播磨伝説異聞  歴史の風景


姫路城の夜明け


解明されない空白の歴史の1ページがある

こう書き出したのが昭和58年4月 34歳のときだった
今月号から姫路市内の〈歴史の風景〉を訪ねて そのロマンと詩情を探ってみたい…
これが小さな連載コラムの書き出しだったが
毎月いくらかずつ書き足されて そして少しずつ活字になっていった

かつての播磨国姫路の人たちは
どんなふうにそれぞれの生を考え どう時代の苦境を切り抜けたのか
そんなことが知りたかっただけなのに 多くの姫路人は沈黙したままだった
確かめようとする中でそれぞれの後姿に失望したりもした

それでは、その現場を訪ねることで彼らの心のありようを眺めてみよう
播磨人を取り巻いた事態を薄っぺらな想像力で再構成し
その時々に気負いなく乗り越えた播磨人に、惜しみない拍手を送ってみよう

拾いあげればきりがないほど播磨国姫路人のドラマは多く残され そのどれもが多彩で力強かった
20年がかりで続けてみると播磨の小宇宙がそれなりに完結してきたように思えて
それぞれの時代の人と心が浮かび上がってきた

気がつけばずいぶん遠くまできてしまったようだ
立ち止って気持ちをラクにすれば見えてくるものがあるかも知れない

歴史研究ではないので多くを挙げることはしないが多様な書物を参考にさせていただいた
それぞれの現場では写真にとくに興味や知識を持っているわけでも
ましてや技術を備えているわけでもないので
F君のカメラとY嬢のイラストにお世話になった
感謝したい

  『取材メモ・覚え書き』から










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