某・金髪のひとに関して


それ関連での某金髪のひとの業について、簡単に。


エヌマ・エリシュ

これはアッカド語で粘土板に記されたバビロニアの天地創造神話の冒頭の二語。直訳すると「そのとき上に」。
「まだ上に天が名づけられず、下に地がその名を呼ばれない時
(エヌマ・エリシュ・ラー・ナブー・シャマム、シャプリシュ(あるいはシャプリトゥ)・アンマトゥム・シュマ・ラー・ザクラット)」
より。この天地創造神話の題名でもある。
書版冒頭の語句をその題名とする方法はその後ヘブライ人の時代にまで伝わった。
ちなみに「ギルガメシュ叙事詩」も、
古代においてはその冒頭句を取り「シャ・ナクバ・イムル(すべてを見たる人)」と呼ばれていた。

神話は七つの書版より成り、
始原の水の化身である男神アプスー(真水)と女神ティアマト(塩水)、そして生命力の象徴であるムンムのこと、
アプスーとティアマトから生まれた精霊や神々のこと、
そして生まれた新しい神々である天神アヌ、知恵の神エア、マルドゥーク神(バビロンの主神、バビロニアの最高神)が、
始原の神アプスー、ティアマトを殺して主権を握ることが描かれる。
マルドゥーク神と女神ティアマトとの壮絶なる戦いはこの物語の白眉。
マルドゥーク神はティアマトを破った後その体を両断して片方を上方に上げて天空とし、片方を下方の水にかぶせて大地とし、
アヌを天空に、エアを地下の水に住まわせ、中空にはエンリル神を置いた。
そして星々を造って天空に置き、星座を天に架けて規則正しく運行させるようにし、
日や暦を刻むために月にはシン神、太陽にはシャマシュ神を置いた。

マルドゥーク神はティアマトの両目をそれぞれティグリス・ユーフラテス河の源流とし、
その体から国土バビロニアを造り出した。
マルドゥーク神はこの地を主宰することになり、神々はこれを祝福した。
マルドゥーク神はこの国土の中央に聖殿を造り、「バーブ・イル(神の門)」と名づける。
そして今度はティアマト軍を率いていたキングーという神を殺してその血から人間を創造し、
アヌンナキ(天の神々)のうち三百を天に、六百を地に住まわせることにした。
その祭儀が行われた後、ジッグラトが築かれ、諸神の神殿が建てられ、
かくて大いなる都バビロンが完成した。
そして神話の最後は五十にもわたるマルドゥーク神の讃美の呼び名で締めくくられる。

原典は、ギルガメシュ叙事詩と同じニネヴェのアッシュールバニパル宮殿図書室跡から発掘されて英国へ持ち帰られ、
大英博物館で解読・研究された。
『ギルガメシュ叙事詩』研究に多大な功績を残したジョージ・スミスも粘土板テクストの刊行に力があった。
これが粘土板に記されたのは紀元前700年代とされるが、当然それよりも昔から伝承されていたもの。
ほかの地から発掘された粘土板にもこの神話が記されたものがある。
これはバビロニアの新年祭の第五日・アキトゥー祭での王権更新の儀式の際朗誦されたと推測されている。

ゲート・オブ・バビロン

バビロンという名は、アッカド語の「バーブ・イル(神の門)」に基づく。(バーブが門で、イルが神)
なので、ゲート・オブ・バビロンというのは「神の門の門」ということになってしまってちょっぴりヘンテコリンなのだが、
語感がかっこいいので、よし。
ちなみにジッグラトというのが聖書に見える「バベルの塔」。
原語的には、砂の嵐に隠されてコンピューターに守られた塔の名「バビル」というほうが近い。
(原作ではバベルの塔になってるけど)

ていうか、英雄王さんはもともと「ウルクの王」であってバビロンとは何の関係もないので、
「黄金の都」がバビロンとすると、人様の宝物庫から勝手にモノくすねまくってることになります。


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