( 2007.01.30 )
反日映画
「南京」 の上映を許すな!

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AOLは反応なし

 11月26日の産経新聞一面トップ記事を見て、ついに来るべきものが来てしまったと思った。 昨年来、何回か折に触れ、朝鮮半島、支那大陸の特定アジアだけでなく、米国からの反日プロパガンダ攻撃が行われると書いていたつもりだった。 同じ警告をした人がどれだけいるか解らないが、事態はますます悪化している。

 産経はこう伝えていた。
米で反日史観映画  『レイプ・オブ・南京』 下敷き 年明け発表 AOL副会長制作

 米国の大手インターネット企業 「アメリカ・オンライン」 ( AOL )のテッド・レオンシス副会長( 50 )が、南京事件( 1937年 )に取材した映画 『南京』 ( 仮題 )を制作し、年明け以降、発表する。 ドキュメンタリー作品の体裁だが、史実の認定は反日的な歴史観で知られる中国系米国人作家、故アイリス・チャンの 『レイプ・オブ・南京』 を踏まえているとされる。 公開されれば来年70周年を迎える同事件や歴史問題をめぐり、日本の国際的立場に深刻な影響を与える可能性もある。

■ AOL副会長制作
 AOLの米国広報では、レオンシス氏による 『南京』 の制作を確認する一方、同社は制作に関与していないとしている。 レオンシス氏は 「アガペ」 という映像プロダクションを設立し、映画参入の第1作として制作に取り組んでいる。  制作情報をまとめると、 『南京』 は事件に関連した記録や事件関係者への取材映像に俳優のナレーションを織り交ぜる構成で、 「欧米人が語る南京事件」 に重点が置かれる。 音楽はグラミー賞を受賞したロック界の大御所ルー・リードが担当するという。 ( 以下略 )
 少なからぬ日本人がこの記事にリアクションを起こしているが、残念ながら決して組織立ったものでなく、個人的な動きに過ぎない。
 それでも、 「史実を世界に発信する会」 の茂木弘道事務局長はAOLのテッド・レオンシス副会長に東中野修道氏の 『南京虐殺の徹底検証』 ( 展転社 )を英訳した 『南京虐殺 事実対虚構』 と田中正明氏の 『南京事件の総括』 ( 謙光社 )をベースにした英語の 『南京で何か起きたか』 の2冊と、アイリス・チャンの 『レイプ・オブ・南京』 がいかに歴史事実を歪曲したでたらめのものであるかを丁寧に解説した手紙を郵送した。
 しかし、民間の研究者や民間団体では機動力に限界もある。 11月30日付けで書簡を米国に送ったそうだが、 「まだ何の反応もない」 と茂木氏は落胆の色を隠せない。
 茂木氏が11月26日の報道後、早急に行動に移されたことに敬意を表するし、非常に重要なことだと思うが、AOL副会長という相手をある程度信頼した極めて日本人らしい対応だった。 いや、従来の日本人らし過ぎる丁寧で礼儀に適った対応である。
 しかし、そのような正攻法だけでは、国際謀略である情報戦に勝つのは困難ではないだろうか。 茂木氏の行った正攻法の他に、あらゆる手段を用いて謀略に対処しなければ、戦前からずっとそうだったように、支那との情報戦には勝てない。
 何しろ、相手のテッド・レオンシスのブログは、一応ブログの体裁を取っていてオープンなイメージを装っているが、日本から書き込めないようなシステム設定になっているようだ。 私も直接メールボックスから取材依頼のオファー( 正確に言えば、取材窓口の問い合わせ )を行ったが、梨のつぶてだ。 敵ははるかに巧妙でしたたかで腹黒い。
 そもそも、在米の日本メディアはいったい何をやっているのだろうか? それこそNHKなどが真っ先に動いて、テッド・レオンシスを取材するべきだ
 本人でなくても、監督、制作スタッフと、取材対象者はいくらでもいるはずだ。 もっとも、取材するNHK特派員が 『レイプ・オブ・南京』 の内容を疑っていないような人物である可能性もある。 いや、冗談でなく、十分あり得る話だ。


見過ごしてきた結果

 これから重要になってくるのは、あらゆる場から、あらゆるベクトルから、歴史専門家であろうとなかろうと、日本人が歴史の真実を希求する声を挙げることである。 黙っていれば、米国においてでさえ、歴史書と言えるかどうか内容の真偽が論争の的になった 『レイプ・オブ・南京』 が、大手を振って反日プロパガンダの武器になり続けて行くのだ。
 実際、論争になったことなど多くの欧米人は憶えていないし、知りもしない。 アマゾンのブックレビューを見れば、この本を読んで心が痛んだとか、単純に感情移入するイノセントな書評で満たされている。
 版元のペンギンブックにとっては、世界中の空港の書店に置かれる 『レイプ・オブ・南京』 はドル箱のキラーコンテンツの1つとして貴重な商品にしか過ぎない。 日本人へ何の配慮もなく、日本人の抗議の心配もなく、版元は売れるものを売り続けることができる。
 反日活動に使用される握造・歪曲の偽書が世界中で売られているという現実に、日本人が無関心過ぎるということだ。 見ざる、言わざる、聞かざるのように、日本人が黙ってやり過ごして来だのだから、今回の映画化はそれこそ必然的な産物だったのだ。
 柏書房が 『レイプ・オブ・南京』 の日本版を出版しようとしたところ、余りの史実の間違いに翻訳が出来ず、アイリス・チャンがその訂正に応じなかったから翻訳もされていないという現実を、どれだけの欧米人が知っているのであろうか?
 まず、日本版翻訳にまつわるエピソードの事実を提示するだけでも、アイリス・チャンと  『レイプ・オブ・南京』 の信頼性が損なわれるはずだ。 そのためにも、日本人が情報発信する装置とシステムの構築が急務である。


反日ネットワークの謀略

 次に、テッド・レオンシスの背後関係に何かあるのか徹底的に調査する必要がある。 じつは、平成18年( 2006 )7月31日の時点で、レオンシスは彼のブログで今回の映画の内容を記載している。 スタッフの詳細から配給について、さらに、ルー・リードが音楽を担当するサインを行ったことまで書いている( http://ted.aol.com/index.php?date=2006‐07‐31 )。 ワシントンポストの取材に応じたらしい記述があり、最後はこう結ばれている。
「私の望みは、この映画が支那と日本の関係について議論を活性化させるのに役立つことです。 我々がそれを実現しようと企てた1つの方法は、ウェブ上で新しい実験的なやりかたで集めた研究材料を用いることです。 映画は、まだ制作中ですが、2007年の早くにはオンライン上でデビューすることになります」
 これまで日本メディアに報じられなかったのが不思議だが、レオンシスは年明け早々に、何らかのプロモートをオンライン上で行うつもりだ。
 奇妙なことにこのブログ、最近のエントリーには日本人がコメントできないようだが、この7月31日付けの記事には複数の日本人が11月26日の報道以降、コメントを寄せている。 恐らく、それも検閲後のものしか残っていないのだろうが、 「議論を活性化させるのに役立つこと」 をしていると装っているのがかえって狭措である。
 テッド・レオンシスの黒幕は、間違いなく 「世界抗日戦争史実維護連合会( 「Global Alliance for Preserving the History of WWII in Asia」 )( http://www.global-alliance.net/ )という反日華僑組織だ。 平成17年( 2005 )の上海、北京の反日暴動も、この在米の反日団体が司令塔だったと言われている。
 在米韓国人や韓国系米国人も巻き込みながら平成18年( 2006 )9月の 米国下院の従軍慰安婦に関する日本非難決議 の策動にも重要な役割を果たしていたと考えられる。 この団体は12月9日に、サンフランシスコの日本人街でわざわざ反日プロパガンダイベントを開催して日系人たちを動揺させたのだが、この件は産経が13日に報道した。
南京事件追悼行事、韓国系も合流強まる対日圧力

【 ロサンゼルス支局 】日本の歴史責任を追及する在米華僑組織が、サンフランシスコの日本町( ジャパン・タウン )で予告していた南京事件( 1937年 )の追悼行事( 9日 )は、約300人が参加して予定通り行われた。 行事には高校生とみられる中国系米人が動員されたほか、 「慰安婦問題」 で日本を追及する韓国系も参加するなど、世代や民族の枠を超えて米国を舞台に日本への圧力を強める動きが浮き彫りとなった。
 複数の関係者によると、サンフランシスコの日本町にある 「北加日本文化コミュニティーセンター」 ( JCCCNC )での 「南京祭」 には、主催の 「世界抗日戦争史実維護連合会」 のメンバーや中国総領事館の館員、カリフォルニア州当局などの来賓らが出席した。
 約2時間の行事では、南京事件の犠牲者を追悼する演説のほか、事件の 「記録写真」 や生存者の 「証言」 が映像で放映された。 また、同連合会が主催した 『レイプ・オブ・南京』 の著者、故アイリス・チャンを記念する論文コンテストの入賞者への表彰も行われた。
 一般参加者の7割程度は若い中国系で、バスでの送迎や昼食券の配布など、 「組織されていたもよう」 だったという。 集会後、主催団体の関係者らは、韓国系の参加者とともに日本町中心部の広場 「ピースプラザ」 で、プラカードを掲げてデモ行進した
 結局、発信できない日本人は、河野談話、村山談話の虚偽を政府が正式に否定できないまま、ズルズルと特定アジアの反日ファシズムに侵食されて来たのだ。 国内だけでなく、米国でも反日ネットワークの謀略が進んでいる。
 まず、重要なのが 河野談話の従軍慰安婦を否定 することで、次に アイリス・チャンの 『レイプ・オブ・南京』 が握造と歪曲にまみれた偽書であることを〈 事実 〉として確定させる ことなのだ。
 もちろん、反日ネットワークはヨーロッパにも及んでいる。 英国国営放送BBCのサイトには 「Rape of Nanjing」 ( http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia4-pacific/223038.stm )と題されたページが設置されていて、日中関係の記事にはいつもバックグラウンド( 事件の背景 )としてリンクされるようになっている。
 この状態を放置すれば、毎年毎年、北京政府の都合で南京や従軍慰安婦の映画が制作されてもおかしくないのだ。


情報能力の貧困さ

 そもそも2年前( 平成16年 )から南京大屠殺記念館の拡大リニューアルが明らかになっていて、もともと捏造だらけの展示をさらに粉飾する必要があるのだから、この2年間で中国が歴史問題の火種を作り続けることは誰にでも解るはずだった。
 それも、2008年の北京オリンピックに向けた戦略的な中国共産党の取り組みなのだ。 中国はオリンピックを開催するだけでなく、世界へ向けた反日プロパガンダまで広報しようとしてる。 つまり、2008年後以降のアジア覇権獲得へ向けたロードマップ上に、日本の弱体化がプログラムされているのだ。
 にもかかわらず、日本政府、外務省はいったい何をやってきたのであろうか? 冒頭紹介したように、 「史実を世界に発信する会」 にしても、歴史学者や歴史研究家が手弁当で支える民間機関に過ぎない。
 拉致問題の本質は、政府、政治家、メディアが、国家主権と国民の人権が侵されていながら、拉致被害者を長年見捨ててきたことにあるが、それと全く同じ構造が、反日プロパガンダの歴史認識問題にも見られる。
 すなわち、歴史認識問題では、1億国民が反日歴史洗脳の国際ネットワークに拉致されていると言っても過言ではないのだ。
 こんなメールを昨年、ロサンゼルス在住の読者から頂いたことがある。
  「仕事の関係で話をした黒人の老人から、日本からの声が聞こえない。 私も私の孫たちもいろいろなソースで日本軍人は酷く野蛮で残酷だと漫画その他で思い知らされてきた。 貴方達を見ていても、本当にそうなんだろうかと疑問が絶えない。 ついては日本の近代史を知りたいと思うがいいものがあったら紹介して貰えないだろうか、と言われ探しましたが、日本語ならいざ知らず英語版では殆ど見当たりません。 もし適当な物をご存知でしたら是非お教えいただきたいと思いメールしました」
 この方のメールが日本の〈 情報力 〉の弱さを端的に現している。 「歴史を鏡とせよ」 という声は、本来なら日本から高まるべきなのに、政府もメディアも世論も、そこまで声が高まらない。 なぜなら、〈 情報力 〉以前の問題として、日本人が自虐的な環境に慣れ切っているからだ。
 外務省は外国でこのような思いをしている日本人に適切な資料を提供できるパブリックディプロマシーの装置を早急につくるべきなのだ。
 大東亜戦争の敗因の一つに日本の情報能力の貧困さがよく挙げられてきた。 だが、それは決して61年以上前の瑕疵でなく、現在でも変わらない日本の欠陥になっている。
 私は〈 情報力 〉という言葉を、政府や企業の広報能力やパブリックディプロマシー( 広報外交 )を含む情報発信力から、諜報活動を含む情報収集能力と分析力まで含めたものとして定義することにする。 つまり、〈 情報力 〉とは、情報の出し方と入れ方と、情報解析に及ぶ〈 情報 〉の全ての分野における能力ということだ。


日本はまず反論を

 平成17年( 2005 )10月31日に、国連総会第三委員会( 人権 )で日本と北朝鮮の激しい応酬があった。 北朝鮮をめぐって、日本の拉致事件などで真摯に対応するよう求める勧告が出されたが、北朝鮮のキム・チャングク国連次席大使は 「イギリスのように植民地支配などで多くの市民を殺した国がわれわれを非難するのはばかげている。 EUは日本人の拉致問題を解決せよと言うが、日本が朝鮮人840万人を拉致、連行した事実には触れようとしない」 と発言した。
 これに対し、日本の大島国連大使は 「日本は朝鮮半島での過去の過ちを謝罪しているし、北朝鮮の発言する数字は誇張されている」 と反論した。
 なぜ、大島国連大使は、 「840万人の強制連行」 という、歴史事実に全く反する妄言に具体的に反論できなかったか? 具体的に反論しなければ、 『レイプ・オブ・南京』 のように事実として受けとめる者が現れるし、今後もプロパガンダの材料にされる。 そもそも、東大教授の北岡伸一国連次席大使( 当時 )がいたのに、なぜ、国連の場で具体的に反論しなかったのだろうか?
 今後、国連の人権委員会では在日韓国人や反日勢力と連携するドゥドゥ・ディエン特別報告者( セネガル )による活動が活発化する可能性がある。
 平成17年( 2005 )、日本における差別の状況について、同和問題やアイヌ民族、在日韓国・朝鮮人らに対する差別が実在しているとして、包括的な人種差別禁止法の制定をドゥドゥ・ディエン特別報告者が国連人権委員会で訴えているのだ。 その動きに国内反日勢力が連携を取るのがいつもの〈 構造 〉だが、ここでも日本の〈 情報力 〉が問われている。  日本政府がパブリックディプロマシーの機能を整備し、諜報までを含む情報機関を設置できれば、〈 情報力 〉の貧困は回避できるはずだ。 それまで時間がかかるのであれば、せめて現状の組織、機関で官僚制度の悪弊である縦割機能を廃止する対応が必要だ。
 じつは海外だけでなく日本国内でも、知らず知らずの内にわが国の情報が特定の勢力に蝕まれていることを自覚するべきだ。 海外のプロパガンダに対する日本独自の歴史問題、外交問題のデータベース設置も急務である。 それらの環境が整えば、前述した米国在住の方の悩みなども解決できるはずだ。
[ 米英華3巨頭会談( いわゆるカイロ会談 ) ]
右から 宋美齢, チャーチル, ルーズヴェト, 蒋介石
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 そもそも70年以上前の日支事変の時点で、日本の〈 情報力 〉は支那に大きく後れを取っていた。 中華民国総統蒋介石夫人の宋美齢は、1930年代から反日の種を撒き、反日感情が横溢していた米国世論を大東亜戦争に向けて反日プロパガンダでリードした。 名門女子大ウェルズリー大学を1917年に首席で卒業した宋美齢が、豊かな語学力を駆使し、フリーメイソンの人脈まで活用しながら、情報戦の最前線で戦っていたのである。
 現在の日本で、宋美齢や日露戦争時代の明石大佐、石光真清に匹敵する人物がたやすく現れるとは思えない。 だが、当時のプロパガンダは個人の力に多く負うところがあっても、現在では組織力によって対抗できるものを構築できるはずなのだ。
 近現代史研究家でラルフ・タウンゼントの 『暗黒大陸中国の真実』 の訳者でもある田中秀雄氏が、昭和3年( 1928 )に青島新報から発行された 『山東省動乱記念写真帖』 などアイリス・チャンが 『レイプ・オブ・南京』 で紹介した残虐な写真が数多く収められている写真集や資料を人手中である。 それらの写真は昭和3年( 1928 )5月2日の済南事件で支那人に虐殺された日本人の姿と言われている。
 その後、昭和12年( 1937 )7月29日に起きた通州事件でも200人の日本人男女が惨たらしく虐殺されるが、自分たちの行ったことを日本人がやったことにする性質は、恐らく大陸、半島に共通するものだ。
 なるべく早く、それらの写真や資料で 『レイプ・オブ・南京』 に科学的に反証する 『アイリス・チャンの真実』 でも出版できればと思っている。