左右非対称機
 実機も模型飛行機も、たいてい飛行機は左右対称形にできています。それだけではなく、空を飛ぶ動物(鳥類、コウモリ、ムササビなど)も左右対称形であるのが普通です。
 私がジャパンカップのデザイン競技用にいろいろ作った経験から言うと、翼になる部分があって、左右対称にして、あとは前後の重心を調整すれば、性能の良し悪しはありますが、たいてい飛びます。
 ただそれだとつまらないので、あえて、左右非対称としたものを紹介します。用紙は旧AGケントか、紙飛行機デザイン工房の紙飛行機用紙(ケンラン180kg)を使用しています。
 なお、ここでの公開図面は個人で楽しむ分にはご自由にお使いください。

ワンツーウイング
ワンツーウイング
左側複葉、右側単葉の左右非対称機です。ジャパンカップに出品した作品です。初めて製作した左右非対称機でした。現物はもう手元に残っていませんが、結構よく飛行しました。



葉っぱ
 斜め複葉無尾翼機です。無尾翼斜め翼は二宮康明先生設計の機体に例があり、複葉無尾翼機はよく見る形式ですが、斜め複葉無尾翼はとんと例を見ません。試作してみると、えらく難しい機体でした。5秒と飛びませんでしたが、またこの構成の機体設計に挑戦してみたいです。
 ただ、残念ながら、ジャパンカップ自体なくなってしまい、参加は幻となりました。
全長100mm、全幅140mm、質量6.8g



阿修羅
 左右非対称機です。前翼と後翼は全く同じ平面形で、180°反転した形で、左右ずらしてあります。
 通常尾翼機と先尾翼機を左右合体させたと理解してもらってもよいかもしれません。そのためネーミングはマジンガーZに登場するあしゅら男爵からイメージしました。
 そのため、ピッチングは、前後それぞれの短い翼を調整してエレベーターにします。左右の旋回は水平で制作した長い翼の上反角をわずかに変えることで行います。
 前翼の右が長いバージョンと左が長いバージョンを作ってみましたが、想像以上によく飛びます。
 こちらは図面公開します。
 前翼右が長いもの 前翼左が長いもの
 全長220mm、全幅186mm、翼幅128mm、質量6.9g



X-wing
 二宮康明先生設計の機体に斜め無尾翼機の例がありますが、斜めの向きが逆のものを上下に重ねて複葉無尾翼にしたものです。ある意味、上記の「葉っぱ」のリベンジです。
 写真の上翼が左前の例では右旋回したがる癖があり、直進するには左旋回側に調整するため、この機体は右利き用で、斜めを逆にすると、左利き用になります。
 全長125mm、全幅173mm、翼幅158mm、質量5.9g



雲流
 上の阿修羅とX-Wingについては、特に計算することなく、同じ形状のものを反転することで設計しましたが、これは空力重心、重心とも胴の上に来るように計算して制作したものです。
 左が通常の主翼と尾翼、右がリング翼それぞれを合体させた構成です。単純に合体したのでは左右の空力重心が前後にずれているので、それを矯正するために斜めにしています。調整は左後翼後端をエレベーター、右後端をエレボン、左前翼後端を左エルロンとみなして行います。うまく調整すると、垂直上昇からきれいに滑空に移り、想像以上によく飛びます。
 こちらは図面公開します。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。上反角15°です。左前翼に軽くキャンバーをつけると、浮きがよくなります。
 全長224mm、全幅182mm、質量8.2g



ワンツーウイング2023
 ワンツーウイングを再設計してみました。オリジナルのものは低翼機の左に上翼を追加した構造でしたが、これを高翼機の左に低翼を配置する形にしています。また、下翼は上翼より後ろにずらしてあります。
 こちらは図面公開します。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。上反角15°です。
 全長220mm、全幅188mm、質量6.7g



葉っぱ2
 斜め複葉無尾翼に再挑戦です。昔作った葉っぱよりはよく飛ぶようになりました。いちおう複葉(多葉)機競技の規定にのっとった寸法、形状になっています。
 こちらは図面公開します。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。上反角はつけません。
 正確に組み立てた機体は、そのままでは右旋回のクセがあるので、垂直尾翼および下翼それぞれの後端を左旋回側に調整して、水平飛行で直進あるいはわずかに右旋回に調整します。その機体を右手、ゴムカタパルトを左手で飛ばすとよく飛びます。逆の手で飛ばしたい方は、図面を左右反転させて印刷ください。
 全長150mm、全幅166mm、質量7.3g



Diamante
 左右非対称無尾翼機です。いちおうちゃんと飛びますが、飛行性能は正直いまいちです。
 こちらは図面公開します。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。上反角15°です。
 右翼が細長い  左翼が細長い
 全長190mm、全幅182mm、質量6.0g



Figure4
 左主翼から右をループして左尾翼につながる機体です。ループ翼の調整がかなり難しいですが、セッティングが決まると、なかなか見事に飛びます。
 機体を上下から見ると数字の「4」のような形になります。
 図面は(左ループ右ループ)。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。
 全長195mm、全幅183mm、質量4.9g



斜め無尾翼
 二宮康明先生設計の機体に斜め無尾翼機の例がありますが、私は過去に一度だけ飛ばしているのを目にしただけです。なんとか自分でも設計したいと思い試してみました。
 図面は、(左垂直尾翼右垂直尾翼)です。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。
 全長180mm、全幅140mm、質量6.7g


(斜め前から)
(真上から)
メビウス
 阿修羅の胴をうんと短くして、ジョイント翼にしたらどうなるかの実験機です。全体的に斜め翼であることによるヨーイングのアンバランスを、前後の翼の傾きを逆にすることである程度打ち消しています。開発当初は独立した垂直尾翼を設けていたのですが、右後ろのジョイント部を拡大することで、垂直尾翼にしています。翼全体が一見メビウスの輪っぽく見えますが、裏表の逆転が二度入っているので、メビウスの輪ではありませんが、名前だけ拝借。
 以外に飛びますが、滑空時の沈下率が大きく、滞空時間はあまり出ません。  こちらも図面公開します。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。
 全長130mm、全幅182mm、質量6.0g


真メビウス
 こちらは、翼がメビウスの輪となっています。メビウスの輪のねじれ部分が垂直尾翼です。
 図面はこちらです。A4用紙横置きで、上下左右の余白4.0mm設定で印刷してください。
組み立て手順
1)1R、1〜7R、7Lを、数字の小さいものを内側に、機首をそろえて張り合わせ、胴体とします。それぞれRの部品は右、Lの部品は左です。1だけは1枚です。
2)「左翼」の裏に「左翼裏」を張り合わせて左翼ユニットとします。
3)「右翼」に「右翼裏」を張り合わせ、右翼ユニットとします。
4)右翼後翼ユニットと左翼ユニットを前翼部中心部分で連結接着します。このとき、それぞれの裏部品の端が互いに補完しあい、隙間がなくなります。
5)上反角をおおよそつけて「前連結」を張り付けて、上反角ゲージで上反角をきっちり決めて、接着剤が乾くのを待ちます。
6)右翼ユニット左端の垂直尾翼部分の上側(広い方)を左翼端に接着し、さらに「垂直尾翼根元補強」を垂直尾翼根元の右翼との境に接着します。これで翼部分ができあがります。
7)胴体に翼部分を接着して完成です。
 全長183mm、全幅181mm、質量7.2g


メビウスウイング
 真メビウスの胴体を省略し、バラストおよびカタパルトフックとして機首だけ残したものです。胴を省略した分、翼に補強を入れています。
 図面はこちらです。A4用紙横置きで、上下左右の余白4.0mm設定で印刷してください。
組み立て手順は、胴の枚数が少なくなっていますが、真メビウスとほぼ共通です。また、「右翼裏」が前後に二分割され「前右翼裏」と「後翼裏」になり、さらに翼に「補強」と「補強スペーサ」が追加されます。補強スペーサは補強を接着した後に補強中心部直後にはって段差を解消してください。
 全長183mm、全幅181mm、質量7.5g



Winker
 真メビウス、Figure4、斜め無尾翼の要素を合体した機体です。機体左側は前進無尾翼で、左側が後退ループ翼となっています。ループ部が垂直尾翼の役目をはたします。
 図面はこちらです。A4用紙横置きで、上下左右の余白12.7mm設定で印刷してください。
 組み立て手順は、
イ)まず「@翼」の印刷面を下に置き、「接着部A」と記した2か所のうちの白い方の辺に平行になるように丸棒などを当てながら辺から約7cmを上側に丸めてくせをつけておきます。続いて「@翼」を「B翼補強」に張り付けます。このとき、翼の前縁がそろうようにし、また双方の基準線がずれないようにします。次に「A翼左前」を張り付け上反角を合わせたら「C翼連結部」を張り付けて接着剤が乾くのを待ちます。
ロ)次に胴の部品の「1、2L、2R」を張り合わせます。
ハ)翼の「接着部A」同士を張り合わせ、洗濯バサミなどで固定しておきます。
ニ)接着剤が乾くまでの間に胴の部品「3R、3L、4R、4L」を ロ)で張り合わせた胴に追加で張り合わせ乾かします。
ホ)翼と胴の接着剤が乾いたら翼に胴を張り付けます。
 いずれの部品でも接着前に山折り線を折っておいてください。
 調整は無尾翼機と思って調整することになります。調整が決まると、想像以上によく飛びます。
 全長155mm、全幅185mm、質量6.5g


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