流星の貴公子 テンポイント


当時私は小学生でした。父が地方で競走馬を持っていましたので競馬は大好きでした。競馬が好きというより馬が大好きと言った方が正しいですね。それまでは父の所有馬だけを応援し夢中になっていました。
そんなある日、スポーツ新聞で関西期待の星テンポイントという掲載を見たのでした。そこから私と、いや私のテンポイントが始まったのでした。「綺麗なスタートを切りました。綺麗なスタートを切りました・・・ケイシュウロザリアが行きます・・・ 見てくれこの足見てくれこの足これが関西の期待テンポイントだぁ―!強いぞ強いぞ!!・・・」 もの凄い衝撃が全身に走りました。その日を境に自分の何かが変わったのです。
私は彼になり彼は私だと思っていました。生活のすべてがテンポイントでした。特に体育の授業、マラソンやマラソン大会は私がまさにテンポイントになれるひと時でした。先行逃げ切り、どん尻追い上げ、すべての展開で走りました。もちろんゴールは1着で。ちゃんと解説もしながら走っていました。そのころの私は彼を尊敬し父のような存在に祀り上げていました。毎日新聞で彼の記事を探してはスナップにして、学校の詩集や作文はすべて彼に対してのものでした。担任に呼び出されていろいろ聞かれたこともありました。この子おかしいと思われていたのでしょうね。
今年私は38歳になります。彼がいなくなっても、競馬もしますし、馬が大好きな気持ちもか
わりません。でも、彼のような馬に出会うことができません。あの時のように熱く思うことができません。今でも私の好きなのは彼だけなのですね。よく尊敬する人物は?聞かれると、「テンポイントです」と答えます。好きな言葉は?と聞かれると、「見てくれこの足!見てくれこの足!これが関西の期待テンポイントだぁ―」と答えてます。皆さん何も知らないからキョトンとしますが、私にはすべてに意味があるのです。おそらく彼を知っている人は理解していただけると思いますが。このホームページがあったこととても嬉しく思います。何かご協力できることがあれば微力ながらお手伝いさせていただきたいです。 ホントにありがとうございます。                             星野 祐介