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【IT大国・インドの行く末】

 IT分野でのインドの躍進は目覚しいものがあります。
 もともとインド人は論理的思考に強く、理数系の学問分野では大いに力を発揮していました。
 90年代には、アメリカ一流大学のスーパーエリートたちのかなりの部分はインド人と中国人だ、と言われていたくらいです。
 それがいま、一気に実を結んでいるようです。

 論理的思考能力の高さに加え、賃金が安い、労働意欲が高い、英語能力が高い。インドはIT業界のマーケットには非常に適しているのでしょう。
 バンガロールを中心に、インドではITのメガ級企業が雨後の筍のように生まれ、それと同時に「ITマハラジャ」と呼ばれるIT成金が続々と誕生しています。

 ITを舞台に、インド人が力を発揮していくのは、これからも変わらない流れだと思います。
 そのこと自体は、好意的に受け止めていくしかないでしょう。

 しかし一方で、「ITマハラジャ」という呼称が象徴しているように、インドではいまでもカーストによる階級社会が色濃く残っています。
 「ITマハラジャ」は必ずしもカーストによるものではなく、むしろ低カーストの人たちでも、努力次第ではマハラジャになれるという夢を持つことはできます。
 しかし現実には、その「努力」をする機会すらないほど貧しい人たちが大半なのがインド社会です。
 IT労働者たちが、インターネット経由で世界中をマーケットにして働き続けている一方で、電気すらない村に住む人々も多いのがインド社会なのです。
 貧しい人たちは日々の暮らしに追われ、子供たちも勉強する余裕などなく、結局貧しい暮らしに埋没していくしかない。

 ITによる経済格差は、確実に増大しています。
 インドの貧しい人たちも、その現実に直面し、不満を爆発させはじめています。

 中国と並び、21世紀の超大国であるインド。
 その対外的な潜在力はすさまじいものですが、一方で内政は困難を極めることでしょう。

 しかし、先日たまたま観たテレビ番組で、少しばかり光明が見えたような気がしました。
 インド随一のIT企業(名前は忘れましたが)が、自己の利益をインド社会に還元するプロジェクトを着々と進めているというのです。

 マハトマ・ガンディーの目指したインド社会は、ITによる経済格差で再び過去の階級社会に戻っていく危険があります。しかし一方で、階級社会を粉砕し、より民主的な社会を構築していく力を、ITマハラジャたちは持っているのです。

 この国がどう転んでいくのか。
 ITマハラジャたちの能力と良心に期待したいと思います。