伊藤さんのことを「お年がお年」と言った鈴香です。 あのときは本当に心配したのですよ。 奥様に「今年、伊藤さんは?」と聞くと、「今年はみえていない」 とおっしゃるので、いやーーな予感がしました。 テンポイントが何より大事な伊藤さんが来られないとしたら・・・ それは何かあったに違いない。 そういうと奥様も「そうよねー」と本気で心配しはじめて 「鈴香さん、電話しましょう電話しましょう」とおっしゃいました。 そして「お元気」な声を聞いて、本当に二人で安心したのですよ。 早とちりはわたしだけでなく奥様もですね(笑)。 今年も5日が平日だったので、7日にわたしも行ってきました。 毎年、行っているのに、雪が降っていたのは初めてでした。 テンポイントがトラックに乗って帰ってきた日のようで、映像を 思い浮かべながら、丘で1時間以上過ごしました。 あれから30年以上たつのですね。 時間というのは本当にありがたい。どんなに悲しかったことでも、 良かったときの思い出に変えてくれます。 テンポイント、彼のおかげでわたしはいろいろな方と出会い、 そしてその方々から、笑顔と笑いと勇気をいただいています。 本当に凄い馬というのは、亡くなったあともさまざまな形で良い 影響を与えるものなのだな。テンポイントの生きているときの 雄姿を思い出しながら、わたしは新たな希望を抱きます。 これからもきっとキミが守ってくれるに違いない。キミを今でも、 愛している人たちを。 テンポイントがくれた奇跡をわたしはずっと抱いてゆこう。 みんなも私もどんどん年を取ってゆくだろうけど、キミのことに なると、私たちはまだ少年少女に戻るんだよ。 また会おう。桔梗の丘で。また優しく迎えて・・・。 鈴香 静 |