モデムの修理が終わった、とA社のサービスセンターから連絡があった。 PCカード型の56kモデムなのだが、デスクトップに認識はされるのにダイヤリングがうまくいかなかったのである。

このモデム、実は夏に一度、購入した新宿の量販店Yカメラで修理に出している。 しかし、「異常なし」と診断されて帰ってきてしまったのだ。 そんなわけはない、と思ったし持ち帰ってみるとやはり直っていなかったのだが、 時期的に「T社のアフターサービス」問題が脚光を浴びていた頃で、交渉に積極的になれずにそのままにしておいたのだった。 で、しばらくは144モデムを使っていたのだが、突然自分の権利に目覚め、 メーカー直のサービスセンターに持ち込む事にしたのである。
持ち込むにあたっては、「異常なし」と言わせないために自分のPowerBookをかついで行った。 担当者の目の前で不具合を再生してみせれば言い逃れはできまい、と思ったからである。 ところが最初に応対に出てきた中年の担当者は、あまりコンピュータの知識がないらしかった。 こっちが説明に使う用語が既に理解できないでいるようなのだ。しばらくのやり取りの後、どこやらへ電話をかけて言うには 「修理品はDOSで検査するようで、Macでの不具合は検出できない場合があるようです」との事。 しかし商品パッケージにも僕のマシンは適合検査してあると書いてありますが、と言うと、 「では修理を受け付けてもいいですが、また『異常なし』と帰ってくる事もあります、それでもいいですか?」と言われた。 いいですか、って言われてもいいわけがない。じゃあどうすればいいんですか? モジュラーを貸してもらえれば不具合があるのは再現してみせますが、と言ってみると、 「ちょっとわかる者を呼んできます」と、その担当者は席を立った。頼むから最初からそうしてくれ。
改めて出てきた新担当者は若くて、マニアまでは行かないけれどコンピュータの知識も豊富そうな人だったので、 僕にとっては先ほどのオヤジよりも何十倍も頼りがいがあるように感じた。 彼は「Macはあまりわからないので…」と自分のノートパソコンを持ってきて僕のカードモデムを試してみてくれ、 「認識はされますがやはりおかしいですね、これはお預かりさせてください」と言ってくれた。話が早い!! 後ろで腕組みして覗いていた旧担当者は何か言いたそうだったが、新担当者は「これは修理という事になりますから」と、 きっぱりと言い渡していた。また「異常なし」と帰ってきたりしないでしょうか、と聞いてみると、 「僕からも申し送りをしておきますから大丈夫だと思います」と答えてくれた。素晴らしい、あなたは素晴らしいです!

そんな経緯で修理に出したカードモデム。直っているかなぁ、と不安な気持ちでサービスセンターに行ってみると、 応対に出たのは例の旧担当者。あぁ、詳しい話は聞けないな、とすぐに悟ったが、 一応「どこが悪かったんですか?」と聞いてみた。「う〜ん、ICを交換していますね」。 …あのね、そりゃあ伝票を見れば僕にだってわかるよ。 「それは最初の修理ではわからなかったんでしょうか?」とさらに聞いてみると、言葉を濁している…と言うよりも 何も言えないでいる。あぁこれは聞いても無駄だな、と思ったので早々に引き上げる事にした。
家に帰ってテストしてみると、交信音が不安定ではあるが作動には問題がない。 直ったと見ていいだろう。しかし!同封しておいた量販店での「異常なし」の修理依頼伝票が抜き取られている! なかった事にしようっていうのだろうか。 ついでに、些細な事だが付属品のCCLファイルが入ったフロッピーもなくなっている。 A社のサイトからダウンロードもできるし、たいしては困らないけれど、作業中の保管のいい加減さが浮き彫りである。

メインの商品はオーディオなんかの家電製品なんだろうけれど、もうちょっとしっかりしてもらいたいものだ。 もっとも、144モデムの頃から同社の製品を使ってきた僕でももう次は他のメーカーにするけれど。