今回のひとこと集


心に残る?名言?の数々。
更新忘れまくりなので、「今回のひとこと」に変えました。


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その51. 「肩書きは愚か者の飾りに過ぎない。自分の名だけで充分だ」(フリードリヒ二世)

神聖ローマ帝国皇帝・フリードリヒ2世陛下のお言葉。
人間、名前だけで世を渡れるようになりたいものだ。


その50.「言葉に打たれぬ者は、杖で打っても効き目がない」(ギリシアの諺)

「愛のムチだー!」「効いた〜!愛の目覚め〜!」となる例外もある。ネタが古いが。
とはいえ一般的に、心のこもった言葉で心動かされない者は良かれ悪しかれゴーイングマイウェイな人間なので、
そのまま走らせるか、強制力で無理やり従わせるか、考えどころだろう。


その49.「貴殿は勝つことはご存知だが、勝利の使い道はご存じない」(マハルバル)

リウィウスの『ローマ建国史』より。
ポエニ戦争においてあまりにも有名なカンナエの戦いで大勝利を飾ったカルタゴ。
騎兵隊長のマハルバルはハンニバルに向かって、この勢いで一気にローマを攻め落としましょう、と進言する。
しかし、ハンニバルはそれを受け入れなかった。それに対してマハルバルが言った言葉。
カルタゴは結局ローマに滅ぼされた。
もともとマハルバルは「天は二物を与えず」という意味で発言したのだが、
ここだけ取り出せばほかのことにも応用がききそうな言葉。


その48.「意見を変えないのは、馬鹿と死人だけ」(ローウェル『私の書斎の窓』1871)

人間、日々勉強。学ぶほどに思考や思想はより豊かになり、いろいろと移り変わってゆく。
ところが、何を聞いても自分の現在の考えと相容れないものを否定しはねつける人間は、それから進歩することはない。
その25で引いた勝海舟のことば「智慧の研究は、棺の蓋をする時に終わるのだ」を見れば解るように、
かたくなに意見を変えない人間は、死人と同じ。
といって、あんまり節操なくコロコロ意見を変えるのもダメ。
なんでも鵜呑みにするのではなく、ちゃんと自分で考え抜いて結論を出さねば。

あと、へんな知識を詰め込んでいってへんな思考ていうか嗜好の人間になるのもマズイ。
自戒いたします。


その47.「博識は分別を教えない」(ヘラクレイトス)

博識で、この世の何でも知ってそうな人間でも、
どんなに素晴らしい才能を発揮している人間でも、「分別」を知っているとは限らない。
分別とは身につけるに至難のスキルといえよう。


その46.「天使は美しい花を撒き散らす者ではなく、苦悩する者のために戦う者である」
(フローレンス・ナイチンゲール)

クリミア戦争で看護婦達を率いて傷病者の看護および衛生環境の改善に当たり、
のちには看護婦の社会的地位向上に尽力したフローレンス・ナイチンゲール(1820-1910)の言葉。
「クリミアの天使」と呼ばれた彼女は美しく優しいイメージを持たれがちだが、
その実、意志が強く不屈の精神を持ち、看護婦の地位向上のためには恐れず社会と戦った彼女の人となりが
この言葉から垣間見える。


その45.「真の勇気は、第三者の目撃者のいない場合に示される」(ラ・ロシュフコー)

人が見ている中で、カッコつけようとして、あるいは引っ込みがつかなくなり、また行きががり上やむなく勇気を振り絞ることはよくあること。
しかし、ほかの誰も見ていない中、勇気を見せても誰もほめてくれず、何の得もなく、もとより見せずに逃げてしまっても問題ない状況、
そこで勇気を出せる人間こそが真に勇気ある人間。


その44.「嫌だ!!そんな頼み事は聞けないね!!」(ペンウッド卿)

『HELLSING』(平野耕太、少年画報社ヤングキングアワーズ連載)2003年1月号より。
吸血鬼からなる「最後の大隊」の侵攻によりロンドンはたちまち壊滅状態となり、英国軍司令部も激しい戦いの末陥落した。
司令であるペンウッド卿は、自ら「駄目で無能で臆病者」であることを認め、喋るときはどもってしまうちょっと情けない人間だったが、
扉のすぐ外まで迫った吸血鬼たちの影に震えながら、かつてまだ幼い英国国教騎士団長インテグラに初めて会ったときのことを思い出していた。
あの時は、
「父上は生前よく言っておられました 何か頼み事をしたい時はペンウッド様にお頼みしろ と」
「私も父上に負けずにいっぱいお頼りすると思います。どうかよろしく!!」
と小悪魔的な笑みと共に挨拶されたものだった。
そのとき、扉が破られ軍服をまとった吸血鬼たちが乱入してくる。彼らはペンウッド卿を見るや嘲りの言葉を投げかけるのだが、
卿はニヤリと笑う。
「無能な こ この わ 私より 無 無能な 貴 きッ貴様らがだよ」
そのとき吸血鬼たちは、部屋中に夥しい量の爆薬が仕掛けられていることに気づいた。卿はもう一度にやりと笑う。
「さ さよ さようなら イ インテグラ わ 私も 楽しかったよ」
「やッ、やめろォォ!!」
驚愕する吸血鬼の叫び声に、ペンウッド卿は上のセリフをどもらずにきっぱりと言ってのけ、起爆装置のスイッチを押した。
一部始終は回線でインテグラの乗る車に伝わっていた。回線が爆音と共に途切れると、インテグラはしばらく目を閉じ、かっと見開くと、
「急げ!!」
と運転手の執事ウォルターに命じた。

ペンウッド卿、最初のころはホントに駄目な人間だったけど、英国に危機が迫るにつれ情けないながらも「漢度」をぐんぐんアップさせ、
ついにはこの壮絶な最期。これを呼んで黙祷&敬礼する読者多数!!


その43.「心に余裕(ヒマ)がある生物 なんとすばらしい!」(ミギー)

『寄生獣』(岩明均作、講談社)より。
物語の終幕近く、主人公の青年・シンイチが、
「ある日道で……道で出会って知り合いになった生き物がふと見ると死んでいた。そんなときなんで悲しくなるのだろう」
と言ったとき、彼の右腕に寄生していた寄生生物・ミギーが答えたセリフ。

「そりゃ人間がそれだけヒマな動物だからさ。
だがな それこそが人間の 最大の取り柄なんだ。
心に余裕がある生物 なんとすばらしい!!」

最近は心に余裕のある生物が少なくなってきているのかなあ、と思う。


その42.「倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠(こも)れる 倭し美(うるは)し」
(倭建命の国思歌【くにしのひうた】、『古事記』中巻・景行天皇条より)

日本古代の英雄、ヤマトタケルノミコト(古事記では倭建命、日本書紀では日本武尊)の伝説より、
彼が死ぬ間際、故郷を想って歌った歌。


その41.「意地も張れぬ繁栄など こちらから願い下げだ」(ウォルター・C・ドルネーズ)

『HELLSING』(平野耕太、少年画報社YKコミックス)第3巻より、ヘルシング家の執事ウォルターが吸血鬼アーカードとの対話の中で、
「(《ミレニアム》に)ここまであからさまにケンカを売られて 黙ってやられているほど我々はお人好しではない」
と言ったところ、
「はン これだから英国人(ジョンブル)は そんなだから衰退するのだ」
と笑われたことに対して返したセリフ。
ウォルターさんかっくいー!やっぱり国家には誇りと矜持がないとね。


その40.「ヘイおっさん!メリケンサックを探しているのなら あんたの上着のポケットにゃあ ないぜ!
ズボンのうしろポケットにはいっている!」(ジョセフ・ジョースター)

 『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦、集英社ジャンプ・コミックス)第2部「その誇り高き血統」(「戦闘潮流」)の主人公ジョセフ・ジョースターが、黒人ということで友人のスモーキーが侮辱を受けたことに怒って柄の悪い大男に向かっていった時、男が上着のポケットに手を入れた瞬間「バァーン」という擬音と奇妙なポーズとともに発したセリフ。
 ジョジョのいうとおりメリケンサックは彼のズボンの後ろポケットに入っていた。次いでジョジョは言い放つ。
「おまえの次のセリフは『何でメリケンのことわかったんだこの野郎』という!」(<ちょっと文法がヘンなのがまた奇妙でよし)
直後に同じセリフを口走ってしまい狼狽する男ッ!!なんでメリケンの位置を?いやその前に自分の武器がメリケンとなぜ知っているんだこいつは?間髪入れずジョジョはシャーロック・ホームズそのままの手法で冒頭のセリフを発するに至った推理の筋道を解説ゥ!
 初めてジャンプでこれを読んだときはシビれました。


その39.「私は広島と長崎を決して忘れません。
人々は、恐るべき状況にありながらもなお、与えようという気持ちを持っておられたのです。
心に触れる優しさと詩を注ぎ込んで下さったのです・・・」(ヘレン・ケラー)

 太平洋戦争終結後、「奇跡の人」ヘレン・ケラーは荒廃した日本を訪れ、その途中、原子爆弾によって文字通り灰燼に帰した広島、長崎を訪れた。彼女はそのあまりの惨状にショックを受けた。彼女が以前訪れたときは、市民たちはたいへんな歓迎をしてくれた。しかし、今はきっと打ち沈んでいるであろう。どのように対したらよいのか・・・
 だが、彼女を待っていたのは、以前に勝るとも劣らない暖かい歓迎だった。彼らは自分たちの苦しみなど一言も口にせず、ただヘレンを以前と変わらぬ愛情で迎えた。子供たちの元気な声は、ヘレンを感涙させた。
 人間は、自らがこれほどの悲惨な状況にあっても、まだ他人を思いやることができるのか・・・これほどの寛容さにたいして、自分はどのように応えたらよいのか・・・
 深く感動したへレンは、知人に書き送った手紙の一節に、上のように記した。

こういうエピソードを読むと、人間もまだまだ捨てたものじゃない、と思う。


その38.「人間讃歌は『勇気』の讃歌ッ!!人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!」(ウィル・A・ツェペリ)

『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦・作、集英社ジャンプ・コミックス)第1部より。
ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!


その37.「敵は多いな滝・・・いや・・・たいした事はないか・・・・・・今夜はお前と俺でダブルライダーだからな」(仮面ライダー1号)

『仮面ライダーSPIRITS』1(原作:石ノ森章太郎、漫画:村枝賢一、講談社、マガジンZKC)より。
生身の体で蝙蝠男と戦う滝和也。しかし力の差は歴然、いままさにとどめを刺されようとしたとき・・・
本郷猛登場!そしてライダー変身!そして上のセリフ!
もう燃えまくり。まだ読んでない奴は読め!そして燃えろ!
燃えない奴は人間ではないので、逝ってよし!


その36.「コーナリング中のブレーキは命取りだぞ!スローイン・ファーストアウトだ!」(那智渡)

『よろしくメカドック』(次原隆二、集英社ジャンプ・コミックス)より、マツダのロータリーエンジンをこよなく愛する那智渡のセリフ。
風見潤とともに「チーム・メカドック」の一員として一緒にレース参加していたいっつぁん(中村一路)が、他車のクラッシュを見てビビってしまったのを見ると、憎まれ口を叩きながらいっつぁんにレースの基礎を教えていく。
でもほどなく先頭争いに参加していった那智渡、前を走るナベさん(渡辺俊幸)の車を見ると猛然と加速、先ほど言った上のセリフなど忘れたようにコーナーでアウトから思いっきり突っかけ、路面を離れて道路そばの切り立った斜面を走り、片輪走行でガードレールの隙間から道路に復帰、という気ィ狂ったような走りを披露、ナベさんも呆れる。そんなことしてるから風見潤に勝てないんだと思います。言行一致が大切ですよ。

車には興味ないけど『メカドック』は好きだったので、この作品中のアドバイスは運転中によく思い出す。
「ニトロ・オン!」
「ぶっとべグレーサーZ!!」
・・・あかんがな。


その35. 「あなたがたは、自分の裁く裁きで裁かれ、自分の量る秤で、量り与えられる」(マタイ福音書7.2)

「山上の垂訓」の一節。
各々の日ごろの行いには、人から相応の報いが返ってくるということですね。
いつも人の揚げ足を取ったり、中傷したりして悦に入っている人がいますが、そういう人には、
「あなたのその秤で、自分自身を量ってみてくださいよ」
と言いたい気分です。
まあ、その人がどう自分を裁こうと、他人から量り与えられる量は微々たるものでしょうが。


その34.「上げた!上げた!ダイレクトかいや止めた!撃った!入った!!」
(山本浩アナ、W杯・スペインVSユーゴスラヴィアにて)

「マラドーナ!マラドーナ!マラドーナ!マラドーナ!マラド〜ナ〜!!」の連呼のみであの伝説の5人抜きを表現し尽くした言葉の魔術師・山本浩アナ(NHK)の、
スペインVSユーゴ戦でのアナウンス。
左サイドで粘ったユーゴの選手がセンタリングを上げ、それをニアに待ち構える選手がスペインDFを背負いながらヘッドで反らし、ボールが高く跳ね上がった。ファーへ落下するボールの先に立っていたのは、ユーゴの若き司令塔、ドラガン・“ピクシー”ストイコヴィッチ。ピクシーは数歩バックするとダイレクトボレーの体勢に入る。しかしスペインDFがそれを阻止すべくシュートコースにスライディングで飛び込んだ。完璧なタイミングで、シュートブロック成功!・・・と見えた次の瞬間、ピクシーの振り足は急減速し、落ちてくるボールをふわりと右足に引っ掛けると足元に落としていた。完全にタイミングを外されたスペインDFは空しくその前を滑っていく。目の前にはGKのみ。GK、慌てて飛び出す。しかしすでに勝負はついていた。ちょんとワンタッチしたピクシーは落ち着いて右足を振り抜き、GKの横を抜けたシュートはゴール左隅に転がりこんだ。

時間で言えばほんの5秒ほどだが、ここまで余計な言葉をさしはさまず的確に目の前の出来事を伝えることはそうそうできるものではない。皆、見習え。
特に日テレのF越。


その33.「人間というものは、善良な生活なら一定の水準を保つことができるかもしれぬが、
悪事の一定水準を保つなんてことはむりな相談なんだよ。
悪の道は、もっぱらくだるいっぽうさ」
(ブラウン神父、G.K.チェスタトン『ブラウン神父の童心』所収『飛ぶ星』より)

ブラウン神父シリーズの初期で神父と知恵比べを繰り広げる怪盗フランボウは、この作品でも奇抜なトリックを用いて「飛ぶ星」と呼ばれる宝石をまんまと盗み出し、ある樹上に隠れる。
神父はしかし、たちどころにフランボウの居場所を察知し、彼の隠れている樹に向かって、彼の用いたトリックを暴いた後、改悛することをすすめた。そのときのセリフ。
神父は、最初は律儀な無頼漢や義賊を目指していた者がいかに転落して惨めな泥まみれに成り果てたかをいくつもの実例を挙げて示し、言う。
「おまえさんは身の軽い猿のように背後の森に逃げることもできる。しかしおまえさんも老いる時が来る。そのときには、丸裸になった森の中で寒々と凍えながら死を待つことになるだろう。
おまえさんの下り坂はもう始まっている。おまえさんは常々、卑劣なことはしないと口にしていた。しかし今、おまえは卑劣なことをしている。おまえのせいでひとりの善良な青年が盗みの疑いをかけられるだろう。いや、すでに彼に不利な証拠が出ているのだ。彼と、彼を愛する娘との仲をお前は裂くことになるだろう。
このままいけば、おまえは一生のうちでもっと卑劣なことをするようになる・・・」
すると、樹上から「飛ぶ星」が落ちてきた。そしてフランボウはそれきり盗みから足を洗い、探偵となった。


その32. 「打ち倒す者は強いが、起き上がる者はもっと強い」(フランス、13世紀の写本より)

『あしたのジョー』みたいだ。
起き上がったはいいがまた同じようにぶっ倒されるのでは進歩がないから、起き上がるたびに強くなっていきたいものだ。


その31. 「馬は馴らさなければ手に負えなくなり、子はしつけなければ、わがままになる」(旧約聖書・シラ書[集会の書]30.8)

シラ書の30章は子供の養育について述べている。作者は子供は小さいうちにしっかりしつけなければならない、と説く。
「子供のうちに体罰を与えよ。さもないと強情になり、言うことを聞かなくなる・・・」
厳しいお人だ。しかし彼は最後の節で言う、
「お前の子供をしつけ、子供のために苦労せよ・・・」
子供の事を本気で考え、彼らに対して自らの全身全霊をかたむけろ、ということなのだ。それの無いしつけなど、何の役にも立たない。体罰も暴力に過ぎない。
「わが子を教育する者は、敵にはねたまれても、友人たちにはその子を誇りにすることができる。
父親がこの世を去っても、消えてしまったわけではない。父親そっくりの子が後に残っているからだ。・・・」


その30. 「いいか、これからここで起こることはフットボールだけだ。何を言われようとも、起ころうとも集中を切らすんじゃないぞ!」
(ドラガン・ストイコヴィッチ、EURO2000予選・クロアチア対ユーゴスラヴィア戦の前に)

『悪者見参』(木村元彦著、集英社)より。
サッカー・欧州選手権予選リーグ、何の因果かユーゴスラヴィアとクロアチアは同組に入ってしまった。そして試合が進み、ついに両国は予選突破をかけた直接対決に臨むことになってしまった。場所はクロアチア、マクシミル・スタジアム。会場には凄まじい怒号が轟き渡っていた。文字通り殺気に満ち溢れていた。ユーゴ代表の主将、“ピクシー”ストイコヴィッチは、当時「ピクシーの後継者」と呼ばれていた新鋭MFデヤン・スタンコヴィッチがあまりの雰囲気に蒼白になっているのに気づいた。そして上のように力づけたのだった。
ユーゴスラヴィアは1人の退場者を出しながらこの戦いを引き分けに持ち込み、予選突破を決めた。

ユーゴの選手たちは言う、「フットボールは国と国との代理戦争ではない、あくまでもフットボールだ」と。
彼らの巻き込まれた運命を考えるにつけ、その言葉は心にしみる。


その29.「たいていの場合、上手に話すコツは、嘘のつき方を知ることにある」(エラスムス『対話集』)

私は根が正直だから口下手なんだな、これが。


その28.「このOの字は数字で言えばゼロですが、末尾につけば百万を表わすこともできます」(ウイリアム・シェイクスピア『ヘンリー五世』)

英仏の百年戦争を題材にした『ヘンリー五世』冒頭、説明役のセリフ。
このOの形をした闘鶏場のごとき劇場は、フランスの広大な戦場を収めるには、またアジンコート(アザンクール)の空を震えおののかせた夥しい冑を詰め込むにはあまりにも狭く取るに足りない。しかしO、ゼロといえど1の後ろにつけば100万をもあらわすことが出来る。それと同じように、われわれは観客の皆さんの想像力におすがりして、この大いなるテーマを演じ上げましょう・・・という意味。

集団のあり方にも適用できたりして。ゼロに等しいわれわれも、集まれば大きなことができる。ただ、正の数の後につかなければ、何人集まろうがゼロのまま。負の数の後ろについたら、集まるほどに悲惨なことになる・・・


その27.「私は大英帝国を紳士の国と聞き及んでいる。この旨、間違っておりましたかな」(江川太郎左衛門英竜)

1849年4月8日、浦賀湾に英国の測量船マリナー号が侵入し、無許可で測量を開始した。さらにマリナー号は江戸湾も測量し、伊豆下田へと向かう。
伊豆韮山の代官・江川太郎左衛門英竜(号は坦庵)は、4月12日、配下の洋式武装兵と小田原藩兵を率いてこれを包囲し、船に乗り込んで艦長と交渉を行った(オランダ語で)。
彼は、マリナー号艦長(マティスン)の機先を制して、「日本やオランダには法律というものがあるが、貴国にもそれはあるのか?」と訊いた。むっとして「もちろんある。貴公はわが国のことをあまりご存じないようだ」と言い返した艦長に対して江川太郎左衛門が言い放ったのが上の言葉。「そ、そのとおりだ」とこれを認めてしまった艦長は、もはや「紳士」として国際法にのっとった交渉に応ずるほかなかった。法によれば、スパイ行為をはたらいたマリナー号はここで沈められても文句は言えない。「即刻立ち去れば罪には問わぬ」との江川太郎左衛門の申し出を快く受入れ、マリナー号は去っていった。

坦庵さま、ダテに目が大きいわけじゃないね。
引用はみなもと太郎の『風雲児たち』29巻より。


その26.「子供のように一夜で恐怖を忘れることだ。そして相手より恐くなればいいのだよ」(ドン・シンパチーコ)

『地獄の家』(GONTA>王☆欣太)より、北晴郎(きた・はろう)改めドン・シンパチーコのセリフ。
ケンカの鉄則みたいなもんですな。


その25.「主義といい、道といつて、必ずこれのみと断定するのは、おれは昔から好まない」(勝海舟)

極貧の御家人出身ながらその才覚で頭角をあらわし、幕末の難局に舵をとって臨機応変、大規模な内乱を起こすことなく見事に時代を明治へと受け渡した、日本の誇る名ボランチ・勝安芳(麟太郎、実名義邦、号は海舟。安芳というのは、明治に入ってからの戸籍名)さまのお言葉。講談社学術文庫版『氷川清話』より。
「単に道といつても、道には大小厚薄濃淡の差がある。しかるにその一を挙げて他を排斥するのはおれの取らないところだ・・・智慧の研究は、棺の蓋をする時に終わるのだ。かういふ考へを始終持つてゐると実に面白いヨ」
まったくもってその通り。彼がいなければ、幕府は新政府軍と正面から激突し、日本は大乱に陥っていたかもしれない。


その24.「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。
わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである」(マルコ福音書2.17)

イエスとその弟子たちががアルパヨの子レビ(のちの聖マタイ)の家で、多くの徴税人や罪人たちとともに食事をしていたとき、パリサイ派の律法学者たちがこれをとがめて、イエスの弟子たちに、なぜ彼は徴税人や罪人たちとともに食事をするのかと訊いた。これを聞いたイエスは、上のように明快に答えた。
彼の信念、というものか。このたとえには、パリサイ派の人々も一言もないだろう。


その23.「地球:太陽系付属精神病院」(サミュエル・キャドマン)

あ〜ん、牧師さまがそんなコトいわないで〜。当たってるけど。


その22.「私を殺すのなら、先に言ってほしいな」(サラディン)

サラディンが高熱を発して病の床に伏せっていたときのこと。
彼の召使が冷水を持って部屋に入ってきた。もちろん彼のそばに置くだけなのだが、ここで彼はずっこけ、こともあろうにサラディンに水をあらいざらいぶちまけてしまった。
病人のサラディンは哀れにも全身びしょ濡れ。召使はあまりの失態に震え上がった。しかしサラディンは、上のように冗談ひとつで済ませ、彼に何の咎めも与えなかったという。
なんてできた人なんだ。


その21.「王者が王者を殺すことは良俗には合いませぬ」(サラディン)

アル・マリク・アル・ナーシル・アル・スルターン・サラーフ・アル・ディーン・ユースフ、つまりアイユーブ朝の英傑サラディンは、1187年7月3〜4日に行われた名高いハッティーンの戦いでキリスト教軍を完膚なきまでに撃破し、エルサレム国王ギー・ド・リュジニャンを捕縛した。死を覚悟してサラディンの前に引き立てられた彼に、サラディンはクッションをすすめ、また冷たいシャーベットを与えてもてなした。そして、上の言葉をかけたという。



その20.「海だ、海だ!」 (クセノポン『アナバシス』)

ペルシアの王位継承争いに参加したギリシア人傭兵たちは、味方した王子が戦死してしまったためペルシアの地に孤立してしまった。混乱した傭兵たちをクセノポンが何とかまとめ、小アジアへ向かっての敵中突破、決死の退却行を始める・・・というのが『アナバシス』の筋。
ペルシアの追撃を振り切り、クルド人(の先祖)たちの襲撃をかわし、北へ北へ向かった傭兵たちはある日高い丘を上ってゆく。すると、前方が騒ぎ出した。敵襲か?色めき立った傭兵たちに、前方からの叫びが届いた。
「海だ、海だ!」
彼らはついに敵中約1000kmを突破し、黒海まで辿り着いたのだった。皆は狂喜乱舞し、「海だ!」と叫びつつ丘を駆け上がった・・・
ギリシア語では、「海だ、海だ」は「タラッタ、タラッタ」というらしい。ウサギのダンスでも踊りだしそうだ。


その19.「いちばんみじめで苦しい時にニヤッと笑う・・・そこが男よ!!」(伊吹一番)

『炎の転校生』(島本和彦)より。
「ニヤッ」でないと男ではない。「ヘラッ」と笑った日には周囲の怒り爆発だ。男たるもの、笑い方の訓練も必須!


その18.「米には、脳の発達をよくするレシチンが含まれているため、頭がよくなる」(嵐山光三郎)

『ごはん通』より。皆の衆、よくかんで食せよ!でも頭がよくなっても、有用なことに使わなきゃダメだ!


その17.「昔は殿とともに鴻鵠でしたが、今日になって殿が鳳凰に変ずるとは思いもしなかっただけです」(皇甫嵩)

『三国志』・「董二袁劉伝第六」の注より。
太師となった董卓は、かつて馬を並べて共に戦ったことのある皇甫嵩に出会った。皇甫嵩は車の下で拝礼した。二人は共に戦っていた際も、互いに下風に立とうとしない間柄だったので、そのとき董卓は得意げに「義真(皇甫嵩の字)、参ったか」と言った。皇甫嵩は答えた。「どうしてあなたがこのようになられると考えられたでしょう」
董卓は、「鴻鵠には遠大な志があるもの、燕雀にはわからぬものだ」と『史記』をふまえて言った。それに答えて言ったのが、上のセリフ。
皇甫嵩といえば何かと情けない無能なイメージがあるが、実はあの董卓にも堂々と(負け惜しみっぽいけど)張り合う気概を持っていた、というエピソード。
ちなみに、二人との間にはその後もいろいろあったらしいが、あくまでも毅然とした皇甫嵩の態度に董卓はさすがに大人げないと思ったか、彼とめでたく和解したという。


その16.「わが同胞アメリカ国民よ、国家が自らに何をしてくれうるのかを問う前に、
自らが国家に対し何をしうるのかを問うてほしい」(ジョン・F・ケネディ)

民主主義ってーのは、本来こうでなくてはいけないんでしょうけどねえ・・・


その15.「本の構想を練るのにいちばんいい時は、お皿洗いをしている時よ」(アガサ・クリスティ)

物書き希望の人よ、皿に対しては当に洗うべし!人生幾何ぞ!


その14.「ならば よし!」(曹操)

『蒼天航路』(原作:李學仁、作画:王欣太)より。洛陽北部尉の職にあった若き日の曹操が、洛陽北門の夜間通行禁止令を破った中常侍・蹇磧の叔父蹇朔を捕捉し、容赦なく打擲させる。しかし蹇朔は恐怖のあまり最初の一撃でショック死してしまい、驚いた部下たちは恐る恐る曹操にこれを報告する。なにぶん蹇朔は、絶大な権力をもつ「十常侍」の一人である蹇磧の縁者なのだ。しかし曹操はまったく臆することもなく、突き抜けるような明るい表情で上のように言い放った。
この言い切り方、島本和彦を彷彿させて楽しい。

その13.「確実!そうコーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実じゃ!」(ジョセフ・ジョースター)

「確実」という言葉を形容するのに「コーラでゲップ」!しかもDIOに追われているこの非常時において!
「年季」って素晴らしいね!


その12.「佞言断つべし」(関羽)

『蒼天航路』(原作:李學仁、作画:王欣太)より、大賢良師張角に「あなたは後の世に神となられる」と予言され、それに対してどアップで答えた言葉。
文庫版が出てきたのでこれを機に購入。
この時の右手突き出したポーズもかあっこええです。


その11.「しかし、わたしは言っておく。一切誓いを立ててはならない」(マタイ5:34)

「・・・しかし、わたしは言っておく。一切誓いを立ててはならない。天にかけて誓ってはならない。そこは神の玉座である。地にかけて誓ってはならない。そこは神の足台である。エルサレムにかけて誓ってはならない。そこは大王の都である。また、あなたの首にかけて誓ってはならない。髪の毛の一本すら、あなたは白くも黒くもできないからである。あなたがたは、『然り、然り』『否、否』と言いなさい。それ以上のことは、悪い者から出るのである」
山上の垂訓の一節、イエスの言葉。
確かに、「天地神明に誓って・・・」とか大仰に言ってる輩はだいたい嘘をついているからなあ・・・
でもこれを守ると、選手宣誓ができない。困った。
ていうか、結婚式で「新郎は新婦を愛し続けることを誓いますか?」とか神父さんが言うのは、悪いこと勧めてたのか〜。いいのか、神父さんともあろう方がイエス様の言葉に逆らって。


その10.「いよう、征夷大将軍!」(高杉晋作)

天皇の行幸に随行していた将軍・徳川家茂に向かって、群衆の中から高杉晋作が堂々と言い放った言葉。通常なら即刻切り捨てられるところだが、この時ばかりは、将軍は天皇のおともという立場上かってに動くことはできず、これを見逃すほかなかった。しかし当時の絶対的権力者を歌舞伎役者でも呼ぶように囃すなど、晋作の面目躍如たるところだ。一緒にいた伊藤俊輔らは肝をつぶしたろう。


その9.「何だか―夢より現実のほうが豪華になってしまったな・・・」(ミスター・トッド)

『バジル氏の優雅な生活』より。
若くして金鉱を掘り当てて大金持ちになり、やりたかったことをやり尽くしてメチャメチャ空しくなってしまったトッドさん。
夢の中でのつかの間の豪勢な生活よりも、目覚めての現実の生活のほうがはるかに豪勢なのを見てつぶやくセリフ。
こういう風になってみたいような、みたくないような・・・


その8.「君子は豹変し、小人は面を革む」(易経:革・上六)

りっぱな人は日々行いを改め善へと向かうが、卑小な人は表向きしか改めない。
「豹変」とは、豹の皮の模様が常に美しく変化するさまを言う。


その7.「尽く書を信ずれば則ち書なきに如かず」(孟子・盡心上)

「書」とは『書経』のこと。
『書経』を読んでその内容をすっかり信じてしまうくらいなら、『書経』などないほうがましである、の意味。
これは書経に限らず、読書一般に言えることだ。気を付けよう。


その6.「『それはそれ』!!」「『これはこれ』!!」 (サカキバラ)

『逆境ナイン』(島本和彦)より、教訓教師・サカキバラのお言葉。
何事も分けて考えるべし。ということらしい。


その5.「アダムとイブがエデンの園で間違わなかったら、何も始まりはしなかった」(バジル・ウォーレン卿)

『バジル氏の優雅な生活』(坂田靖子)「エデンの園」より。
所詮この世界は間違いだらけ。なぜならアダムとイブの間違いからすべてが始まったのだから。
ゆえに、一度や二度の失敗で挫けることはないのだ。


その4.「金持ちの財産は彼の砦、弱い人の貧乏は破滅」(旧約聖書・箴言10:15)

聖書って、結構シビアなこと書いてあってステキ。


その3.「この世の中で人が重んじるのは、権利ではなく特権である」 (ヘンリー・L・メンケン)

私もなんか特権ほしい。


その2. 「思うに、スポーツとは、給料の出ない重労働である」 (アーヴィン・S・コッブ)

日本ではまだこの言葉のとおり。


その1. 「堕落はいかん。まぬけは仕方ないが堕落だけはいかん」 (鳥坂先輩)

『究極超人あ〜る』(ゆうきまさみ)より。
たしかに。