私がテンポイントを初めて見たのは,まだ私が小学生で,それまでも父親といつも
競馬を見ていました。トウショウボーイとの対決や,グリーングラスとのレースを,
そのころは余りよく分からないままに,ただ,とにかくきれいな,大きい馬だったテ
ンポイントに魅せられて応援していました。
私の父親もテンポイントが好きで,テンポイントのレースは,2人とも釘付けに
なって見ていました。
そして,日経新春杯も。
私は,何が起こったのか分からず,ただ真っ白になって泣き出してしまいました。
普段はとても厳しい言葉の少ない父親でしたが,そのときは,何も言わずに私の頭の
上に大きな手をおいて,私が落ち着くのを待っていたと思います。
そして,その2年後,父親はテンポイントと同じ空にいきました。
私にとって,テンポイントは父親の思い出と重なり,いつまでも鮮やかな記憶の中
にいます。
多分テンポイントも,そして,サラブレッドという生き物は,たくさんの人々の,
それぞれの強い思いを背負って生きて,走るのだと思います。確かに,今の競馬界で
は考えられないほどの過酷な状況下でテンポイントは短い生涯を終えたのだと思いま
すが,多分テンポイントがいなければ,競走馬の医療や,ハンデの限界などに対する
考え方は発展しなかったと思います。テンポイントのことを知らない人も多くなって
きましたが,やはり誰に聞かれても,私の名馬はテンポイントであり,現実にテンポ
イントの血を受け継ぐ馬がいなくても,テンポイントの存在は現在でも受け継がれて
いくべきだと思います。
ただ,テンポイントの写真集やビデオを見るたびに大泣きをしてしまうのは,さす
がに自粛しないとと思うのですが。(^^ゞ なかなか治りそうにありません。
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