死神遊戯の契約者 -Red- ナンバー・エイト
(KKベストセラーズ)

「ナンバー・エイト」は、デスゲーム系のライトノベルです。
出版はKKベストセラーズ。

改めて言うまでもないことではありますが、「セブン」「エイト」という物語を組み立てたきっかけは、「汝は人狼なりや」というゲームにハマったことです。
で、「この面白さを、物語の要素として取り入れることはできないかな」と考えたのは、仮にも物書きの端くれとして当然のことながら。
人狼というゲームを物語的な観点から見ると、結構乱暴です。(笑)
「村人達の間に人狼が紛れこんでいる。
 毎日一人ずつ村人を処刑して、人狼を全滅させることができたら村人の勝ち。
 残っている人狼の人数が村人と同数以上になれば人狼の勝ち」
ゲームとして見るならどうということはありませんが、物語として考えた場合、「毎日一人ずつ参加者を処刑する」という仕組みをどう取り入れるかについては悩みどころでした。
だって、現実にそんなゲームがあっても、参加したくないですよね。(^^;
かと言って、その部分を「死」ではなく単に「ゲームからの脱落」とするだけでは、緊張感に欠ける。
それならばと、主人公が自分の意志とは無関係に、ゲームへの参加を強要される…と設定すると、「ゲームの面白さ」に目が行かない。
生命がけのゲームを強要される不快感が先に立ち、そのゲームを主催した側への復讐とかなんとか、話の決着はそっちのほうに求めたくなります。
それはそれで一つのお話として成立するでしょうけど、そういうストーリーであれば「人狼というゲームの面白さ」は必要ありません。
では、参加者に莫大な報酬が約束されるというのはどうかとも考えましたが、仮に億単位の報酬を提示されたとしても、金で自分の生命を売る登場人物に、共感できそうにない。
いろいろ考えた末に、自殺しようとした者達を死神が勧誘する…ということにして参加者達の「死」に対するハードルを下げ、その儀式の目的を非道な化け物の退治と設定することで儀式への参加に若干の正当化を加え、どうにかまとめたつもりです。

そういう経緯でしたから、「セブン」を書き始めた当初は「バイト」は吸血鬼的な純粋な化け物と想定していて、そちらについて掘り下げるつもりもありませんでした。
ただ、「人狼」というゲームに即して言えば、参加者は村人陣営になることもあれば、人狼陣営になることもあるんですよね。
そのことから、人狼陣営を単なる化け物として処理してしまうのも違うかなぁと思って、ウマに最後、ちょっともっともらしいことを言わせたりもしました。
(後に「エイト」も出版の運びとなって設定をすりあわせるなか、「エイト」から「セブン」へのフィードバックも多く、「化け物」としての側面はかなり薄まりました)
で、まぁ、「セブン」を書き終えた後、「人狼側を主人公に据えることはできないか」と検討するなかで、「バイト」もまた人間である、と自分内部の設定を変更し、フェイクが生まれる過程についても整理がついて、「あ、これなら行けそう」と「エイト」に取りかかったわけです。
ちなみに「セブン」ではゾウがフェイクという設定ですが、全くアクションを起こさないまま退場してしまうので、その辺に関する記述は割愛しました。
「エイト」から読んだ人は、「あれ? フェイクはいないの?」と違和感を覚えるかもしれませんね。(^^;
それ以外にも、人狼に詳しい人から見れば、ゲーム的に不自然な点はちらほらあります。
その辺は、私としても承知の上で、「物語」としてのクオリティを上げるため「ゲーム」としての厳密さを犠牲にしました。
ご理解いただければ幸いです。


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