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【中国人差別との向き合い方】

 私たち日本人は、日本人と中国人、韓国人を見分けることが、何とかできます。
 とは言え、最近では互いの服装なども似通ってきたせいか、見分けることは難しくなってきました。
 非東洋人たちにとっては、なおさらのようです。彼らには、外見だけで見分けることは非常に困難なはずです。
 別に中国人に間違われようが、韓国人に間違われようが、気にしなければいいのです。
 と言いたいところですが・・・。

 旅をしていると、中国人に間違われることで、不愉快な思いをすることが多々あります。
 先日、ローマで夜歩いていたときも、クルマに乗った若者グループが中指立てて「チャイナー!」と叫んでいきました。

 中南米ではもっと深刻です。
 中国人は「チノ」と呼ばれ、軽蔑と憎しみの対象となっています。
 私もメキシコシティーで、ホームレス風のオヤジに、通りがけに「チ・ノ〜」と侮蔑に満ちた声で耳元で囁かれ、危うく肘鉄を食らわせてやるくらい反射的に怒りを感じてしまいました。

 なぜ中国人がこうも嫌われるのでしょうか。
 多少の地域差はあるでしょうが、たいていは「中国人の勤勉さと傲慢さ」によるものだと思います。
 世界中を歩いていると、中国人定住者、いわゆる華僑の多さに驚かされます。中国人は、世界中に散らばってコミュニティーを構築しているのです。
 そして、彼ら中国人は、とにかく勤勉です。カネのため、朝から晩まで働き続けます。
 それが、現地の人間たちは気に入らないようです。

 例えば中南米では、中南米なりの文化があり、生活スタイルがあります。
 中国人は、その文化なり生活スタイルとはまったく異なった、中国人なりのスタイルで定住し、一生懸命働き、結果としてお金持ちになる中国人も出てきます。
 つまり、中国人資本家に雇われる中南米人、という構図が発生するのです。

 これは、どちらが正しいとは一概には言えない問題です。
 現地の人間からすれば、勝手に移住してきた中国人が、現地のコミュニティに溶け込むことなく、中国人のネットワークを駆使して金持ちになり、私腹を肥やしていると感じられるはずです。
 中国人が華僑コミュニティを強固にする一方で、現地のコミュニティに溶け込む努力をおろそかにしているのは、私も疑問を感じるところです。
 一方で、中国人の側からすれば、怠惰な現地人よりも一生懸命働いたから金持ちになれたのであって、その街の経済を担っているのは自分たちなのだ、という自負があるでしょう。 確かに、中国人たちの力で潤っているような街も多々あるのです。

 問題なのは、もはや個々のレベルでの恨みつらみではなく、中国人全体に対する人種差別となってしまっていることです。

 個人旅行をしていると、私たち日本人はその「とばっちり」を受けることになってしまうのです。
 島国に育った私たち日本人にとって、「人種差別」を受けるのはとてもショッキングなことです。
 自分の努力ではどうしようもないことで差別されることは、とても理不尽で悔しいものです。

 ただ、これもいい経験かもしれない、と最近は考えています。
 日本にいるときにはまず経験できない人種差別を経験できるのですから。
 黒人や中国人たちが日常的に経験している人種差別を、身をもって味わうことができるのですから。

 中国人に間違われて侮蔑の言葉を投げられたとき、「いや、オレは日本人だ!」と言い返したくなります。
 日本人は、日本人が考えている以上に外国では好意的に思われているものなので、日本人だとわかると侮蔑の言葉はどこかに消えてしまうでしょう。
 でも、少なくとも私は、それで気分が晴れることはありません。

 「私は中国人ではない」と主張することは、結局中国人差別に加担することにはならないでしょうか。加担とまでは言わないまでも、黙認・同調することになると感じます。
 同じ東洋人として、気分のいいことではありません。

 だから私は、「チノ〜」と呼ばれようが、「チャイナ!」と呼ばれようが、必死で否定することはやめました。
 ただ、その無知なオバカサンを冷ややかに睨みつけるだけです。
 もちろん、それで気が晴れるわけではありませんが、人種差別は人種差別として受け容れるしかないのだと思っています。