聖杯祭編・その2


戻る


6月30日

6月30日 決勝戦
ブラジル代表2−0ドイツ代表
得点者:
ブラジル=ロナウド(−)、ロナウド(クレベルソン)

 来た。決勝戦。ともに決勝戦常連でありながら今までなぜか対戦がなかったこの両国が、21世紀初のW杯決勝でついに激突!前線の3Rの華麗かつ強力なアタックで勝ち上がってきた王国・ブラジル。カーン、リンケら鉄壁の守備陣を擁してわずか1失点で駆け上がってきたゲルマン魂のドイツ。ともに苦しみまくって本大会に出場、史上最弱と陰口を叩かれながらも試合を重ねるごとに結束を固め一枚岩になり、ここまでやってきたのだ。
 雨が降っているが、試合に支障はなさそうだ。主審は御存知、世界ナンバーワンレフェリー、コッリーナ氏。
ブラジル:GKマルコス、DFルシオ、エジミウソン、ロッキ・ジュニオール、MFクレベルソン、ジウベルト・シウバ、カフー、ロベルト・カルロス、FWロナウジーニョ、ロナウド、リバウド。万全の布陣。4年前の屈辱を晴らしたい!とくにロナウド。
ドイツ:GKカーン、DFリンケ、ラメロウ、メツェルダー、MFフリングス、イェレミース、ハマン、シュナイダー、ボーデ、FWクローゼ、ノイヴィル。バラックが累積警告で出場停止、かわりにベテランのイェレミース。
 最強の矛と最強の盾、砕くのは、砕かれるのはどっちか?
 
 キックオフ!まずはブラジルがロングボールを放り込んでそのままゴールキックに。ロナウジーニョが左サイドをドリブル突破、ハマンが止めてCK。CK、ジウベルト・シウバには合わず。クレベルソンが右サイドの競り合いを制し突破、センタリングもカーンががっちりキャッチ。リバウドが足裏のテクニックで横浜をうならせる。ドイツカウンター、に入るところでノイヴィルが引き倒されホイッスル!コッリーナさん来たー!ロッキ・ジュニオールにイエロー!ドイツはFKを得、チョンと出して後方から走り込んだ選手がミドルを狙うトリックプレイ。しかしゴール前を固めたブラジウDF陣が弾き返す。ブラジウはロナウドの早いプレスでドイツDFの虚を突き、クレベルソンがインターセプトしてそのままシュート!!カーン正面!クローゼがヘッドの競り合いでエジミウソンの顔にヒジを入れイエロー!白熱。ドイツがペースを握り始める。ノイヴィルがボールカットしてドリブル、ヒールでシュナイダー、シュナイダーは右外に開いたノイヴィルにスルーパス、ノイヴィルのセンタリング!DFクリアでCKに。CKは中央でのファウルでブラジルボールに。ドイツはシュナイダー、フリングスにノイヴィルが絡み右サイドから崩していく。今度はクローゼとシュナイダーのコンビからCK奪取。ドイツDF陣は3Rを封殺、サイドもがっちり抑えてブラジルの攻撃を許さない。しかし王国も少ないチャンスをシュートにつなげる。流れてきたボールをロナウジーニョ持ち込みスルーパス!右外からロナウド切込み左アウトサイドでシュート!しかし眼前に詰めてきていたカーンに気圧されたか枠を外してしまう。ルシオがオーバーラップ!ロナウドもワンツー・・・もDFカット。

 ドイツは攻守に効きまくりのハマンを中心にブラジウを押し込む。ハマンはロナウドを自由にさせず、逆にインターセプトしてカウンターにつなげていく。ボーデが左を破ってCKゲット。ノイヴィルのキックから混戦になるがブラジルDF陣が弾き返す。ブラジルはサイドまで抑えられ全く攻撃が構築できない。ノイヴィル>シュナイダー>左を上がるボーデにスルーパス!トラップで中に切れ込もうとしたボーデだったがこれが大きく、ルシオに奪われてしまう。ブラジウも何とか反撃、ロナウド>ロナウジーニョ、そしてロナウジーニョ浮かせてDFの裏へ、ロナウド抜け出す!足を伸ばしシュート!しかしまたもカーンが手に当ててキャッチ!カーンを前にしてさしものロナウドも焦っているようだ。反撃、またもボーデがサイドを破ってCK。今度はGKマルコスがパンチで弾き返す。
 ロナウジーニョが足を払われ倒れる。しかしノーファウル!スロー再生ではたしかに足はかからず、ロナウジーニョは自ら倒れていた。そばで見ていた副審は見事に騙されて旗を上げてしまっていたのだが、コッリーナさんは遠くからこれを見抜いていた!世界最高の審判とはこういうものか・・・っ!ジウベルト・シウバはユニの後ろ全開。ラメロウがオーバーラップ!シュート!DFに当たってはね返る。ブラジルDF陣はずるずる下がってしまう。イェレミースのミドル!枠の外。
 
 前半はドイツが攻勢に立っていたが、最後の決定機までなかなかいけない。攻め疲れてきたのかペースが落ちる。そこをブラジウが衝いてきた。DF一瞬の隙を突いてクレベルソンがインターセプト、そのままシュート!右に外れる。さらに細かくつないでクレベルソンがミドルシュート!鋭く曲がり落ちてカーンの手の上!決まっ・・・バー直撃ィィィ!さらにロベカルのクロスにファーのカフーが落としオーバーラップのルシオが切り込みCKゲット。リバウドキック!はじき返されるもカフーが拾ってサイドチェンジ。ロナウジーニョが戻してロベカルがシュート性のクロス!これがゴール前のロナウドにピタリ!ロナウド反転しざま強烈な左!しかしカーン様、またも右足一本でスーパーセェェーーーブ!!ヴィー・ヴンダーリヒ!
 ここで前半終了、熱気さめやらないまま後半へッ!!


 後半開始。左CKからイェレミースが走り込んで頭でジャストミーーート!しかしDFが止める!FKゲット。長い助走を取ったノイヴィルが強烈ロングシューート!ゴール右を強襲、マルコス横っ飛びで手に当て・・・ポスト直撃ではね返る!!ブラジウはクレベルソンから左に流れたロナウドに渡し、ロナウド一対一からCKゲット。ショートCKからロベカルがふわりとしたセンタリング、これをファーでジウベルト・シウバがヘッドォ!しかしまたまたカーンが立ちはだかってストップ!!こぼれたボールに再びジウベルトが詰めカーンと接触、ファウル。カーンは腕を痛めしばし治療。
 リバウド>ロナウドシュート!DF防ぐ。クローゼ持ち込んで左足シュートは大きく外れる。ノイヴィルが左から持ち込んで右外のフリングスへ、フリングスシュート!上へ外れる。ロナウジーニョ、トリッキーな浮き球のパスでリバウドへ、DFはね返す。ボーデから中央駆け上がるハマンへ、ハマン、ミドルシュート!強烈だったが上へ外れた。最初のトラップが大きすぎたか。

 ブラジウは細かくパスをつないでボールをキープ、ペースを作り出す。両サイドのカフー、ロベカルも高めに位置取って中盤での勝負を互角に持ち込み、さらにDFも高くラインを保ってドイツにパスを回させない。前半でドイツFW陣を見切ったか?ハマンのハンドでブラジウFK。リバウドとロナウドが左右に立つ。右サイドなので位置的にはリバウドだが・・・ロナウドがキック!しかし壁に弾き返された。
 エジミウソンのユニが破れて着替えターイム。しかし肌にぴったりフィットタイプのため着るのに四苦八苦。着てみると後ろ前でスタンドからブーイング。やっとのことでちゃんと着替えると今度は拍手が!激戦合間の一服の清涼剤。
 右サイドから中へ持ち込んだシュナイダーが鋭くニアへスルーパス!走り込んだノイヴィルが右足一振り!・・・もわずかに合わず空振り、ボールはマルコスの懐に。イェレミースがカフーと交錯、倒れて動けなくなる。すぐに「交代してくれ!」のサイン。いそいでケールが呼ばれる。イェレミースはひとまずピッチ外へ運び出された。すねが血にまみれている。しかし立ち上がった。いけるようだ。そして苦笑しながらピッチに戻ってくる。
 
 ブラジウの攻撃、しかしまたもドイツが弾き返し、ハマンへ。ハマンはキープ、そこへロナウドがプレスをかけた。背後からの急襲にハマンは転倒、うまく足を入れてボールを奪ったロナウドはすぐさまリバウドにパス!リバウドは反転するとDF二枚の間を通すミドルシュート!地を這うミドルをカーン、正面で身を沈めてがっちりキャッチ・・・しかしボールはカーンの懐の中で踊って飛び出す!転がるボール、そこに疾風のように走り込んだのはカナリアの9番!詰める詰める詰める・・・詰めたーーーー!!グループリーグ第2戦・アイルランド戦のロスタイム以来揺れなかったカーンの後ろのゴールネットがついに揺れた!!セレソンが先制1−0!!そしてロナウドが最近の得点王6点ジンクスを打ち破る通算7点目のゴール!!ロナウドはいつものように右手人差し指を立ててランニング!ちっくしょーーー!!(<ドイツ応援中)さっきの負傷が響いたのか・・・!?
 先制点で意気軒昂のブラジウ。必死で反撃にかかるドイツ。フリングスのミドルは上へ外れる。左からイェレミースのミドル!DFに当たりCKに。ノイヴィルのCKはマルコスがパンチング!再びCK、シュナイダーのキック!しかし中央でドイツのファウル。ノッてきたブラジルはルシオがまたもオーバーラップでゴールラインまでドリブルで持ち込んでセンタリング!ドイツは打開のためにクローゼ>ビアホフ。ドイツはまたCKを得る。FKも。しかしゴールが遠い。ブラジルは引いて守ってきた。ドイツはアザモアが入ってくる。イェレミースがアウト。アザモアが右に入ってフリングスがセンターに回る。
 右サイドをクレベルソンが疾駆、ドリブル突破から中へ切り込みパス!中央のリバウドへ、ラメロウとリンケが挟む!しかしリバウドはこれをスルー!そのボールの先には・・・フリーのロナウド!!ロナウドはワントラップするとチェックに来るアザモアを外して右足を振りぬいた。カーン跳ぶ、しかし届かない、ボールは・・・ポストをかすめてゴールに飛び込んだ・・・!!ロナウド2点目、通算8ゴール!!!ブラジウが2−0と突き放す!

 ドイツはセットプレイの好機を得るもブラジウの黄色い壁に弾き返される。カフーとロベカルはもう上がっていかない。ブラジルサポからは早くもカンピオン・コール!!しかしドイツも不屈のゲルマン魂を見せねば!フリングスからフリーのビアホフ、シュート!!しかしマルコスが左一本でスーパーセーブ!!
 ボーデ>ツィーゲ。ドイツ3枚目のカード。ブラジウはロナウジーニョ>ジュニーニョ・パウリスタ、ゆっくりと交代。ドイツ、FKからファーのフリングスが飛び込むもわずかに合わず。ジュニーニョが右サイドを破って中央リバウドにパス!しかしカーンがキャッチ。左サイドを破ったツィーゲのクロス!ロベカルがクリア。ツィーゲのFK、メツェルダーが合わせる!がゴールを捉えず。44分、ロナウド>デニウソン。ロナウドに大歓声!!デニウソンはいきなりドリブル披露ッ!!ロスタイム3分。ジュニーニョがドリブルで上がる。止められる。1分経過。リバウド>デニウソン、センタリング、味方に合わず。ドイツ反撃、ツィーゲのシュート!マルコス正面!そして右からつないで左でデニウソンがゆっくりとキープ、一転突っかけてファウルを誘いホイッスル。そしてここで長いホイッスルが吹かれ―
試合終了、ブラジウ5度目のワールドカップ制覇!!!


 セレソンの面々がブラジル国旗を背負って一斉に飛び出す。たちまちできる歓喜の輪。カメラマンも「カンピオン、カンピオン!」と叫ぶ。ちゃんと映せよっ!
 ドイツゴール前ではカーンが水を飲み、空ろな目で虚空を見上げ、ゴールポストに寄りかかった。
 ブラジルは笑顔の選手、反対に泣いている選手もいる。ロナウドが肩車されてサポーターに挨拶。フェラー監督とロナウドが健闘をたたえあう。同じくフェリペ監督とカーンも・・・ドイツは今回残念だったが、次回は地元での開催、いい弾みになったのでは。ショル、ダイスラー、ノヴォトニーら主力選手を相次いで負傷で欠いた状態で本大会に突入、グループリーグ敗退もあると言われながらもここまで来たのは本当に凄い。新星クローゼ、そしてなんといってもGK
カーンの圧倒的存在感とともに大会を盛り上げてくれた。
 ブラッター会長から審判団にメダル授与。コッリーナ、リンベリ、シャープ、ダラス各氏にメダルが授けられる。コッリーナさん、サワヤカ?な笑顔。ピッチではブラジウの選手・スタッフが輪になって座り、神への感謝を捧げる。そして歓声!
 準優勝のドイツへのメダル授与。ペレ、そしてベッケンバウアーが彼らを迎える。よくやったよ!!おめでとー!!そして、優勝のブラジウへのメダル授与!ペレが一人一人を抱擁。10番・リバウドへの抱擁は特に力強かった。主将・カフーを先頭に皆がメダルを受け取り、そして・・・ワールドカップ授与!狭い台の上にカフーが立つ。スタンドからはカフーコール。ワールドカップを受け取り、キスして・・・高く掲げる!!大歓声。カフーいい笑顔!同時に盛大な銀の紙ふぶきと、上から降りそそぐ色とりどりの無数の折り鶴・・・・ロナウドにカップが手渡される。ロナウドはブラジルの位置を確認してそこにキス、掲げる。そしてマルコスに手渡した。そしてその後ウイニングラン!惜しみない拍手が彼らに与えられる。スタンドで帰るものはいない。ブラジウの選手の中には、
「ありがとう日本 See you again」
と書かれたTシャツを着た者もいた。ロナウドへのインタビュー、まだ終わらないウイニングラン・・・横浜の熱狂はしばらくは止まなかった。
 
・・・かくて聖杯祭は終幕を迎え、明日からは再び4年後を目指した戦いが始まる。いや、もう始まっているのだ。今回出場できなかったオランダやチリ、早々に敗退してしまったフランス、アルゼンチンらはリベンジを胸に期しすでに始動しているだろう。今回はホームの利などもあり躍進した日本と韓国も、ドイツで活躍できるかの保証はまったくない。いや、アジア予選で敗退してしまう可能性すらある。この試合を見た後では、日本も韓国もまだまだ勢いだけのヒヨっ子にすぎない。真の強さを手に入れるための日本の旅は、これからも続く・・・





6月29日

6月29日 3位決定戦
韓国代表2−3トルコ代表
得点者:
韓国=イ・ウルヨン(FK)、ソン・ジョングッ(−)
トルコ=ハカン・シュキュル(−)、イルハン(ハカン・シュキュル)、イルハン(ハカン・シュキュル)

 いまや「ウリナラ杯」と呼びならわされるまでになったW杯韓国ステージ、その締めくくりとなる3位決定戦はご当地韓国と朝鮮戦争で韓国に付いてくれたトルコ。その恩か、これまでのチームのようにひどい扱いを受けていないようだ。しかし国歌演奏のときは大きな喚声が。国歌演奏でブーイングはまずいよ・・・とか思っていたら、スタンドで巨大なトルコ国旗が広げられたことに対するどよめきと歓声だったようだ。太極旗よりもデカかった!味方してくれた人に対してはえらい寛大だな、テーハミングッ。
韓国・・・GKイ・ウンジェ、ユ・サンチョル、ホン・ミョンボ、イ・ミンソン、MFイ・ヨンピョ、ソン・ジョング、イ・ウルヨン、パク・チソン、FWイ・チョンス、アン・ジョンファン、ソル・ギヒョン。
トゥルキェ・・・GKリュシュトゥ、DFファティ、アルパイ、ビュレント、エルギュン、MFトゥガイ、ユミト・ダヴァラ、エムレ・ベレゾール、バシュテュルク、FWイルハン、ハカン・シュキュル。
 主審はクウェート人、副審の片割れはサウジアラビア人。まことに堂々とした(恥も外聞もない)審判の選択ぶりッ!!マジで3位狙いにいっとりますな。

 韓国のキックオフで試合開始。まずはボールを戻す韓国。そこへトルコのツートップ、イルハンとハカン・シュキュルがいきなりプレスをかけてきた。ボールが3バックの中央のホン・ミョンボに戻る。トラップしたホンに二人がいっせいにプレスを仕掛けた。これに驚いたか?ホンはイルハンのプレスにボールコントロールを誤りボールはハカン・シュキュルの足元に。ハカン・シュキュルはこれを冷静にゴールに流し込んでトルコ10秒で先制!ミョンボヒョン、どうした!!まさか上層部のあまりにも露骨な行為に激怒して、トルコに1点をわざと・・・!敵に塩を送るというやつかッ!!
 しかし韓国は気落ちすることなく攻める。お互い中盤で激しいプレスをかけての速攻合戦。そして韓国が右サイドPAやや外からFKを得た。蹴るのは左足のスペシャリスト、イ・ウルヨン。左足一閃!!ボールはジャンプした壁の上をすれすれで越え、グンと曲がって右ポストを軽く叩きゴールに飛び込んだ。くるりと振り返って雄叫びを上げるイ・ウルヨン!韓国すぐさま同点!
 中盤右サイドからタテパス。これを受けたイルハンがキープしながら持ち上がる。そして左に流れるハカン・シュキュルにパス!ハカンはそのままタテへ抜ける。GKが飛び出し、DFも寄せてくる。するとハカンはちょんと中央へ折り返し。そこへDFを引き連れたイルハン。相手よりも一瞬早くボールにタッチ、ゴール右スミに流し込んだ。トルコ勝ち越し!それからはまた韓国がギアアップして猛攻に出たが、トルコ守備陣とGKリュシュトゥが鉄壁の守備を見せゴールを許さない。イ・ウルヨンにイエロー。ハ・ソッチュの轍を踏むなよ。
 GKリュシュトゥからのフィード!これを最前線でハカン・シュキュルがヘッドで落とす。これを受けたイルハンが前を向いたハカンにパス。ハカンはDFを背負いつつワンタッチでその裏へ。そこへパス&ゴーのイルハン!ちょんと浮かせてイ・ウンジェを軽々破り(自らもカッコよくウンジェを飛び越す)、ゴール!3−1と突き放した。イルハンの魅力に婦女子の皆さん方悶絶しまくりと予想!それにしても速攻から2人でゴールを奪ってしまうトルコ・・・アズーリもビックリさ!
 韓国も中盤のプレスから素早くサイドに展開、クロスを入れてアン・ジョンファンやイ・チョンスがゴールを狙うも、GKリュシュトゥが相変わらずの超人的反応で全て叩き落し、また捕ってしまう。審判もごく普通のジャッジングで、アン・ジョンファンのゴールをオフサイドで取り消した。ギリギリだったけど。ふーん、やっぱりあとで思い直して日本を破ったトルコには実力で勝ってやる、とか思ったのだろうか、上層部の人。CKからファーのハカン・シュキュルが打点の高いヘッド!イ・ウンジェセーブ!足を傷めたエムレ・ベレゾールに代わりハカン・ウンサルIN。韓国はイ・チョンスがドリブルで切り込んでシュートに行くが、寸前でユミト・ダヴァラがスライディングでクリア!そのうち前半終了。やっぱりユ・サンチョルが攻撃参加しなくちゃつまらんよ。ヘッド一本だけだったし。

 後半開始。ミョンボ先輩に代わって赤い赤い、赤い仮面のV3キム・テヨン。ミョンボ先輩の最後の代表試合が・・・ロングシュートの一発でも撃たせてあげたかった・・・後半もまずは韓国ペース。右からソル・ギヒョン&ソン・ジョング、左からパク・チソン&イ・ウルヨンが果敢に切り込んでチャンスを量産。ことにソン・ジョングは「タマとったるでえ!」といわんばかりの特攻ドリブルとミドル・シュートでトルコゴールを脅かす。トルコも左サイドのエルギュンのオーバーラップでカウンターを仕掛け、韓国をヒヤリとさせる。ハカン・シュキュルのクロス!イルハンが下がりながらボレーに・・・しかしここで後ろから上がってきた選手と重なってしまいシュートならず。韓国も反撃、シュートを次々放つがしかし、リュシュトゥの神業セーブが冴え渡りまくってどうしてもゴールを割れない。ここでヒディンクのいつものアレ炸裂、イ・ウルヨン>チャ・ドゥリ。トルコはカウンターでゴール前に再三迫るが、ポストのハカン・シュキュルは前半で満足したのか確変終了か、セネガル戦のごときまるっきりのハズレ状態突入。ちゃんとポストしさえすればイルハンはあと2点は取れたはずだが。リュシュトゥは足の状態が悪化したらしく、交代のサインを自ら出す。しかしGK出身のギュネシ監督は「許可しないィィィ!」とばかりにユミト・ダヴァラ>オカン。
 右サイドに入ったチャ・ドゥリは重戦車ドリブルでゴールに迫り、クロス&シュート。タイプはちと違うがフランス代表のシセを彷彿とさせる。そしてソル・ギヒョン>チェ・テウク。今回はDFは削らないようだ。ちょっとあきらめモードか?チャが右サイドを持ち上がってセンタリング、チェ・テウクが落としてアン・ジョンファン!もDFに当たって左に外れる。トルコ、バシュテュルク>タイフル。リュシュトゥは代えられず。またもチャのクロスにアン・ジョンファンが・・・トラップミス!こいつは延長になるくらい時間がないと決められんのじゃないか。ロスタイム3分に突入。韓国は全員攻撃に。トルコはパスをつないで素早く前線に展開、ハカン・シュキュルがシュートを放つがもはや決める運は持ち合わせていない。韓国反撃、中盤でボールを奪ったソン・ジョングが持ち上がってそのままミドルシュート!!これが前にいたチャ・ドゥリに当たって絶妙にコースが変わり、リュシュトゥの逆を衝いてゴール左スミに飛び込んで2−3!ソンはその場に正座して祈る仕草。ちょっと遅かった・・・ということか。最後の反撃も実らず、ホイッスル。トルコが初の3位に輝いた。
 
 トルコおめでとう!!3位に相応しい素晴らしいサッカーを展開してくれた。アレほど個性的な漢たちの集団とは・・・もっと見たかった。アイルランドに次ぐ好感度2位のチームに決定。韓国も、いいゲームだった。審判をアレしなくてもいいサッカーできたのになあ、もったいない・・・でも結果がほしかったんだろうな。ま、とにかくこのゲームは素晴らしかった。ゲーム後の雰囲気も最高。あとはW杯後の「テーハミングッ・シンドローム」に悩まされる人が多そうなのが心配だ。すでに「幻聴が聞こえる」という人が多数とのことだし。それはさておき・・・・・
 
よーし、これで韓国に勝てば世界3位というわけだな!!今度の日韓戦が楽しみだゼイ!!!




 これを地上波で流したのはフジTVだったが、韓国の表彰式は映してトルコの3位表彰式をカット。
そのあとの番組で、独韓戦中継でドイツユニを着ていた明石家さんまが出演していないなど、
おまえは韓国の丁稚か!!
といわんばかりの韓国寄りスタンス。試合前も韓国応援を煽る報道。
サッカーを馬鹿にするなよ(名指しするなら小倉。まあ、もっとも局としての方針だろうが)・・・まったく日本のTVときたら腰抜けの能無しばかりだな。日韓戦でもせいぜい韓国を応援しやがれ、恥知らず共め。私は当然、公然とトゥルキェを応援しましたが。
 



6月26日

6月26日 決勝トーナメント準決勝
ブラジル代表1−0トルコ代表
得点者:
ブラジル=ロナウド(−)

 

 




6月25日

6月25日 決勝トーナメント準決勝
ドイツ代表1−0韓国代表
得点者:
ドイツ=バラック(−)

 「審判疑惑」炸裂でアジア初のベスト4の偉業も霞んでしまい、ドイツサポーターからは「フェアプレイ、プリーズ!」の横断幕まで出る始末。対するレッドデビルズは、ハーケンクロイツ「ヒトラーの子らは帰れ!」の横断幕を掲げた。さすがにハーケンクロイツのほうは撤去されてしまったようだが、テーハミングッ国内の狂気っぷりも最高潮といったところか。かつて「天皇陛下万歳!」とかいっていたときの日本もこうだったのだろうか、と類推してみる。もっと近ければ「キムジョンイルマンセー!」の北の方々と同じという感想。同じ民族だしね。さてW杯の名を取り戻せるか、ドイツ代表。かくてゲルマン魂とコリアン魂の激突となった。
ドイツ:GKカーン、DFフリングス、ラメロウ、リンケ、メツェルダー、MFハマン、シュナイダー、ボーデ、バラック、FWクローゼ、ノイヴィル。
ウリナラ:GKイ・ウンジェ、DFチェ・ジンチョル、キム・テヨン、ホン・ミョンボ、MFユ・サンチョル、ソン・ジョング、イ・ヨンピョ、パク・チソン、FWイ・チョンス、ファン・ソンホン、チャ・ドゥリ。チャは親子二代でゆかりの深いドイツとの一戦で先発。

 まずはラメロウがDFラインから飛び出しオーバーラップ、PAにまで侵入しシュート!GK正面。さらに屈強なDF陣のボールカットから一気の速攻、右のシュナイダーに開いてクロス!ニアにクローゼ、ファーからボーデが飛び込んだがイ・ウンジェがキャッチする。韓国もカウンター、中盤から右のチャ・ドゥリに開き、チャのクロスをなべやかんイ・チョンスがダイレクトボレー!強烈な弾丸がゴール左を襲う!しかし野性の反応で宙を舞ったカーン様が右手一本でセェーーーーーヴ!!さすが、「足首太もも男の世界」ィィィ!!ドイツがペースを握り、左右に開いてのクロスにクローゼやノイヴィルが飛び込む。ノイヴィルは持ち前のスピードで韓国DF陣を切り裂く。これらをキム・テヨンが最後の最後で体を張って防ぎとめた。韓国は攻撃が単発で、シュートを撃ってもカーン様がきっちり捕る。ドイツの展開で前半を終了した。

 後半もドイツペースは変わらず。クローゼのクロスにボーデが飛び込み、フリングスがミドルを放ち、CKからリンケのヘッド!しかしいずれも決まらない。ヒディンクは足を傷めたファンセに代わり負傷上がりのアン・ジョンファン投入。さらにこれも負傷していたチェ・ジンチョルに代わりイ・ミンソン。韓国も苦しい。それでもセットプレイからゴールを狙おうとするが、ドイツDF陣が確実にクリアする。やはり堅い。バラックのクロスにクローゼ!GKの前。アン・ジョンファンのシュート!枠を外す。ラメロウのオーバーラップからクローゼにパス!しかしクローゼは持ちきれずクリアされる。韓国の左CK、ボールはファーへ!カーン様飛び出すとファー側へ背走しつつジャンプ、右手でボールをゴールライン外へ掻き出すッ!!自分と敵とゴールの位置を完璧に把握した上でのこのプレイ、またも男の世界を見せてくれる。どうも韓国では輝かない空の王者・クローゼに代わってビアホフ投入。と、韓国、イ・チョンスがドリブルで中央突破!PAに侵入・・・するところでバラックが背後からチャージ!ホイッスルでバラックにイエロー提示。決勝トーナメント2枚目の警告で、次の試合(決勝戦or3位決定戦)では出場停止となってしまった。しかしここは行くしかなかった。イ・チョンスのFKはドイツの城壁が弾き返す。これがCKとなり再びゴールを狙うもドイツクリア、このこぼれを拾ってつないでソン・ジョング!!もカーン様正面!!がっちりキャッチ。
 ドイツ、右サイドに展開。ノイヴィルがボールを受ける。眼前のDFとゆっくり間合いを取り、サッと外してセンタリング!ファーで待ち受けるビアホフ、しかしその鼻先に飛び出したバラックがダイレクトでシュート!GKイ・ウンジェがとっさに弾いたものの、こぼれが再びバラックの前へ。再びダイレクトでミート、がら空きのゴールに確実に流し込んでついにドイツ先制!ミヒャエル・バラック、決勝戦に進むであろう我がチームに対して大きな置き土産。さらにFKからボーデのシュートで攻め立てる。韓国はホン・ミョンボ>ソル・ギヒョンで最後の攻勢に。ドイツ、中盤からのFKからゴール前に上げ、ノイヴィルがバックヘッド!もGKキャッチ。シュナイダー>イェレミース。中盤からのロングボールにノイヴィル抜け出しPA侵入GKと一対一、両者交錯ノイヴィル転倒、ホイッスル!PK?ではなくシミュレーションでノイヴィルにイエロー。度重なる審判問題のためFIFAがこの試合のため選出したスイス人のウルス・マイヤー氏は的確なジャッジング(ちょっとドイツ寄りな気もしたが。名前はドイツ系だね)。ここでドイツはそのイエローをもらったノイヴィルを下げアザモアを投入。ロスタイム、韓国は必死の反撃を見せるも、パク・チソンのシュートが枠を外して万事休す。ドイツが鉄壁の守備で韓国を封じ、決勝戦進出を決めた。
 下馬評では歴代ドイツ代表中最低ともいわれたが、カーン様を中心とした守備と、やっぱり組み合わせに恵まれたことであれよあれよという間にここまで来てしまった。ここまで来れば、もう優勝して、ちょっと感じる物足りなさも「ゲルマン魂」でごまかしちゃえ!!
 それにしても、審判がフツーにやってくれるだけでこれだけすがすがしい試合になるんですな〜。試合後には両チームの選手たちがユニ交換。これでようやくW杯が戻って来た。





6月22日

6月22日 決勝トーナメント準々決勝
セネガル代表0−1Gトルコ代表
得点者:
トルコ=イルハン(ユミト・ダヴァラ)

 ともに初のベスト8進出。かたや「99パーセントの個人技と1パーセントの組織」セネガル、かたや高度な組織と炎の激情が共存するムスリムの雄トルコ。なんかいい試合やってくれそうな期待がある。してくれないとこの怒りと悲しみに満ちた気分は収まらない・・・
セネガル!GKシルヴァ、DFコリ、ディアッタ、マリク・ディオップ、ダフ、MFブバ・ディオップ、シセ、ディアオ、FWアンリ・カマラ、ディウフ、ファディガ。
トゥルキェ!GKリュシュトゥ、DFファティ、アルパイ、ビュレント、エルギュン、MFトゥガイ、ユミト・ダヴァラ、エムレ・ベレゾール、バシュテュルク、FWハサン、ハカン・シュキュル。

 ・・・面白いィィィ!!
かたや奔放な個人技で信じられないようなアクロバティックプレイを連発するセネガル、組織的かつパワフルなオールコートプレスでそれを潰して居合のようなカウンターを繰り出すトルコ。毛色の全く違うチームが真っ向からぶつかり合う、激しくも華やかなスーパーゲームが展開された。特にトルコ、「日本戦では手加減してやがったんじゃねえのか?」と思わざるを得ない凄さ。セネガルVSスウェーデン戦を観た後には、「日本もトルコもセネガルには勝てるわきゃねェー!」とか思っていたが、互角以上に渡り合っているッ!
 まず攻勢に立ったセネガルは右に開いたディウフのクロスをファディガがとんでもないボディバランスでトラップして足元に落とす。瞬間長居沸騰!ゴールには結びつかなかったものの、トラップ一発で感動できるとはッ!アンリ・カマラが素早いことこの上ない瞬発力のドリブルからシュート!しかしGKリュシュトゥががっちりキャッチ!ロングスロー!ニアでブバ・ディオップがヘッドで反らしてファディガがダイレクトボレェェェーッ!!でもカマラに当たっちまってあまつさえオフサイドォォォ!避けりゃゴールだったのにィィィ!
 20分を過ぎるとトルコが押し返してきた。特にバシュテュルク・モリシがキレキレで、彼を中心としたパスワークでセネガルディフェンスをキリキリ舞いさせていく。ハカン・シュキュルへのロングボールをハカンが落とし、ハサンが拾ってDFをひきつけ、ファーに走ったハカンへ絶妙のパス!押し込んでゴール・・・しかしなぜか足に合わず!!なにやってんだァ!!さらにバシュテュルクから右のハサンに開いてクロス、ハカン・シュキュル・・・とどかず!またも右のアルパイからPA内のハカン・シュキュルへ!これもシュート撃てない!この電柱めェェェ!!彼は以前ユーヴェに移籍したとき、「ホームシック」にかかってさっさとトルコに帰ってしまった実績があるが、極東の地は彼には遠すぎたのだろうか。完全にペースを握ったトルコ、さらに右サイドのユミト・ダヴァラ、左サイドのエルギュンがオーバーラップしてクロスをハカン・シュキュルめがけ放り込むが、どうしても決まらない。セネガルもアンリ・カマラがドリブルで持ち上がり、シュートと見せてラストパスを出したがカットされる。劣勢でちょっと弱気になったか?トルコが反撃、ハカン・シュキュルのポストからハサンがセンタリング、これを小兵・バシュテュルクがヘッドォォォ!ボールは飛び出したGKを尻目にゴールへ、しかしDFダフが反転してこれを追い、足を一杯に伸ばし、ゴール寸前で何とクリアーッ!!めくるめく大攻防戦に、0−0ながら長居はすでに興奮の坩堝。そのままスコアレスで前半終了。

 後半も立ち上がりから攻め合い。両者ともサイドからチャンスを創る。セネガルはFKを得、ディウフが狙うも外れる。トルコはバシュテュルク、単身ドリブルで切り込み、DFをかわしてシュート!!寸前ディアッタがクリア!トルコはさらにサイドに開いてのクロス(特にモヒカンのユミト・ダヴァラ)を繰り返すが、相変わらずハカン・シュキュルが合わせることができない。ついにギュネシ監督は彼をあきらめFWイルハンを投入。イルハンはさっそくバシュテュルクのポストからループシュート!ちょっと上だった。
 時間が経つにつれ、両者とも動き回りまくったツケが出てきて運動量・集中力が落ち、試合が膠着状態に陥ってくる。時間が刻々と過ぎていくも決定機は来ない。ロスタイムにセネガルのアンリ・カマラがシュートを放つが、リュシュトゥががっちり正面で抑える。そしてホイッスル、延長戦へと舞台は移った。

 トルコはエムレ・ベレゾールに代わりアリフを投入。セネガルは依然交代はなし。延長スタート!まずはアンリ・カマラがドリブルでPA侵入、しかしリュシュトゥが飛び出してセーブ、結局ゴールキックとする。トルコ反撃、CKを得るとアリフのキックからユミト・ダヴァラ!DFに当たってもう一度CKに。アリフのキック!DFのクリアをトゥガイがミドル!決まらず。そして決着の時・・・この日右サイドをこれでもかと破っていた世界ナンバーワンモヒカン、ユミト・ダヴァラがボールを持って疾駆、中央へ低く速いクロス!これに走り込んだのがチョンマゲ・イルハン!ニアでダイレクトに合わせたシュートはゴール左スミへ!GK一歩も動けず!ゴールネットが揺れ、この瞬間ゴールデン・ゴールによるトルコ代表準決勝進出を告げるホイッスルが高らかに鳴った。

 トルコの洗練されまくったプレス・サッカーは素晴らしい。彼らならひょっとしたら、王者ブラジルも・・・・そういえばグループリーグ以来の再戦。そのときは先制しながらもロナウドに決められて同点に追いつかれ、さらにPA外でのファウルでPK宣告されるという不可解極まりない判定で(そういえばそのときの主審は韓国人だったね)逆転負けというなんとも納得いかない試合だっただけに、みんな燃えてるだろう。楽しみだ。


6月22日 決勝トーナメント1回戦
スペイン代表0−0韓国代表
     (PK3−5)

 この恐るべき情景より、これらの敵意に満ちた力より、
  ああ!われらいずこへ逃るるべけんや?
   おお、ソリマー(エルサレム)!
    汝が誇れる塔は、
     煙れる廃墟の中に横たわる。
      (ジョージ・フリデリック・ヘンデル、オラトリオ《ユダス・マカベウス》第1幕より二重唱)

 ワールドカップはこんなんじゃないんだ・・・こんなものであってはならないんだ・・・スペインがかわいそう過ぎる・・・あんなあからさまなミスジャッジをやられて、どうして納得してピッチを去ることができる?怒り、悲しみ・・・それらが渾然となってどうしようもなかった。韓国代表の選手たちは連続の延長戦、さらにプレッシャーのかかるPK戦、それらを乗り切って見事なパフォーマンスを見せた。なのに・・・それらももはや正当に評価されないだろう。最初は素晴らしい出だしだったはずなのに、いつの間にか狂気に満ちあふれてしまったこの大会はどうなってしまうのか・・・

 モリエンテスのゴールは、ピクシーの言葉どおり、正真正銘のゴールだった。
 敗因があったとすれば、カマーチョ監督のへんな選手交代に尽きるだろう。それにしても、彼のワキ下の発汗は凄かったよね・・・この日はなぜか少なかったケド・・・



6月21日

6月21日 決勝トーナメント準々決勝
ドイツ代表1−0アメリカ代表
得点者:
ドイツ=バラック(ツィーゲFK)

 ここまでわずか1失点。強固極まりない守備で勝ち上がってきたドイツと、組織だったスピーディな攻守で小さな驚きを提供しているステイツ。かつては派手にドンパチやらかした米独対決、今回勝つのはどっち?
ドイツ。GKカーン、DFフリングス、リンケ、ケール、メツェルダー、MFハマン、ツィーゲ、シュナイダー、バラック、FWノイヴィル、クローゼ。
USA。GKフリーデル、DFサネー、ポープ、バーハルター、ヘジュク、MFマストロイーニ、オブライエン、レイナ、ルイス、FWドノヴァン、マクブライド。
1回戦に引き続き、カーン様とフリーデルの好GK対決となった。

 試合開始。まずはステイツが主導権を握る。左右に開いて鋭いクロスをどんどん放り込んでくる。ルス、サネー、ドノヴァン・・・そしてドノヴァンがドリブルで突っ込んできてシュート!しかしカーン様セーブ!ドイツは俊足・ノイヴィルにボールを集めるが、オフサイドになったり、ステイツDF陣にストップされたりでなかなかゴールに結びつかない。逆にカウンターからドノヴァンが抜け出しカーン様と一対一!しかしカーン様はこれを止めるゥゥゥ!ドイツはセットプレイしか攻める手立てがない。ステイツはルイスのシュート!カーン様またも防ぐ!いつまで持ちこたえられるか・・・しかし右サイドからのFKゲット。蹴るのはシュナイダー、ではなくツィーゲ(モヒカンはやめてスキンヘッドに)!ゴール向け曲がっていくボールにドイツの選手が競り合いながら走り込み、ジャンプ一番ヘッド!ゴールネットが揺れる。左右を挟みこんでいたステイツDF陣よりも頭ひとつ高く合わせたのは、ミヒャエル・バラック!レーヴァークーゼンの才人の一撃で劣勢のドイツ先制!
 これで勢いが出てきたドイツ。立て続けに右サイドでファウルをもらってFKをゲット、ツィーゲが正確なボールを放り込みまくる。ゴールラインに逃れたステイツに、今度はCKが襲い掛かる。こぼれ球をノイヴィルがゴール前に上げ、そこに飛翔したのは「新・空の王者」クローゼ!GK捕れない・・・がポスト直撃ィィィ!!前半はそのまま1−0で終わった。

 後半開始いきなりステイツの右サイドバック・サネーがゴール前に飛び込んできてヘッドォォォ!さらにドノヴァンのシュート!そしてそして、CKからルイスのボレェェェーッ!!!ゴール左を急襲、カーン様身を翻して跳び、セーブ!!しかし脇を抜けたボールがゴールへと飛び込む・・・寸前、ゴールポストにくっついていたフリングスの手にボールが当たり戻ってきた。クリア!「ゴールだ!」「ハンドだろ!」とアピールするステイツの面々。しかし判定はノーファウル。逆にその後のプレイでステイツのファウルを取られドイツボール。混戦の中からルイスのミドル!カーン様正面!!ドノヴァン、マクブライドのワンツーからドノヴァンのシュート!!カーン様捕る!ドイツに抑えられていたマクブライドがマシスに交代。ドイツも足に不安を抱えていたシュナイダーに代えイェレミースを投入、守備を強化。ステイツ、ロングボール!ヘジュクが抜け出すがカーン様がパンチでクリアァァァ!そして飛び込んできたヘジュクをその勢いで撥ね飛ばすッ!!まさに無敵!しかしステイツはあきらめない。またもロングパス!カーン様飛び出しクリア!しかしそのこぼれをルイスがダイレクトでロングシュート!カーン様の上を抜けたボールは・・・ゴール左に外れる!!ステイツはヘジュクに代わりベテランのコビ・ジョーンズ。ここから試合が激しくなり、立て続けにイエローが出る。ツィーゲのFKからバラック!は合わず。今度はノイヴィルがスピードでぶっちぎってシュート!上へ外れる。お疲れのノイヴィルに代わりボーデ。ステイツもマストロイーニに代えスチュワート、さらに前がかりに。フリングスのクロスをファーでボーデがヘッドで折り返しクローゼ!GKが飛び出しキャッチ。ドイツは守備を固めカウンターに徹するようになってきた。ステイツもなかなかゴール前に達することができなくなってくる。ドイツはクローゼ>ビアホフ。そしてロスタイムに入った。ビアホフのキープからパス、左サイドをボーデがぶち抜いて突破!そのままPA内に侵入しシュート!がサイドネット外側。さらにボーデの突破からセンタリング!もビアホフに合わず。ゴールならなかったもののドイツがそのまま押し切ってホイッスル。
 GK対決も制し、またしても無失点で準決勝進出を決めた。ここまでの失点が、あのアイルランドのクイン>ロビーのゴールのみというのは凄いことだ。次はどうよ?

6月21日 決勝トーナメント準々決勝
イングランド代表1−2ブラジル代表
得点者:
イングランド=オーウェン(−)
ブラジル=リバウド(ロナウジーニョ)、ロナウジーニョ(FK)

 ベスト8出揃い、いよいよやってきた準々決勝。いきなり母国対王国の好カード。リオとソルの超強力センターバックコンビを擁するイングランドか、問答無用の攻撃力を誇る「3R」のブラジルか?
イングランド。GKシーマン、DFミルズ、キャンベル、ファーディナンド、A・コール、MFバット、スコールズ、ベッカム、シンクレア、FWオーウェン、ヘスキー。
不動のスタメン。前の戦いで負傷交代したオーウェンの足の調子はどうか。
ブラジル。GKマルコス、DFカフー、ルシオ、ロッキ・ジュニオール、ロベルト・カルロス、MFジウベルト・シウバ、エジミウソン、クレベルソン、ロナウジーニョ、FWロナウド、リバウド。この日は青のユニ。ジュニーニョ・パウリスタのかわりにクレベウソンを起用している。

 試合は守りあいとなった。もともと強固な守備組織を持つイングランドに、脆弱な守備力のブラジルもスピードのオーウェンと(主にベッカムからの)一発を恐れたか深く引いてきたため、やや膠着したまま試合が進んでいく。ゴール前までは行くものの、引いてしまっているために最後の一歩に迫力を欠いた。その中、ゲームが思わぬところから動く。ヘスキーが前線のオーウェン目がけパス!これはやや大きくブラジルDFルシオが先に落下点に入った。トラップしてクリア・・・しかしルシオはトラップミス、ボールはオーウェンの前に転がった。オーウェンは一気に加速するとボールを奪いルシオを置き去りにしPA侵入、GKマルコスが先に反応して勝手に跳んでしまう愚を犯すのを尻目に、ゴール真ん中に突き刺してイングランド先制!ブラジル、恐れていたミスから失点してしまった。はたしてイングランドの守備を崩せるのか?ブラジルはゴール前をガッチリ固められていることでロベカルやカフーがミドルで狙うがゴールは割れない。早くも前半ロスタイム突入、後半勝負か、と思われた47分、中盤のど真ん中からロナウジーニョがドリブルを始めた。右にリバウド、左にロナウドがサッと開き、ゴール向け突進する。ロナウジーニョは二人の空けてくれたスペースに果敢にドリブルで切り込んでいった。素早く大きなまたぎフェイントで一人を抜き去り、さらに前へ!このまま行かせない、とイングランドDF陣がさっと囲い込む、その瞬間ロナウジーニョが右アウトサイドでリバウドにはたいた!フリーのリバウドは、相手が詰めてくる前にダイレクトで左足を振りぬく!完璧にコントロールされたシュートは狙いたがわずゴールに飛び込み、左サイドネットの内側を揺らした。ブラジル、一瞬の斬撃。1−1、追いついた。

 後半立ち上がり、右からベッカムのFK。これはPA内のイングランドのファウルでゴールに結びつかず。ブラジルもその後右からのFKを得た。カフー、いやロナウジーニョが蹴るようだ。誰に合わせる?キック!GKシーマン飛び出し・・・かけ、ビクッとして後ろに走る。そしてジャンプ、腕を一杯に伸ばして・・・
ゴール!ロナウジーニョ、右サイドFKから右足で直接ゴールに蹴り込んだ!シーマンがクロスと読んで前に出てきていたのをカフーに指摘され、直接狙うことに決めたらしい。それにしてもよくもまあゴール左上隅に落ちてくるボールをコントロールさせたもんだ。Jリーグでも、ガンバのマルセリーニョ・カリオカの魔法の右足を見ているが、ここでもブラジルのテクニックの神髄を見た。
 逆転されたイングランドは再び前に出てくる。オーウェン、ヘスキーが前線に進出し、さらにシンクレア>ダイアーで前がかりに。そしてアクシデント、ロナウジーニョが足の裏を見せてタックル、一発レッドで退場!ブラジルは10人になってしまった。攻勢にかかるイングランド、対するブラジルは、さらに引いてゴール前をガッチガチに固めてしまった。組織的守備はともかくフィジカルだけは一級のブラジルDF陣、飛んでくるボールを迎撃迎撃、向かってくるヤツをブロックブロック!ロナウド>エジウソンで、とにかく無理に攻撃せずボールを持ったら前線でまわしてまわしてキープ、あとは守って守って守りきる作戦に。イングランドは負傷の影響でゲームから消えてしまったオーウェンに代えFWヴァッセル、左SBのアシュリー・コールに代えFWシェリンガムを投入しパワープレイで総攻撃。しかしどうしてもゴールに結びつかず、ホイッスル。王国ブラジルがイングランドに対する不敗神話をまたひとつ伸ばした。
 イングランドにとっては本来有利な要素となるはずのロナウジーニョ退場が、逆に相手の守りを固めさせてしまうというマイナスの面に働いてしまった。そのままのブラジルなら、カウンターでいくらでも決定機を創ることができただろうに・・・



6月18日

6月18日 決勝トーナメント1回戦
韓国代表2G−1イタリア代表
得点者:
韓国=ソル・ギヒョン(−)、アン・ジョンファン(イ・ヨンピョ)
イタリア=ヴィエリ(トッティCK)

 見事にグループリーグをトップで突破した韓国代表の前に立ちはだかるは、難攻不落の守備陣を抱える(今回はちょっぴりガードが甘いが)アズーリ。何かと審判に泣かされているが、決勝トーナメントでは一味違った姿を見せられるか。
韓国のメンバーは、GKイ・ウンジェ、DFチェ・ジンチョル、キム・テヨン、ホン・ミョンボ、MFキム・ナミル、ユ・サンチョル、ソン・ジョング、イ・ヨンピョ、FWパク・チソン、ソル・ギヒョン、アン・ジョンファン。
アズーリは、GKブッフォン、DFパヌッチ、ユリアーノ、マルディーニ、MFザンブロッタ、ザネッティ、トンマージ、ココ、トッティ、FWデル・ピエロ、ヴィエリ。守備の要ネスタとカンナヴァーロを欠く苦しい布陣。試合開始前の国歌独唱も演奏ヘタクソ、歌も最低で、早くもアウェイの洗礼。

 前半開始早々、FKのチャンスからPA内でパヌッチがソル・ギヒョンを引き倒したとしてPK。蹴るのはアン・ジョンファンだが、何とこれをブッフォンがストップ!それからは両者、相手の攻撃を受け止めての速攻の応酬となったが、その中トッティのCKからヴィエリがユニを引っ張られながらも力強く跳躍しヘッドでニアにズドンと叩き込みアズーリ先制!イタリアのペースになった。韓国も必死に攻めるが、先制し無理をしなくなったイタリアの守りは崩せない。そのうち早くも前半が終了した。
 後半も攻める韓国に守るイタリアの図式は変わらず。イタリアは時折鋭いカウンターを繰り出しながら韓国を牽制、デルピエロをガットゥーゾに代え中盤の守備をさらに強化。対する韓国はCBの真ん中のキム・テヨンに代えファン・ソンホン投入。前線に人数を増やした。イタリア、ロングボールからヴィエリが抜け出す!しかし残ったDFが何とかカット。韓国はキム・ナミルが負傷。守備が・・・しかしヒディンクは彼に代えすぐさまイ・チョンスを投入した。韓国はアン・ジョンファンにボールを集め反撃を期すが、彼がチャンスを決め切れない。守備が薄くなったことでイタリアの(ていうかヴィエリの)カウンターを立て続けに食らいピンチを迎えるが、全員で守る。トッティが4人をぶち抜いてドリブル突破!もあと一人というところでストップされる。ヒディンクはここで最後のカード、主将のホン・ミョンボに代えFWチャ・ドゥリ投入!日本もビックリのカミカゼ特攻フォーメーション!こうなりゃ韓国は攻めるほかない。最後の守りはチェ・ジンチョル、ソン・ジョングとユ・サンチョルに託し、とにかく前へ前へ!そして後半43分、右からのファン・ソンホンのクロスがクリアし切れなかったパヌッチの体に当たり、こぼれたところにソル・ギヒョン!左足を振りぬきゴール右スミに叩き込んだ。1−1同点!これで勢いに乗った韓国はチャ・ドゥリがオーバーヘッドでゴールを狙うがGKがキャッチ。そして延長に突入した。

 延長に入っても全くスタミナの衰えない韓国代表が押し込む。ファン・ソンホンのFK、ジャンプした壁の下を通してゴール右スミを狙ったが、ブッフォンがパーフェクトなセーブでゴールを許さない。そして反撃、トッティがカウンターで突破しPAに侵入、倒される!!PK!?いや主審はトッティの前へ!シミュレーションでイエロー、これが2枚目!かくてトッティは退場となった。DFはボールに行っており、トッティがその足にかかって倒れたので、PKはないとしてもイエローもなかった。そのまま流すのが妥当だったろうが・・・イタリアはこれで追い詰められた。
 延長後半、ゴール前に飛び出すトンマージにスルーパス!抜け出した!・・・しかしオフサイド!スローで見ても何でそうなったのかよくわからないが、とにかく大きなチャンスを逸した。ソル・ギヒョンのクロスにファン・ソンホン!もGKキャッチ。イタリアも反撃、ガットゥーゾがソル・ギヒョンの軽率なプレイを見逃さずボールを奪ってゴール向け突進、いったんはDFに止められるもさらに奪い返しシュート!しかしGKイ・ウンジェが正面に立ちはだかりセーブ!そして韓国は左サイドに開き、イ・チョンスが戻してイ・ヨンピョがクロスを入れ、マルディーニに競り勝ったアン・ジョンファンがゴール右スミにヘッドを叩き込み、ベスト8進出を決めた。



6月17日

6月17日 決勝トーナメント1回戦
ブラジル代表2−0ベルギー代表
得点者:
ブラジル=リバウド(−)、ロナウド(クレベルソン)

 守備はアレだが攻撃力はピカ一のブラジルに、団結力で勝負の赤い悪魔ベルギーが挑む。
セレソンのメンバーは、GKマルコス、DFカフー、ルシオ、ロッキ・ジュニオール、ロベルト・カルロス、MFジウベルト・シウバ、エジミウソン、リバウド、ジュニーニョ・パウリスタ、ロナウジーニョ、FWロナウド。
ベルギーは、GKデフリーヘル、DFペータース、ファンブイテン、シモン、ファンケルクホーフェン、MFファンデルヘーヘ、ワレム、ムボ・ムペンザ、ヴィルモッツ、ゴール、FWフェルヘイエン。

 序盤から組織的な守備でブラジルの攻撃陣を封じるベルギー。怪物トリオ「3R」をことごとく抑え込み、得点を許さない。そしてフェルヘイエンめがけロングボール!これが脆弱なブラジル守備陣に効く。彼の突破からベルギーが度々チャンスを創るが、ブラジルも最後の最後で抑える。後半に突入すると組織のベルギーがブラジルを押し込み始め、フェルヘイエン、ヴィルモッツ、ムペンザ、ゴール、ワレムが次々に飛び出しゴールを狙う。ひょっとすると・・・と思い始めた後半22分、右サイドから切り込んだロナウジーニョが中央へパス。このボールにリバウドが食らいつき胸でトラップ。そして左足で、自分が反転したあと左で撃てる位置にボールをコントロールすると、続いて反転し左足の一撃!DFに当たって軌道のわずかに変わったボールがゴールに突き刺さり、ブラジル先制!
 ベルギーはFWソンクを投入し攻撃にかかるが、ブラジルはロナウジーニョに代わって投入されていたクレベルソンの右サイドカウンターから中央へグラウンダーのクロス!これを疾風のように走り込んだロナウドが左で叩き込んで2−0。勝負を決めた。
 ベルギーは、セットプレイからのゴールをファウルで取り消されるなど、不運だった。


6月17日 決勝トーナメント1回戦
メキシコ代表0−2アメリカ代表
得点者:
USA=マクブライド(ウルフ)、ドノヴァン(ルイス)

 アメリカ対決。しかも隣国。北中米予選では互いに鎬を削りあった両国が、本大会の決勝トーナメントで再び顔をあわせることとなった。下馬評ではメヒコ有利。しかしツボにはまった時のステイツは怖い。朝にはブッシュ大統領閣下からの激励も届き、戦意も高まっているだろう。
メヒコのメンバーは、GKペレス、DFビドリオ、マルケス、カルモナ、MFトラード、アレジャーノ、モラレス、J・ロドリゲス、ルナ、FWボルヘッティ、ブランコ。
対するステイツは、GKフリーデル、DFサネー、ポープ、バーハルター、MFマストロイーニ、オブライエン、レイナ、ルイス、ドノヴァン、FWウルフ、マクブライド。

 開始から攻守にスピーディーなステイツがペースを握る。そして右サイドを破ったレイナのセンタリングをウルフがヒールで後ろへ戻し、マクブライドが豪快にキメてステイツ先制!メヒコも得意のショートパスを連ねる攻撃で反撃も、今大会屈指のGKフリーデルを擁するステイツはDF陣の粘り強い守備もあってがっちりとゴール前に鍵をかける。ステイツはいいGKを輩出するけど、やっぱりアイスホッケーが盛んなお国柄だからだろうか?メヒコは早くもエルナンデスを投入、攻勢に出るがステイツはこれに耐え、逆に今度は左サイドをルイスが破り、センタリングをトップスピードで駆け込んできたドノヴァンが頭で叩き込んで2−0と突き放した。必死のメヒコはDFマルケスがレッドで退場し万事休す。かくてステイツは宿敵・メヒコを下してベスト8進出を決めた。



6月16日

6月16日 決勝トーナメント1回戦
スペイン代表1−1アイルランド代表
     (PK3−2)
得点者:
スペイン=モリエンテス(プジョル)
アイルランド=ロビー・キーン(PK)

 今度の無敵艦隊はどうやら看板に偽りナシらしく、グループリーグを3戦全勝で勝ち上がってきた。対するアイルランドは、ノー・サレンダー、凄まじいまでの粘りで相手に食らいつき、見事にトーナメント進出してきた強いチームだ。NHK解説の岡田さんもすっかりアイルランド・マニア。
 スペインのメンバーは、
GKカシージャス、DFプジョル、イエロ、イバン・エルゲラ、ファンフラン、MFバレロン、バラハ、ルイス・エンリケ、デ・ペドロ、FWモリエンテス、ラウール。
 対するアイルランドのメンバーは、
GKギヴン、DFフィナン、ブリーン、ストーントン、ハート、MFガリー・ケリー、キンセラ、ホランド、キルベイン、FWダフ、ロビー・キーン。
 国歌演奏。まずスペインの「王の行進」。通例歌われず器楽演奏のみなので誰も歌わない。つづいてアイルランドの「兵士の歌」。陽気なアイリッシュたちが心をこめて熱っぽく高らかに歌い上げる。こういうことをわざわざ書くのは、私がアイルランド国歌を好きだからだ。

 試合開始!いきなりアップテンポ、アレグロ・ディ・モールト!静かな立ち上がりとは程遠い、激しい攻防。キルベイン>ロビーとつないで、ロビーがプジョルをかわしてPA侵入、シュート!右に外れる。デ・ペドロのクロス!右に流れてルイス・エンリケが拾い、クロス!ファーのモリエンテスがヘッド!ふわりと上がったボールがゴール向け落下する。GKギヴンが後ずさりながらラインギリギリでキャッチ。ダフ!L・エンリケ!両チームとも速い速い!そしてエールに一瞬の隙!プジョルのスローイン、返されたボールを自ら持ち込んでセンタリング!これをスッとニアに入り込んだモリエンテスが一気に飛び出しヘッド!ゴール左に叩き込んで、前半8分スペイン先制!
 エールも反撃、サイドに開いてクロス、クロス!ダフのキープから戻し、キンセラのミドル!左に外れる。細かいパス回しから抜け出したロビーに渡るがオフサイド。ハートのフィードからロビーが反転しざまにミドルシュート!右に外れる。フィナンとデ・ペドロがちょっぴり衝突、主審がチェック!スペイン中盤からスルーパス、ラウール飛び出す、ストーントン併走!どちらが勝つ・・・GKギヴン飛び出しクリア!速攻からロビー!スペインDFストップ。スペインカウンター!もストーントンが止める。スペインが中央突破。中盤からボールが入ってモリエンテススルー、ラウールがそのまま走り込むモリエンテスに浮き球、モリエンテスがヘッドで落として、走り込んだルイス・エンリケが押し込む、ゴール!・・・・・いやオフサイド!この際ストーントンが倒れ治療。スペインの攻勢、左からリズミカルにつないで右のL・エンリケに渡りクロス!DFクリア。左からファンフラン>デ・ペドロ>ラウール>デ・ペドロとダイレクトにつないでクロス!モリエンテス飛び込むが合わず。エールも速攻、ダフの突破からセンタリング!ロビーの前にDF入ってクリア!スペインのカウンターもエールの果敢なオフサイドトラップにかかり潰される。ダフへのロングボール、競り合ったDFが処理を誤りCKに。ハートショートコーナーからクロス、もう一度CKに。再び蹴るもクリアされる。前半終了間際、放り込みに抜け出したロビーが高くバウンドしたボールに足を振り上げタッチ、GKの頭の上を越す!も枠を捉えず。スペインはデ・ペドロが左に開いたモリエンテスにパス、モリエンテスがラウールへ!オフサイド!エールはハートのロングシュート!上に外れる。ここで前半終了。

 激しい攻防は後半戦へ。ラウールがボールカットし反転するもDFの足がかかる!こぼれたボールをモリエンテスが持ち込みシュート!GKギヴンがセーブ、クリア!ここで前半負傷していた主将・ストーントンに代わりDFカニンガム。エールのクロス!GKカシージャスとDFプジョルが交錯しボールがこぼれる、キルベインがシュート!DFクリア!エール、右サイドからガリー・ケリー、ダフ、ロビーで崩すもシュートまでいけず。ガリーのクロス、ロビーのダイレクトボレー・・・寸前でクリア、ロビーは空振り!ここで早くもナイアル・クイン登場、ガリーと交代。ダフが右サイドに回る。エールはクインにロングボールを放り込み、彼のポストからチャンスを作り出す。クインのポストから右サイドダフが切り込みクロス!合わず!またもクインのポストからダフがタテに突破、ファンフランを振り切ってPA侵入、その時背後からファンフランのタックル!ダフがもんどりうって倒れる、すかさずホイッスル!主審がペナルティスポットを指してPK!そしてファンフランにイエロー!蹴るのはセットプレイのスペシャリスト、イアン・ハート。左足のキック!
ストップ!!
カシージャスが見事にセーブ!こぼれにキルベインが合わせたが左に外す!エール、最大のチャンスを逃した!
 スペインはデ・ペドロ>メンディエタ。
 右サイドで鬼気迫るキープと突破を見せるダフ。対するスペインはメンディエタのテクニックからのクロスで対抗。こぼれを拾ったバラハがスルーパス、抜け出したラウールがGKの動きをよく見てゴールに流し込みゲット!ではなくオフサイド。エールはハート>クイン>ロビーとつなぐもシュートならず。スペイン、モリエンテスを引っ込めアルベルダを投入。えらく慎重だな。スペイン、クロスのこぼれをラウールが競り、こぼれを拾ってシュート!GKギヴン足で防ぎクリア!エールは右からのFK。ハートが狙う!正面に飛んだボールをロビーが合わせるも外れる。ダフが右からドリブルで切り込んでシュート!わずかに左に外れる。ここでどこかいためたか自らバツを出していたラウールに代わりルケ。トリスタンじゃないのか・・・バレロンからそのルケへパス、ルケのシュートはサイドネット。エールは三枚目のカード、ハート>FWコノリー。クロス!クインが落としてロビー突っ込む!カシージャスキャッチ、交錯!
 バラハ、遅延行為でイエロー!
 時間は45分を回ろうとする。エールはFK、フィナンのクロス!DFに弾き返されるもここでホイッスル。そして主審がペナルティスポットを指した。PK!?スローで見ると、クインのユニをイエロがモロに掴んでいた。イエロにイエロー提示。そしてキッカーはエース、ロビー・キーン!
ゲットォォォォォ!!!!!
カシージャスは一歩も動けず、鋭いシュートが左スミに突き刺さった。エールサポーター大爆発!ロビーはお馴染みの側転>前転から右腕を高く突き上げた!1−1、エールの驚異の粘りは健在!!さらにエールはダフのシュート、コノリーのシュートと攻め立てる。そしてホイッスル!この戦いも延長戦へ突入!それにしてもエールのこの奇跡的な粘りはどうよ!!

 延長、スペインよりキックオフ。しかしスペイン、10人しかいない。実はアルベルダが負傷しこれ以上の出場は無理となっていたが、しかしすでに三人を交代しているため代えることができなかったのだ。FW二人を交代し攻撃力が大幅に減退したスペイン、ピンチだ!無理はせず落ち着いて回し、メンディエタに預けてチャンスを窺う。メンディエタ、敵陣深くでボールカットしてシュート!右に外れる。カウンターからルケが飛び出す!これはカニンガムがタックル一発、ボールを奪い返す。ルイス・エンリケのパスからルケのシュート!DFブロック。エールは早めのクロスをクインに合わせてチャンスを量産するが、スペインDF陣が意地ではね返す。戦いは延長後半へ。ロビーのミドルシュート!フィードをクインが落としてロビーのミドル!右に外れる。スペインはバレロンが倒されFKゲット、イエロが狙うが壁に当たる!バラハのミドル!GKセーブ。ダフの突破からキンセラのミドル!わずかに左に外れる。エールもさすがに疲れてきた。スペインが盛り返してくる。カウンターからワントップの位置に入っていたL・エンリケが突進するもDFにストップされる。双方攻めるもののやはり疲れのためか迫力を欠き、ここでホイッスル!!120分を戦って決着つかずドロー、上へ進む者を決めるPK戦にもつれ込んだ。

先攻はエール、キッカーはロビー・キーン。守るはカシージャス。

ゲット!左上に突き刺す。

後攻スペイン、一人目はイエロ。

ゲット!左スミに決めた。

エール二人目はホランド。

ミス!!強烈なシュートはバー直撃!

スペインの二人目はバラハ。

ゲット!右に決めた。2−1リード!

エール三人目はコノリー。

セーブ!!カシージャスが正面から動かず止めた!

スペイン三人目はファンフラン。

失敗!左足の一振りは左へと外れてしまった!2−1のまま!

エールの四人目はキルベイン。

失敗!カシージャスがまたもストップ!

スペイン四人目はバレロン。決めれば勝利!

彼も外した!右ポストをかすめる!

エール五人目はフィナン。外せば負け・・・

ゲット!!右上隅に叩き込んだ。2−2!

スペイン五人目はメンディエタ!いったんボールを置き直し、助走を取って―

ゲット!!ゴール中央に流し込み、スペインの勝ち上がりが決定!!


 ・・・・・・・・・疲れた・・・・こんな物凄い試合を一日に2試合も見せられたらたまりません。
 アイルランド、その戦いぶりは極東の人々の心に深く刻み込まれた。一度PK失敗し、緊張の糸が切れてもおかしくない状況に置かれてもなお攻め続け、再びPKを得て追いつくなんて、もう何て言っていいのか!素晴らしい!最後は体力・精神力とも消耗しきってPK戦で及ばなかったが、胸を張って故国へ帰ってほしい。ロイ・キーンもたぶん喜ぶだろう。
 スペインはここ近年一の組織力だろう。グアルディオラがいないことが個々の責任感をしっかりさせているのかもしれない。あとは監督のカマーチョがミョーな采配をしないことを祈るのみだ。モリエンテス>アルベルダは違うだろ。

 

6月16日 決勝トーナメント1回戦
スウェーデン代表1−2Gセネガル代表
得点者:
スウェーデン=ラーション(A・スヴェンソンCK)
セネガル=H・カマラ(−)、H・カマラ(−)

 かたや死のグループFを堂々のトップで通過してきた「ブローギューラ(青と黄色)」こと北欧の巨人・スウェーデン代表、かたや王者・フランス代表を屠って勝ち上がってきたアフリカの若き獅子・セネガル代表。ともにカウンターを持ち味とするチーム、どういう戦いになるのだろうか。
 スウェーデンはパトリック・アンデションとリュングベリを負傷で欠く。
メンバーはGKヘドマン、DFメルベリ、ヤコブソン、ミャルビー、ルチッチ、MFリンデロート、A・スヴェンソン、アレクサンデション、M・スヴェンソン、FWアルベック、ラーション。
 セネガルはファディガとディアオを出場停止で欠く。
GKシルヴァ、DFコリ、ディアッタ、M・ディオップ、ダフ、MFシセ、ブバ・ディオップ、ファイ、FWH・カマラ、ディウフ、チャウ。

 試合開始。まずはスウェーデンが攻め込む。右からのクロスをはじき返されるもリンデロートがミドル!強烈だったがGK正面。PA外正面FK奪取。アンデシュ・スヴェンソンがキック―右に開くメルベリへのパス、トリックプレイだ!完全フリーのメルベリ持ち込んでシュート!GKシルヴァ右足でセーブ!こぼれ球を角度のないところからマグヌス・スヴェンソンがシュート!枠を捉えず。ダフがタテへ放り込み、抜け出したチャウがシュート、上へ外れる。スウェーデン反撃、A・スヴェンソンのキック。一度はクリアされ再びCK。キック!ニアに低いボールが飛ぶ。そして飛び出すGKの鼻先にヘンリク・ラーションが!ゲット!頭でズバリと合わせてゴーム左スミに叩き込み、スウェーデン早くも先制!これでセネガルのエンジンがかかった。21歳のFWディウフが三人の密集の中へドリブルで突っ込み、二人をかわして三人目に倒される!も笛はなし。さらにディウフが左サイドでボールを受け、鋭い切り返しからシュート!GKの指先をかすめて後ろに逸れたボールをブバ・ディオプが押し込んでゲット・・・いやオフサイド!ファイからディウフへ浮き球のパス、抜け出すもGKパンチでクリア、ファイからのキープ、ディウフにはたいてディウフ切り返すも今度はDFが確実にストップ!スウェーデン、ロングボールからアルベックが抜け出し、PA内で倒されるも笛はなし!アルベックとアレクサンデションが負傷していったん出されるもまた戻ってくる。セネガル、ショートコーナーからディウフが股抜きでPA侵入!しかしM・スヴェンソンがストップ。ロングボール、ディウフがヘッドで落とし、拾ったアンリ・カマラがキープ、立ちはだかるDFにチョンと右へフェイントをかけシュート!対角に放たれたボールはGKのセーブも及ばず左スミに転がり込み、セネガル同点!
 追いついたセネガルはトップギアに移行。ディウフは獅子奮迅、三人がかりでないと止められない。さあ三人の囲みを突破、シュート!上へ外れる。左からファイのクロス!マークを外したディウフがギュンと体ごとひねってヘッド!これは回転が速すぎてミートせず右に外れてしまう。そんなに回転したら神砂嵐が発生するっちゅうねん。しかし・・・まさに怪物っ・・・!スウェーデンは中盤を完全に支配され防戦一方。その中得たFKのチャンス、蹴るのはアルゼンチンを沈めた右足、アンデシュ・スヴェンソン!壁の切れ目を通しゴール右スミへ!枠を捉えた!しかしGKシルヴァが鷹のように身を舞わせこれをがっちりキャッチ!!すぐさま反撃、ブバ・ディオプのミドル!GK正面。さらに右からのクロスにヘッド!外れる。ここで早くも前半終了、1−1で折り返す。

 後半開始直後、A・スヴェンソンがワンツーで切り込みシュートを放つ。さらにボールを確実にキープして左から攻撃、クロスを放り込む。A・スヴェンソン、アレクサンデションがゴールを狙うも枠を外れる。パスを流麗につないで右に開き、クロスを入れてアルベックのボレー!GKキャッチ。セネガルはハーフタイムでクールダウンしてしまったらしくペースをつかめない。左からのクロス、アルベックが落としてアンデシュのシュート!左に外れる。今度は左からのFK。低いボールはDF弾き返す。セネガル反撃、左からダフが粘って持ち込んでセンタリング、正面チャウがシュート!左へ外れる。
 マリク・ディオプが負傷で外に出される。無理のようだ。ここでスウェーデンはアルベックに代えてアンドレアス・アンデション。セネガルもマリクに代わってベイが入り右SB、コリがCBに回った。そのベイからのフィード、ディウフがファウルをもらってFKゲット!PAすぐ外、右。ディウフのキック!しかしヘドマンがパンチ。CKはスウェーデンがはね返す。スウェーデンがまたボールを支配して攻め立てる。ラーションへのタックルでコリにイエロー。
 右サイドでキープしたディウフが倒されFK、ディウフ、キック!ファーに流れてチャウ!DFに当たってCKに。ここでアレクサンデション>イブラヒモヴィッチ。トップに入りアンドレアスが右の中盤に回る。CK、PA外の後方へ蹴ってシセがダイレクトミドル!DFがブロック。スウェーデンカウンター、イブラヒモヴィッチがDFを撥ね飛ばして右サイドを突破、PA内で一人かわしてシュート!GKセーブ!ゴール前にフリーで駆け込んでいたラーションが「何で出さないんだ!」と怒る。中盤が空き、双方攻守が目まぐるしく入れ替わる。スウェーデンの好機をしのいでセネガルのカウンター!左のアンリ・カマラに開いて中のディウフ!ミャルビーがボール奪取!右に開いたディウフのクロスにチャウがヘッド!左に外れる。それからも双方攻め、ロスタイム突入。それからも激しいせめぎあいが続き、この激戦はついに延長突入!

 延長スタート。ファーストシュートは左から侵入したセネガルのチャウ。スウェーデンも反撃、ラーションのクロスにイブラヒモヴィッチ飛び込む!合わずもキープして戻しクロスを入れるも惜しくもゴールならず!!ラーションは30歳になるベテランだがこの暑さと湿度(50%!)の中運動量が落ちない。
 セネガルもすぐさまファイの強烈ミドルシュート!わずか上に外れる。チャウがPA侵入倒されるもシミュレーションでイエロー!
「今のはちゃう!ということですね」
この状況でダジャレかますNHK解説・早野氏はご立派デス!
 背後からくるボールをラーションがダイレクトで中央に折り返す!イブラヒモには合わずもそのこぼれ球を拾ったアンデシュが、クライフもビックリの一瞬のターンで一人をかわしてシュート!ポスト直撃ィィィ!!!!!スタンド大悲鳴!ラーションが二人かわしてPA侵入もDFがストップ!ディウフがドリブル突破から二人をタテへかわしてシュート、右へ外れる!ここでチャウが担架で出される。ここでスウェーデンはM・スヴェ>マティアス・ヨンソン。チャウはピッチに戻ってくる。リンデロートのクロスをイブラヒモ落とす!もGKキャッチ。ブバのシュートは宇宙開発。そして右サイドに開きかけたチャウが意表をつくヒールでアンリ・カマラへ!!アンリ、そのまま中央へ切り込み、三人の黄色い壁の中をかいくぐってシューーート!!ボールは左ポストを叩いてゴールに飛び込み、ネットを揺らした!
 延長前半13分、ゴールデン・ゴール、セネガルが勝利ーーッ!!!!!!!!!


 ・・・・凄い試合だった。文句なくこれまでのベストマッチ。セネガルは初出場でベスト8進出。まさに、
その働きは獅子にも似て、
獲物にほえかかる子獅子のようだ。(旧約聖書外典マカバイ記3:4)

準々決勝では日本とトルコの勝者と戦うのだが・・・こんなのに勝てるかー!!
スウェーデンは、ほんのちょっぴり運がなかったか。あえて言うなら、もしリュングベリがいたら・・・あとイブラヒモヴィッチがゲームにフィットしていれば・・・これが若さというものか。でも、よくやった。スウェーデン王国民も暖かく迎えてやれよ!
  




6月15日

6月15日 決勝トーナメント1回戦
デンマーク代表0−3イングランド代表
得点者:
イングランド=ファーディナンド(ベッカムCK)、オーウェン(−)、ヘスキー(ベッカム)

 エース、ヨン・ダール・トマソンの活躍で堅実に勝点を重ね、王者フランスをも返り討ちにして堂々進出の「ダニッシュ・ダイナマイト」デンマーク代表と、ベッカムの奇跡的復活でなんとか波に乗った(でもジェラードの不在は響いてるけど)、若き「スリー・ライオンズ」イングランド代表の対戦。デンマーク人の祖先に当たるデーン人は、かつてイングランドほかの岸辺を大いに荒らしまわったバイキングの一族。この日も北風に鍛えられたバイキングの末裔が猛威を振るうか、守護天使により「決して奴隷とはならない」と宣言されたブリトン人の裔がそれをはね返すか。

 デンマークの布陣は、GKセーレンセン、DFヘルヴェグ、ラウルセン、ヘンリクセン、R.イェンセン、MFテフティング、グラヴェセン、ロンメダール、グロンケア、FWサンド、トマソン。トマソンの足の負傷の程度が気がかりだ。
 対するイングランドの布陣は、GKシーマン、DFミルズ、キャンベル、ファーディナンド、A.コール、MFバット、スコールズ、ベッカム、シンクレア、FWオーウェン、ヘスキー。出場停止者もなく、現在における万全の布陣。

 試合開始!「ベッカムマンセー!!」なミーハーニッポン野郎が大挙新潟に襲来したことにより、スタンドはイングランド一色。まあ100年前は対ロシアのための日英同盟を組んだ仲ではあるし別にいいけど、民放の某ジャイアンツ御用達局までもが「ベッカムマンセー!!」なのはユルセナイッ!頑張れデンマーク!しかしいきなりラウルセンのミスでイングランドのCKのチャンス。左CK、向かうのはもちろんベッカム。キャンベル、ファーディナンドが上がってくる。キック!高く舞い上がったボールがGKの頭上を越えると急激に曲がり落ちてくる。そしてファーに走り込んだリオ・ファーディナンドがヘッド!GKセーレンセンはこれをいったん懐に収めたもののこれをファンブル、お手玉している間にボールはゴールラインを越えゴール内へ。必死で掻き出すが時既に遅く、ゴールが宣告された。いきなりイングランド先制!ベッカムのキックからの得点に早くもビッグスワン沸騰!デンマークはミス連続での失点にいきなり暗雲立ち込める。さらにベッカムの反転しながらのふわりとしたクロスにオーウェンが合わせる!GKキャッチ。デンマークは圧倒的にボールを支配しパスを回して攻め立てるも、最後はイングランドの壁・ソルくんとリオくんの二人がそれらをことごとくはね返していく。あんさんら堅すぎや!そしてカウンター、中盤からのロングボールにヘスキーがダッシュ、先に追いついたデンマークDFを撥ね飛ばしてボールを強奪しGKと一対一!しかしここはセーレンセンの鋭い飛び出しの前にキャッチされる。デンマークは相変わらずサイドに開いてクロスを入れまくる。日本代表だったら2、3点は取られそうな猛攻だが、イングランドの前には全く歯が立たない。デンマークのボール支配率は実に7割なのに・・・そのうちイングランドが久しぶりに反撃、左に流れたボールをシンクレアが拾う。ゴール前にはそれまでの流れで人数が揃っていた。シンクレアが折り返す、低いボールをゴール正面やや後方にいたニッキー・バットがダイレクトで前へ!パス自体はミスだったがこれがデンマークDFに当たってボールはもっとも危険な男・オーウェンの所へ。オーウェンはピタリと足元に止めた瞬間反転してゴール右隅へ流し込んだ。何つう速いアクションか!2−0、イングランドが突き放す。デンマークの面々のショックは大きそうだ。それでも反撃、エッベ・サンドが右に開いてボールをもらって切り込み、キャンベルをかわしてシュート!しかし右へ外してしまう。さらに右へ開いてロンメダールのクロス!しかし精度ナシ。イングランド反撃、右に開いたベッカムがダイレクトでクロスを放つ!ヘスキー飛び込むがGKキャッチ。
 ここで豪雨となった。デンマークはなおもキープして攻めるも、シュートを撃てない。ダニッシュ・ダイナマイトの導火線もシケってしまったか?トマソンも、持ち味の稲妻のような飛び出しが見られない。やっぱり足の状態が悪いのか?イングランド、ロングボール。DFがヘッドでクリアするも小さく、ボールはこともあろうに目の前のベッカムの前へ。ベッカムはボールを頂戴すると、駆け上がってくるヘスキーの前のスペースへやさしいパス。ヘスキーはトップスピードで飛び込むと弾丸シュート!セーレンセンの腋の下をブチ抜いてゴールに突き刺さり、3−0!!・・・・・・あー・・・・
 デンマークはグラヴェセンがロングシュートを放つも、シーマンがファインセーブで防ぎそのまま前半終了。3−0・・・

 後半開始早々、足を傷めたオーウェンに代わりファウラー。デンマーク右からのセンタリングにグロンケアが狙うが外れる。イングランド、スコールズ>ダイアー。ラフプレイでミルズにイエロー。ベッカムのミドルシュート!まるでボールが生きているような軌道を描いてゴールに曲がり落ちていったがGKセーブ。テフティング>クラウス・イェンセン、デンマークはとにかく攻め倒すがシュートにまでいけない。すぐに撃て!イングランドはヘスキー>シェリンガム御大。デンマーク、グラヴェセンのミドルは左に外れる。右を破ったベッカムのシュート!GK正面。C・イェンセンの切り返しからのループシュート!シーマン、またもファインセーブ!・・・・・・・
 かくて試合は終了し、イングランドが万全の試合運びで勝利を飾った。イングランドの守護聖人・聖ジョージの旗が揺れる。次の相手はおそらくブラジル。屈強のセンターバックコンビが3Rをも止めちゃうのか?
 デンマークは期待していたのに・・・最初のミスで失点してズルズルいってしまった。残念至極・・・かくてデーン人の夏は終わり、イングランド侵略はならなかった。
 

6月15日 決勝トーナメント1回戦
ドイツ代表1−0パラグアイ代表
得点者:
ドイツ=ノイヴィル(シュナイダー)

 聖杯祭も佳境、決勝トーナメントへ。いかにも独逸独逸した勝ち方で上がってきたドイツと、歴史に残る劇的な大逆転で勝ち上がったパラグアイ。注目はもちろん、カーン様(ゴリラ)VSチラベル大統領(ブルドッグ)のGK対決だ。

 ドイツはラメロウ、ハマン、ツィーゲと主力を三人も出場停止で欠く非常に苦しい状況。はたしていかに乗り切ってくるか。
メンバーは、GKカーン、DFフリングス、レーマー、リンケ、メツェルダー、MFイェレミース、シュナイダー、ボーデ、バラック、FWクローゼ、ノイヴィル。
3バックの中央ラメロウを欠くことで4バック気味にし、ハマンの代わりにイェレミース、ツィーゲの代役にはボーデを指名。FWにはパワーのヤンカーではなくスピードのノイヴィルを起用。
対するパラグアイは、GKチラベル、DFカセレス、アジャラ、ガマーラ、MFアルセ、アクーニャ、ストルウェイ、カニサ、ボネト、FWサンタクルス、カルドーソ。
パレデスがスロヴェニア戦のレッドで出場停止。この日はアルバレンガではなくボネトが先発。カンポスとクエバスはベンチで虎視眈々と出場の時を待つ。

 試合開始。パラグアイがまずは攻勢に立つ。ここで眠くなってしまってうっかり寝てしまい、気がついたら後半が始まっていた。0−0のまま。パラグアイのFWがサンタクルスからカンポスに代わっていた。負傷のためらしい。ドイツはDFレーマーがケールに、そしてちょうどメツェルダーがバウマンに交代したところだった。どうやらパラグアイの攻勢が続いていたらしい。しかし交代で守備が安定したか、ドイツが攻勢に転じた。左からボーデが、右からシュナイダーがどんどん飛び出してクロスを放り込み、ノイヴィルとクローゼが走り込む。しかしパラグアイも堅固なスリーバックが中央を固めてシュートを撃たせない。時折放たれるシュートも大統領がセーブする。パラグアイも速攻から反撃するが、これも厚みを増したドイツ陣を崩せず、こちらも時折放たれるシュートをカーン様がすべてストップする。その中、パラグアイがゴール正面でFK奪取!
 ここで登場、大統領閣下!カーン様と一騎打ちだ!にらみ合う両者。GK同士が試合中に対決するなど稀有のことだが、そこを見せてくれるのが閣下の閣下たるゆえん。カーン様はゴール左いっぱいに寄って「右に撃ってきな」と閣下を挑発。これは受けねば男ではない。助走を取って左足を一振り!鋭いボールがゴールを襲う、が落差が足りなかった。カーン様は余裕で見送る。ゴールならず!
 パラグアイはボネト>ガビラン。両者とも決定的な場面が少なくなる。押し気味のドイツはセットプレイからクローゼのヘッド、また意外性のあるケールの攻め上がりなどで攻めるがゴールを脅かすことはできず。このまま延長突入か・・・と思われた後半43分。ロングフィードを右サイドでフリングスが競り、こぼれたボールをシュナイダーが拾う。前が空いているのを見た彼は一気に加速しタッチライン際を疾走、ニアへグラウンダーのクロスを放った。そこへパラグアイDFと競り合いながら走り込んで来たのは、オリヴァー・ノイヴィル!スピードで追走者を振り切ると右足一閃!チラベル閣下も反応できない強烈なシュートがゴールネットに突き刺さり、土壇場でドイツ先制!
 パラグアイはここでストルウェイ>クエバス。延長から出そうと思っていたか・・・慎重に行きすぎたか。ともかく反撃に転じようとしたとき、バラックにアクーニャが肘打ち一発!その直前アクーニャに対するバラックのファウルがあったが、それに対する報復行為だった。当然レッドでアクーニャ退場!パラグアイはまた苦しくなった。必死で攻めるパラグアイ。前線に放り込む。しかしドイツはオフサイドの罠にかける。クエバスが変幻自在のドリブルでゴールに迫る。ドイツがカットするも、そのこぼれをアルセがクロス!しかし大きく逸れてゴールラインを割ってしまった。ここでホイッスル!主力三人を欠いたドイツが持ち前の粘り強い試合運びで準々決勝進出を決めた。カーン様とチラベル閣下は抱き合って健闘をたたえあう。
 ドイツの次の相手はメヒコとステイツの勝者。どちらにしろ、またアメリカとの対戦になるわけだ。



戻る