わたしだけ?

 
まで歩いてきた道を引き返すのが、あまり好きではありません。  
 いや、いきなりカッコつけた言い方になりましたが、人生のことではなく、普通に外出する時の話です。たとえばA地点に用事があるから家を出
るとして、そのまま来た道を戻って帰宅するという
のが、どうにもイヤなのです。わたしだけ?  

 お昼を、近所のソバ屋さんとかで済ませる時などもそう。  
 帰りは必ず違う道を通って、コンビニとかに寄ってから帰ります。いつの頃からそうなったのか、自分でもよくわかりませんが、とにかく行きと帰りで違うルートを通ることが、圧倒的に多いです。  
 かつて平安時代の貴族は目的地の方角が悪いと、一旦、別の方向へ進んでから出かけたそうですが、その手の縁起かつぎには、まるっきり興味ありません。もちろん宗教的な理由なんてのもゼロ。「尾行されてるんですか?」と聞かれたこともありますが (笑)、これまた命を狙われるような心当たりはありません。   
 ぶっちゃけ
外出の機会があまりにも少ないため、一度の外出でいろいろな用事をすべて済ませてしまおうというケチくさい根性が染みついているだけなんでしょうね。  

 そんなわけでルート選びは重要です。
 家を出て、目的地A、B、C、Dをどういう順番に回るか? ここでもやはり「引き返すのがイヤ病」が出ます。一筆書きのようにルートが重ならないようにしたくなるのです。自分でもアホかと思いますが。  
 もちろん、例外もあります。  
 たとえば秋葉原の電気街や神田の古書店街で、欲しいものが見つからない時とかです。あちこち探し回るのですが、こういう時はルートが重なっても全然気になりません。いや、そこまでこだわっていたら、さすがにマズイという気もしますが。  

 とはいえ、欲張りすぎて失敗してしまうのもよくあることです。  
 打ち合わせをして、映画を見に行って、本やらCDやら買って、酒屋さんでお酒も買って、借りてたDVDをレンタル屋に返却して……。  
 うまくいけばいいけど、ひとつの予定が狂うと、すべてガタガタになります。  
 実際、お目当てのCDが見つからずにお店をハシゴしてたら、レンタル屋の閉店時間が来てしまい、延滞金がついてしまったことがあります。
 シャッターを見つめて思うことはただひとつ。  
 虚しい……。  
 翌日、また外出しなければなりません。  
 はてさて。ついでに済ませられる用事はあるだろうか? 部屋の中を見回して、不足しているものはないか調べます。買おうと思って忘れていたモノはないか、なども調べます。  

 忘れてるぐらいなんだから、必要ないモノに決まってるんですが。