(PSP) 「L@ve once」は、恋愛物のテキストアドベンチャーゲームです。 選択肢によってストーリーが分岐していき、様々な結末を迎えます。 制作はMaid meets cat。 担当は企画。 具体的には、全シナリオを担当しました。 あるとき、電車に乗っていてふと思ったんです。 「もし、あと一度しか恋愛ができないとしたら…?」って。 最初は本当にそれだけで、細部はなんにも決まっていませんでした。 でも、ネタとしてなんとなく面白くなりそうな感じがして、あれこれ考えていたんです。 で、メーカーの方にお会いした際に、「なにか今、考えている企画とかあります?」と聞かれ、「具体的なことは全然決まってないんですけど」と前置きしてお話ししたのが、「主人公があと一回しか恋愛ができなくなる物語」でした。 そうしたら「面白そうだから企画を詰めてください」というお申し出をいただき、作業に取りかかることになりました。 ただ、それを具体的にどう実現するかは、なかなかピンと来るアイデアがなかったんですよね。 「一回しか恋愛ができないってどういうこと?」って。 これが意外に難しくて、しばらくウンウン唸ってました。 「一回しか恋愛ができなくなる…? それって、なに? 異性に興味が持てなくなるってこと? だったら、同性ならいいわけ? つまり、ホモになるかどうかの瀬戸際に追いこまれた主人公!?」とかね。(笑) 一応、それなりの形にまとめた企画書を提出してはいたんですが、「このままシナリオを書いても、薄っぺらいものになっちゃいそうだな」という危機感をずっと抱いていました。 で、スタッフさんと打ち合わせをさせていただいて。 その席でたどり着いたのが「人魚」という題材でした。 主人公が人魚の子供という設定にすれば、「あと一回しか恋愛ができない」という導入が無理なく成立するんじゃないかと。 「これだ!」と膝を叩いたものの、その打ち合わせのとき、「キャラデザが決まりました。ささきむつみさんです。で、○月×日までにキャラクタ設定資料を出してください」と言われ、大慌てで物語を組み直しました。 最初はメインヒロインが人魚で、人間のヒロインが4人と考えていたんですが、人魚と結ばれるルートのことを考えると、人魚が1人だとストーリーが成立しない。 そのため、途中で人魚が双子になりました。 いかにも攻略対象っぽい設定の誰かさんがサブキャラになってしまったのは、そのせいです。(笑) 書き終えてから、「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と反省することばかりでしたが、「あと一回しか恋愛のできなくなる主人公」というアイデアを、ぎりぎりのところで一本分まとめあげることは、なんとかできたのではないかと思っています。 一人でも多くの方に楽しんでいただけるよう、願っています。 |