部分には特に問題ないようだ。 ショートしないように、ダイオードとスピーカーの足(の残骸)は短く切り揃える。

いよいよ主スイッチの増設だ。まず取り付け位置を決める。スペースは結構空いているのだが、 スイッチ部品を固定するあてがあまりないので場所は限られる (前面アルミパネルに付けてもいいのだがコードの取りまわしが悪くなるのと、 前面パネルが完全には外せなくなるのが嫌でやめた)。誤動作しそうな所は嫌だったのだが、 結局はプラスチックフレームの形状とアルミ外装の細工のしやすさで、 前人と同じくUSB端子の横に縦に付ける事に落ち着いてしまった。 場所が決まって取り付けだが、ハンダ付けに慣れていないから、 基板上で作業をするのを減らすためにスイッチに先に配線する。 買ってきたコードを短く切って一方の端子にハンダ付けし、 さらに電池ケースから外した赤いコードをもう一方の端子にハンダ付けする。 次に、短いほうのコードを電池ケースの端子にハンダ付け。 この時に電池ケースを少し焼いてしまったが見えなくなる部分だし気にしない事にする (なお、元の状態で電池ケースへの配線は2つともハンダ付けしてあった。 データが飛ぶのは他の原因かもしれない)。ここで電池を入れて動作確認する。ON、OFF、良好だ。全く問題ない。 あとはスイッチの固定だ。瞬間接着剤(ゼリー状)で接着する。続いてアルミパネルのスイッチ部分に窓を開ける。 ヤスリで削っていったのだが、意外に簡単に削る事ができた。 もっとも窓の形はあまりきれいではない。が、気にしない事にする。 前面パネルを取り付け、ネジ止めして完成だ!うれしくなって、ためつすがめつ眺める。 が、機能が変わったわけではないのですぐに飽きてしまう。電池が保つ事を実感してなんぼの改造なのだ。


次の朝。外出に持っていこうとSPYZ!を手に取って、スイッチを入れてみる。 あれ?電源が入らない。まさか電池がもうなくなった?とするとショート、漏電だ。電池を外してみる。 と、電池の端子が白く粉を吹いている。液漏れのような症状だ。て事はますます、微弱電流が流れていた?
とりあえずパネルを開ける。すると!中がなんだか白っぽくなっている。液漏れか?そうではなかった。 瞬間接着剤の影響だ。揮発する時のなんらかの成分が、そこここに付着したのだろう。 ファインダーにまで白い粉が付着している。試しにスイッチをスルーして直結にしてみると電源は入る。 電池もイカレてない。そこでスイッチを何度かガチャガチャしてみるがやっぱり通電しない。 接点不良でスイッチとしては機能しなくなってしまったようだ。スイッチまでの回路は生きているのだから、 スイッチを取りかえれば…そしてもっといい方法で固定できれば問題は解決するはずだ。

後日になるのだが、内部をアルコールである程度清掃し (瞬間接着剤の剥がし剤はプラスチックを侵すようなので使わなかった)、 スイッチを取り替え、スイッチの固定にはグルーガン(ホットメルト)を使ってやると、 我がSPYZ!は当初の予定通りに機能し始めた。だがまだ改造の恩恵は確認していない。 意外に撮る物ってなくって……。