ZX-9R カウリング修復

2009年10月4日(日)
先日、ツーリングでバイクをコカしてしまい 、右のセンターカウルを割ってしまった。 昔の立ちゴケで既にカウルには傷が付いているので精神的ショックはやや少なめだが、 今回は分断されてしまっているので物理的にどうにかしなければならない。 いい歳をした大人でもあるのだし……と新品交換を検討してみたら、パーツの値段に気が遠くなりそうだ。 ZX-9R の「カウリング(アツシ),サイド,RH,グリ-ン」→ 「55051-5327-7F」→「税込単価 43,974 円」(2009.10.08現在)はシビれ過ぎる。 色を合わせようとこれを左右セットで買うと×2で 88,000 円ではないか。 それだけ出したら社外品 A-TECHFRP/白フルカウル、税込単価 81,900 円が買えてしまう (別途塗装が必要だけれど)。 いやいや、純正にしろ社外にしろ、今の僕にはそんな資金を捻出できる余裕がないのだ。 とりあえずは修復して乗ろう。そして宝くじが当たったら、外装パーツを一新しよう。



遠くから見るとよくわからないが、近寄って見ると見事に割れている。 コカしてからしばらくは布ガムテープを貼ってしのいでいたのだが、 アンダーカウルと繋がるボルト受け部も割れていたとは、 パーツをバラしてみるまで気が付かなかった。 こんなにテンションがかかる所が割れてしまっては、ボンドや瞬間接着剤ではどうにもならない。

そんなわけで、プラスチック系のバイク部品修復では定評のある、「 プラリペア」(税込み \1680)を買ってきた。 プラリペアについてはネット上に山ほどレビューが上げられているので 僕がここで重ねて紹介する事もないだろう。 僕は渋谷の東急ハンズで購入したがオートバックスでも扱っているようで、 そちらの方が安いかもしれない。

プラリペアは、プラスチックの素材によっては溶着性能が下がるらしい。 バイクの外装樹脂部品が付かなかったという話はあまり見ないけれど、 初めて使う人にとってはそこが一番不安な所だと思う。 9R のカウル裏には「〜〜 ABS 」と記してある。 たぶんパーツの材料だと思うのだが、 そういうものを見つけられると目安になると思う。

プラリペアのハウツー、レビュー等には必ず出てくるのがこの断面の V 字カットだ。 これも脳内シミュレートが先行するとやや気が重い作業である。 カウルの割れ方にもよるだろうが、 基本的にメーカー純正の ABS カウルの場合はカッターナイフで削るのが一番楽だと思う。 紙ヤスリやヤスリでは樹脂の目詰まりがひどいし、 ヤスっているうちに熱を持ってきて感触が悪くなる。 彫刻刀は刃が厚過ぎて小回りが利かず、あまりよろしくない。
カッターナイフは充分に歯が立つし小回りも効くが、 たまに樹脂に深く切り込み過ぎると刃がポキンと折れてしまう。 だからあまり刃を伸ばさないで使うといいと思う。 削り痕は民芸品の木彫りの熊のように細かい模様になるけれど、 プラリペアの溶着にはたぶん関係ないだろう (削り痕をサンドペーパーで荒らす必要もないのだから)。

メインイベントの、プラリペア流し込みの手順は省力する。 知りたい人は検索してほしい。 少し補足したいのは、硬化スピードがかなり早いという点だ。 それを体得するために、練習は必ずした方がいい。 また、液材は多めに使えというのは本当である。 ニードル法で置いた玉を弛める時にも多めにふりかけた方が、 手術痕が滑らかになる。

しばらくの間硬化させると、噂にたがわぬ強度で接着(溶着)できた。 なかなか満足できる性能である。 部品と部品を繋ぐのではなく一体化させるのだとか、 処理しなかった部分よりも丈夫になるだとかいうのは誇張ではない。

処理中にはみ出したプラリペアは削り取る事になるが、 これがかなり堅い。カウルの ABS よりだいぶん堅い。 感じとしては、容器の中で固まった瞬間接着剤に近い。 カッターではやや削りにくいので、 あまりはみ出さないように処理する方がいいと思う。

ちなみに僕の 9R のカウルは綺麗にツライチにはならなかった。 三次元曲面となっているカウルはその内部に少し復元力を残されていたらしく、 小さいほうのパーツの弓なり具合が、 大きいほうのパーツの弓なり具合よりも平たくなってしまったようなのだ。 両端を合わせると、真ん中付近がズレてしまう。 うまく仮接着して作業すればもう少しマシになったかもしれないが、 今回は見た目よりも強度を重視して、無理をさせずに溶着した。 僕の 9R はカワサキのバイクだからかカウルの取り付け精度がかなり低く、 部品に変なテンションがかかるので、頑丈なほうがいいと思ったのだ。

とりあえずこんな感じで、「修復」は大成功だった。 でもやっぱり、本当はもっときれいな外装で乗りたい。 宝くじが当たるといいのだけれど。    <おしまい>