僕の ZX-9R も購入後3年を超えた。
未だに1万キロ走っていないという、走るために生まれてきたにしては非常に不憫な状態であるのだが、
ここにきて初のトラブルらしいトラブルが発生した。バッテリー関係である。

「2年で交換」を推奨されているバッテリーなのに冬を3回越しているのもどうかと思うが
1万キロも使ってないと考えれば、ユーザーにとっては実にもったいない話なのだ。

もっとも使用年数以上に、乗る頻度が低いので充電事情も悪いという酷な状況が3年間続いたわけで、
バッテリーにしてみればかなり辛い思いをしたであろう。


そんな、新車購入時のままのバッテリー。
僕なりには努力して、過放電する前には走行するようにしていたのだが
力及ばず、去年一度あがらせてしまった。
そしてこの冬も一度あがらせた。11月26日の話だ。

なのでバッテリー充電器を購入した。
デ・サルフェーションもできるというオプティメートというやつである。
11月30日に届いてすぐ充電を開始し、12月2日には再び走れたので
とりあえずはトラブルを乗り越えたつもりでいたのだ。

オプティメート充電中。

しかし。
先日(大晦日の12月31日の出来事である)、この冬2度目のバッテリーあがりをやらかしてしまった。
しかもバッテリー充電器による充電後にツーリングをやった12月16日、その翌々週である。
いくらなんでも2週間でセルが回らないほど過放電してしまうのはおかしい。

僕の9Rに指定されているのは MF(メンテナンスフリー)バッテリーで、
過去にあがらせた事は前述のとおり2度ほどあるが
そのどちらもヘッドライトは点灯する程度であり、
完全にあがらせた、とは思わなくていい程度のあがらせ方だったんである。
大昔、旧車に属するバイクでバッテリー液空っぽなんて事も経験した事がある僕にとっては
その程度の放電はバッテリー死亡には程遠い認識であり、どうにも納得できなかったのだが
これが乗らずの3年目,という事なのかもしれないととりあえずその場は不承不承に納得したふりで、
近々バッテリーを交換しようと思ったのだった。

その後、近所の用品ショップで交換用バッテリーを探すも
該当の「GS ユアサ物」の YTX9-BS 見つからなかった。
昔の経験でバッテリーはユアサと決めているのを言い訳に、
「スムーズに買えないなら、とりあえず冬の間は充電で誤魔化して、
暖かくなったら交換するかー」なんて日和り、
せっかく充電器だって買ったんだからさ、使わなくっちゃとオプティメートをまた出動させてみた。

当たり前のように充電が済んだので
当たり前のように1月3日に奥多摩に走りに行って。

まとめるとこうなる。


2005年 一度、過放電
────────────────────────
2006年 11月26日 過放電。

      11月30日 バッテリー充電
              2日間
      12月 2日 バイク走行
              2週間
      12月16日 ツーリング
              2週間
      12月31日 過放電〜バッテリー充電
              3日間
2007年  1月 3日 バイク走行
              5日間
       1月 8日 バイク走行後…

1月8日。
ちょっと走りに行こうと思い立ち、しかしバッテリーに一抹の不安を感じながら、
ガレージからバイクを大通りに引きずり出す。
ここでエンジンがかからないとまた家までバイクを押して戻らないとならないし
とぼとぼ戻るのはみっともないのでドキドキ物だ。
しかし問題なくセルは回り、チョーク併用でエンジンは問題なくかかった。

30分ほど走ったか、目的地の多摩川の河川敷近くでバイクを停める。
下り坂だったのでギアを1速に入れたまま、キルスイッチでエンジンを停止した。
跨ったままちょっと地図を見て、もう少し移動しておこうかとギアをニュートラルに入れ、
キルスイッチを戻してセルスイッチを押す。
するとあの嫌な、「きゅんわ…ジジジジ…!」という音が!!
あぁなんでこんな所でしかも走ってきたばかりじゃんなんでなんで!?

正直に白状すると、キルスイッチでエンジンを切った後に
イグニッションをオフにするのをしばらく忘れていた。
僕の 9R はヘッドライトが常時点灯で、
走った後にキルスイッチでエンジンを切ってもヘッドライトは消えない
(イグニッションを OFF から ON にしてセルを回すまでの間は消えている)。
だからといって、点けっぱなしにしていたのはほんの20秒ほどだ。
ちゃんと暖まったエンジンに対してセルを回せないはずがない。

かなり動転したのだが、とりあえずイグニッションを OFF ON して、
セルをもう一度回してみる。「ジジジジ」、同じである。

出先で走れないトラブルを起こしてしまったか!とパニックになりかけたが、
よく考えたら押しがけは可能だし、停めたところが緩やかに勾配のある道路だったので
それを利用すれば、暖まったエンジンだからすぐかかるだろう。
とりあえずは僕自身の動転をどうにかしないと、と河原を少し歩いて落ち着く事にする。

5分かそこら歩いてバイクに戻り、まずは押しがけを想定した、勾配の上までバイクを押す。
エンジンの熱が少しでも逃げる前にかけなくては。
でも最後にもう一度セルを回してみた。
バッテリーがやばい時は、休ませながら始動を試すのが鉄則だ。
すると、苦しげながらにセルは回り、エンジンはかかった!押さずに済んだ!

僕は安堵のため息をつき、その後エンジンを止めないようにそそくさと家まで帰ったのだった。


エンジン OFF のままのライト点灯が、弱ったバッテリーに相当堪えた、のならまだいいが
そうでないなら、その日最初のエンジン始動時よりも、
走行後のほうがバッテリーが弱っているというのはかなり問題である。

とはいえ、実はこの冬、僕はうっすらその事を考えていた。
後述するオルタネーターのチェックは、9R では4千回転で行えと
サービスマニュアルには書いてある。
つまり4千回点回さないとろくに充電できないであろうはずなのだ。
僕は 9R のエンジンをほとんど回さない。
サーキットどころか高速道路だってあんまり走らない。
公道である市街地を走る事がほとんどだからそこでは4千回転も回す事はまれで、
下手をすると車に混じって走っている時は
アイドリングに毛が生えた程度の2〜3千回転というところかもしれない。
なのにヘッドランプやテールランプは点いている。
バッテリーへの充電よりも使用量のほうが多いんじゃないのだろうか、と思うのだ。
だから実はスイッチを増設して、常時点灯のデュアルヘッドライトの
片方を消灯する事も考えていたのだ。


この日の状況には、なんだか最後通告のようなものを感じた。
もしかしたらいつもは潜在化している状態が顕在化したのかもしれないが。
バッテリーに充電できていない、考えられる理由は三つ。

単純に、バッテリーがもう寿命を迎えていて
充電も電力供給ももうぜんぜん駄目になっているという場合。
症状としてはのっぴきならなくて遠出するのも怖ろしいが、まぁよくある事である。
対策としてはバッテリーを交換するだけの話だ。
ただ、充電を受け付けなくなっているかもしれないというわりには
オプティメートによる充電は問題なくできるのでこの線はやや薄い。

次は、貯めるよりも使うほうが多いのかもしれない、という理由。
もしそうならばこの3年間、特に走り方は変えていないので
3年かけて緩やかに破滅に至ったというわけだ。
だとしたならばバッテリーなどの部品を交換しても問題は解決しないから
走り方を変えるか、バッテリー充電を走行以外で補いながら乗っていくしかない。

三つ目はバイクの電気系統の、バッテリーチャージシステムの不具合だ。
そうだとしたらオルタネーターかレギュレーターだろう。
レギュレーターに関しては特に、カワサキ車は弱いとも聞く。
オルタネーター、レギュレーター共に僕はいじった事がないので
とりあえずサービスマニュアルを繰ってみる。
テスターを使ってチェックできるという事はなんとなくわかったが
カプラーを外してどうのという事になってくると
英文マニュアルだけに、よくわからない。
インターネットで検索をかけると、バッテリー端子間の電圧を測る事で
オルタネーターの簡易チェックはできるようだ。
しかしバッテリーが健全でないとバッテリー端子間での電圧チェックも
あまりちゃんとできないらしい。
バッテリーは3年使ってるし、交換する事はやぶさかでないのだが
できればオルタネーターとレギュレーターのチェックが済んでから交換したい。

なぜそんなに、バッテリー交換を渋るのかというと
オプティメートのバッテリー診断では、問題ないというふうに表示されるからだ。
本当に問題ないならお金は余分にかけたくないし、
交換するにしてもできれば、どうせろくに乗らない冬に交換したくはない。

バッテリーを気軽に交換されたくないからバイク屋にも持って行きづらい。
バッテリーをまず交換してみましょう、と定価と工賃を払って交換されて、
しかしやっぱりオルタネーターの問題でした、
バッテリーはもう少し使えたかもしれませんね、と言われたら
お金も余計にかかるし悔しいからだ。
バイク屋に持っていくのはせめて自分でバッテリー交換の必要があると結論を出して、
自分でリーズナブルにバッテリー購入・(初期充電・)装着した後にしたい。

だから自分でオルタネーターとレギュレーターのチェックができればそうしたい。
自分のバイクライフのスキルがあがる事でもある。

とりあえずサーキットテスターを持っていないので
いくらぐらいで買えるのか、バイク用品のネットショップで調べる事にした。
た、高い!! 1万円近くかそれ以上するではないか。
絶句したが気を取り直して、秋葉原の電子パーツ店のネットショップを見てみる。
安い!なんだこの安さは!バイク用品ブランドは暴利をむさぼっているな!?
続けてネットで調べてみると、
All About でもデジタルテスターを使ってオルタネーターのチェックをしている。
安い物を買うつもりだからデジタルテスターの
デジタルな計測のほうがいいかもしれないな。

とりあえず今日はここまで。
ちなみにバッテリーは現在、部屋でオプティメートによる充電中である。

1月9日。秋葉原の秋月電子通商で、デジタルテスターを買ってきた。1600 円なり。
バッテリーは1.5日間充電した後、端子間の電圧を測ってみた。
充電器を外した直後 12.69V
12時間後 12.42V
24時間後 12.39V
36時間後 12.37V
48時間後 12.36V、である。
やはりそんなに劇的には落ちないような気がする。
時間が空いたら、エンジンをかけて回転数を上げての
バッテリー端子間電圧を測ってみようと思う。