《ピルグリム・イェーガー》覚え書き2


Et proiectis argenteis in templo recessit et abiens laqueo se suspendit.
Principes autem sacerdotum acceptis argenteis dixerunt non licet mittere eos in corbanan quia pretium sanguinis est,
Consilio autem inito emerunt ex illis agrum figuli in sepulturam peregrinorum,
Propter hoc vocatus est ager ille Acheldemach ager sanguinis usque in hodiernum diem.

(そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ。
祭司長たちは銀貨を拾い上げて、「これは血の代金だから、神殿の収入にするわけにはいかない」と言い、
相談のうえ、その金で「陶器職人の畑」を買い、外国人の墓地にすることにした。
このため、この畑は今日まで「血の畑」と呼ばれている。―――マタイ福音書27.5−8)


主役といっていい、「三十枚の銀貨」の面々。


三十枚の銀貨(トレンタ・モニタ・ダルジェント):

三十枚の銀貨とは、イスカリオテのユダがイエスを当局に売った代償として得た金額。
イエスが逮捕された後、ユダは後悔してその金を祭司長達に返還しようとしたが断られ、
その銀貨を聖所に投げ出すと出て行き、首を吊って死んだ。
祭司長たちは「これは血の代価だから宮の金庫に入れるのはよくない」といい、
異邦人の墓地とするために、その金で陶器師の畑を買った。その畑は「血の畑」と呼ばれた。

「退廃の都ローマに焼却の罰が下る」というサヴォナローラの「フラーテの予言」の成就を阻害する存在で、
彼が火刑に処せられたときにその身から放った炎によって、その体に目印の烙印を付けられている。
現在ローマ教皇庁によって残りのメンバーの探索が行われている。(現在、「三本の釘」内では公式に14名が判明している)
30人にはそれぞれタロッキ(タロット・カード)のアルカナの象意が付けられ、おのおのそのカードを持つ。
ベルナールにより「巡礼の狩人(ピルグリム・イェーガー)」と名づけられ、「三本の釘」の命を受けて動く。
三本の釘ひとりが10人を使役する。

アルカナの象意: 名前: 特殊能力、その名前、持物:
0:愚者
(マットー)
(アデール・ナハシード) アルファ・クロス(ういきょうの十字架)
 流浪の軽業師(アクロバータ)。しかしアルベルティ市警のもと、夜な夜な街を騒がす「怪異」を退治する少女。
アルファ・クロスという異形の十字架を操り、不浄のものを「灼く」。
 陽気で快活、悩みなど感じさせないお天気娘(何だそりゃ)だが、彼女の生い立ちは悲惨なものであり、
彼女自身も、多重人格者として人知れず苦悩している。彼女の住んでいた村の一族はみなそうであった。
そして、それゆえにその村はローマ教会からは「レギオンの村」として異端審問官によって滅ぼされたのだ。

 「レギオン」とは、古代ローマの軍隊の単位。新約聖書『マルコによる福音書』5章によれば、

イエスがガリラヤ湖畔のゲラサ人の地方を通り過ぎた際、汚れた霊にとり憑かれた人に出会った。
彼は墓場を住まいとし、人々は彼を手枷足枷で縛ったが、彼はそれらを引きちぎり、誰にも手がつけられなかった。
イエスが彼に近づくと、男は恐れてひれ伏し、「私を苦しめないでほしい」と懇願した。
イエスが彼に名をたずねると、彼は「名はレギオン。大勢だから」と答えた。
イエスが「汚れた霊よ、この人から出て行け」と言ったので、汚れた霊はその山にいた豚の大群に乗り移らせてくれと
願った。イエスがそれを許したので、霊たちは豚に乗り移った。豚たちは崖を駆け下って湖に飛び込み、溺死した。
その数は二千匹にのぼった。
悪霊が抜けたその男は正気に戻った。


とある。この話に基づき、この場合の「レギオン」とは、「悪霊の群れ」を指す。
古来、多重人格者はそのように見られていたのだろう。

 彼女は作中で言及されているように「ベナンダンティBenandanti」である。
これについて知ろうとするなら、これがよいか。
T:魔術師
(イル・バガッテル)
U:女司祭
(ラ・パーペッサ)
クログラ・スィージン 嵐を呼ぶ者(テンペスタリウス)
フランス出身。フードで顔半分を隠した、物静かで神秘的な美女。
天候を自在に操る能力を持つが、過去、そのために石打ちの迫害を受けた。
最初に石を投げたのは、自分を悪魔と呼び狂乱した彼女の母親だったという。

ロヨラさんが一目ボレ。「キリストの騎士」も形無しデス。
V:女帝
(リンペラトリーチェ)
マルガレータ・ラ・シレーナ
「蛇」によりナポリ=アエルヌス領都市に派遣され、
アデールとカーリンの監視を行うハデハデなねーちゃん。娼婦。

シレーナとは、ギリシア神話のセイレーンのイタリア語形。
美しい歌声で船乗りを惑わせる海の女怪のこと。上半身は女、下半身は鳥の姿という。
おそらくは彼女のあだ名なのだろう。英語で言えば「マーガレット・ザ・サイレン」といったところか。
「人魚姫」にふりがなで「ラ・シレーナ」とあったが、厳密には違うもの。
しかしこの時代には同じ海の女怪ということで同一視されていた、ということだろう。

カーリンの「釘」を受け止めると、その釘は泡となって崩れ去った。「泡」を使うらしい。
娼婦が泡を使うなんて、ベタベタでんがな。
ヴェネツィア出身。
W:皇帝
(リンペラトール)
X:司祭
(イル・パーパ)
アーシェ・エゼキエル 全燔祭(ホロコースト)の清めの塩
ユダヤ人。
メガネをかけ、鞭を持った厳格な若者で、
「蛇」の不在時は彼が「蛇」配下の銀貨たちを統括する。
マジメだが気が短く、すぐ怒る。ちょっと滑稽かも。
「栄養不良っぽいひょろっちい若造」(ロヨラ談)。もっと牛乳飲め。小魚食え。
男の装束をしているが、ミケランジェロの目によれば、どうやら女性らしい。
Y:恋人たち
(リ・アマンティ)
ジョヴァンニ・デ・メディチ 彼に斬られた傷口は、彼から離れるごとに開いていく
1498−1526。
 メディチ家のジョヴァンニ・イル・ベッロ(美丈夫ジョヴァンニ)と、ミラノ出身の女傑カテリーナ・スフォルツァの間の子。
当初はカテリーナの叔父ルドヴィーゴ・イル・モーロにちなみ「ルドヴィーゴ」と名づけられたが、
父ジョヴァンニが早くに亡くなったため、その名を受け継いですぐに「ジョヴァンニ」と改名された。
黒い甲冑に身を包み、「ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ(黒備えのジョヴァンニ)」というあだ名を持つ、
欧州に名をとどろかす勇士。
「イタリア・ルネサンス最後の武将」と讃えられている。
彼の子(1519生)は、のちのトスカーナ大公コジモ1世。

 教皇レオ10世にローマに呼び寄せられて養育され、若いうちから傭兵隊長として彼のの身辺を護っていた。
レオ10世の没後、その死を悼んで軍旗や装備、槍まですべて黒で統一したため、上のようなあだ名がついた。
「バンデ・ネーレ」とは直訳すると「黒帯」。兵士達はみな黒い絹のリボンをつけ、槍に黒の槍旗をつけていた。
日本語訳では、ほかに「黒隊のジョヴァンニ」「黒隊長ジョヴァンニ」とも表記される。
 また、その勇猛さから「無敵のジョヴァンニ(リンヴィンシビーレ・ジョヴァンニ)」
「大魔王(イル・グラン・ディアボロ)」とも呼ばれた。
明朗快活・勇猛果敢ながら冷静沈着・機略縦横な一流の軍人で、
彼の名声を慕って各地から腕に覚えのある傭兵たちが集まり、
その軍は戦闘力、ことに機動力においては比類がなかった。
素晴らしい機動力で一気に敵に肉薄奇襲し、さらに敗走する敵を捕捉追撃した。
 大詩人トルクアート・タッソー(『解放されたエルサレム』などで有名)は、
彼を「イタリアの剣にして楯、しかして守護者」と讃えた。

 20歳の若さで教皇軍を率い、北イタリアで転戦、大いに武勲を上げる。
1523年には教皇軍を率いてボルゴフォルテにて皇帝軍と、
1525年にはフランス軍に従いパヴィアで皇帝軍と戦い、
いずれも軍の先頭に立ち、負傷で戦闘不能になるまで戦った。
1526年11月、マントヴァ近郊ポー川河畔での皇帝軍との戦闘で一旦はこれを退けるものの、
追撃したジョヴァンニは砲撃を受け重傷を負う。
マントヴァにて手術を受けたが医師の腕が悪く右足を切断、
さらにその傷が化膿して高熱を発し、それがもとで11月30日、死亡した。
享年わずか28歳。
遺体はそのままマントヴァの教会に葬られ、その後1685年にフィレンツェのメディチ家礼拝堂に移された。

 サッコ・ディ・ローマののち、ローマやフィレンツェの人々は嘆いた、
「彼さえ生きていれば、このようなことにはならなかっただろうに・・・」
また彼が亡くなった後、各国の諸侯は「イタリア最後の武将」の早すぎる死を悼み、布告を発した。いわく、
「戦闘時における重火器の使用を禁ずる」。

 その勇姿はフィレンツェ、ウフィツィ美術館その他で見ることができる。
37年、息子コジモが父の形見の黒甲冑をまとってフィレンツェに入ったとき、市民は、
「黒備えジョヴァンニの御令息万歳(エヴィーヴァ・イル・フィーリオ・デ・ジョヴァンニ・デッレ・バンデ・ネーレ)!」
と歓呼してこれを迎えた。

 ニッコロ・マキャヴェッリに、
「おまえは戦争についてえらそうな本を書いているが、ひとつ実践してみてはどうだ」
と手勢を与え、その指揮能力を試してみたエピソードもある。
マキャヴェッリは苦闘したもののまったく兵士たちを操ることができなかったが、
ジョヴァンニは笑いながら交代すると、少ない身振りと声で兵士たちを自在に操ってみせたという。
教皇レオ10世やマキャヴェッリは彼の軍事的才能には非常に信頼を置いていたが、
教皇クレメンスはメディチ家傍流のジョヴァンニをあまり重用しなかった。

 初恋の相手は聖母マリア様らしい。
妻子持ちだが、アガタ=マレーを口説いたりしている伊達男。

*彼を題材にした映画《Il mestiere delle armi》(エルマンノ・オルミ監督)がある。
2002年、イタリアのダヴィド・ディ・ドナテッロ賞(「イタリアのオスカー」と呼ばれる賞らしい)
受賞作品。
2003年11月の「大阪ヨーロッパ映画祭」で日本にもお目見え。
日本でもDVD出して!
Z:戦車
(イル・カッロ)
パラケルスス 白い石
1493−1541。
アウレオルス・フィリップス・テオフラストス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム、というのが本名(ラテン語形だけど)。
パラケルススというのは、古代ローマの名医ケルススを越える(パラ)存在、という意味らしい。

 スイスのチューリヒ近郊アインジーデルン出身。医師にして錬金術師。バーゼル大学、フェッラーラ大学で医学を学び、欧州を遊学。
鉱物から抽出する薬物の研究を行った。バーゼル大学より教授として招かれたが、斬新な手法と過激な行動、またトラブルを起こしやすい性格から周囲と衝突、追い出されてしまう。それからは地方を巡りながら医療と著作に従事し、ザルツブルクにて亡くなった。

 ロッテルダム在住の宗教改革者エラスムスの結石を治したエピソードがある。
あまりにも簡単に患者を治したため、「実はたいした病気じゃなかったんじゃ・・・」と、支払いを渋る患者が非常に多かったという。

 医学の才能もさることながら、錬金術師としても多大な功績を残す。
それまで金を作るためだけのものだった錬金術を生命科学としての視点から問い直し、錬金術で得られる化学薬品を医学に利用していた。亜鉛に関する記述を行ったのは彼が初めて。
また「人体は大宇宙を凝縮した小宇宙である」という思想から、占星術をも医学に利用していたという。
 著作としては、『オプス・パラミルム』『ヴォルメン・パラミルム』『聖餐論』『アルキドクセン』『妖精の書』など。
後世の魔術的著作がこぞって彼に仮託されたため、パラケルススはあやしげなイメージを付与されてしまった。
もっとも、この時代病気は「悪魔の仕業」だったわけで、それを簡単に治してしまう彼がそのような目で見られたのもしょうがない。

 えれえノリの良い男。江戸っ子ですか?なんか平賀源内を彷彿とさせる。
それはともかく、コルネリウス・アグリッパの師(とされる)トリテミウスに師事し、魔術、占星術、錬金術を学んだという伝承がある。錬金術師垂涎の、金を創るという「賢者の石」を所持していたとされ、また「ホムンクルス」という人造人間を作ったことでつとに有名なお方だ。

右手から、浄化・治癒・攻撃・予兆などをもたらす不思議な「白い石」を出現させる。
「白い石」は、黙示録の第二章の十七項『勝利を得る者には白い石を与えよう。
この石の中には、これを受ける者のほか誰も知らない新しい名が書いてある』から、
「ある種の奇跡」として教皇庁の認定を受ける。(公式ページより)

えー、左手から出してましたけど。(1巻190P)

ホムンクルスも登場。コミックス3巻ではホムンクルス図解掲載。ファンキー。
[:力
(ラ・フォルツァ)
\:隠者
(エレミータ)
エステル・ノンナートゥス すべての物体をすり抜ける
スペイン出身。
帝王切開で生まれたため、「生まれざるもの(ノンナートゥス)」と呼ばれる。
人が彼女に触れようとすると、幽霊のようにすりぬけてしまい、掴むことができない(彼女からは掴める)が、
ただ「破壊の手」を持つ「吊し人」ミケランジェロだけが彼女を掴むことができる。
彼女は、壁などあらゆるものの中に潜り込むことができるため、諜報活動に使われることが多いようだ。
まだ愛らしい少女で、戦争の道具という自分の役割に空しさを感じ、自由を求めている。
]:運命の輪
(ルオータ・
デッラ・フォルトゥナ)
(カーリン・アトランティック) 手のひらから生む刃や釘
 占い師(インドーヴィノ)。アデールと行動をともにし、
ナポリ=アェルヌス領都市にてアルベルティ市警のもと、街を騒がす「怪異」を人知れず解決する少女。
手のひらから生まれる刃や釘の象意で近い未来を知ることができ、また、対象を攻撃することができる。

 小さいころ、親に棄てられ同然に修道院に「売られた」ことが今なお心の傷となっている。
普段は冷静でアデールの保護者然としているが、一旦怒ると手がつけられなくなるタイプ。
]T:正義
(ラ・ジュスティツィア)
]U:吊し人
(ラペッソ)
ミケランジェロ・ブオナローティ 「破壊(アバドン)の手」
1475−1564。
言わずと知れた、ルネッサンスの巨人。彫刻・絵画・建築あらゆる分野で傑作を残した。
ローマ、システィーナ礼拝堂の『最後の審判』は人類史上に輝く超大作。
ありあまる才能を持つものにありがちな傲岸不遜な性格で、各地でいろいろとトラブルを抱えた。

ロレンツォ・イル・マニフィコに見出されてメディチ家に仕え、それ以後、メディチ家や教皇ユリウス2世のもとで創作に従事。
史実では、サヴォナローラ死刑の時にはローマにおり、1499年、ローマにて「ピエタ」完成。
1500年にフィレンツェに戻り、04年、フィレンツェ、シニョーリア広場に「ダヴィデ」完成。
再びローマに招かれ、12年にシスティーナ礼拝堂に「天地創造」を描く。
13年、教皇ユリウス2世没。墓碑の制作を依頼される。20年、ウルビーノ公フランチェスコ・マリーア・デッラ・ローヴェレが
ユリウス2世墓碑制作の依頼主に代わる。彼とは以後事あるごとに衝突する。
・・・現在はこういう創作状況。

教皇ユリウス2世の墓碑の一件では、この後もデッラ・ローヴェレ家を散々待たせることになるのだが、それは別の話。

ワイルドな風貌で、鋼の肉体を持つ巨漢。その腕っ節ですべてを破壊する。
髪の毛の量が多い。いま46歳のはずだが・・・でも89歳まで生きたお方だし・・・
]V:死神
(ラ・モルテ)
ヴェロニカ・デュラハン 「影」
「悪魔」のヨアヒムのとなりにちょこんと立っている幼い少女だが、
言動はかなり落ち着いている。言葉少なだけれど。
ちょっと顔色悪いけど、お人形さんみたい。食べ物をはむはむしている仕草がかわいいと評判です。
しかし、戦う時は彼女の周囲に漂う「影」を走らせその中から死神を立ち上がらせ、その大鎌で対象を斬殺する。

デュラハンっつったら、てめえの首持ってパカパカ走ってる騎馬幽霊ですね。
]W:節制
(ラ・テンペランツァ)
]X:悪魔
(ラ・ディアヴォロ)
ヨアヒム・ディオニュス 「嘆き女(バンシー)」
ヴィオローネを持つ、旅の楽士?名前からするとドイツ人だろう。
黒ずくめで、帽子を目深に被った、陰のある人物。
そのヴィオローネが不吉な調べを奏でるとき、巨大な鋏を持った嘆き女が出現し、
対象を無慈悲に裁断する。この音楽は嘆き女の嘆き声を採譜したものらしい。
「死神」のヴェロニカと共に行動する。
]Y:塔
(ラ・トッレ)
]Z:星
(レ・ステッレ)
フランシスコ・ザビエル 歌声を操る
1506−1552。
スペイン、バスク地方ナバーラ出身。ナバーラ王国宰相であったザビエル城主の息子として生まれる。
 19歳よりパリ大学で学び俊英をうたわれたが、その中ロヨラに出会い、キリストに従う生活に入る。
 34年、パリにてロヨラらとともに清貧の誓願を立て、これがイエズス会の出発点となった。
 37年にローマへ赴き、教皇パウルス3世に謁見、40年にイエズス会承認される。
 41年、インドのゴアに派遣され、インドや東南アジアで布教、その献身的な姿から「聖なるパードレ」と呼ばれる。
 49年に鹿児島に上陸、日本にキリスト教を伝え、2年の間布教、その後ゴアに戻り、中国への布教に発ったがついに果たせず、52年12月3日、熱病にて息を引き取った。
 東洋への伝道という大事業に欧州では彼の名声が一気に高まり、1622年、彼は聖人の列に加えられた。
ルーベンス、プッサンなどという大画家が彼の肖像を残していることからも、その人気が知れる。
1546年、セラム島で十字架を捧げた蟹に出会ったという、「蟹の奇跡」という奇跡逸話を持つ。

「えっ、あのトンスラ(剃髪)頭の若いころがこの美少年!?」と読者をビビらせる。
ロヨラと同じく、かつては騎士として戦場にあった。いっておくが強い。
ていうか史実では15歳、パリ大学にも入学していない。
ナバーラとカスティーリャ間で行われたパンプローナ奪回戦争で彼の兄たちが、
カスティーリャの将軍・イニーゴ・ロペス・デ・レカルデ、つまり後のイグナティウス・デ・ロヨラと戦っている。

パンプローナはナバーラ王国の首都で、カスティーリャ王国に征服されていた。
ちなみにパンプローナは「牛追い祭り」で超有名なところ。
また、スペインサッカーのリーガ・エスパニョーラ1部のクラブ「オサスナ」の本拠地である。
オサスナとは、バスク語で「健康」「元気」とかいう意味らしい。

宿などでは、「女性に手を出すと後が面倒なので手を出すなら男性」ということで教会でも襲われるので、現在女装中。
いいのか、異端じゃないのか!いやオレはどうでもいいけど!(おい)
今はフランチェスカ・ザビエルと名乗っている。
「隠者」エステルには「いい友達になれそう!」と言われているが、はてさて。

彼の能力は「声」を操ること。歌声により周囲の事物にさまざまな影響を与える。
孔雀教徒との戦いでは聖歌《タントゥム・エルゴ》を歌って敵を無力化、同士討ちさせた。
「星」のザビエルがこの能力をもつのは、おそらくは「天体の音楽」(あるいは「天球の音楽」)からの連想か。
彼より少し後世の天文学者ケプラーも、この「天体の音楽」を大真面目に求めていた。
・・・この能力があれば、東洋の異教徒さんたちもイチコロだあ!
][:月
(ラ・ルーナ)
イグナティウス・デ・ロヨラ 千歩の距離(ミッレパッスウム)
 1491−1557。
 スペイン出身。ロヨラ城主で、本名はイニーゴ・ロペス・デ・レカルデ。バスク人。
もと騎士で、カスティーリャ王国に仕え戦いに明け暮れる毎日だったが、
上記1521年のパンプローナ奪回戦争で至近弾を食らって足を負傷、
手術がうまくいかず、その足は繋がったものの不自由となってしまった。
病床で読み慣れないキリスト教関係の書物を読んでいた彼はキリスト教に惹かれ、
ある夜夢に聖母子を見、目覚めるとすぐに床にひざまづき、キリストと聖母の騎士になる、と誓願した。
 それから激しい肉体的修業の後、学業を修めるためモンテギュー神学校に入学、この時にフランシスコ・ザビエルと出会い、彼を学士からキリストの騎士へと回心させる。1534年、モンマルトルの丘の聖堂で同士と共に三つの誓願を立ててイエズス会の基礎を築き、1540年、それは教皇庁より正式に認可された。

物語では1521年、ザビエルと共にイエズス会創設を目指してローマを訪れ、ザビエルとともに「三十枚の銀貨」に加えられるのだが、史実では、1521年はまだスペインで戦争中のころで、ローマへ新教団「イエズスの友(ラ・コンパニア・デ・イエズス)」、通称イエズス会の設立を目指してザビエルとともにローマへ赴くのは1537年と、ずっと後のこと。

巨漢でめっちゃ濃い顔立ち。
「大砲の直撃を食らっても生きていた人」(ザビエル談)。頑丈。
人間味あふれる性格で、「異端ぽいこと」をドンドン発言してザビエル君ヒヤヒヤ。
史実では、小柄で貧弱な体格、さらに若禿だったらしい。

彼はのちに聖人の列に加えられた。ローマには彼の名を冠した「サンティニャーツィオ教会」がある。
(ラテン語サンクトゥス・イグナツィウスのイタリア語形がサンティニャーツィオ)

彼の能力の語源はローマ時代の距離単位から。「千複歩(ミッレ・パッスム)」分の距離であるため、この名がある。
複歩とは、右足、左足と、二歩踏み出した分の距離で、千複歩は約1.5km。
歩兵の行軍時に用いられた。ローマ軍の行軍では一歩あたり75cmくらいというわけですね。
英語の「マイル」の語源でもある。でも宙を歩くとは・・・さすが聖人さまデス!
]\:太陽
(イル・ソーレ)
]]:審判
(アンジェロ)
]]T:世界
(イル・モンド)
ハインリヒ・
コルネリウス・アグリッパ・
フォン・ネッテスハイム
黄金天球儀(オメガ・グローブ)
1486−1535。ルネサンス期最大の錬金術師、魔術師、医者。
 ケルン大学出身で、皇帝マクシミリアン一世、次いでサヴォイア家に仕えた。ピコ・デッラ・ミランドラの思想に触れて魔術・錬金術に興味を持ったという。その著書『オカルト哲学』3巻は中世オカルト伝承の一大集成。
 その思想や著書が異端的であるとされ追放されたり、亡命先のフランスでトラブルを起こして投獄されたり、ケルンに帰ってからもいろいろ問題を起こしたりと、落ち着かない人生を送ったようだ。
 晩年には、魔術・科学を排撃して神学に帰ることを主張する、『科学と芸術の虚栄について』を著した。それまでの思想を覆す主張であり、そのときの庇護者カール五世の怒りを買って投獄された。

 魔術師として知られる修道院長トリテミウスに師事し、また死者を生き返らせたという伝説を持つ。

この作品では、ドイツより大金でメディチ家に引き抜かれ、アレッサンドロ・デ・メディチのもとで、鳴り止まぬ「サヴォナローラの鐘」の研究を行っている。

 タロットーカードナンバー0「愚者」?のアデールが「アルファ(ギリシアアルファベットの第一)」・クロスを持ち、
最後の21「世界」のアグリッパが「オメガ(ギリシアアルファベットの最後)」・グローブを持っているのは、
何かの伏線でもあるのかどうか。
剣の王
(イル・レー・
スパーデ)
杖の王
(イル・レー・
バストーニ)
硬貨の王
(イル・レー・
ペンタクル)
杯の王
(イル・レー・
コッパ)
剣の女王
(イル・レジーナ・
スパーデ)
杖の女王
(イル・レジーナ・
バストーニ)
硬貨の女王
(イル・レジーナ・
ペンタクル)
アガタ=マレー 「十字架の苦難(ヴィア・ドロローサ)」
イタリア、フェラーラ地方のエステ家出身の女性。
「十字架の苦難(ヴィア・ドロローサ)」と呼ばれる、あらゆる物を押し潰す力を使う。
〈左手の釘〉であるカタリナ枢機卿を通して、エステ家からメディチ家に派遣された。
信仰の平和のために、終わりの無い争乱に身を投じることを誓願した「争いの修道女」。(公式ページより)


凛とした佇まいで、近寄りがたい雰囲気を漂わせる美女。ただひとりイエス・キリストにのみ心を捧げ、信仰のために戦う。

「ヴィア・ドロローサ」は通常「悲しみの道行」と訳される。
「十字架の苦難」には「ヴィア・クルーチス(十字架の道行)」の言葉のほうがふさわしいか。
杯の女王
(イル・レジーナ・
コッパ)
ファウスティナ・メタトローナ 天使の声(メタトローナ)
目隠しをした、小柄で恰幅の良い金髪の女性。「女司祭」のクログラと共に行動する。
口から喋らず、頭の中に響く美しい声で会話を行う。遠隔会話も可能。
その能力には天使メタトロンの名を冠している。
理知的で、感情を表情、声にあらわさない。

ペンギンみたい。

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