1973年に生まれて

私はテンポイントを初めとするTTG3強と同じ1973年の生まれです。
それがちょっと自慢だったりします。
しかし、それは同時に、小さすぎて彼らの活躍時代を覚えていない
ということも意味します。
本当に、リアルタイムでテンポイントを見てみたかった…。

競馬にはまって20年近くになりますが、その原点にはあるテレビ番組で見た
テンポイントの物語がありました。
あまりに劇的な生涯、それが私が過去の馬へと思いを寄せる
第一歩となったのです。
以後、本やビデオなどで必死に彼のことを調べました。
知れば知るほど、テンポイントが好きになっていく自分がいました。

素質だけでクラシック戦線に臨んだ若き日。
実力がついたことを示した、けれど最後の直線でちょっとヨレて若さを
引きずっていた天皇賞・春。
もはやトウショウボーイには敵わないのかと諦めかけた宝塚記念。
「天高く馬肥ゆる秋」の言葉通り、心身ともに完成形に達した
5歳秋。
そして、遂に天馬を撃破した有馬記念。
まさに「サラブレッドはかくあるべし」という見本のような馬生でした。

あの事故さえなければ…。

今回、このサイトに出会い、皆さんのメッセージを拝読しながら、
男ながら涙がジワリと滲んできました。
そして無性にテンポイントが恋しくなったのです。
彼の温もりを感じ、優しい眼差しに包まれたかった。
トウショウボーイがミスターシービーを出したからには、
彼の子供も応援したかった。
もはやこんな馬とは出会えないでしょう。

来年、10年ぶりにテンポイントのお墓参りに行きたいと思っています。
そして、彼の一族のフジヤマケンザンとも会います。
すべての馬が幸福に包まれるよう、彼に祈ること。
それが1973年に生まれた者が精一杯できる、所為なのかもしれません。

2009年11月29日  らすかる