朝露のように

幼き日のあなたの姿。なんと初々しく、眩しく映ったことか。
陽に輝くその栗毛、嬉しそうに母にまとわりつき少しはにかんだように駆け回る。
それはまるであなたの人生を予兆するかのような一瞬だった。

美し過ぎたのかも知れない。D.ディーンのあの眼差しに似て、C.ブラウンのあの
音色に似て、V.ニジンスキーのあのしなやかさに似て。

しかし、その美しさに心惹かれ、その心根に心揺さぶられたのだ。まるで夏の日の朝
に、葉影に宿る一粒の朝露に心惹かれるように。そこに宿る生命の美しさに惹かれた
のだ。幼き日に見たあなたは真に朝露そのものだった。

                            空飛ぶクジラ